会社を創業することは非常に大変なことです。
社員や取引先の協力も得なければなりません。
代表個人の強い想いを持ち、伝え、顧客に最高の「感動」を提供することも重要なファクターです。
今回は「感動経営」に関してお伝えします。
Contents
「ありがとう」がすべての原点!
「居酒屋てっぺん」という居酒屋知っていますか?
まだ数店舗の小さな居酒屋チェーン店です。
その社長が大嶋啓介という人。
「居酒屋甲子園」なるイベントも開催して、飲食業界では有名な社長です。
以下、その大嶋さんのお話の一部です。
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当時勤めていた居酒屋グループが東京に進出し、僕は東京店の店長としてオープンの前日を迎えていました。
朝早く店に出て、オープン準備が整った店内に一人座り、自分のこれまでの歩みを振り返っていたんです。
明日、オープンだ。
東京進出に懸ける全社員の夢を一身に担っている。
そのプレッシャーが快い。業者さんもお客様も、みんな応援してくれている。
「いよいよ、明日から花のお江戸で日本一への挑戦だ!」。
高揚感と幸福感に包まれていました。
その時、僕を産んで育ててくれた母に対して、心の底から感謝の気持ちが湧いてきて、涙が止まらなくなったんです。
小さな頃に亡くなった天国にいる父に、僕の活躍を見てほしいと いう思いも重なりました。
両親が僕をこの世に送り出してくれたからこそ、こんなに幸せな日を迎えることができたんだ。
産まれたことに感謝、生きていることに感謝。
この感謝を今、母に伝えたい。すぐに故郷の母に電話をしました。
「かあさん! 突然だけど、5分間だけ、黙って聞いてください。今、すっごく幸せです。かあさんの子供に生まれて良かった。俺を産んでくれて、本当にありがとう!」。
号泣してしまってうまくしゃべれなかったけれど、一生懸命思いを伝えました。
母も泣いていました。
こんなに思いを込めた「ありがとう」を、僕は今まで言ったことがなかった。
「産んでくれてありがとう」は、すべての「ありがとう」の原点であり、最高の「ありがとう」なんです。
その時の感動は、今でもはっきりと胸に残っています。
これが、僕の「ありがとう」が変わった瞬間でした。
最高に思いを込めた、本気の「ありがとう」を口にしたことで、僕の「ありがとう」は変わったんです。
それからは、口にするすべての「ありがとう」に、深い思いを込められるようになりました。
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開業する、創業することは非常に難しいものです。
自分一人だけではなりえることはできません。
いろいろな方々の支援、協力なしには成功はありません。
大事なのは、その想い、「理念」です。
何を軸に運営するのか、その軸がなければ、企業としての求心力はあり得ません。
もし、周りの人たちの協力を得る必要があるのでしたら、その想いを伝えることも重要かもしれません。
脈々と流れる「感動経営」
私は以前、フランスにあるユーロディズニーランドに行った事があります。
その印象。
あまり楽しくありませんでした。
なぜでしょう。
一つは来園者が少なく活気が感じられなかった、という点です。
そしてもう一つ、夢の国とは感じられなかったことです。
つまり「感動」がなかったのです。
あれ、「感動」ってなんだろう。
フランスのユーロディズニーランドに行ったとき、ふと思いました。
「感動」は人が、人に対して抱く感情なんですね。
個人所感としては、東京ディズニーランドが、おそらく「感動世界一」。
どの地域のディズニーランドよりも、「夢」と「希望」を本当の意味でもっている「空間」だと個人的に思っています。
それは「働いているキャスト」、そしてそのキャストのモチベーションを支える「経営方針」ではないでしょうか。
日本のディズニーランドは日本の会社「株式会社オリエンタルランド」が運営しています。
オリエンタルランドは京成電鉄グループと三井不動産グループが中心となって設立され、現場で運営する人たちは、日本人が中心です。
日本独自の「思いやり」が詰まっているのです。
その「日本人の多いやり」が、ウィルトディズニーと共鳴し、共感し、相乗効果を生み出し、他のディズニーランドと一線を画しているのです。
以前読んだ本に感動的な逸話がありましたのでご紹介します。
少し古い本ですが、それはオリエンタルランドの生みの親、堀貞一郎著作の「楽しくなければ会社じゃない」(2000年出版)という本の一部です。
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ディズニーランド内のあるレストランでのある女性従業員のお話です。
ある日、若い夫婦が二人の食事以外にお子様ランチを注文された。
その店では「お子様ランチは八歳以下にしかお出ししない」という規則でした。
そこで従業員は「どなたが召し上がるのですか」と尋ねました。
ちょっとした沈黙のあと、彼女はハッとしました。
なぜなら、そのお子様ランチは亡くなられたお子様のためのものだったからです。
その日が亡くなられたお子様の誕生日だったんです。
いつか、家族三人でディズニーランドに行こうね、と約束していた・・・。
それが果たせないまま、お子様は亡くなったと。
「もし、可能なら、ここのお子様ランチを、子供に食べさせてあげたいと思ってお邪魔したんです・・・」
そのお話を聞いた彼女は精一杯の笑みを浮かべ「承知しました」と、四人掛けの席に子供の椅子まで用意し、「三名様こちらにどうぞ」とお二人を案内した。
その間は上司への相談はありません。
ご夫婦はうれしそうに涙を浮かべ、お子様ランチを囲みながら、お食事をして帰っていきました。
この後、この夫婦からお礼の手紙を頂き、「その日の思い出は一生忘れません。ありがとうございました。」そんな感謝の言葉を頂いたそうです。
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いかがでしょうか。
昨今、大阪のUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)も大人気です。
V字回復したUSJは東京ディズニーシー単体の来園者数を超えたともいわれています。
しかし、東京ディズニーランドには、「理念」という底力があります。
年間3,000万人を魅了する東京ディズニーリゾート。
これからもさらに「感動」を届けてほしいと願っています。
最後に
名言を贈ります。
地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう
ワタミグループスローガン
人の魅力とは、与えると生まれ、求めると消える。与えると、「ありがとう」が返ってくる。この「ありがとう」が人を輝かせる。
大嶋啓介/居酒屋てっぺん社長
与えることは最高の喜びなのだ。他人に喜びを運ぶ人は、それによって自分自身の喜びと満足を得る。
ウォルト・ディズニー
ディズニーランドは永遠に完成しない、ディズニーランドは生きているんだ。
堀貞一郎