【安倍政権の言論弾圧!「サンデーモーニング」だけじゃない?!「報道ステーション」も圧力文書!】「報ステ」から安倍政権批判が消えた理由~安倍官邸「反政府番組監視」和田アキ子・IKKOも対象~


【安倍政権の言論弾圧!「サンデーモーニング」だけじゃない?!「報道ステーション」も圧力文書!】「報ステ」から安倍政権批判が消えた理由~安倍官邸「反政府番組監視」和田アキ子・IKKOも対象~

■放送法“政治介入”のトリガー 渦中の「サンデーモーニング」で首相補佐官の逆鱗に触れた“ある発言”

日刊ゲンダイ:2023/03/09

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319798

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第2次安倍政権の政治介入で、放送法の「政治的公平性」の解釈がねじ曲げられた問題。

総務省が存在を認めた「行政文書」によれば、解釈変更を主導した礒崎陽輔首相補佐官(当時)が総務省に圧力をかけるきっかけとなったのは、2014年11月23日放送のTBS系「サンデーモーニング」だった。

文書には<コメンテーター全員が同じ主張の番組は偏っているのではないかという問題意識を補佐官はお持ちで>と記されている。

実際、礒崎氏は同日の自身のツイッターでこうつぶやいていた。

<日曜日恒例の不公平番組が、今日も、放送されています。仲間内だけで勝手なことを言い、反論を許さない報道番組には、法律上も疑問があります>

そこで日刊ゲンダイはこの番組の映像を入手。

どこが礒崎氏の逆鱗に触れたのか、視聴した。

番組は日曜朝8時からの2時間生放送。

2日前の金曜に安倍首相(当時)が「消費税10%への引き上げ先送り」を理由に、残り任期を2年残して衆院を解散、12月14日投開票の総選挙が決まっていた。

番組では8時10~30分まで、選挙の争点などをテーマに話し合った。

出演者のおもな発言はこうだ。

「争点は2つ。1つはアベノミクスの評価。もう1つは国の形。自民党憲法改正草案が持っていきたい国の姿が、戦後日本が積み上げてきた民主国家とどう違うか、真剣に考えて判断しなければいけない」(評論家・寺島実郎氏)

「この国の形を変えたいということだろうと思う。安倍さんのナショナリズムみたいなものが自信に満ちてきた」(写真家・浅井慎平氏)

「大義がない選挙。消費増税に賛成の政党はないので、争点にならない。この2年間、前回選挙で争点にすらなっていないことが閣議決定で次々決まった。そのことをどう評価するか」(中央大教授・目加田説子氏)

「一番大きい問題は安全保障政策の変更。集団的自衛権、特定秘密保護法は事実上の憲法改正。内閣の決定だけでやったことに対して、やはり信を問うべきテーマ」(元毎日新聞主筆・岸井成格氏)

・解散総選挙は政権与党への審判

番組では野党の問題点への言及もあったし、そもそも選挙の話題は20分間で、番組全体の6分の1に過ぎない。

それでも安倍政権に対する厳しい指摘は、礒崎氏には「仲間内」「反論を許さない」と映ったようだが、解散総選挙は政権与党がやってきたことへの有権者による審判だ。

政権が“まな板の鯉”となるのは必然で、政権幹部として度量が足りな過ぎたのでは?

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放送法“政治介入”のトリガー 渦中の「サンデーモーニング」で首相補佐官の逆鱗に触れた“ある発言”
日刊ゲンダイ:2023/03/09
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319798

■問題の本質は言論弾圧の危険、高市氏へ辞職要求

excite.ニュース 2023年03月08日

https://www.excite.co.jp/news/article/Economic_000098961/

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放送法の解釈を巡る問題。

総務省が行政文書であることを認め、公表したメモの中で、平成27年3月9日(月)夕刻と記されたものには、「高市大臣と総理の電話会談の結果」とのタイトルがつけられ、「大臣室・平川参事官から安藤局長に対して以下の連絡」とある。

連絡の中身は(1)政治的公平に関する件で、高市大臣から総理に電話(日時不明)。

(2)総理からは「今までの放送法の解釈がおかしい」旨の発言。

実際に問題意識を持っている番組を複数例示?(サンデーモーニング他)。

ここからは安倍晋三総理が「今までの放送法の解釈がおかしい」と指摘していることから、解釈変更を求めたことがうかがえる。

しかも(3)国会答弁の時期については、総理から、「一連のものが終わってから」とのご発言があったとのこと、と記されている。

一連のものとは安保法制を押さしているとみられる。

そして、高市氏は実際、この解釈を巡り「一つの番組でも極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」などと国会で答弁した。

これに関し、松本剛明総務大臣は今国会で「放送法の解釈は変えていない。補足説明したものだ」と強弁しているが、安倍総理が「今までの放送法の解釈がおかしい」と述べていることを踏まえれば、明らかに解釈を変えたということだ。

立憲民主党の小西洋之参院議員は国会内での総務省からのヒアリングで「放送に国家権力がいつでも介入できるという恐ろしい解釈が不正なプロセスで作られたことを示す文書だ。

当時の礒崎総理大臣補佐官が主導し、『安倍総理大臣がゴーサインを出すならやる』と言ったのが、当時の高市総務大臣だ」と提示した。

小西氏は「事件の本質は、礒崎補佐官らの圧力で違法な解釈が作られ、今日この瞬間も『たった一つの放送番組だけで放送法違反が認定でき、結果、テレビ局の電波を止めることができる』という言論弾圧の危険が生じていることです。

もちろん、共犯者の高市(経済安全保障担当)大臣には辞職を求めます」と参院予算委員会で高市氏の先の国会での答弁(文書が捏造でなければ大臣、国会議員も止めるという事か、との問いに対する『結構』との答弁)通り、辞職してもらうことを求める考えをツイッターで発信した。

ネット上でも、高市大臣は発言通り、責任をとるべきとの声も目立つ。(編集担当:森高龍二)

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問題の本質は言論弾圧の危険、高市氏へ辞職要求
excite.ニュース 2023年03月08日
https://www.excite.co.jp/news/article/Economic_000098961/

■官邸の「反政府番組監視」 小川彩佳・和田アキ子・IKKOも対象

週刊ポスト 2020.06.03

https://www.news-postseven.com/archives/20200603_1567595.html?DETAIL

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安倍政権が官僚支配と並んで力を入れてきたのがメディア支配だ。

本誌・週刊ポストが前号で官邸の内閣広報室がテレビ番組を監視していることを示す“機密文書”を報じると大きな反響を呼び、キー局の番組関係者から、「うちの番組は監視対象なのでしょうか」との問い合わせがあった。

この監視文書をもとに、官邸は気に食わない報道やコメンテーターの発言があると公式ツイッターで反論し、報道に“圧力”をかけてメディア支配に利用していたのだ。

内閣広報室の番組監視は分析チームの職員3人ほどが専従となって、毎日、番組を視聴して出演者の政策に対するコメントなどを書き起こす作業を行なっている。

記録文書は東京都内の男性会社員が情報公開請求して入手し、本誌が提供を受けた。

開示文書は2月1日から3月9日付までの約1か月分だけでA4判922枚に及び、2種類に分類されている。

1つは「報道番組の概要」とのタイトルで、朝は「スッキリ」(日本テレビ系)、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)、「とくダネ!」(フジテレビ系)の3番組、昼は「ミヤネ屋」(日テレ系)と「ひるおび!」(TBS系)、そして夜は「報道ステーション」(テレ朝系)と「NEWS23」(TBS系)の番組内容が毎回、ルーチンワークで記録されていた。

TBS系の「グッとラック!」、フジテレビ系の「バイキング」、日テレ系の「news zero」は基本的には監視対象外のようだ。

その中でも「報道ステーション」と「NEWS23」は、2014年の総選挙前、自民党がその報道ぶりを批判して民放各局にゲストの選定や街頭インタビューについて「公平中立」を求める“圧力文書”を出すきっかけとなった安倍政権と因縁の番組であり、今も“要注意”の監視対象になっていることがうかがえる。

記録されているのは、原則として政治に関連する出演者の発言が分刻みで書き起こされている。

もう一つは「新型コロナウイルス関連報道ぶり」のタイトルで日付ごとに分類され、出演者のコロナに関連する発言がピックアップされている。

3月6日付の文書には「NEWS23」の〈入国規制 政治決断の背景〉としてこう記されていた。

〈小川彩佳・キャスター「この規制に踏み切った政府ですけれども、なぜこのタイミングなのかについては、国会でもその政治的判断の根拠ですとか、これまでの措置と矛盾しているんじゃないかということも指摘されています(後略)」〉

小川アナが安倍首相の「今が正念場である」などの発言を紹介すると、〈評論家・荻上チキ氏「言葉は一個一個強いんですけれども、根拠であるとか、裏付けというのは不透明ですよね(後略)」〉というやり取りが続く。

・克明に記録されたやり取り

開示文書には橋下徹氏、岸博幸氏から田崎史郎氏まで様々なスタンスの論者の発言が並んでいるが、飛び抜けて多いのが「モーニングショー」のコメンテーターで政府批判で知られる玉川徹氏と、コロナ対応で歯に衣着せぬ発言で知られる公衆衛生学者の岡田晴恵・白鴎大学教授だ。

岡田氏は「モーニングショー」だけではなく、「アッコにおまかせ!」(TBS系)に出演した際の和田アキ子やIKKOらとのやり取りまで克明に記録されていた。

もう1人、官邸にマークされていたのがクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗り込んで政府の対応を告発した岩田健太郎・神戸大学教授だ。

「機密性2情報」の印字がある2月17~21日付の文書には、「○岩田教授」の項目が立てられ、岩田氏が出演した各番組での発言や、他の有識者が岩田教授について語った内容が18枚にわたって整理されている。

文書を分析すると、官邸が政府の政策や対応について各局がどう報じているかを幅広くモニターするのではなく、批判的な番組やコメンテーターの発言を重点的に収集していることがわかる。

それにもかかわらず、本誌報道後も監視対象となっている局は沈黙を守ったままで、特定の番組や出演者の発言を監視するのかの説明を政府に求めようともしない。

長年のメディア支配で“牙”を抜かれてしまったのか。

※週刊ポスト2020年6月12・19日号

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官邸の「反政府番組監視」 小川彩佳・和田アキ子・IKKOも対象
週刊ポスト 2020.06.03
https://www.news-postseven.com/archives/20200603_1567595.html?DETAIL

■『報道ステーション』から安倍政権批判が消えた理由! 杉田水脈問題も赤坂自民亭もスルーする異常事態

excite.ニュース 2018年07月29日

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_4155/

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最近、『報道ステーション』(テレビ朝日)がヘンだ──。

そんな声が視聴者の間で巻き起こっている。

『報ステ』といえば、忖度体質が支配するテレビ報道のなかで、安倍政権をきちんと批判ができる数少ない番組として支持を受けてきた番組。

ところが、今月7月を境に、この番組から肝心の安倍政権批判が極端に少なくなってしまったのだ。

典型が、いま大きな問題になっている杉田水脈のLGBT差別発言。

テレビ各局の動きはもともと鈍かったが、それでも24日にTBSの『NEWS23』が取り上げたのを皮切りに、25日以降はフジテレビや日本テレビの番組ですらこの問題を批判的に取り上げ、同じテレ朝の『羽鳥慎一モーニングショー』も遅ればせではあるが26日にこの問題を取り上げた。

ところが、『報ステ』はいまにいたるまでこの問題を取り上げていない。

26日夜には公明党・山口那津男代表までが「いかがなものか」と批判コメントを出したが、そのことすら『報ステ』は一切取り上げなかった。

自民党本部前で大規模な抗議デモが行われた27日にはさすがにやるだろうと思ったが、やはり完全スルーだった。

しかも、この異変は杉田水脈のLGBT差別発言だけではない。

じつは「赤坂自民亭」問題でも対応は同じだった。

当初、テレビの報道はほとんどが沈黙していたが、」キー局では10日になって『あさチャン!』『Nスタ』『NEWS23』といったTBSの番組が取り上げるようになり、他局のニュース番組やワイドショーにも広がっていった。

だが、なぜか『報ステ』だけは頑なに「赤坂自民亭」問題を取り上げることはなく、1週間後の17日になってようやく紹介。

それは、安倍首相が同日の参院内閣委員会に出席し、国会という公の場ではじめてこの問題について追及され、「いかなる事態にも対応できる万全の態勢で対応にあたってきた」と答弁したタイミングだった。

別に安倍首相の公式コメントを待たずとも、初動の遅れを指摘する報道はできる。

しかも、『報ステ』と同じテレ朝では、11日には『羽鳥慎一モーニングショー』でも「赤坂自民亭」問題を紹介していたし、さらに『報ステ』レギュラーコメンテーターの後藤謙次は10日付けの静岡新聞で『求められる「真摯な姿勢」』と題して「赤坂自民亭」問題を取り上げていた。

つまり、『報ステ』は意図的にこの話題をピックアップしなかったのだ。

ほかにも『報ステ』が政権批判を鈍らせたケースは枚挙にいとまがない。

たとえば、朝日新聞が17日にスクープした、自民党・古屋圭司議員の事務所が政治資金収支報告書にパーティ券収入を過少記載していた問題。

『NEWS23』や日本テレビ『NEWS ZERO』といった夜のニュース番組はその日のうちにこの疑惑を取り上げたが、『報ステ』は無視。翌18日に国会の動きを紹介するなかで取り上げるにとどまった。

さらに、カジノ法案が参院本会議で強行採決された20日の放送では、コメンテーターとして出演したハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏が「(今国会は)野党の追及が甘くて、なかなか議論が盛り上がらなかった」「インターネット上や20代の若者を取材していると、野党のみなさんが批判をすることにすごいアレルギーがある」などと語り、安倍政権の傲慢な国会運営には一切ふれることなく、問題点を野党批判にすり替えてまとめてしまったのだ。

そして、このように政権批判につながる問題が影を潜める一方で『報ステ』が熱を入れて取り上げてきたのが、東京五輪やスポーツの話題だ。

・政権批判に変わって、トップニュースは五輪、高校野球、プロ野球

カジノ法案が参院予算委員会で強行採決された19日、『報ステ』は東京五輪の競技日程が決まったことを巨大なボードを用意してトップニュースとして報じ、富川悠太キャスターも「ワクワクしてくるでしょ? あと2年もあるのに!」と大はしゃぎ。

懸念されている暑さ問題などについてもVTRで取り上げたが、それを受けてのスタジオでは一転、日本のメダル獲得が期待されている競技を事細かに紹介するという気の早さで、暑さ対策については最後にコメンテーターの後藤謙次が触れた程度で終了。

時間にして約16分、東京五輪の話題に費やしたのだ。

しかも、『報ステ』は24日も、またしても東京五輪の話題からスタート。

「オリンピックまで2年」と題し、この日各地でおこなわれたカウントダウンイベントを紹介。

スタジオでは五輪観戦のためのチケット入手方法をボードを使って解説し、「公式サイトへのID登録は10~15分程度」「いま登録しておけば、事前に会場を視察できるツアーに応募できる」「登録するとおトク情報が送られてくる」などと説明するという懇切丁寧なもので、組織委員会か東京都の広報番組かと見紛うほど。

とてもじゃないが報道番組とは思えない、いやワイドショーでもここまではやらないというレベルだった。

この話題にかけた時間は、なんと約20分だ。

カジノ法案の強行採決よりも東京五輪。

その上、さんざん問題視されている暑さ問題も掘り下げもせず、東京五輪に向けた気運を高めることしか眼中にないような構成──。

視聴者のほうが「あと2年もあるのに!」とツッコミたくなるほどの入れ込みようだった。

さらに、25日の放送も異常だった。

前述したように、この日は杉田水脈議員の問題が他局では報じられていたが、『報ステ』がトップで伝えたのは、夏の県大会で2年前まで10年連続初戦敗退だった三重県の白山高校が甲子園初出場を決めたというもの。

その後も「涼しい町」として北海道釧路市から中継するというワイドショー的展開で進行。

さらに国家戦略特区ではじまったオンライン診療をPRのように紹介する始末だった。

そして、27日はなんと、トップが読売ジャイアンツ・山口俊選手のノーヒットノーラン。

こんな程度のトピックを『報ステ』がトップで伝えるなんてこれまで記憶にない。

政権批判をやめてしまったばかりか、『報ステ』はほとんどスポーツニュースと化してしまったのである。

・原因は7月のプロデューサー交代、安倍首相べったりの早河会長の差し金か

もちろん、この異変には理由があった。

じつは今年7月から、『報ステ』のチーフプロデューサーが代わったのだ。

新たにチーフプロデューサーに就任したのは、桐永洋氏。直前までは『グッド!モーニング』のチーフプロデューサーを務め、激戦区である朝の時間帯に視聴率を押し上げた立役者なのだという。

しかし、この人事の裏には、政権批判潰しがあったのではないかといわれている。

「『報ステ』のチーフPといえば番組内から昇格することが多かったのに、今回は他番組からの抜擢。これは桐永さんが『グッド!モーニング』の数字を上げた功労賞というだけでなく、安倍政権に近い早河洋会長が、政権の意向を忖度して、批判色を弱めようとしたということでしょう。桐永さんは編成局の経験もあり、上層部のおぼえめでたい人物。早河会長の子飼いという指摘も一部にはあります」(テレビ朝日編成局関係者)

これまで何度も指摘してきたように、テレ朝の早河会長は2013年より幻冬舎の見城徹社長の仲介をきっかけに安倍首相と会食を繰り返すようになり、それ以降、『報ステ』の安倍政権・原発批判路線からの転換を迫ってきたといわれている。

実際、2014年におこなわれた『報ステ』10周年パーティでは、当時キャスターだった古舘伊知郎が「早河社長から好きなようにやってくれ。何の制約もないからと言われて始めたんですが、いざスタートしてみると制約だらけ。今では原発の”ゲ”も言えない」と挨拶で愚痴った。

さらに、2015年に『報ステ』でコメンテーターを務めていた古賀茂明が「I am not ABE」発言をおこなって官邸が激怒した際には、早河会長の主導により古賀の降板と当時のチーフプロデューサーが更迭されるという事件も起こった。

古舘の番組降板も、早河会長と安倍首相の関係が大きく影響を与えたことは間違いない。

・露骨な政権批判報道潰しに永田町でも「官邸の意向か」の声が

つまり、今回、桐永チーフプロデューサーの番組外からの抜擢は、こうした早河会長の安倍政権批判潰しの延長線上で起きたというのだ。

『報ステ』が五輪押しで、スポーツニュースと化していることは前述したが、これも早河会長の意向ではないかといわれている。

前出のテレビ朝日社員がこう話す。

「早河会長は、サッカー日本代表、世界水泳、フィギュアスケートなど、スポーツ放映権を獲得してきたのが最大の自慢で、東京五輪にも入れ上げてますから、いまの『報ステ』の五輪&スポーツ路線も早河会長の趣味が反映されているんじゃないでしょうか」

しかし、いくら会長の意向だとはいえ、ここまで露骨な政権批判放棄はありえないだろう。実際、『報ステ』の変化は、永田町でも話題になっている。

「他社の政治部記者や政治家の間でも『報ステは一体どうしちゃったんだ。政権の意向が働いているとしか思えない』という声が上がっていますね。政治の動きはほとんど取り上げないうえ、たまに取り上げても、VTRではほとんど批判しない。いまは、コメンテーターの後藤さんが政権批判を語ってかろうじてバランスをとっていますが、このままいくと『後藤さんも外されるのでは』という予測も流れています」(キー局政治部記者)

言うまでもなくジャーナリズムの使命は権力を監視することにあり、権力を恐れて批判の手を緩めるなどということは、ジャーナリズムの死を意味する。

大本営発表を垂れ流す番組が溢れかえるなか、『報ステ』もその仲間入りを果たしてしまうのか──。

同番組の動向には、今後も注視していかなければならない。

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『報道ステーション』から安倍政権批判が消えた理由! 杉田水脈問題も赤坂自民亭もスルーする異常事態
excite.ニュース 2018年07月29日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_4155/

■<メディア時評・安倍政権と報道の自由>言論の多様性 劣後に 規制と介入推進した前歴

琉球新報 2013年1月12日

https://ryukyushimpo.jp/news/prentry-201314.html

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昨年末総選挙による自民党復権を受け、安倍新内閣がスタートした。

自民党は歴代、明確な文化メディア政策を打ち出してきていないが、少なくとも安倍晋三首相と菅義偉官房長官の内閣の要(かなめ)がどのような報道の自由観を持っているかを知っておくことは大切だ。

そのためには、第1次安倍内閣の1年間(2006年9月26日~2007年9月26日)を振り返ることが有効だろう。

・メディア規制

何よりも、憲法改正を具体的に政治日程に乗せた内閣であったことは言うまでもない。

第1次内閣で憲法改正手続法を成立させ、第2次内閣の始動に当たって憲法改正を明言する状況にある。

自民党が謳(うた)う新憲法の全体像は本欄12年5月で触れたが、表現の自由は「公益及び公の秩序」に反しない場合に限り保障されることになる。

同党『憲法改正草案Q&A』によると、「他人に迷惑をかけないのは当然」であって「平穏な社会生活」を乱す「人権(の)主張」は取り締まりの対象になるとされる。

これを新聞やテレビに置き換えると、例えば事件報道で何がしかの名誉やプライバシーを侵害することは避けられないが、政治家の行状を報じることが憲法違反として訴えられる可能性を示唆するものである。

さらにはこの憲法改正手続法において、報道規制条項が盛り込まれたことも忘れてはなるまい。

放送局は憲法改正に関し投票運動期間中、番組内容について政治的公平や事実報道を順守することが求められるとともに、憲法改正に関する広告が原則禁止される(一方で政党には無料広告が認められる)。

国会議員で構成される広報協議会の指示に従って、テレビやラジオは広報を行うことも求められる。

こうしたメディア規制は、極めて強力なものであるが、その対象をさらに活字やネットにまで拡大すべきという意見も根強い。

また草案段階では、予測報道についても全面禁止とする考え方も示されていた。

そしてもう一つ、この時期に強化されたのがいわゆる有事法制に関する取材・報道規制である。

自衛隊法の改正が行われたのも、日米秘密軍事情報保護協定が締結されたのも07年だ。

これらによって防衛秘密は大臣の裁量で格段に範囲が拡大することとなり、また罰則適用の範囲も拡大することとなった。

これはそのまま、保秘の壁を厚くすることに繋(つな)がっているのであって、民主党政権時代の秘密保全法制の検討もこの時期に始まったものである。

・放送の自由への介入

前述の改正手続法にも当てはまるが、放送に関わる内容規制を推し進めた内閣でもあった。

07年春には放送法の改正案が国会提出され、同年暮れに成立している。

その一つが、NHKが実施している国際放送に関し、政府がその放送内容について指示をする規定の変更があった。

文言としては、命令放送から要請放送に変わったわけだが、その実は総務大臣から要請を受けた場合「これに応じるよう努めるものとする」のであって、拒否をする選択肢は事実上ないとされている。

問題は、なぜこうした言葉の言い換えがなされたかであるが、その背景には、06年に菅総務大臣が短波ラジオ放送国際放送で「拉致」放送を命令したことがきっかけである。

この種の具体的な政府方針に沿った内容指示がなされたのは初めてのケースである。

その意味するところは今後、領土問題等で政府主張に沿った「国益」報道が求められる可能性を考えないわけにはいかない。

さらに同改正案には「再発防止計画の提出の求めに係る制度」の導入が盛り込まれていた。

これは、関西テレビの捏造(ねつぞう)(「発掘!あるある大事典」事件)が発生し、政府が個別番組内容への介入を可能とする、行政処分に近い強制力を有する制度であった。

結果としては、放送界が自主規制機関であるBPOを強化(番組検証委員会の創設)することにより法制化は免れたものの、厳しい行政規制を指向していたことは間違いない。

実際、総務省が放送局に対して実施する行政指導は、記録が残る1985年以降、今日まで4半世紀で31件あるが、そのうち8件は安倍内閣時代であって、しかも直前の菅大臣(安倍官房長官)時代を含めると、わずか1年半で全体の3分の1という、他の期間に比して突出した番組介入ぶりである。

ちなみに、民主党政権時代には行政指導は1件もなく、その点では表現の自由を尊重した政権運営だったといえる。

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<メディア時評・安倍政権と報道の自由>言論の多様性 劣後に 規制と介入推進した前歴
琉球新報 2013年1月12日
https://ryukyushimpo.jp/news/prentry-201314.html

■テレビ制圧! 放送法改正を本気で目指す安倍政権の暴言を総ざらいする

文藝春秋digital 2018/04/07 大山くまお

https://bunshun.jp/articles/-/6939

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政府がテレビ、ラジオ番組の「政治的公平」や「正確な報道」を定めた放送法4条の撤廃を検討している。

一連の問題にまつわる言葉を振り返ってみたい。

安倍晋三首相「インターネットテレビは放送法の規制はかからないが、見ている人には地上波などと全く同じだ。日本の法体系が追いついていない状況で、電波での大きな改革が必要だ」毎日新聞 2月1日

安倍首相は今年1月31日に行われたIT企業中心の経済団体「新経済連盟」の新年会でこのように語っている。

翌日の2月1日、首相官邸で開かれた「未来投資会議」(議長・首相)の会合では、電波の有効利用をめぐり「放送事業の在り方の大胆な見直しが必要だ」と述べている。

電波制度改革への首相の強い決意の表れだ。

『週刊文春』は首相官邸が作成した二通の内部文書を入手したと報じている。

「放送事業の大胆な見直しに向けた改革方針」と題された文書には「放送にのみ課されている規制(放送法第4条等)の撤廃」が赤字で明記されていたという。

さらに、ネット事業者などがテレビ局の放送設備を利用し、コンテンツを流せるようにすべきと主張。もう一通の文書では、「H31通常国会orH30臨時国会法案提出」と具体的なスケジュールも打ち出されていた。

政府が撤廃しようとしている放送法4条は、大きく次の4点を放送局に求めている。

(1)公序良俗を害しない(2)政治的公平さを失わない(3)事実をまげない(4)意見が対立する問題は多角的に論点を明確にする。

これが撤廃されれば、フェイクニュースが事実のように報じられたり、選挙報道の中立性が損なわれる事態になりかねない。

政党が都合のいい番組を放送することも可能になる。

時事通信は「政権寄りのメディアを誕生させる狙いがあるのではないか」という中央省庁幹部の声を紹介(時事ドットコムニュース 4月4日)。

経済ジャーナリストの町田徹氏は「安倍政権はテレビ局をけん制するだけでなく、共和党べったりの米テレビ局『FOXニュース』の自民党版を作る野望を持ち始めたのではないか」という見方を紹介している(現代ビジネス 4月3日)。

今井尚哉 首相秘書官「テレビに政治的中立なんてないだろ」『週刊文春』4月12日号

放送法改正を主導していると見られているのが、安倍首相の信頼が厚い今井秘書官だ。

4月6日付の毎日新聞は官邸関係者の「今でもテレビの政治的中立なんてあってないようなもの。米国みたいに視聴者が『このテレビ局はこの政党を支持している』と分かったほうがいい」という言葉を紹介している。

テレビ局に「公正」さなど求めない、というわけだ。

安倍晋三首相「(批判的な)TBSやテレ朝は報道じゃない」『週刊文春』4月12日号

背景にあるのは、森友学園問題などについての報道に対する政府、ならびに安倍首相の不満だ。

内閣支持率の低下、ならびに首相自身への不信感は報道のせいだと考えているふしがある。

2014年11月、安倍首相がTBS『NEWS23』に出演した際、政府の経済政策について懐疑的な回答が続く街頭インタビューの映像が流れた後、「おかしいじゃないか!」と声を張り上げて不満を露わにしたのはよく知られている。

このときは当時の萩生田光一筆頭副幹事長と福井照報道局長が在京6局に対し、選挙報道の「公平中立」を求める文書を送っている。

2015年11月には百田尚樹氏が代表理事、上念司氏が事務局長、ケント・ギルバート氏、田中秀臣氏らが理事を務める「放送法遵守を求める視聴者の会」が発足(役職は現在のもの)。

『NEWS23』を批判する意見広告を出したり、高市早苗総務相(当時)に放送法4条の政治的公平性についての公開質問状を出したりするなどの活動を行った。

高市早苗 前総務相「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」産経ニュース 2016年2月9日

これは2016年2月に衆議院予算委員会で、民主党(当時)の奥野総一郎氏が放送法の解釈について「視聴者の会」の公開質問状に言及しつつ質問した際の高市早苗氏の答弁。

放送法を所管する立場である総務相の高市氏は、このとき「停波」の可能性にも言及しており、報道機関の萎縮をもたらすと批判が集中した。

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テレビ制圧! 放送法改正を本気で目指す安倍政権の暴言を総ざらいする
文藝春秋digital 2018/04/07 大山くまお
https://bunshun.jp/articles/-/6939

■『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(マーティン・ファクラー著 双葉新書、2016年)

メディアの「政権のポチ」化を痛烈批判

『現代の理論』秋田稔

http://www.gendainoriron.jp/vol.08/review/re01.php

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安倍政権は極めて狡猾なメディア・コントロールを推し進めている。

第2次政権発足直後、NHKに「右向け右」の籾井勝人会長を送り込み「安倍チャンネル」化。

民放もTBSやテレビ朝日を叩いて黙らせた。

在京大手紙も、政権サポーター派の読売・産経と、リベラル派の朝日・毎日・東京にはっきりと二分され、その朝日も縮み上がる。

高市総務相の「電波停止」発言に反対する「我々は怒っている!」声明記者会見で鳥越俊太郎氏は「メディアが政権をチエックするのではなく、政権がメディアをチエックする時代になっている。負けられない戦いで、負ければ戦前のような大本営発表になる」と語ったが、まさにそのような時代だ。

本書は、日本の大手メディアが雪崩を打って「権力のポチ」化する状況を厳しく批判するとともに、反撃の道筋を提言する。

著者はニューヨーク・タイムズ前東京支局長の凄腕日本ウォッチャー。

本書はまず、「ジャーナリズムは政治権力のウォッチ・ドッグ(番犬)であるべき。だが(日本)の記者クラブ・メディアはまるで政権のポチのようにシッポを振ってきた。第2次安倍政権の成立以降、その傾向はますます加速している。なぜ日本のメディアは安倍政権に〝伏せ〟をするような態度で仕事をするのか。政権からのプレッシャーとメディアの自主規制は、どこまで進んでいるのか」と問題提起。

まず「政権のメディア統制」では、以前はファジーでウエットだった日本の政権とメディアの関係が、第2次安倍政権以降はドライなものに激変したと指摘する。

日本の大手メディアは、閉鎖的な記者クラブ制度に依存する「記者クラブ・メディア」といわれる。

それは、メディアは政権から情報をもらうかわりに政権を手厳しく批判しないという「ゆるやかな共存関係」だった。

だが第2次政権以降は政権側がドライにメディアを選別。

9・11以降のブッシュ政権の「有志連合」戦略さながらの「仲良しメディアにはアメ、敵対メディアにはムチ」のメディア戦略に一転した。

政権(のメディア対策)がメジャーリーグを目指しているのに、日本のメディアは「記者クラブ・メディア」というガラパゴス化した閉鎖空間に安住していたため高校野球のレベルで、政権のメディア戦略に敗退してしまったという。

「メディアの自壊」では、原発事故の政府事故調による「吉田調書」を朝日が独占入手したのは大スクープで、政府がこれを隠蔽していたことこそが大問題だった。

ただ朝日は、調書のインパクトを重視するあまり、調書のニュアンスを誤解させる見出しで政府に反撃の糸口を与えてしまった。

そして、産経や読売などが官邸周辺とみられるリークで「吉田調書」を全文入手し、朝日叩きの記事を掲載したのは「ジャーナリズムの自殺行為」と批判する。

また朝日新聞特報部は「我々は政府のポチにはならない」という「脱ポチ宣言」を掲げて優れた調査報道に取り組んできたが、会社側が同部を事実上解体するなど社内に自粛ムードが漂っており、この事態は「平成の白虹事件」(「朝日新聞白虹事件」は大正デモクラシーの旗手・大阪朝日を変質させた言論弾圧事件)と重大視する。

「権力VS.調査報道」はジャーナリズムの真骨頂である調査報道への逆風と、それをどう克服するか。

日本以上に厳しい政権の圧力にもかかわらず、屈せず闘う米国のニューヨーク・タイムズ(ブッシュ政権による秘密盗聴、米国とイスラエルのイラン核兵器開発妨害ウイルス)、AP通信(司法庁による記者盗聴)、FOXニュース(北朝鮮の核実験情報)などの実例を挙げる。

そして米国ではジャーナリズムが危機に瀕したとき、メディアが報道の自由のために会社や業種、右や左の垣根を超えて、団結して反撃するのに対し、日本のメディアには、「事なかれ主義のサラリーマン記者」があまりにも多く、「ジャーナリストが民主主義社会のために果たしている使命感という最も大事な視点が欠落」しているため、メディア対策に力を注ぐ安倍政権の誕生によって、その弱点が露呈してしまったという。

とはいえ日本では、国家機密の縛りも、国家の市民に対する監視も、まだまだ米国ほど厳しくはない。

しかし特定秘密保護法などによって、日本も間もなく米国のような厳しい監視国家になるだろう。

だからこそ、日本メディアはもっと切迫した危機意識を持ち、「タコツボ型ジャーナリズム」ではなく、個々の記者が強いプロ意識を持つとともに、ジャーナリスト同士が結束するべきだと忠告する。

終章「不確かな未来」では、米国の独立調査報道機関の取り組みや、東京新聞・神奈川新聞・琉球新報・沖縄タイムズなどの健闘、調査報道ジャーナリスト育成に向けた早稲田大学ジャーナリズム研究所など、権力に負けない強靭なジャーナリズムの動きも紹介する。

本書の出版以降のメディアをめぐる動きを見ても、クローズアップ現代、NEWS23、報道ステーションのメーンキャスターが、そろって降板。

総務相の「放送電波停止」発言。

「国境なき記者団」の「報道の自由度ランキング」で日本は72位に下落したのに、菅官房長官は「報道が委縮するような事態は全く生じていない」と発言。

籾井NHK会長の居座りや「原発報道は公式発表ベースに」「被災地の自衛隊活動も報じよ」発言……など、政権のメディア統制やメディアの委縮・隷従もますます進んでいる。

本書はそれを共に跳ね返そうとする、ジャーナリスト魂あふれる熱いメッセージだ。

なお政権の言論統制に大手メディアが委縮や隷従を深める背景には、本書とも重複するがやや補足すれば①ネットの普及、読者の新聞離れや広告収入の鈍化などによる経営難②以前の政治取材は主に自民党各派閥に深く食い込み、収集情報を突き合わせて政権の動きをウォッチしてきた。

しかし小選挙区、政党助成金制度や「一強多弱」の現政権下で、自民党各派閥が力を失い、官邸主導で政権の情報管理も徹底。

官邸や自民党による記事や番組内容のモニタリングも精緻を極め、政権の意向に反する記事には厳しいクレームをつけるなどで、御用記者以外の取材が困難になった③「記者クラブ・メディア」は各省庁・企業など取材先からの手厚い情報提供などに依存し、取材先にコントロールされる④報道に対する訴訟増加などによる過剰な「コンプライアンス=法令順守」、ネット右翼などの激しい攻撃……なども挙げられるだろう。

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『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(マーティン・ファクラー著 双葉新書、2016年)
メディアの「政権のポチ」化を痛烈批判
『現代の理論』秋田稔
http://www.gendainoriron.jp/vol.08/review/re01.php

■安倍晋三を支えた謎のサロン「四季の会」によるNHK支配……「従軍慰安婦」番組への政治圧力騒動の裏で起こっていたこと

週刊現代 2023.01.17 森功

https://gendai.media/articles/-/104815

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・安倍応援団のサロン「四季の会」によるNHK支配

安倍政権を生んだ四季の会の中核メンバーには、錚々たる顔ぶれがそろっている。

葛西とともに会を切り盛りしてきた富士フイルムの古森をはじめ、葛西と旧知の財界人が数多く集った。

東京都立西高等学校、東大法学部の葛西の先輩でJFEホールディングスの下垣内(しもがいち)洋一もまた、四季の会の発足当初から参加してきた中心メンバーだ。

日本鋼管と川崎製鉄の合併の立て役者としてJFE初代社長に就いた下垣内は、後任社長の數土(すど)文夫をのちに四季の会に加えた。

葛西を中心とする四季の会は、日本の公共放送にも深くかかわってきた。

年間7000億円に上る受信料収入をもとにしたNHKの放送事業予算は国会承認が必要とされ、自民党の郵政・放送族議員たちの協力が欠かせない。

そのためNHKの政治部記者が郵政族議員たちとのパイプ役を担ってきた。

おかげで歴代の経営トップには政治記者が就くようになり、局内では政治部が幅を利かせた。

古くは池田勇人の番記者だった島桂次が有名だ。

シマゲジとあだ名された島の流れを汲み、元自民党副総裁の川島正次郎や元首相佐藤栄作と懇意だった海老沢勝二もまた、大きな権勢を振るった。

あだ名はエビジョンイルだ。

皮肉にも葛西や安倍は、この海老沢失墜を機にNHKに口を出すようになり、四季の会の財界人がそれをバックアップしていった。

・安倍・菅政権によるNHKへの政治介入

1997年7月31日から7年半という長きにわたって会長を務めた海老沢は、紅白歌合戦の担当プロデューサーによる制作費の不正支出をきっかけに発覚した一連のスキャンダルにより、2005年1月25日に退任した。

次の橋本元一はNHKで初の技術畑出身のクリーンな会長と称されてNHK改革を担い、08年1月24日まで1期3年のあいだ会長職に就く。

しかし皮肉にも、このNHK改革が露骨な政治介入を招く結果となる。

あるNHKの理事経験者はこう嘆いた。

「橋本さんが会長に就任して間もなく、NHKでは放送のデジタル関係企業を巡って職員のインサイダー取引が発覚してしまいました。それで、自民党の郵政族議員たちから、プロパーの会長に経営を任せていては改革などできない、という声があがり始めたのです。その急先鋒が自民党の菅義偉さんでした。橋本会長はいわば海老沢会長のあとのショートリリーフで身ぎれいな人だけに、政治感覚が欠如していたといえるかもしれません。それで逆に菅さんをはじめ総務関係の族議員に翻弄されてしまったのでしょう」

安倍・菅政権によるNHKへの政治介入の源流がここにある。

端緒は、教育テレビで放送された「問われる戦時性暴力」という番組を巡る政治圧力騒動にさかのぼる。

従軍慰安婦の模擬裁判「女性国際戦犯法廷」を題材にした番組だ。

それ自体は01年の放送で、4回シリーズの第2回の放送時間が予定より4分短縮された。

その放送時間の短縮が森喜朗政権時の官房副長官だった安倍の圧力によるものだったのではないか、という疑惑が浮上する。

それを番組放送から4年も経った05年になって朝日新聞がすっぱ抜いた。

そこから公共放送に対する政治介入が一大論争に発展したのである。

奇しくも海老沢の後任として橋本がNHK会長に就いたばかりの出来事だ。

海老沢会長時代から相次いだ不祥事に加え、またしても問題が発覚したNHK局内は混乱した。

そこに乗じて公共放送に手を突っ込んだのが、自民党の安倍や菅だったのである。

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安倍晋三を支えた謎のサロン「四季の会」によるNHK支配……「従軍慰安婦」番組への政治圧力騒動の裏で起こっていたこと
週刊現代 2023.01.17 森功
https://gendai.media/articles/-/104815

■安倍官邸側が進めた水面下のシナリオ 新解釈「俺と総理で」段取り

放送法めぐる内部文書問題

朝日新聞  2023年3月8日

https://www.asahi.com/articles/ASR3866JWR38ULFA010.html

■批判的なコメンテーターは今や皆無 自民党政権の言論弾圧“黒歴史”

日刊ゲンダイ:2023/03/07

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319684

■「報ステ」も“圧力文書”触れず テレ朝が安倍政権に弱腰な理由

日刊ゲンダイ:2015/04/12

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/158906

■安倍政権のメディア支配はなぜ成功したのか 上杉隆氏が解説

週刊ポスト 2013.12.20

https://www.news-postseven.com/archives/20131220_232833.html?DETAIL

■「報道ステーション事件」はメディア界の問題だ

安倍政権の「揺さぶり」にどう向き合うか

論座(朝日新聞) 2015年04月13日 篠田博之 月刊『創』編集長

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2015041100001.html

■反安倍を叩きまくる安倍首相「宣伝工作部隊」の素性

週刊ポスト 2019.12.05

https://www.news-postseven.com/archives/20191205_1499418.html?DETAIL

■独占市場のテレビ局と自民党、その鉄壁の「互恵関係」と「利益配分システム」

Business Journal 2018.05.05 「加谷珪一の知っとくエコノミー論」

https://biz-journal.jp/2018/05/post_23222.html

■『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』

著者:マーティン・ファクラー
発売日:2017年12月01日
出版社:双葉社

https://a.r10.to/hN2LHI

■『安倍政治と言論統制 (テレビ現場からの告発!)』

著者:『週刊金曜日』編 (著)
発売日:2016/3/24
出版社:金曜日

https://a.r10.to/h9t9d7

■『安倍政権のメディア支配』

著者:鈴木哲夫
発売日:2015/6/10
出版社:イースト・プレス

https://a.r10.to/huJs0K

■『安倍政権・言論弾圧の犯罪』

著者:浅野 健一
発売日:2015/9/25
出版社:社会評論社

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784784514991

■安倍政治はこうしてメディアを支配した?

「クローズアップ現代」「報道ステーション」「ニュース23」と、硬派な報道番組で政権に物申してきたキャスターたちが全て降板」

週刊現代(週刊新書)2016/06/11 堀川惠子

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48847?imp=0

■日テレ元局員が告発!テレビ局が行っている安倍政権PRの”偏向報道と印象操作”

「今回の衆院選では、マスコミ、とくにテレビ局の安倍政権に対する弱腰な姿勢が改めて浮き彫りになった。自民党が出した選挙報道に関する圧力通達にいとも簡単に屈し」

「安倍政権によるテレビへの圧力は第2次政権が発足した当初から始まっており、今やテレビはほとんど安倍政権のいいなりになっているのが現状」

「安倍政権を利するような印象操作を繰り返し、露骨な安倍政権寄りの偏向報道を繰り広げている」

excite news(エキサイトニュース)2014年12月11日

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_700/

■久米宏がワイドショーの嫌韓報道を真っ向批判!「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」「韓国叩くと数字が上がるから」

「人事と予算で、国家に首元を握られている放送局があっちゃいけないんですよ」

エキサイトニュース 2019年8月21日

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_9765/

■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~

・安倍政治に敗北したメディア:安倍政治のメディア操作で分断された末に起きたこと

論座(朝日新聞)2020年09月02日

https://webronza.asahi.com/national/articles/2020090200011.html

■「その程度の能力か」「頼りねえ顔」 麻生氏、記者をディスり質問はぐらかす無責任な責任者

「赤木ファイル」開示後、本紙は閣議後会見で麻生太郎財務相に2度質問した。しかし麻生氏は正面から答えようとせず不誠実な対応をいまだ続けている」

毎日新聞 2021年7月7日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/115010

■「政権与党」化した記者たちへ 政治ジャーナリスト後藤謙次さんの怒り

・「報ステ」レギュラー降板は「政権の圧力」?

「安倍晋三政権を批判」

「いつから政治記者は『政権与党』の一員に成り果てたのか」

毎日新聞 2021/7/10

https://mainichi.jp/articles/20210710/k00/00m/010/002000c

■安倍晋三は尋常ではない!「報道ステーション事件」とマスコミの正体

「安倍政権を批判するような記事を書けない」

「民主主義が機能するいろいろな条件をどんどん壊しています」

週刊ダイヤモンド 2015.9.16 広瀬隆

https://diamond.jp/articles/-/78537

■新聞・TV「政府の言いなり」の何とも呆れる実態

~まるで大本営発表、コロナ禍で露呈した歪み~

・記者クラブの権力監視が機能していない

「非常に不透明な、情報開示に消極的な権力に対して、どうしっかり説明させていくのか」

東洋経済(2020/04/27)
https://toyokeizai.net/articles/-/347070

■安倍政権の黒幕「日本会議」のナゾと、支配されたマスコミの危機?「憲法改正」に向かう不気味なものの正体

週刊現代 2016.07.03

https://gendai.media/articles/-/49024?imp=0

■「メディアの権力監視」,日本は最低評価

NHK『放送研究と調査』2019年8月号 掲載

https://www.nhk.or.jp/bunken/research/focus/f20190801_5.html

■日本のメディアは大丈夫か

~政府から独立した日本版FCCの創出を急げ~

論座(朝日新聞)2018年08月26日

https://webronza.asahi.com/national/articles/2018082300001.html?page=1

■報道自由度、日本は4つ下げ71位に 国境なき記者団

日本経済新聞 2022年5月3日

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF031WY0T00C22A5000000/

■日本を裏で操っている?

~アメリカの巧妙な世界戦略~

・アメリカにとっては好都合となる日本の官僚主義

「日本の犠牲によって、アメリカの産業を振興する必要があった」

「アベノミクス第3の矢はもともと空砲にすぎない」

幻冬舎:石角完爾:2016.10.21
https://gentosha-go.com/articles/-/5017

■日本人が知らない「闇歴史」

~アメリカに支配された70年の真実~

「日本の主体的な意思によって行われたものではない。政治も経済も文化も勝者であるアメリカに操られてきた」

「日本はアメリカの属国のままでよいのだろうか」

日刊大衆(双葉社)2015/9/21

https://taishu.jp/articles/-/45710?page=1

■安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!

「安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介」

「岸がアメリカから言われた最大のミッション」

「アメリカの資金でつくられた首相」

エキサイトニュース 2015年8月17日 野尻民夫

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/

■民放各社は米国に乗っ取られているのか

「民放各社大株主に米国系の投資ファンドが名を連ねている」

・外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%

「テレビ朝日が12.7%、TBSは13.34%」

日刊ゲンダイ(講談社)2015/11/09
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168954

■【なぜTVは米国と英国を称賛し、中国を批判するのか?】

『「反日中韓」を操るのは、じつは同盟国・アメリカだった!』

著者:馬渕睦夫(元ウクライナ大使)
発売日:2014/10/24
出版社:WAC BUNKO

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784898317075

■正力松太郎が自ら語った全国テレビ放送網構想、その“対米従属的”内容

ダイヤモンド 2020.1.8

https://diamond.jp/articles/-/225182

■日本のテレビ局が外国資本に支配されている件。

https://note.com/matsushita8935/n/n6690ad370a25

■日本のテレビ・マスメディア・政府は外国資本が買収済み

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