2019年度から“専門職大学”という新しい大学制度が始まります。
そして、ご存知、大学入試の象徴でもある「センター試験」は2020年1月の実施を最後に廃止され、2021年1月から「大学入学共通テスト」が導入されます。
戦後最大規模の教育改革が始まろうとしています。
でも、教育改革、そもそも、教育の何が課題なんでしょうか?
実は、その「課題とは何か?」。
この問い、そのものが、まさに「教育改革」の目的の一つかもしれません。
今回は「教育改革」に関係する、「未来の教室」についてお伝えします!
Contents
突然ですが、「未来の教室」ってご存知でしょうか。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
経済産業省が推進する、新たな学習プログラムの開発・実証事業のことです。
教育のIT化と合わせて、教育のシステムをも改革する取組です。
2018年6月、経済産業省の教育に関する有識者会議「未来の教室」とEdTech研究会の「第1次提言」こちらです。
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180628001_1.pdf
この経産省が推し進める「未来の教室」。
起業家精神や課題発見、課題解決の力を伸ばすことが大テーマ。
驚きなのが、文科省じゃなく経産省が「教育改革」に乗り出す点。
もちろん、「IT」という一定の分野に肩入れする必要がありますし、民間企業との連携がより重要という意味では、経産省の管轄であることが一つ特徴かもしれません。
「教育」という大テーマ。
世界各国、「教育」には十分なリソースを割いて、国家事業として強力推進している現状。
日本も地盤沈下しない「教育改革」が必要なのかもしれません。
縦割り社会、官僚組織の文科省、経産省。
一つになって、新たな教育システムの構築が重要ではないでしょうか。
「未来の教室」では、起業家教育の重要性を説いています。
政府が起業家教育に力を入れ始めたのは今から10年以上前。
生産年齢人口の減少やグローバル化、技術革新などによって社会や職業の在り方が大きく変化する中で、子どもたちに未来を切り開いていく力を持たせる狙いがあったようです。
すでに平成27年に経産省が文科省と協力し『「生きる力」を育む起業家教育のススメ』という冊子を刊行しています。
小学校・中学校・高等学校における実践的な起業家教育の導入例などが掲載。
当時はまだ起業家教育という言葉すら、珍しかった頃かもしれません。
そもそも、この「未来の教室」は、IT技術等を活用した新たな教育サービス(EdTech)などを用いた「学びの効率化」を主たる目的。
教育とITの融合について、日本は世界的にみて立ち遅れていることが指摘されています。
米国や欧州、そして中国にも、教育のIT化には溝を開けられ、旧態依然の教育方法から脱却できていません。
「効率化」もそうですが、「考える教育」への移行も重要な課題の一つではないでしょうか。
暗記がすべての大学受験。
ノートと鉛筆の授業をいつまで続けるのでしょうか。
教育の価値が「暗記」ではない時代、新たな教育のシステム作りが喫緊の課題となっているのかもしれません。
どの国も経験していない、超高齢社会。
日本は、どの国よりも先に、超高齢社会に突入しました。
まさに、一番最初にこの課題に直面するのが、日本。
何が起こるのか。
何が必要なのか。
どうすればよいのか。
社会保障も含め、抜本的な社会システム転換の必要に迫られている日本はまさに「課題先進国」かもしれません。
他国の手法をただ追随することは、もはや意味をなさない時代とも言えそうです。
自ら課題を見出す力。
そして、その課題を解決するための推進力。
今、日本は「チェンジメーカー」を必要としているのかもしれません。
チェンジメーカーが必要な日本。
経産省の目指す「未来の教室」は、「創造的な課題発見・解決力」をキーワードに設定しています。
その「創造的な課題発見・解決力」には、3つの要素が重要だと提言されています。
それが、「50センチ革命」×「越境」×「試行錯誤」の3つ。
え!?50センチの革命?
そう思うかもしれません。
一つ一つ見てみましょう。
「50センチ革命」とは、小さな気付きを最初の一歩に変える力のことです。
自己肯定感や自己効力感、圧倒的な当事者意識、他者への共感力、課題の発見力、(勝算や成否を恐れず)最初の一歩を踏み出す力などで構成されていると提言されています。
そして「越境」。
「越境」とは、様々な専門性・組織・業種・地域・国境の壁を乗り越える力。
「越境」するには、自らの思考の軸になる専門性のほか異分野の視点や知見を理解する力(本来の基礎学力)、多様性の受容力、タテ割りや対立を溶かす対話力、巻き込む力などが提言されています。
そして最後、「試行錯誤」。
どの国にも直面していない課題が日本を覆ってきている昨今。
一歩目からすべて成功することはあり得ないことでしょう。
「試行錯誤」で結果を出すには、遊び心、創造性、正解なき中での思考力、リフレクション(省察)、失敗からの回復力などが不可欠だと提言されています。
いかがでしょうか。
経産省の有識者から出てきた第1次提言。
官僚組織とは思えない、まさに「チャレンジング」な内容と言えるかもしれません。
なかでも、注目したいのが、この「50センチ革命」。
チェンジメーカーを育成する経産省が、なぜ50センチなのでしょうか。
50センチではなく、1メートル、もしくは10メートル、もっと先にある革命をターゲットにする必要があるのではないでしょうか。
でも、私個人、この50センチというキーワード、非常に良いのではないかと思っています。
何故なら、多くのベンチャー企業、起業家を見てきた私個人の感想。
それが、起業家が、長い先を見過ぎて足元に躓くことが非常に多いからです。
実際、ベンチャー企業が実績を出し、世の中を変える事業の経営者は、分解できる人。
将来の壮大なビジョンを持ちながらも、その大きな課題を分解し、足元の一つ一つの課題をクリアし、一つ一つの実績を積み上げていく人が多かったように思います。
先を見過ぎ、自分の足元が見えない方は「実績」が出にくい、そう思っています。
目の前の実績を、目の前のタスクを見つめ、より良い手段を、より早く実行する人が強いですね。
ベンチャー企業で成功する人は、私が見てきた限り、目の前の「半歩先」を見つめ、手の届く部分で工夫し、努力する人だったように思います。
「ビジョン」を念頭に、価値ある、考えつくされた積み重ねが、とんでもないところまで行く唯一の方法かもしれません。
「50センチ革命」。
経産省が出した「未来の教室とEdTech研究会」1次提言には、こんなに素晴らしいキーワードがあるんですね。
改めて驚かされます。
私たちの生活。
毎日の学校。
毎日の仕事。
勉強の仕方、仕事の仕方、検索方法、コミュニケーションの取り方。
毎日、何となく続けていることの中に、「あれ?」がありませんか?
あれ?
この分野、面白そう!
あれ?
これって、こう使えそう?
あれ?
この方が簡単じゃない?
そんな日常のちょっとしたことが、大事ではないでしょうか。
世界を変えるような発明やイノベーションも、目を見張るようなカイゼンも小さな気付きからはじまります。
その「気づき」は、実は世界で1億人が不便だな~、と思っていることかもしれません。
「小さな気づきを一歩に変える」。
その気づきを一歩に変え、50センチの革命を起こしていく力を身に着けていくということがこれからの教育に求められていくのかもしれません。
今まで、世界を変えるのは、優れた偉人のみと思われた時代だったかもしれません。
名だたる偉人伝説。
遠い人たちのような印象でした。
自分とは別世界。
でも。
今は「個」の時代。
グローバル化とIT化が浸透した結果、一人一人の力が、一人一人の行動で大きく世の中を動かせる時代と言えるのかもしれません。
「個」が気付き、「個」が創造し、「個」が実行し、「個」が学習し、「個」が共感し、「個」が成長し、「個」が価値を生み出す時代。
「個」のエネルギーの総量が、その国家のエネルギー総体と言える時代かもしれません。
仮に、1億人一人一人が50センチ、前に進んだら、その総和は5万キロ!
なんと地球1周以上!
一人一人が、手の届く範囲の改善、価値向上を実現することで、世界を席巻するほどの価値向上を実現できるのではないでしょうか。
まさに「50センチ革命」。
一人一人の「半歩」が、日本の新しい未来を創造する。
たった50センチ先に、私たちの未来が広がっていくのかもしれません。
それは、どこかの誰かではなく、今の自分、「わたし」ではないでしょうか。
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