【東京都小平市】小平グリーンロード灯りまつり(8月上旬)と「地口行灯」文化の歴史~東京北多摩スポット・観光・イベント・公園・大学など~
小平市では8月上旬、小平グリーンロードが地口行灯(じぐちあんどん)という灯ろうで幻想的な灯りに包まれます。
小平市に昔から伝わる「祭り灯ろう」を新たな形で再現するおまつりです。
地口行灯とはことわざなどを似た音の言葉に置き換えた「地口」を作り地口に合わせた滑稽画を描き祭り用の行灯に仕立てたものです(^^)
小平グリーンロード灯りまつりとは?
毎年8月上旬に開催される、小平グリーンロード灯りまつり。
小平グリーンロード灯りまつりとは、狭山・境緑道を中心とした、小平グリーンロード沿いの14の公園や広場に、約4000灯の地口行灯を並べて、夏の夜を楽しむイベントです。
小平市内には、昔から宵宮や祭礼の際に地口行灯(じぐちあんどん)を飾る風習がありました。
祭礼の際に、言葉遊びやダジャレに合わせて絵を描いた行灯を飾る風習です。
例えば小平神明宮の祭礼の際などに、青梅街道沿いの家先に地口行灯が飾られている風景は今でも少し見られます。
しかし、こうした地口行灯は時代とともに飾る家が少なくなってきています。
この伝統を後世に伝えていくため、小平グリーンロードを舞台に新たな形で再現しようと平成18年に灯りまつりが始まりました。
小平グリーンロード灯りまつりの各会場
<小平グリーンロード沿いの各会場>
小平ふるさと村、小平市ふれあい下水道館、中央公園、小平駅南口、あじさい公園、たけのこ公園、花小金井南市民広場、天神じゃぶじゃぶ公園、天神さくらそう公園、こもれびの足湯、ひかりが丘公園、花6花の木公園、花小金井駅南口、花小金井駅北口などです。
会場によっては模擬店なども楽しめます。
特に小平ふるさと村ではさまざまな企画が開催され、郷土芸能「鈴木ばやし」の演奏会や小平糧うどんなども楽しめます。
地口行灯(じぐちあんどん)とは?
地口行灯とは、駄洒落の一種と見なすことができる言葉遊びです。
ことわざ、有名な芝居のせりふ、格言などを似た音の言葉に置き換えた「地口」を作り、地口に合わせた滑稽(面白おかしい)画を描き、祭り用の行灯に仕立てたものです。
発音が似た単語を用いるため、駄洒落よりも創造性に富み、形態も多様化しています。
地口行灯を祭りに飾るのは、面白い絵や言葉を描いた華やかな行灯の灯りによる祭りの演出であると同時に、祭礼時に飾られた行灯をひとつひとつ参拝者が見ては、その元句を当てたり、ひねりを楽しんだりすることにありました。
地口の作成は地口絵紙作りの職人によってされていました。
行灯であるため、光の透過性を良くする技術や行灯を華やかに見せる色遣いが工夫されています。
なかでも職人の特徴が良く表れるのが「瓶垂(かめだ)れ霞(がすみ)」と呼ばれる上部の波線で、この瓶垂れ霞を見るだけで誰の作かが分かると言われています。
東京多摩地域に脈々と流れる、地口行灯の歴史
江戸庶民の遊び心を表現した地口。
地域の産土神の祭りを彩り、盛り上げる役目を果たすのが地口を文字や絵に描いた地口行灯です。
もともとは江戸市中にはじまり、時代と共に多摩地域へと浸透して行ったと言われています。
江戸市中に始まった地口行灯は、台東区内で、浅草をはじめ、台東区竜泉の千束神社、同千束の吉原神社などが数多くの地口行灯を初午祭に飾り付けていたそうです。
現在、23区内中心部で地口行灯を見る機会は少ないものの、足立区を始め、台東区、江東区などに残っています。
また大田区の多摩川上流地域の穴守稲荷神社にも風習が残されており、このような江戸・東京のことばの文化が多摩川や玉川上水を溯り、さらに秋川や平井川などの支流域にまで及んでいったと言われています。
現在ではあまり見られませんが、当時は大國魂神社や谷保天満宮にも伝わり、その風習も一部残されているそうです。
その後、多摩川とその支流や玉川上水を遡るように調布市、国立市、小平市へ。
そして、羽村市、福生市、あきる野市、青梅市等、多摩西部のいわゆる西多摩へと江戸から明治にかけて、ユニークなことば遊びの文化が伝わって行きました。
現在、主に23区内で描かれているものを江戸系と言われ、多摩地域の小平市や国立市に残るものは所沢市上安松の武藤押絵製作所の所沢系と言われています。
羽村市の羽村提灯店も同じ系列に属し、青梅市友田やあきる野市伊奈地区にも見られるそうです。
多摩川と玉川上水。
江戸・東京の文化が川を遡り、やがて各地域へと浸透してきました。
古き良き文化が、都心から離れた地域で「水」のように浸透していったのかもしれませんね。