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【具体的成功事例70集!】2018年版中小企業白書から「労働生産性向上」成功企業をまとめてみた!


日本経済を映し出す、中小企業白書

毎年中小企業庁より発表されていますが、2018年版「中小企業白書」の特徴は具体的事例が多いことが挙げられます。

2018年のテーマは「生産性向上」

この生産性向上に関する「成功事例企業」が掲載されており、具体的に成功している中小企業の姿を紹介し、多くの企業のヒントとして公開されています。

今回は、2018年度版中小企業白書における具体的事例、「成功中小企業事例70社」をまとめてみました!

※【参考】2018年版中小企業白書に関するまとめ過去記事はこちらです。

2018年版「中小企業白書」を個人的視点で要約してみた!



Contents

2018年版中小企業白書全体の流れ

以前の記事にも述べさせていただきましたが、2018年版中小企業白書のポイントは「労働生産性向上」です。

中小企業庁は、成功する中小企業において、労働生産性向上を一つのポイントとして取り上げており、複数の改善方法を示唆しています。

2018年版中小企業白書は2部構成。

第1部は4章で構成されており、第2部は6章で構成されています。

以下、2018年中小企業白書の大まかな流れです。

2018年版中小企業白書【目次】

●第1部 平成29年度(2017年度)の中小企業の動向

第1章 中小企業の動向

⇒第1章は全体の日本経済の流れを記しています。(第1章は事例なし)

第2章 中小企業の構造分析

⇒第2章では中小企業の廃業と廃業に触れ、特に創業や起業促進に関する取組「2つ」を紹介しています。

第3章 中小企業の労働生産性

⇒第3章から本格的に労働生産性向上に触れており、「3社」の成功企業を紹介しています。

第4章 中小企業の経営の在り方

⇒業歴の長い企業事例を紹介し、その秘訣を「2社」紹介しています。

●第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

第1章 深刻化する人手不足の現状

⇒主に女性活用、高齢者活用の成功企業「6社」について紹介しています。

第2章 生産性向上の鍵となる業務プロセスの見直し

⇒主に業務の見直し、業務の見える化等の成功企業「7社」を紹介しています。

第3章 人材活用面での工夫による労働生産性の向上

⇒主に人材育成やマニュアル化等の成功企業「10社」を紹介しています。

第4章 IT利活用による労働生産性の向上

⇒主にIT利活用等の成功企業「18社」を紹介しています。

第5章 設備投資による労働生産性の向上

⇒主に設備投資等の成功企業「4社」を紹介しています。

第6章 M&Aを中心とする事業再編・統合を通じた 労働生産性の向上
⇒主にM&Aに関する支援企業や団体の紹介や、M&A成功企業など「18事例」を紹介しています。

それでは1つ1つみていきましょう。

まずは第1部からです。

第1部 第2章 中小企業の構造分析

創業に関する普及啓発に関する取組事例「2事例」

株式会社 Curio School モノコトイノベーション

株式会社 Curio School(東京都目黒区、従業員9名、資本金1,000万円)は2015 年に設立された。
具体的には、小学生向け、中高生向け、企業向けの教育事業を行っている。

同社が毎年主催するモノコトイノベーションは、「アイディアをカタチにして競い 合う、創造力の甲子園」と題した、中高生向けのコンテスト型プログラム。
高校生がデザイン思考を活用し、企業とコラボレーションをしながら「モノづくり」に 取り組み、競い合う。

本プログラムでは「本物である」ことを追及するために、スポンサー企業にも コミットメントを求める。

スポンサー企業は資金を出すだけではなく、長期間にわたって社員をメンターとして出し、本気で中高生に関わっていく。

2017年のコンテストでは、全国の中高生総勢250名からエントリーがあり、その中から150名の中高生が選抜された。

群馬イノベーションアワード

群馬イノベーションアワード(以降、GIA)は上毛新聞社が主催し、株式会社ジンズの田中仁社長が実行委員長を務める、起業家発掘プロジェクト。
次世代を担う起業家や起業家精神を持った人材を発掘し、県内外のイノベーション機運を高めている。
GIAは「群馬を起業の聖地に!」を合言葉に2013年から始まった取組であり、2017年で5年の節目を迎えた。
2013年に57件だ ったエントリー数は年々増加し、2017年は過去最多となる185件の応募があった。
特別協賛・実行委員に名を連ねるのは、群馬発の企業の社長。
実行委員長である株式会社ジンズの田中仁社長は、日本の起業が増えるためには、「起業は素晴らしい」という価値観が広く世間に広がることが必要だと考えている。

第1部 第3章 人材活用面での工夫による労働生産性の向上

成功企業事例「3社」

事例 1-3-1:株式会社釜石電機製作所

「自社の事業領域を明確にし、設備投資や研究開発を行って生産性を向上させた企業」

岩手県釜石市に所在する株式会社釜石電機製作所(従業員25名、資本金2,000万円)
モーター等回転機の修理・メンテナンスを行う会社

近年はモーターの再生工程の一技術である溶射技術を応用し、空気清浄装置用の光触媒フィルターの製品開発も手掛けている。

2015年に特注のコイル巻ロボット(約1,000万円)も導入し、作業員2名が手作業で約1か月間かけて行ってい た作業が、作業員1名で僅か数日で終わるようになり、生産性が劇的に向上した。

また、2016年には大型モーターの試験設備(約3,000万円)を導入し、自社で性能試験まで一貫して行える体制を確立したことで大手取引先から高い評価を受けている。

さらに、これまでのトラブルが発生してから対応をする修理業務だけでなく、故障を未然に防止するための予防保全としてのメンテナンス業務へと事業内容を拡大させていった。

営業範囲を県外へ拡大し、現在は取引先約100社を有するまでに成長をしている。

事例 1-3-2:株式会社亀井製作所

「自社製品の研究開発やIT導入による業務効率化に取り組み、 生産性を向上させた企業」

岐阜県坂祝町にある株式会社亀井製作所(従業員72名、資本金 2,000万円)
開発から製造・販売、メンテナンス等のアフターサービスまでを行うミニキッチンの総合メーカー
昭和 23 年創業の同社は 1975 年からミニキッチン事業に参入した。
受注したデータを製造工程まで一気通貫して流すシステム(約 3,000万円)を2年前に導入した。
その結果、それまで1日かけて人の手を介して行っていた受注データの入力から図面の設計までを30分で、誤りなく行うことができるようになった。

事例 1-3-3:株式会社にしき食品

「こだわりの製品開発と従業員育成、業務効率化の取組で生産性を向上させた企業」

宮城県岩沼市に所在する株式会社にしき食品(従業員 240 名、資本金 3,000 万円)
レトルト食品メーカー
自社商品の開発人員を増員させ、カレーの本場であるインドに従業員を派遣して現地の味を調査する等、商品企画力を強化している。
経営幹部や従業員の人材育成も積極的だ。
5年前から「未来塾」という若手の研修プログラムを開設し、30歳前後の主任や係長クラスの中間管理職を対象に、外部講師を月一回招いて、管理職の立場における心構えや仕事の仕方といった内容の研修を1年間かけて実施している。

これらの取組が奏功し、生産性が前年比で10%向上するなど、高い効果が得られている。

第1部 第4章 中小企業の経営の在り方

明治期創業企業の歩み「2社」

事例 1-4-1:株式会社マックス

変革の連続を「伝統」とし、時代の潮流に挑み続ける企業」

明治38年(1905年)3月、大阪府大阪市に「小川石鹸製造所」として創業。

洗濯石鹸の製造を手掛けた後、創業から10年を経過した1916年(大正5年)に化粧石鹸の製造に乗り出し、2018年3月で創業満113 年を迎え、現在ではスキンケア・ボディケア製品の製造販売を行う老舗企業。

創業から10年を迎え、同社が化粧石鹸事業へ乗り出した頃、日本経済は、第一次世界大戦。

同社はコスト競争力を活かして輸出を開始。中国をはじめ東南アジア、インド、アフリカ、中南米の石鹸市場を開拓。同社の化粧石鹸生産量の約80%を輸出に廻すなど、海外需要の取込みに成功した。

第二次世界大戦下での大阪空襲により工場・事業所が全焼したが、日本経済が復興し、家計消費が拡大した昭和30年代から、工場設備の一新を行う(昭和32年(1957年))とともに、全国に販売網を持つ代理店との契約など販路開拓に取り組み。

主力工場では製造ラインの9割が機械化・自動化されており、子育て中の女性でも働くことができる環境を整えている。

研究開発では、これまでの常識を覆す“スキンケアにおける、洗顔時の弱アルカリ性(石鹸使用)の有用性”を発表して、その独自の技術を活用した基礎化粧品の商品化を進めている。

事例 1-4-2:ホットマン株式会社

「ものづくりの精神と経営理念で国内製造を貫く明治元年創業企業」

東京都青梅市に本社を構えるホットマン株式会社(従業員 413 名、資本金 8,000 万円)
明治元年創業のタオルメーカー

古くからの織物産地として知られる東京都青梅市で創業し、「国内一貫生産」と「自社直営店販売」にこだわり続け、今日まで業容を拡大してきた。

同社は、鎌倉時代から織物の産地として栄えた東京都青梅市で、明治元年(1868 年)3 月に「田中織物工業」として創業。

着物地の生産から始まり、時代と共に生産品目を変え、終戦後しばらくは、布団の側地である夜具地や服地の量産を行っていた。

その後、昭和30年代に入り欧米風のライフスタイルへの変化を見越し、タオル製造への転業。

1972年には東京六本木の一等地に直営店第一号となるタオル専門店を出店

製販一貫体制の先駆け、生産の内製化を進め、今の同社の大きな強みになっている。

2013年には、水に浮かべると1秒以内に水分を吸水して沈み始めるという吸水性の高さを特徴とする「1秒タオル」シリーズを商品化し、新しい製品開発も積極的。

第2部 第1章 深刻化する人手不足の現状

女性活用、高齢者活用の成功企業「6社」

事例 2-1-1:有限会社 COCO-LO

柔軟な勤務形態や無料託児所の設置等の工夫により、 女性の確保・定着に成功している企業」

群馬県桐生市の有限会社 COCO-LO(従業員 86 名、資本金 300 万円)

作業療法士の資格を持つ雅樂川陽子社長が、祖母の介護を機に、数名の従業員と共に2005年に創業した、訪問看護事業所、通所介護事業所、居宅介護支援事業所、リハビリジムを運営する企業。

女性が働きやすい職場環境整備に注力。その1つが「準社員制度(短時間正社員制度)」である。

従業員が、育児や介護等個々の事情に応じて1日の勤務時間を4.5時間以上7.5時間未満の間で選択でき、雇用保険や社会保険、時間当たりの賃金等は正社員と同等の処遇としている。

2つめは「ならし勤務制度」である。

育児休業から仕事復帰後最初の1か月間は、1時間以上からの短時間勤務で職場復帰ができ、さらに、「育児休業制度」は法定を超えて子供が満3歳になるまで利用を可能としている。

これらの取組が奏功し、同社における育児休業後の復職率は100%、また、社内に専属の保育士を配置した従業員向け「無料託児所」を設置した。

事例 2-1-2:株式会社加藤製作所

60 歳以上限定の求人広告をきっかけに人手不足を解消し、 シニア人材の活躍の場を広げている企業」

岐阜県中津川市の株式会社加藤製作所(従業員 107 名、資本金 2,000 万円)

1888年に鍛冶屋として創業し、戦後からプレス板金加工に事業を展開した企業。

「土曜・日曜は、わしらのウイークデイ。」、「意欲のある人求めます。男女問わず。ただし年齢制限あり。60 歳以上の方」というキャッチコピーでシニア人材に限定した求人広告を打ったところ、大きな反響があり、想定を上回る 100 名からの応募を得て、うち15名を採用した。

その後もシニア人材を継続的に採用し、今では従業員107名のうち、短時間勤務のシニア人材が54名と約半数を占めるまでとなった。当初は土日祭日限定の勤務であったのが、現役世代の従業員から望まれて、平日も勤務するシニア人材も増えた。

事例 2-1-3:株式会社 S・S・M

「子育てしながら働く「ママ」に仕事を提供する企業」

大阪府大阪市の株式会社 S・S・M(従業員 225 名、資本金 1,000 万円)
一時保育や小規模認可保育園を手がける企業。
子育てをしながら働く母親を応援することをコンセプトに、2012年に創業した。
保育所のある建物内のワンフロアにコールセンターを設立して、母親の働く場所を併設する仕組みを作り上げた。
コールセンターで働く母親は同社の従業員として雇用し、運営している保育所を無料で利用できる制度としている。
今後は、コールセンター業務にとどまらず、経理事務の代行や、プログラミングといった特殊なスキルが必要な業務を受託して、子育てをしながら働く女性の仕事の幅を広げていく予定。

事例 2-1-4:ナザテック株式会社

「固定観念を払拭し業務範囲を拡大させることで、 女性の活躍を進めている企業」

愛知県稲沢市のナザテック株式会社(従業員 76 名、資本金 2,000 万円)
金属パイプ成形加工により、業務用エアコン部品及び自動車用オートマチックトランスミッション部品の製造を主に行う企業。

全従業員76名の内、45名が女性であり、39名が製造現場で積極的に働いている。
以前は、「溶接作業は危険だから男性の仕事」と決め付けられていた。

しかし、今では女性従業員が溶接作業を行うことは自然なこととなっている。

事例 2-1-5:株式会社佐藤金属

「女性の資格取得支援を行うことで、女性の職域を拡大し、 人手不足に対応している企業」

宮城県岩沼市の株式会社佐藤金属(従業員 13 名、資本金 1,000 万円)は、特殊金属のリサイクルと金属系産業廃棄物中間処分業を営む企業。

同社は、女性活躍の多様性を見出し、活用を進め、「資格取得支援制度」が確立。

この制度は資格取得に係る費用を会社が支援し、従業員の資格取得を促すもの。

この制度を活用し、一人の女性従業員がフォークリフトの資格を取得したことで、従来は男性従業員に頼っていたフォークリフト操作を女性ができるようになり、作業効率が格段に向上した。

事例 2-1-6:有限会社有吉農園

「短時間勤務制度の導入や作業方法の工夫等によって、 高齢者の確保に成功している企業」

有限会社有吉農園(従業員 15 名、資本金 300 万円)
北海道札幌市にて青果卸売及び青果包装を営む企業。

春以降に活動したいと考える高齢者の活用に焦点を当てたという。

加えて、パートタイムのシフト制度を導入し、午前か午後のいずれか 4 時間勤務とする、「短時間シフト勤務」 を可能とした。
上記の結果、取組を始めて約 3 年間で高齢者(最高 68 歳)10 名程度の採用に成功した。

第2部 第2章 生産性向上の鍵となる業務プロセスの見直し

業務の見直し、業務の見える化等の成功企業「7社」

事例 2-2-1:株式会社小豆島国際ホテル

不要業務を削減することで業務効率化を実現させ、 生産性を向上させている企業」

1963 年創業の株式会社小豆島国際ホテル(従業員 125 名、資本金1億円)
香川県土庄町で、客室 120 室のリゾートホテルを運営する事業者。

外部の経営コンサルタントを活用し、客室整備業務等における既存の業務の無駄を洗い出し、不要業務の廃止や見直しを行った。

例えば、一部客室に急須を設置していたが、使用頻度が少なかったため、マグカップとスティック茶に簡略化を行った。
結果、急須の漂白時間が短縮され、年間で30時間程度の業務時間の削減につながった。

また、絵はがきやWi-Fi表示等の客室内資料の配置についても、売店での販売やドアへの貼り付け等で代替し、廃止したところ、年間で 110 時間程度の業務時間の削減につながった。

このように業務の必要性を精査し、廃止や見直しを進めることにより、年間で 1,800 時間もの業務時間の削減効果が得られた。

事例 2-2-2:株式会社コープデリバリー

部門間の協力を促す動機付けを活用し、業務効率改善を推進する企業」

神奈川県座間市の株式会社コープデリバリー(従業員 39 名、資本金 5,000 万円)
生活協同組合ユーコープの宅配商品の仕分けや品質チェック等を行う倉庫業者

仕事の属人化を避けるべく、作業のマニュアル化により多能工化を進め、 同一作業に複数担当を付ける(ダブルキャスト)ことにより、業務過多となった部門に対する人材の融通のし易さや休暇の取得し易さにつなげた。

また、毎日の作業スケジュールを明確にし、従業員どうしで共有するため、各人の1日の作業フローをホワイトボードに一覧表形式にして張り出した。

手助けが必要な従業員は、ボードに「help」が必要という趣旨のカードを貼り出して、他部門からの応援を要請できる仕組みも取り入れた。

隙間時間に完了できそうな軽作業で他者の手助けが必要なもの([例]パソコン周辺の清掃)については、小さなカードに作業内容を書き出して、それをボードに貼り付ける仕組みも取り入れている。

この小さなカードには、裏側に「ありがとう」という感謝の言葉が記されており、手の空いた従業員が割当られた業務以外の仕事を自主的に引き受ける動機付けとなっている。

こうした取組の結果、2017 年 4 月から 2018 年 3 月までの累計で、残業時間は前年比 55%減少、残業代は約 580 万円の削減となり、従業員一人当たり 17.5 万円が還元された。

事例 2-2-3:株式会社鷺の湯荘

「業務の見直しの結果、設備の入替を行い、業務効率化を実現した企業」

株式会社鷺の湯荘(従業員 40 名、資本金 1,000 万円)
島根県安来市で温泉旅館業を営む企業。

まず、清掃作業が個人によって仕上がりにばらつきがあったため、清掃業務のマニュアル化に取り組んだ。マニュアル化の際、清掃作業をビデオで撮り分析を行った。

業務の必要性を見直したところ、冷蔵庫内の有料ドリンクの利用率も低下傾向にあったため、通常の冷蔵庫へ変更する(20台合計で約70万円の投資)とともに、冷水ピッチャーからペットボトルの水を置く形に変更し、業務の簡素化を図った。

同社では、こうした業務効率化の結果、平均的に一人当たり30分程度残業時間が減った。

事例 2-2-4:サワダ精密株式会社

従業員の声を吸い上げ、日々の改善活動を積み重ねる仕組みを作り、 業務の効率化を図っている企業」

兵庫県姫路市のサワダ精密株式会社(従業員 72 名、資本金 4,250 万円)は、金属加工及び各種自動機、試験装置、検査装置の設計製作等を行う企業。

各従業員が加工作業の工程や作業環境等について改善できると気付いたことを「カイゼンカード」に記入し、提出するという仕組みを確立した。

改善提案の例として、ある機械の開閉を行うハンドルが長く、回すと周囲に設置してある機械カバーに接触してしまい、その都度付け直して回すという手間が発生、それをハンドルの長さを短くするだけでハンドル操作が円滑になり、作業時間の削減ができた。

その結果、年間 43.8 時間の削減が可能となったという。

提出されたカイゼンカードは、従業員のみで構成される「カイゼン委員会」で内容の評価を行い、経営陣はそこで決まった評価に応じて提案者に手当を出している。

取組を継続した結果、年間休日数も、取組前の 90 日から現在では105 日まで増えた。残業時間は、取組前の約半分になり、従業員の定着率向上にもつながっている。

事例 2-2-5:ティ・エス・ケイ株式会社

業務改善活動をきっかけに、新たな付加価値を生み出している企業」

富山県富山市のティ・エス・ケイ株式会社(従業員 81 名、資本金 5,000 万円)は、創業80年になる、重包装紙袋の製造、顧客ロジスティクス支援ビジネス企業。

自ら主体的に考えて行動する人材の育成を目的に、2004 年から、業務改善活動を始めた。

開始以来14年経った現在でも年間で2,800件程の提案が当たり前のように実施されているという。
以前、ある従業員からネットショップの提案があった際は、成功は難しいと思いつつも、提案即実施という原則のため取り組ませたところ、現在では売上 2.5億円の事業になった。

事例 2-2-6:有限会社朋友

業務の徹底的な見える化を行った上で、IT導入を進めたことで 生産性を向上させている企業」

千葉県流山市の有限会社朋友(従業員 17 名、資本金 300 万円)は、プラスチック製品を製造する事業者。食品容器、化粧品ディスプレー、自動車部品等を手掛けている。

機械の稼働率は、調査前に 90%以上と見込んでいたが、実際は 60%だったという。
そこで、機械の稼働状況を随時計測・収集するために、IoTを活用した新生産管理システムを導入した。
具体的には、小型シングルボードコンピュータに IC カードリーダーと電流センサーを取り付けた IoT キットを活用した。これにより、クラウド型データベース上において、段取り替え時間と射出成形機の稼働時間を確認できるようになった
その結果、機械の稼働率は約 60%から約 80%まで上昇したほか、外注費割合は約 9%から約 4%へ減少し、利益率は 3.9 倍に高まった。

事例 2-2-7:シンセメック株式会社

生産工程の見直しをきっかけに設備投資を行うことで、 生産性の向上につなげている企業」

北海道石狩市のシンセメック株式会社(従業員 55 名、資本金 3,000 万円)は、1950 年に創業した、機械製作を行う企業。

同社は生産工程を今一度見直した。

具体的には、それまで手動で行っていた計測工程を半自動化できる設備を社内で製作し、機械加工未経験者でも作業を可能にした事である。

これにより、製造業の経験が浅い者でも製造 現場で働けるようになった。その結果、2015 年の春には、二名の未経験の女性採用に成功。

第2部 第3章 人材活用面での工夫による労働生産性の向上

人材育成やマニュアル化等の成功企業「10社」

事例 2-3-1:坂西精機株式会社

従業員のスキルマップを活用することで、人員配置を適正化し、 多能工化へもつなげている企業」

東京都八王子市の坂西精機株式会社(従業員 91 名、資本金 5,000 万円)は、歯車を組み合わせた減速機の製造や精密部品全般の加工・組立を行う企業。

全従業員のスキルマップを作成し、従業員の能力を管理者が把握することで、適正な人員配置とスキルの標準化を行うこととした。

例えば、製造部門では、「読図」、「NC 旋盤操作」、「製品の測定」、「異常時の対応」等のあらゆる業務をスキル項目として設定しており、習熟度を「作業に携わったことがない」の「1」から始まり、「指導することができる」の「5」までの 5 段階で評価している。

従業員のスキルの見える化により、各部署におけるスキルの高い人と慣れていない人の程度を把握することで、結果、忙しい部署に対し、他部署から支援に回ることができる人材が増えるなど、従業員の多能工化にもつながっている。

事例 2-3-2:株式会社環境技研

従業員のスキルマップ作成を契機に多能工化を行い、全体の業務を平準化したことで生産性を向上させている企業」

群馬県高崎市の株式会社環境技研(従業員 82 名、資本金 5,000 万円)は、大気や水質・土壌の成分分析、食品の異物混入や残留農薬の検査、環境アセスメント調査等を行う環境調査会社

従来、扱う検査や調査内容が多種にわたるため部署や担当が細かく分かれており、受注案件に偏りが生じた際には特定の部署や担当へ業務が集中し、従業員間の残業時間に大きな乖離が発生していた。
この状況を解消すべく、全従業員の資格や技術、ノウハウ等のスキルを棚卸し、部門長が習熟度に応じて 3 段階で評価して、スキルマップとして一覧表にまとめた。
複数業務を担当する多能工化が根付き、一部の従業員に負担が集中することが無くなり、年間の一人当たり平均総労働時間は約 1,500 時間(2015 年度)から約 1,400 時間(2016 年度)に減少した。

事例 2-3-3:株式会社お佛壇のやまき

業務マニュアルを作成することで、学習する環境を整備。 従業員の多能工化により生産性を向上させている企業」

静岡県静岡市の株式会社お佛壇のやまき(従業員 35 名、資本金 3,600 万円)は、県内で 6 店舗を展開する仏壇仏具の製造・販売や仏壇リフォーム(修理・再生)、墓石・墓園の販売を行う企業。

全従業員にヒアリングを行って業務上の改善点を洗い出し、レジのタッチパネル化や商品管理へのハンディターミナルの導入等、作業性を高める IT 機器を導入し、短時間で業務が行えるようにした。
このように効率化を進めた上で、業務全般をマニュアルにまとめた。

マニュアルの範囲は、仏具仏事の知識から、顧客応対例、墓石設計ソフトの操作、見積書作成、レジ操作、事務用品の収納場所まで業務全般にわたっている。

取組の結果、必要に応じて誰もが各業務を担当できるようになり、時間外労働の減少に加え、従業員が休みを取りやすくなった。

事例 2-3-4:株式会社グランディア芳泉

「固定観念を払拭して業務を見直したことで多能工化を実現し、 生産性を向上させている企業」

福井県あわら市の株式会社グランディア芳泉(従業員 116 名、資本金 1,000 万円)は、あわら温泉地域内にある1963 年創業の温泉旅館

中居と中居以外の従業員で賃金制度が異なることが妨げとなっており、この制度を廃止し、従業員間の賃金制度を統一した。

結果、仲居がレストランを手伝ったり、仲居以外のス タッフが宴会の仕事を手伝ったりなど、従業員間で互いの業務の支援を行う体制が出来上がっていった。

残業を一人当たり週 2 時間程度まで削減し、週休 2 日制をほぼ導入し、サービスの質は落とさず、経常利益率を 10%に上げている。

事例 2-3-5:はな物語

「従業員の業務を細分化して一部をアウトソーシングすることにより、 コア業務に注力して高付加価値を生み出している事業者」

埼玉県杉戸町のはな物語(従業員 15 名、個人事業者)は、プリザーブドフラワーの生産・販売を行う老舗ネットショップ

電話による受注業務を外部のコールセンターにアウトソーシング、さらにウェブページに記載する商品の撮影や、画像登録といった作業においても外部に委託することで、従業員が商品製作に注力する時間の捻出に寄与している。

結果、在宅勤務の推進にもつながり、希望者は、週に 1 度のみ事務所を訪問し、完成した商品の納入及び新たに作製する商品の材料を預かるという勤務形態を取ることで、時間の制約等がある中でも働けているという。

事例 2-3-6:株式会社大都

「周辺作業を切り出しアウトソーシングすることで、 従業員を本来業務に注力させている企業」

大阪府大阪市の株式会社大都(従業員 43 名、資本金 4 億 6,500 万円)は、DIY 工具やガーデニングツールを国内外で販売する 1952 年創業の金物工具卸売業者

インターネット通販で取り扱う商品点数が 10 万を超え、売上が爆発的に増えたときは、商品の受発注作業を IT ツールで自動化するとともに、商品の写真を加工して通販カタログに登録する作業は中国へ、商品の梱包や発送作業は物流センターにアウトソーシングした。

その結果、同社の従業員は営業や企画等の本来業務に集中できている。

事例 2-3-7:すててこ株式会社

クラウドソーシングにより定型業務を外部に委託することで、 従業員の高付加価値創出につなげている企業」

福井県あわら市のすててこ株式会社(従業員 26 名、資本金 1,000 万円)は、下着類のインターネット販売及び卸売を行う企業。

同社では、ブログ記事の作成、外国語への翻訳作業等の定型業務を中心にクラウドソーシングを活用している。

これにより、自社の従業員は高付加価値創出につながる、ネット広告によるマーケティング業務に集中することが可能となり、売上の増加につながっているという。

今後はホームページに掲載する商品画像の作成作業についてもクラウドソーシングを活用していくという。

事例 2-3-8:株式会社サニカ

「外部機関等も活用しつつ計画的な人材育成を行い、 従業員の能力向上に取り組んでいる企業」

山梨県南アルプス市の株式会社サニカ(従業員 175 名、資本金 6,500 万円)は、駐車場システム機器及びメカトロニクス機器等の開発・生産を行っている企業。

社内の各部門の業務に必要な能力、技術、資格を洗い出し、当該能力、技術、資格を証明するための技能・資格制度をリストアップした。

これを「社内認定資格制度」とし、当該リストの技能・資格制度に必要な受験手数料や学習講座の受講料を会社が費用負担することとした。

これにより、同社の研修教育体系は、これまでの 階層別研修や OJT、自己啓発支援に加え、この社内認定資格制度に基づいた職能別研修の 4 本柱となっている。

事例 2-3-9:札幌高級鋳物株式会社

「人材育成による未経験女性の戦力化を行うことで、 人手不足に対応している企業」

北海道札幌市の札幌高級鋳物株式会社(従業員59名、資本金8,000万円)は、発電プラントや工場設備に用いられる特殊鋼の鋳造を手掛ける企業。

未経験でも意欲の有る女性を技術職として採用、これまでは、OJT による教育が主体であったが、女性であることと短期間での技術習得を目指し、外部での研修を実施、現場で十分な戦力として活躍しつつあるという。

また、これまで人の力で製品を運搬していた磨き工程に、アーム式ロボットクレーンを導入、負担の少ない作業環境の整備を進め、このような人材育成の取組や作業環境の整備が奏功し、直近4年間、続けて女性従業員の確保に成功し、人手不足の解消にもつながっている。

事例 2-3-10:株式会社ナオミ

「経営陣と従業員のコミュニケーションの強化を通じた人材育成により、生産性を向上している企業」

大阪府箕面市にある株式会社ナオミ(従業員55名、資本金1,000万円)は、食品を容器に定量詰めする小型の食品充填機の製造・販売を行う企業。

同社では若手従業員や幹部による会議を“傾聴”会議と位置づけており、経営陣と従業員、従業 員同士が互いの話に耳を傾け合うことで、社内コミュニケーションの円滑化を図り、チーム力やモチベーションを高めた結果、従業員が積極的に意見を出すようになった。

その一例として、新卒 1 年目の新人からの強い希望でマーケティング・広報室という新部署を立ち上げ、問い合わせ数やメディア掲載数を増やし、社内 ICT システムの運用も任されるようになり、年齢や入社年数に関係なく任されることでやりがいを感じているという。

第2部 第4章 IT利活用による労働生産性の向上

IT利活用等の成功企業「18社」

事例 2-4-1:丸友青果株式会社

タブレットを利用して手作業だった伝票入力を合理化した企業」

石川県金沢市の丸友青果株式会社(従業員 22 名、資本金 2,400 万円)は、加賀野菜を中心とした青果を扱う金沢市中央卸売市場の仲卸業者

以前より同社では、伝票内容の入力業務が大きな負担となっていた。

300 枚以上ある伝票を入力し終わるのはお昼近くになり、そこから入力 結果を確認していたため、営業担当者の長時間勤務が当たり前になっていた。

そこで、当時普及し始めていたタブレットを導入、パソコンから担当者別のリストを出力すると、入力作業後すぐに内容を確認できるので、営業担当者の拘束時間が2時間ほど短縮できた。

事例 2-4-2:有限会社まるみ麹本店

品質管理と顧客開拓に IT を活用し、付加価値向上を実現する企業」

岡山県総社市の有限会社まるみ麹本店(従業員 24 名、資本金 300 万円)は、味噌、甘酒等の麹を扱う醸造食品製造・販売事業者

麹の発酵工程における温度管理に温度記録が取れる機械を導入し、各工程における温度データを蓄積して製造ノウハウを「見える化」した。

営業面では CTI(コンピュータと電話の機能を連携するシステム)を導入し一元的に注文を管理する販売管理システムを導入した。

この 新システムはダイレクトメール(DM)もあり、SNS や自社運営の「こうじコミュニティ」を通じた顧客とのつながりを増やす取組も取り入れ、これら一連の取組によってこの 3 年間で同社の売上は 25%増、インターネット通販は 43%増という成果が得られた。

事例 2-4-3:有限会社アイグラン

「地元のIT販売会社と長期的な関係を構築し、ITに精通した社員がいない中でも着実にIT化を進展させた企業」

東京都八王子市の有限会社アイグラン(従業員 70 名、資本金 300 万円)は、パン製造小売事業者。

地元の IT 販売会社営業担当と一緒に検討した結果、クラウド給与・就業管理を導入した。

導入後は、給与と就 業管理が連携した結果、店舗ごとの勤怠データの集計から給与ソフトへの反映まで自動化され、給与計算業務の時間が大幅に短縮された。

毎月の給与・就業管理事務が7人日から3人日に削減された。

事例 2-4-4:マスオカ東京株式会社

「補助金をうまく活用し、IT販売会社とも相談しながら IT導入等を進め、 業務効率化に取り組んでいる中小企業」

東京都台東区のマスオカ東京株式会社(従業員 19 名、資本金 2,000 万円)は、Oリング(オーリング、環形状の密閉用部品)等のゴム製品を取り扱う卸売事業者

リアルタイムで顧客との関係を把握するために、地元の IT 販売会社の提案を契機に営業支援システムの導入(初期費用は百数十万円程度であり、そのうち半額が IT 導入補助金による補助対象。ランニングコストは月数万円程度)。

同社では、人手不足への対応を背景に、3 年前から在宅勤務を導入しており、在宅勤務の社員との連携を図る上 でもクラウドが有効と感じたという。

事例 2-4-5:株式会社宝角合金製作所

「商工会議所に相談し、各種施策の提案を受け、 生産工程の「見える化」により生産性向上を推進した企業」

兵庫県姫路市の株式会社宝角合金製作所(従業員 40 名、資本金 2,000 万円)は、中大物機械加工を得意とする産業機械向け部品の製造業者

姫路商工会議所に相談したところ、ソフト面ではミラサポの専門家派遣制度の、ハード面では姫路市ものづくり IT 化推進事業(補助金)の、それぞれの提案を受けた。

専門家派遣制度では、生産管理システムの導入部分の指導を受けることができ、姫路市ものづくり IT 化推進事業(補助金)では、生産管理システムと連携させる工場内の Wi-Fi化を進めることができた。

専門家派遣制度では、ソフトの開発を自前でできるようになり、工場内のWi-Fi化では、現状の生産管理システムでも無線 LAN 化により Windows タブレットが使用しやすくなった。

事例 2-4-6:株式会社日東電機製作所

「業務プロセス見直しと合わせた自社システムの更新に取り組んでいる企業」

群馬県太田市の株式会社日東電機製作所(従業員 152 名、資本金 8,000 万円)は、電力会社や鉄道会社向けの 電力制御機器(配電盤、制御盤)を製造する電機メーカー

ビジネス・プロセス・アセスメント(Business Process Assessment)という手法を用いて、生産管理工程そのものの見直しも視野に入れて、現システムの課題の洗い出しを行った。

洗い出しの結果、解決方針は、①情報の一元管理、②設計解析の実施、③データ閲覧環境の改善、④教育勉強会の実施という4点に集約されたので、各観点から生産管理工程や生産管理システムの改善に取り組んでいる。

同社は、生産工程の IoT 化も計画しており、システムの WEB 化による生産現場でのタブレット活用や、生産管理におけるロボットと NT-MOL の連携等も検証している。

事例 2-4-7:株式会社太陽商工

部門間のデータ共有が進み生産性の向上を実現した企業」

埼玉県さいたま市の株式会社太陽商工(従業員57名、資本金9,000万円)は、建築工事、給排水設備工事を主要事業としている。

社内の情報共有を行うITシステムを導入した。

例えば、図面や役所等への申請書類等はスキャンして電子化して蓄積し、検索して利用できるようにし、問合せがあったときには、図面や工事履歴等を、部門を超えてすぐに参照して対応でき、工事の進捗にあわせて資金繰りや資材発注等を効率的に行えるようになっている。

さらに、ミニ PC とタブレットによるリモートワークを導入し、ミニ PC から本社内の自分の PC にリモート接続することで、現場で図面の確認や顧客からの連絡の確認、現場報告書の作成等ができる。

社内の IT システム導入では、1 人 1 日当たり 3 時間の業務時間削減に成功、リモートワーク導入では、事務所と現場の平均往復時間 2 時間の削減効果があった。

事例 2-4-8:エコー電子工業株式会社

「経営層が一丸となって率先利用することで情報システム利用を浸透させ 業務の見える化と業績向上を実現した企業」

福岡県福岡市のエコー電子工業株式会社(従業員 180 名、資本金 1 億円)は、九州を中心に約 2,500 社の顧客を持ち、業務システムの提案・開発、IT インフラ構築、スマートフォンのソフト開発等の事業を手掛けている。

業務の属人化からの脱却と様々な情報の「見える化」が中心的役割を果たすと判断し、約 20年前に自社開発で SFA(Sales Force Automation)を導入した。

SFA では、役員以下全員が仕事内容を入力し閲覧でき、業務日報等の登録で日々の活動が「見える化」され業務の属人化が避けられる。

同社は SFA を用いて業務分析も行い、個々の業務にコードを振り、SFA に業務コードと業務時間を入力することで、各プロジェクトの原価が把握できるようになり、収支状況が明確に「見える化」された。

事例 2-4-9:株式会社上間フードアンドライフ

1品単位で採算管理ができるシステムの開発により収益性を高めた企業」

沖縄県沖縄市の株式会社上間フードアンドライフ(正社員 23 名、パート・アルバイト 57 名、資本金 990 万円) は、沖縄天ぷらを主力とするお弁当・お惣菜・オードブルの店舗販売と宅配を手掛けている。

適切な利幅の確保のために1品ごとの採算管理システムを導入。

これにより、例えばエビの天ぷらの衣にいくら原価が掛かっているかという 1 品単位の数値管理ができた。また、クラウド会計との連携も可能であり、バックオフィスの効率化も果たしている。

開発したシステムを導入し実際に活用しながら改良を重ねた結果、導入前後で原価率が約 5 ポイント低下し、収益面が大幅改善された。

事例2-4-10:株式会社カラーズ

クラウド会計の導入後、クラウド人事労務も併せて導入し、 機能間連携を行うことで一層の業務効率化を実現している企業」

東京都大田区の株式会社カラーズ(従業員 35 名、資本金 610 万円)は、介護事業者で事業の柱は在宅介護サービスである。

顧客や従業員の増大に伴いクラウド会計を導入、給与関係のデータ(給与振り込み、社会保険料、源泉徴収された所得税や住民税の預かり金)がすぐに会計に反映されるようになり、また、経費精算したクラウド会計のデータもクラウド人事労務側の給与明細に反映されるようにもなった。

クラウド導入により、事務代行先が2か月かけていた事務処理が、週30分程度の社内処理で対応できるようになり、リアルタイムで各種経営指標等を確認できるようになった。

事例 2-4-11:株式会社グリーンケア

「複数業務領域の機能を有するクラウド・サービスを、 機能を取捨選択しながら着実に導入を進めて効果を得ている企業」

宮城県仙台市の株式会社グリーンケア(従業員 8 名、資本金 2,300 万円)はガーデン・エクステリア設計施工、土木・緑化工事業者

クラウド・サービスを導入し、営業支援機能を中心に、顧客管理とグループウェア(カレンダー型スケジュール共有機能)を活用、営業案件の契約率は 53%から 63%に増加し、顧客からの 連絡待ち率は 28%から 15%に低下し、1案件当たりの平均打合せ回数は 5.2 回から 4.2 回に減少し、残業削減に大きく寄与した。

事例 2-4-12:株式会社今野製作所

「IT を駆使した企業間データ連携により受注機会増大を図る企業」

東京都足立区の株式会社今野製作所(従業員 36 名、資本金 3,020 万円)は、油圧機器事業と板金加工事業の主力 2 事業を営む製造業者

生産工程の管理には「コンテキサー」、事務所間のデータ共有には「Kintone」というクラウド機能を備えたITツールを導入し、引き合い、受注、生産、在庫の状況をほぼリアルタイムで全社的に共有できる環境を整え、受注生産型のビジネスモデルへの転換が図られた。

IT 活用により大きな成果を得た同社は、得意分野の異なる同業他社(板金事業を営む 2 事業者)との共同受注をIT活用で実現できると考え、東京都の助成金を得て、2014年8月に「つながる町工場プロジェクト」を開始、共同のウェブサイト「東京町工場ものづくりのワ」も設置し、共同受注への体制を構築した。

事例 2-4-13:シタテル株式会社

中小縫製工場と小売等をつなぐプラットフォームを構築し、 サプライチェーン全体の生産性向上を実現させている企業」

シタテル株式会社(従業員 30 名)は、熊本県熊本市で、国内発の衣服生産プラットフォームサービスである「sitateru(シタテル)」を運営する事業者。

2014年3月に新しい流通プラットフォーム「sitateru」を立ち上げ、1000を超える国内の中小縫製工場等をデータベース上で把握し、都市部のデザイナーや小売店等、衣服を作りたい事業者とマッチングすることで、少量・短納期での生産を実現している。

最低ロットは50枚と少量であり、生産のリードタイムも通常、半年から1年かかるところを1~2か月まで短縮、加えて、中間業者を介す必要がなくなり、低コストを実現している。

さらに、同社は「スマート工場プロジェクト」として、縫製工場内に設置したセンサーによって、ミシンや裁断機等の稼働状況をデータ化するなど、連携する縫製工場のIoT化を進めており、工場の稼働状況や受注状況をクラウド上で一元化することで、より正確でリアルタイムによる連携を進めている。

こうした取組により、縫製工場の繁閑格差は5~10%程度解消しており、連携工場数は設立当初(2014年3月)の5工場から、300工場まで増加(2018年2月)、事業内の市場流通総額も設立当初の0.5億円から約30億円まで拡大(2018年2月)している。

事例 2-4-14:京葉流通倉庫株式会社

企業間データ連携システムの構築で、 顧客への付加価値を高めて受注の維持拡大に取り組む企業」

埼玉県戸田市の京葉流通倉庫株式会社(従業員 170 名、資本金 9,000 万円)は、関東エリアを中心とし、出版物、食品、日用品、タイヤ等を取り扱う事業者。

同社は「出版社向けシステムK-Web」を自社開発し出版社に提供、インターネットを利用し、出版社に在庫照会や注文入力、各種データのダウンロード等様々な機能を提供するもので、スマートフォン、タブレットにも対応し、現在同社と取引している出版社の約半数が本システムを利用している。

事例 2-4-15:株式会社正田製作所

「これまで磨き上げた生産方式の飛躍的発展のため、 生産ラインへのIoT導入に取り組む企業」

群馬県桐生市の株式会社正田製作所(従業員 194 名、資本金 9,900 万円)は、自動車の重要保安部品であるステアリングや足廻り部品の製造を行っている。

同社は、各作業者の徒歩数歩圏内に必要な全ての設備を配置して効率化と省力化を実現する「SPS(Shoda Production System)」を考案、考え抜かれた工程分割で必要面積と設備投資を数分の1に抑えつつ生産性を高め、NC制御の加工設備に寸法測定器と自動寸法補正機能を取り付けて現場作業者の負担軽減を図っている。

またIoT の 導入検証を始め、手始めに、光センサーや磁気センサー等で信号を取る送信機を製造ラインに設置し、遠隔モニタリングシステムの試行を開始し、稼働の有無、生産実績、時間当たりの生産数、稼働時間等がラインごとに把握、センサーが取得したデータは受信機を介してクラウド上に保管・集約され、飛躍的に生産性を発展させた。

事例 2-4-16:株式会社共進

AI を活用した生産性向上の共同研究に取り組む企業」

長野県諏訪市の株式会社共進(従業員 165 名、資本金 3,000 万円)は自動車部品等の切削加工会社。

2017年から諏訪東京理科大学との共同研究に参画し、カシメ接合を用いた部品の破壊強度検証への AI 活用に取り組んでいる。

破壊強度検証は、①仕様検討、②テスト用サンプル・冶具作成、③カシメ接合、④寸法検査・破壊試験、⑤試験結果プロットの5工程の繰り返しであり、従来は技術者が経験や勘を頼りに試行錯誤していた。

AIは、カシメ接合の最適条件の探索を支援する仕組みで、シミュレータが算出した破壊強度を AIに与えると、AIは次にシミュレータで検証すべき条件を提案する。

人間では見付けにくい好条件の加工設定を、AIは探索して提案できることが分かった。

事例 2-4-17:株式会社伝習館

「学習塾にAIを活用した対話型のデジタル教材を導入、 授業の効率を高め、講師の時間の使い方を変えつつある企業」

鳥取県鳥取市の株式会社伝習館(従業員 47 名、資本金 300 万円)は、鳥取市、倉吉市、米子市を中心に鳥取県全域で小中高生向けの学習塾を展開する企業。

同社では、2017年12月より、対話型のデジタル教材「すらら」を鳥取東町教室に導入、、生徒が自立学習できる対話型のデジタル教材である。

AI を活用した機能を搭載しており、生徒一人一人の回答パターンから弱点を解析し、最適な問題を選んで出題したり、自然対話プラットフォームを使って、学習意欲向上を促す対話を行うことが大きな特徴で生徒一人一人に合った対応ができる。

事例 2-4-18:株式会社ウェルクス

自動化ツールの導入でコア業務への集中を可能とし売上拡大を実現した企業」

東京都台東区の株式会社ウェルクス(従業員 262 名、資本金 1,200 万円)は、保育士、栄養士の人材紹介等を手掛けている。

同社のサービスに登録した保育士に対し、希望する勤務地や待遇等をキャリアアドバイザーが尋ね、希望に合致する求人情報が無かったときには希望条件にあった施設を抽出し、個人が特定されない程度の求職者情報をFAXで一斉送信し、施設からの問合せを経て面接等につなげている。

1か月あたり約1,000件のFAX送信が発生し、業務の合間や退社後等も含め1日4時間以上対応するという深刻な負担になっていたが、RPA(Robotic Process Automation)というFAX送信業務の自動化システムを導入、抽出作業自動化、からFAX送信業務等、1日4時間の効率化を実現した。

第2部 第5章 設備投資による労働生産性の向上

設備投資等の成功企業「4社」

事例 2-5-1:株式会社コイワイ(宮城工場)

生産ロボットと電動ハンドリフトの導入により、 人手不足に対応しつつ生産性を高めた企業」

株式会社コイワイ(従業員 140 名、資本金 2,000 万円)は 1973 年設立の非鉄金属業者

宮城県大河原町の宮城工場にて、自社製品の製造工程のうち、特に危険な大型部品鋳造において、アルミニウム溶湯の注湯及び製品の取り出しと搬送にロボットを導入した。

熟練工の作業の安全確保と負荷軽減が主眼だったが、結果的に生産性が2.3倍アップ(人数 2→1 人、生産量 60→70[個/日])し、さらに経験豊富な作業者の動作をロボットに反映させたことで、他のラインと比較して10%ほど不良率が低減し品質も安定した。

事例 2-5-2:社会福祉法人友愛十字会 (砧ホーム)

介護ロボット(見守りセンサ、パワーアシスト)の導入により、 介護現場の負担軽減と魅力向上を果たした組織」

東京都世田谷区の砧ホーム(社会福祉法人友愛十字会)は、特別養護老人ホーム(入所定員64 名、介護職員と看護職員は合わせて29名)である。

見守りセンサ(赤外線型、荷重型)とパワーアシストの 2 種類の介護ロボットを導入した。

見守りセンサは巡回の頻度減少のための機器であり、パワーアシストは身体の負担減少のための器具である。

職員対象の導入後調査では、見守りセンサは22名中19名が、パワーアシストは21名中6名が、それぞれ勤務負担が減ったと回答し、ベッドからの転落事故発生件数が約30%減少した。

事例 2-5-3:株式会社きむら(新鮮市場きむら)

「積極的に設備投資し、惣菜に使う魚の下処理等を自動化する一方、 職人による対面販売や接客に力を入れる企業」

香川県高松市の株式会社きむら(従業員1,007名、資本金5,000万円)は、香川県と岡山県で、生鮮食品と惣菜に力を入れたスーパーマーケット「新鮮市場きむら」を20店舗展開する企業。

同社では10億5千万円を投じ、農水産品の加工施設を2018年3月から稼働、延べ床面積約3千平方メートルで、高松中央卸売市場近くに新設した水産加工センターで、新鮮なまま魚を一括処理し、切り身や 味付け等の処理を行った上で各店舗に配送する。

各店舗では、刺身に盛りつけたりそのまま揚げるだけで商品として店頭に並べられるため、勤続年数の短い従業員でも対応できるようになり、ベテランは強みとする接客や対面販売にさらに専念できるようになる。センターで加工した惣菜や冷凍食品等の加工品は外販にも活用する。

事例 2-5-4:株式会社いちやまマート

セミセルフレジやタブレットツールの導入により人手不足に対応する成長企業」

山梨県中央市の株式会社いちやまマート(正社員 220 名、パート 1,000 名、資本金 4,995 万円)は、山梨県・長 野県内に計 14 店舗のスーパーマーケットを展開している。

2016 年の秋から始めたセミセルフ型自動レジ(以下、セミセルフレジ)の導入

セミセルフレジでは、商品のバーコード読取は従業員が行い、精算はお客自身が行う。導入した店舗では、レジ業務に従事するパートタイマーの人数が15%削減され、削減分を総菜加工等の他の業務に回すことができた。

また、バックヤードにおける総菜の調理等の作業を、タブレットで動画を見ながら学べる従業員教育ツールを導入、新人が動画を見て業務を自習できるようになり、かつ自分に担当経験のない作業も自習することが可能となり、複数の業務を担当できる従業員の育成も進めることができた。

第2部 第6章 M&Aを中心とする事業再編・統合を通じた 労働生産性の向上

M&Aに関する支援企業や団体の紹介、M&A成功企業など「18事例」

事例 2-6-1:名古屋商科大学

信用金庫と提携しながら、中小企業の後継者育成を実践する大学」

愛知県日進市の名古屋商科大学は、事業承継人材育成に特化した専門教育として、学部では「事業承継コース」を、大学院(ビジネススクール)では「MBA プログラム」及び「MBA 単科」を開講して、積極的に中小企業の後継者育成に取り組んできた。

愛知県でも事業承継が課題となる中、同大学は 2015 年 7 月に愛知県信用金庫協会会員の 15 金庫と事業承継支援に関する連携協定を締結し、「名古屋商科大学事業承継研究所」を設立した。

事例 2-6-2:ミツフジ株式会社

事業承継を機に他社との連携を強化し、付加価値を向上させた企業」

京都府精華町のミツフジ株式会社(従業員 35 名、資本金 11 億 7,450 万円)は、銀メッキ導電性繊維「AGposs®」の製造・開発、及びそれを活用したウェアラブル IoT 製品「hamon®」の開発・製造・販売を手掛ける企業。

同社は、1956 年に西陣織の着物帯工場として創業し、レース生地等の様々な繊維製品に展開し、先代社長の時代に銀メッキ導電性繊維 AGposs®を開発、その技術を生かし、事業継承を機に、現代表がウェアラブル IoT 製品の hamon®を誕生させた。

hamon®は同社の銀メッキ導電性繊維を独自の織り方で織り、身に着けることで高精度な生体情報を収集できる。

特に、資本提携を重視しており、大企業から出資を受けて得た資金で製品開発や工場建設を進め、販路開拓、出向者受け入れ、事業も推進している。

事例 2-6-3:うなぎいも協同組合

「中小企業一社のみの取組から地域を巻き込んだ連携事業へと発展させ、 地域ブランドを確立し付加価値創出した協同組合」

静岡県浜松市のうなぎいも協同組合は、さつまいもの産地化と関連商品のブランド化を行って、地域を活性化し「農業生産者の所得向上」を目指す協同組合

市内のウナギの加工工場から無償で譲り受けたウナギの頭や骨等を混ぜた堆肥でさつまいもを栽培し、浜松の地域産品としてブランディングした「うなぎいも」

「うなも」というキャラクターを作成し、HP やブログ、SNS 等の情報発信を強化、食品加工、流通、販売、広告、資材、サービス等の幅広い企業・個人が集まり、2013 年 5 月からは協同組合化、現在は、生産者 35 者、個人 150 名、企業 50 社の多種多様なメンバーが集まっている。

「うなぎいもプリン」に始まり、「うなぎいもタルト」や「うなぎいもどら焼き」が発売し、「うなぎいもブランド認定商品」として商標やブランドを管理している。

事例 2-6-4:株式会社河西精機製作所

「後継者難から倒産した企業の事業を引き継ぎ、サプライチェーンを維持し、 事業領域の拡大をした企業」

長野県諏訪市の株式会社河西精機製作所(従業員 70 名、資本金 1,500 万円)は、高硬度の難削材の外径 0.10mmといった微細精密加工を得意とする切削加工会社

2013 年に、後継者難による先行き不透明さから自己破産を検討している企業が近隣にあるという情報を取引先から入手、その事業を救済してほしいという依頼があった。

その企業の技術は高く評価されて、世界的自動車部品メーカーと直取引もあり、事業に関する従業員 5 名と切削機械、及び取引関係を引き継ぎ、サプライチェーンの維持を図れ、事業の収益性も改善した。

事例 2-6-5:ツルヤ化成工業株式会社

「業績が厳しい外注先を垂直統合した企業」

山梨県韮崎市に本社を置くツルヤ化成工業株式会社(従業員 51 名、資本金 8,015 万円)は、甘味料や、食品添加物、健康食品、高機能性食品等の製造及び販売を行う企業。

近隣の企業に個別包装作業を外注していたが、この外注先企業は、取引を継続するうちに過剰債務を抱えるなど厳しい経営状況になり、同社事業を引き継いだ。

結果として、川下の小分け事業へと事業領域を広げ、同社の付加価値向上に貢献し、こうした一貫体制が同社の大きな強みとなっている。

事例 2-6-6:ハツメックグループ

M&A を通じて事業領域を拡大し、付加価値向上を図る企業グループ」

三重県桑名市のハツメックグループは、1954年創業表面加工株式会社ハツメック(従業員90 名、資本金 1,000 万円)を中心に、電解研磨や計測・分析機器開発製造を行う株式会社 HME(従業員 100 名、資本金 1,000 万円)と、赤外線センサーの企画・販売を行う SSC 株式会社(従業員 6 名、資本金 1,000 万円)の 3 社からなる企業グループである。

創業以来、ガス器具部品のめっきを主力としていたが、ガス器具が鋳物からステンレスへと置き換わり、事業がなくなるという危機に直面し、「下請」型企業から自社製品のブランディングを行う「自立」型企業への転換を目指すようになった。

株式会社HMEでM&A 活用、2003年に譲り受けた環境分析装置の事業で取得した技術は、SSC 株式会社の赤外線センサーの分析装置に採用し、シナジー効果が生まれた。

また、2007年には、赤外線センサー素子の事業を調達先から譲り受け、事業の選択と集中を図る相手先企業と、赤外線センサー開発に不可欠となる素子事業を入手できる株式会社 HME との両社にとって大きなメリットがあった。

2014 年には、M&A 仲介会社を通じて、非破壊硬度測定器、音響診断装置の事業を譲り受け、HME の電子事業部の計測機器関連事業の有力事業となっている。

事例 2-6-7:株式会社アトム

「築き上げた信頼や知名度を活かしつつ、M&A を契機として バリューチェーンを拡大させた企業」

徳島県徳島市に本社を置くアトム(従業員 30 名、資本金 4,300 万円)は、道路の区画線や標識設置工事等を行う企業

道路標識は他社から仕入れていたところ、四国に2社しかない道路標識の製造事業者の一つである株式会社ナカムラから後継者不在を理由とした経営譲渡の相談があり、2006 年に M&A を実施した。
M&A により、道路標識の製造と設置工事を一体で担える体制を確立した。

事例 2-6-8:株式会社温泉道場

「同業者の事業を引き継いで再生し、他地域に進出した企業」

埼玉県ときがわ町の株式会社温泉道場(従業員 202 名、資本金 335 万円)は、2011 年に設立し、温浴施設の開発 及び運営を展開

同社は、もともと埼玉県の 4 店舗のみで展開していたが、2017 年 2 月に三重県の温浴施設「天然温泉ユラックス」の運営事業を株式会社四日市ヘルスセンターから譲り受けた。

2018 年 1 月に株式会社四日市ヘルスセンターから旅行事業「丸福観光」も譲り受け、新たに観光・旅行業等への参入が実現。

事例 2-6-9:株式会社みなと銀行

「商工会議所と連携して M&A のマッチングを支援する金融機関」

兵庫県神戸市に本店を構える株式会社みなと銀行は、神戸商工会議所と連携しながら中小企業・小規模事業者 向けに M&A を支援する仕組みを構築している。

2003年11月に、同行と神戸商工会議所が提携して開始したのが、「兵庫式 M&A サポートシステム」で ある。

金融機関と商工会議所が連携し、小規模事業者 の M&A 実施にも対応できる支援体制は全国でも先進的であり、2018 年 3 月末時点で同行累計の成約件数は 75 件を超えている(内、神戸商工会議所紹介案件 15 件)。

事例 2-6-10:株式会社トランビ

M&AのマッチングサイトTRANBIを運営する企業」

東京都港区に本社を置く株式会社トランビ(従業員 10 名、資本金 2,000 万円)は、2011 年に開始したM&Aマッ チングサービス「TRANBI」の運営企業。

売り手は完全に無償(成約から 1 か月以内の報告及び成約ヒアリングへの協力が条件)で、買い手も成約時のみ成約金額の3%を手数料として支払う料金体系となっている。

事例 2-6-11:株式会社大信薬局

「後継者不足に悩む小規模な調剤薬局の受け皿となっている企業」

福岡県北九州市に本社を置く大信薬局(従業員330名、資本金3,500万円)は、北九州を中心に処方箋調剤薬局やドラッグストアを78店舗運営。

店舗数はほとんどが1店舗である、小規模な調剤薬局にターゲットを絞ったM&Aに特化し、最近はM&A以外も含めて毎年二桁のペースで出店、M&Aの相手先は、北九州が中心であるが、昨今では、首都圏や鹿児島にも進出している。

事例 2-6-12:株式会社シマキュウ

M&Aを積極的に活用し、シナジー効果を引き出して付加価値向上を図る企業」

新潟県長岡市の株式会社シマキュウ(従業員216名、資本金1億円)は、1936年創業の産業用高圧ガス、ドライ アイスの製造販売、溶接材料、産業機器、鋳造材料、環境医療機器の専門商社

同社の M&A の特徴は、新たな商材や顧客(ユーザー)、販売エリアの拡大等を目的とした「クロスセル戦略」である。

1990年代半ばからこれまでに、株式会社トウヨーネジ、株式会社針谷鋼材等10社のM&Aを実施、2017年も矢継ぎ早にM&Aを実施し、株式会社大西(ボイラー整備業等)、新潟設備株式会社(プラント事業)を100%子会社化している。

これらのM&Aにより、ボイラーや設備の販売からメンテナンスまでを一貫して手掛けることが可能となり、付加価値向上を実現させてきた。

事例 2-6-13:日本プライベートエクイティ株式会社

「中小企業の企業価値向上を支援する事業承継ファンドを運営する企業」

東京都千代田区の日本プライベートエクイティ株式会社は、中小企業の企業価値向上を支援する事業承継ファ ンド等を運営する企業。

2000年に設立し、中堅・中小企業を対象とし 18年間で27社の投資実績があり、後継者不在企業が増え事業承継に悩む企業も多い昨今、幅広い業種でニーズが更に高まっている。

運営ファンドの投資対象は、売上高が数億円~50億円、従業員は20~200名程度の中小企業で、同社がオーナー経営者から株式を取得し経営権を持つ期間は 3~4年程度であり、その間に、組織経営に向けた 基盤の整備を指導している。

事例 2-6-13①:株式会社ワタナベ

「中小企業向け承継ファンドを活用して、MBOを実施した企業」

新潟県燕市の株式会社ワタナベ(従業員60名、資本金3,000万円)は、半導体装置、食品・医療関連装置、自動車部品製造装置、省力化機器等のステンレスを主体とした板金加工を手掛ける企業。

オーナー経営者の親族内に後継者が不在で勇退と事業会社への売却を検討、日本プライベートエクイティ株式会社が運営する承継ファンドへの全株式の譲渡。

当時、工場長から専務に昇格して間もない松井宏伊氏が後継者とし、日本プライベートエクイティ株式会社は、若手の財務担当者を同社に派遣し、松井氏を中心とした経営体制を支援するとともに、設備投資や販路開拓、人材採用等も積極的に行い、事業拡大に向けた経営基盤を整備した。

4 年間を掛け、経営者としての自立を支援し組織経営の基盤を整えた結果、松井氏は地域金融機関の融資を受けて自ら株式を買い取り、事業継承を実現。

事例 2-6-13②:株式会社ヘルシーサービス

「中小企業向け承継ファンドを活用して、M&A を実施した企業」

千葉県千葉市の株式会社ヘルシーサービス(従業員609名、資本金1,000万円)は、グループホームの運営や訪問介護、訪問入浴等の介護事業を手掛ける企業。

同社は、2009 年にオーナー経営者が、後継者が不在であったことから日本プライベートエクイティ株式会社が運営する承継ファンドに全株式を譲渡した。

住宅事業との相乗効果を見込み介護事業への参入を志向していた積水化学工業株式会社に株式を譲渡し、積水化学工業株式会社の100%子会社となり、介護事業の実績やノウハウと積水化学工業のグループの豊富な経営資源を融合することで、「住まい+介護サービス」という新たな事業モデルを創造している。

事例 2-6-14:セレンディップ・コンサルティング株式会社

「M&Aによる事業承継を通じて「プロ経営者」を派遣し、生産性向上を支援する企業」

愛知県名古屋市のセレンディップ・コンサルティング株式会社は、自動車部品やハイテク部品等のものづくり企業を中心に株式取得(M&A)による事業承継と、中小企業の継続的な成長や経営改善、生産性向上を直接担う企業。

同社は、経営者の後継が育っていない場合等に、株式を一旦譲受け、その間に次世代経営者を育成し、経営陣が株式を買い戻すマネジメント・バイアウト(MBO)による事業承継を推進している。
業務改善と組織基盤の整備を図った後、企業価値の向上を目指し、新製品の開発ロードマップの策定等の成長戦略を立案・実行している。

事例 2-6-15:秋田県事業引継ぎ支援センター

「他の支援機関と連携し、事業の引継ぎを促進する支援機関」

秋田県事業引継ぎ支援センターは、2014年4月に国からの事業委託を受け、事業引継ぎ支援に関する業務を開始、2016年度の相談件数は、東京、大阪に次ぐ全国 3 番目の多さで304件であり、センター開設以来の累計相談件数は1,000件を突破している。

具体的には、秋田県の事業として 5 名の事業承継 相談推進員を県内各地域に配置し、秋田商工会議所や秋田県商工会連合会等と連携しながら、中小企業・小規模事業者の相談の掘り起こしも進めている。

事例 2-6-16:かづの銘酒株式会社

「後継者難の状況から、M&Aを活用し伝統の酒造りの発展を図る明治創業企業」

秋田県鹿角市のかづの銘酒株式会社(従業員6名、資本金1,000万円)は、1872年(明治5年)創業の酒造業者

社内外で事業を引き継ぐことができる後継者を探し、秋田県事業引継ぎ支援センターに相談をした。

秋田銀行のアドバイスのもと、秋田県秋田市に本社を置き全国に106店舗の飲食店を展開する株式会社ドリームリンク(従業員1,434名、資本金5,000万円)に株式譲渡し M&Aによる事業の引継ぎが実現することになった。

以上、2018年版中小企業白書の具体的成功企業の事例集でした。

最後に

具体的成功事例が多かった2018年中小企業白書。

労働生産性向上を推進する多くのヒントが詰まっているのではないでしょうか。

第6章におけるM&Aについては、労働生産性向上にダイレクトに結びつくのか、不透明な部分はありますが、事例数だけピックアップするだけでも18事例を取り上げています。

中小企業庁が廃業や倒産の増加してる「高齢企業」への対処をM&Aで対処することを推奨していることは読み取れそうです。

M&Aは倒産にも、廃業にも、数値としては組み込まれませんので、あらゆる行政データも改善できる最適な「道」と判断しているのかもしれません。

もちろん、従業員が離職しないためのリスク低減という視点も背景にあると思います。

2018年中小企業白書、そしてもう一つ、中小企業庁が大いに力を入れているのが「IT利活用」です。

IT利活用の事例だけでも18社を紹介、M&Aの事例数と同じく、2018年中小企業白書の中で最大のボリュームを誇っています。

ITは、バックオフィスから営業や販売面などディフェンス面とオフェンス面いずれにおいても、最重要な「ツール」なのかもしれません。

現在、行政の企業監視、納税チェックなど、行政と企業を結ぶオンライン化も進められています。

行政や大手企業との企業間取引は、今後IT活用による入札、受発注が中心となっていくでしょう。

そのためにも、中小企業は、行政や大手企業と同じ流れで、あらゆるデータをオンライン化し、企業間取引を円滑に行える体制を進めていく必要性も出てくるかもしれません。

まさに、今がその過渡期と言える時期ではないでしょうか。

企業間取引だけではありません。

「IT利活用」は新技術のIoTやAI(人工知能)なども絡み、イノベーション、新規事業創出にも結び付きます。

旧来の古い業界が、改めて新技術との融合で新たな市場を形成することも珍しくありません。

IT化は、リスクもありますが、多くの革新的、革命的発明を生み出します。

事業運営に携わる方、すべての人が、IT化というものを避けて通れないことを表している、その一例が「2018年版中小企業白書」かもしれません。

※【参考】2018年版中小企業白書に関するまとめ過去記事はこちらです。

2018年版「中小企業白書」を個人的視点で要約してみた!



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