「ワオーン」とどこまでも響くような犬の遠吠え。
犬が突然窓に向かって大声で鳴き出す。
ワオーンと力の限り鳴く。
これがいわゆる遠ぼえです。
遠吠えは犬ならではの習性ですが、この狭い日本の住宅事情では、近所迷惑になりかねません。
また、大音量の遠吠えは飼い主にとってのストレスにもなります。
そもそもなぜ犬は遠ぼえをするのでしょうか?
一般的には仲間を呼ぶときに遠ぼえをするといわれていますが、どうやら遠ぼえをする理由は仲間を呼ぶだけではないようです。
犬が遠吠えする理由
遠吠えは犬に限ったものではありませんが、その代表格といえばやはりオオカミでしょう。
祖先であるオオカミは、群れの仲間に「狩りに行くぞ!」と声をかける意味で遠吠えをするといわれています。
その他、「ほかのオオカミに自分の縄張りを示し、侵入させないようにする」「群れからはぐれた仲間を見つけるため(仲間に声が届くようにするため)」「仲間とのコミュニケーションツール」という理由があるようです。
しかし、現代の犬が遠吠えをするのには、また違う理由があるのです。
遠ぼえの理由①~ストレスを解消している
人間でもカラオケで大声を出して歌うと、モヤモヤした気分が晴れすっきりすることがあります。
また山などの広い所で思いっきり大声で叫んでも、同様の効果を感じたことがあるのではないでしょうか?
これは何も人間だけではなく犬でも同じという説があるのです。
犬も遠ぼえをすることで、ストレスを解消しているようです。
留守番の寂しさや、狭いケージに長時間入っていることによってたまったストレスを、遠吠えをすることによって発散しようとするのです。
犬は人間よりもストレスを感じやすい動物だといわれています。
そのストレス対策の一つに遠ぼえがあるというわけです。
遠ぼえの理由②~気を引くため、飼い主への要求
人の注意を引くために遠吠えのような鳴き声を出すこともあるようです。
また何かをやって欲しいとき、ワンワン吠えて飼い主に要望を伝えることがあります。
遠吠えをした際に「どうしたの?」と飼い主さんに構ってもらった経験があると、「遠吠えすると飼い主にかまってもらえる!」と間違ってインプットされてしまい、それを学習して遠吠えをすることもあります。
遠ぼえの理由③~寂しい気持ちによる場合
犬は元々群れをなして生活していた動物なので、ひとりぼっちで長時間の留守番は得意ではありません。
不安や寂しさを紛らわせるために、遠吠えすることが癖になってしまう場合もあります。
夜間の遠吠えは、にぎやかだった部屋の明かりが消え周りが静まり返ったことに対しての不安や寂しさによるものが多いです。
群れで生活している意識が強い犬は、急に一人の時間が長くなると、孤独感から不安になり群れの仲間(飼い主)を見つけようと遠吠えをすることがあるようです。
ただお留守番のたびに遠ぼえしてしまうようだと考えもの。
ご近所の迷惑にならないよう寂しい思いをさせないような工夫が必要です。
遠ぼえの理由④~犬同士のコミュニケーション
犬の祖先であるオオカミは群れで行動する生き物で、遠く離れた場所でも遠吠えによって群れの仲間とコミュニケーションをとっていました。
オオカミの血を継ぐ犬も、仲間との意思疎通の手段として遠吠えを利用しているのです。
「仲間を呼んでいる」に一番近いものですが、ほかの犬の遠吠えが聞こえると、その犬にコミュニケーションを取ろうとして遠吠えをするというもの。
自分の居場所はここだ、何かが起こっていることを知らせるために、遠くに聞こえるような声を出すと考えられています。
何も音がしないのに、窓の遠くを見て遠吠えをする犬もいます。
これは、人間の耳には聞こえないレベルのほかの犬の遠吠えをキャッチし、コミュニケーションを取ろうとしていると考えられます。
少し時間が経って遠吠えを止めた時は、この可能性が高いです。
近所の犬が遠吠えをする声につられて、我が家の愛犬も遠吠え、というのもよくあることです。
遠ぼえの理由⑤~パトカーや救急車、消防車のサイレンに反応している
サイレンの音は、犬の遠吠えに周波数が近いとされています。
近くを通りかかったパトカーや救急車、消防車のサイレン音を仲間の声と勘違いし、遠吠えしてしまうパターンです。
中には、廃品回収車や灯油販売自動車などの宣伝音声、スタジアムなどの館内放送などに反応して遠吠えするわんちゃんもいるそうです。
犬の遠吠えをやめさせる方法について
愛犬が突然遠吠えをしても、焦らずにまずは原因を突き止めることが大切です。
その上で、原因にあわせて適切な対処をしてください。
過剰にストレスを与えたり必要以上に不安がらせたりしないよう、日頃から愛犬の行動や様子に目を配ることを習慣づけましょう。
遠吠えしたら無視する
要求としての遠吠えに応えると、「遠吠えすると自分の思い通りになるんだ!」と犬が勘違いしてしまい、遠吠えがエスカレートする原因にもなります。
そんなときは犬に背中を向けて無視をすると、要求をあきらめて落ち着くことも多いです。
スキンシップの時間を増やす
信頼できる飼い主とのふれあいの時間は、犬の心を癒し、安心感を与えることができます。
犬が不安や寂しさを感じて遠吠えをしないように、日頃からこまめにスキンシップを取るようにしましょう。
飼育環境の見直し
外飼いの場合は室内飼いにして、サイレンが聞こえにくくなるように室内の防音を見直すなど、飼育環境を変えることで遠吠えを防ぐこともできます。
声かけやおもちゃで気をそらす
犬が遠吠えを始めても、飼い主が声をかけると我に返り、吠えるのをやめる場合も多いです。
また、お気に入りのおもちゃを使って遊びに誘ってあげるのも効果的です。
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