牛いじめの犬?!~ブルドッグ、フレンチブルドッグの歴史、特徴について~

ワンちゃん



 

 

ブルドッグを知っているでしょうか。

強面なのに、愛嬌抜群で私たちを和ませてくれるブルドッグは、家庭犬として根強い人気の犬種です。

 

ベチャッととした鼻に愛嬌があってかわいいブルドッグ。

潰れた顔が特徴の犬で、不細工で可愛いと言っている人も結構いるようです。

 

しかし、もともとはこんなに顔がつぶれていなかったということをご存でしょうか。

今回はブルドッグ、そしてフレンチブルドッグについてお伝えします!

 

ブルドッグの起源

 

 

ブルドッグの起源は「ブルベイティング」(bull baiting)という競技のために、マスティフ系の犬種を改良したのが始まりとされています。

「ブルベイティング」とはその名の通り、牛(ブル)に噛みつく(ベイティング)という意味で、13世紀にイギリスから始まった見世物です。

 

「牛いじめ」とも呼ばれています。

「ブルベイティング」は杭につながれた牛に対して、犬を数頭放ち、鼻に噛みつくなどして牛を倒した犬の持ち主に高額な賞金を支払うというもので、貴族から庶民まで大変な人気を誇った競技でした。

 

ブルドッグの原種と言われるオールド・イングリッシュ・ブルドッグについて

 

 

当初に活躍した犬は「マスティフ」という品種だったようです。

 

体重は80キロにもなる、大型犬です。

四肢が長く、顔全体が大きく顎が鼻よりも前に出ていますが、現在ほど潰れていませんでした。

 

たれ耳や折れ耳で、尾が長いのですが、どちらも切断されて立たせたり短くしたりしたようです。

忠実でのんびりした性格ですが、鎖に繋がれた牛と戦わせるブル・ベイティングでは一変、凶暴な性格になり、容赦なく動物を攻撃しました。加えて粘り強さも持っていたようです。

 

その歴史は12世紀頃のブリテン諸島、ブル・ベイティングが人気になったところまでさかのぼります。

はじめはマスティフという犬種でしたが、16世紀頃に王室でもブル・ベイティングが開催されるようになる中で、品種改良が進んでいきました。

 

ブルドッグ改良の歴史

 

 

もともとは「ブルベイティング」の牛と戦わせるために改良されていました。

鼻よりも顎の方が前に出ているのは、牛を噛んでいても呼吸が出来るようにですし、現在のブルドックと比べたら大きいとはいえ、犬全体としてはあまり大きくなかったのは、牛の角に突かれないようにするためです。

 

このような見世物に特化して改良されたブルドッグは、カラダの均整よりも強さを求めて改良が続けられていきます。

牛に噛みついても呼吸ができるように、短い口吻と潰れて上向きの鼻となり、噛みつく力が強くなるように下顎はしゃくれ、牛の角による攻撃をかわすために脚は短く体高は低くなり、牛の攻撃によるダメージを最小限にするために皮膚はたるみ、牛に振り落とされないように首は短くなっていったのです。

 

このようにしてブルドッグの原型が出来上がっていきました。

当時ブルドッグは体重が60㎏近くもあり、性格も獰猛かつ攻撃的だったといわれています。

 

現在のブルドッグへの過程

 

 

1835年、残酷なスポーツが法令で禁じられると、動物愛護の観点から「ブルベイティング」が禁止され、改良され続けてきたブルドッグの存在理由がなくなってしまいました。

このため、繁殖されることが極端に減ったブルドッグは、一時絶滅の危機を迎えてしまいます。

 

しかし、一部の愛好家たちがブルドッグの存続のために立ちあがり、時代に合った大きさ、性格の犬へと改良していきました。

ペットや番犬として使われるようになりました。

 

同時期に欧州でドッグショーが盛んになり、ブルドッグもショードッグの一員だったようです。

カラダを小さくし、攻撃的な性格を抜き去ることに成功すると、怖そうな表情ながら、穏やかでやさしいブルドッグが生まれたのです。

 

おかげで、ブルドッグは家庭犬としての人気が高まり、危機を脱することができました。

生まれ変わったブルドッグは、イギリスを象徴する国犬となり、現在も変わらず愛され続けています。

 

イギリス海軍のマスコットや、ニューヨーク州のレスキューのシンボルマークに「勇気と不屈の精神の象徴」としてブルドッグが使われていますし、日本のソースのシンボルマークとしても有名です。

このマークができたのは大正末期で、ソース発祥の地のイギリスで、ブルドッグが家庭犬として人気だったことが採用された理由でした。

現在のブルドッグの特徴

 

次第にただのペットとして可愛がられるようになりました。

 

しかし、ペットとしては大きすぎるのと、凶暴過ぎるということで、主に次のような改良が加えられました。

 

・性格を温厚に

・身体を小さく

・顔の特徴をもっと出す

 

そうして現在のようにとても小さく、可愛らしいブルドッグになりました。

 

ブルドッグは体高が35㎝程度、体重はオスが25kg前後、メスは23kg前後が適切と定められています。

肩幅が広く短い脚で、重心が低く、安定感のある佇まいをしているのが特徴です。

 

カラダは筋肉質でしっかりしていますし、四肢も頑丈です。

皮膚がたるんでいるのもブルドッグの特徴ですが、決して肥満体ではありません。

 

被毛はスムースで、かなり厚めの短毛になっています。

毛色は単色かスマット(単色にブラックのマスクとマズル)で、ブリンドル、ホワイト、レッド、フォーン、パイボールドが認められています。

 

ブルドッグ最大の特徴といえば、やはり顔ですね。

顔は短く、皮膚もたるんでいて、鼻はとても短く上向きになっています。

 

典型的な短頭種といえるでしょう。

頭はとても大きく、メスの骨盤より大きいので、自然分娩が難しい犬種です。

 

現在のブルドッグは、下顎が出っ張りすぎているので、噛むことが苦手になっています。

耳は小さくて、バラの花のように広がっていることから「ローズイヤー」と呼ばれています。

 

目は大きな暗色で、眼窩が浅く飛び出しています。

ブルドッグは温厚で、いつも飼い主の傍にいたがる甘えん坊です。頑固な一面も持ち合わせていますので、時間をかけて付き合うことが大切です。

 

うまく信頼関係を築ければ生活の良きパートナーとなってくれるでしょう。

 

現在のブルドッグの問題点

 

 

あまりにも顔に特徴を持たせた異常な改良を続けた結果、次のような問題点があります。

 

・自力で出産できず、帝王切開になる。

・鼻が異常に潰れておりしわが多いため、体温調節が苦手で、高温に弱い。

・下あごが出すぎて噛むことが苦手。

・しわによる皮膚病。

・呼吸困難、よだれ過多。

まず鼻が短く移動が狭いため呼吸がし辛く、鼻がつぶれてしわが多いことで体温調節が苦手になってしまいました。

そのためブルドッグは高温を苦手としています。

 

この鼻のしわには汚れもたまりますし、顔がつぶれているせいで涎などの衛生面での問題もあります。

そしてブルドッグは自然分娩を行うことが出来ません。

 

要するに自分で出産することが出来ないのです。

そのためブルドッグが出産する場合には、帝王切開が必須となります。

 

自然分娩できない理由としては、骨格ががっちりしている上に頭が大きく、産道をうまく通ることが出来ないからです。

少しかわいそうですね。

 

フレンチブルドッグとは?

 

 

「フレンチブルドッグ」とは、フランス原産の小型愛玩犬で、19世紀後半ごろフランスに持ち込まれた「ブルドッグ」を異種交配して選抜し、小型で温和な性格の家庭犬へと品種改良された犬種です。

 

パグやテリアと交配させて温厚で社交的な愛玩犬として改良されたのがフレンチブルドッグです。

成犬で、体高25~32cm、体重10kg前後のものが一般的で、「ブルドッグ」と比較して小型であることのほか、バットイヤーと呼ばれる蝙蝠の羽のような丸く立った耳が大きな違いとして挙げられます。

体毛は短毛で、毛色はブラックをベースにしたブリンドル、クリーム、フォーン、レッドなどのパイドや単色もあります。

 

なお、「フレンチブルドッグ」と明確に区別するために「ブルドッグ」を、「イングリッシュブルドッグ」や「ブリティッシュブルドッグ」と呼ぶこともあります。

 

 

でも、ちょっとブサイクな、ブルドッグ、そしてフレンチブルドッグは、やっぱりかわいいですね!

 



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