■古賀茂明氏「アベ政治は終わったはずなのに、何か得体の知れないものに支配されている」
日刊ゲンダイ:2023/03/13
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衝撃的な銃撃死から半年以上が経ったが、岸田政権や自民党を見ていると、いまだこの国は安倍晋三元首相に支配されているのかと思わずにはいられない。
「彼がもたらしたのは、美しい国か、妖怪の棲む国か?」──。
そんな視点で検証したドキュメンタリー映画「妖怪の孫」が今月17日から公開される。
企画プロデューサーを務めたのは、元経産官僚のこの人。
2時間のストーリーから何が見えるのか。
──選挙、憲法、官僚、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)、地元・下関など、映画ではいくつものテーマが扱われていますが、見どころは?
もちろん全部僕が手掛けているわけじゃないので、驚きがたくさんありました。
中でも、安倍さんの幼少期や性格も熟知している野上忠興さん(政治ジャーナリスト)のパートはすごく面白い。
「アベノミクスなんて見せかけで、要領のいいやつだった」と。
アベ政治の本質を突いているなと思いましたね。
下関の元市議の女性の話も面白い。
東京では見えてなかった地元の安倍さんのことが浮き上がってきました。
──企画プロデューサーに就かれた経緯は?
企画の発想は、菅前総理を題材にした映画「パンケーキを毒見する」や「新聞記者」のプロデューサーであるスターサンズの河村光庸さん。
実は「パンケーキ」を撮っている時から、河村さんは「本当は俺がやりたいのは安倍さんなんだよな」と言っていたんです。
それで、「パンケーキ」と同じテレビマンユニオンの内山雄人監督に頼むとか、具体的に動き始めたところで、昨年6月、河村さんが急逝してしまった。
実は、亡くなる前夜に河村さんから電話がかかってきて、「古賀さん、とにかくこの安倍の映画を出さないと、俺は死んでも死に切れないんだ」という話をしていたんです。
翌日に亡くなったと知って、びっくりしたんですが、その後、監督らから僕に「プロデューサーをやってくれませんか」という話があって。
「えー、できるわけないよ」と言ったんだけど、結局、お引き受けしました。
──河村さんの「遺言」みたいなものだったんですね。
もともと製作サイドからは、「安倍氏を扱う映画だから風当たりが強くなる。打たれ強い人が(スタッフに)欲しい」というリクエストがあったそうです。
河村さんの企画にずっと携わってきたから引き継いで欲しいというのと、社会的、政治的に難しい映画だから、そこを支える役割。その2つをやってくれということでした。
──主役の安倍氏まで亡くなってしまって、製作は大変だったのでは。
もうできないんじゃないか、という時期はありました。
安倍さんの呪縛から解かれて自由になるかと思ったら逆なんですよ。
「死者に鞭を打つのか」と、日本的なあの言葉です。
監督は最初、いろんな政治家にインタビューしようと考えていたけれど、野党議員も逃げちゃう、スポンサーも引いていくみたいな感じでね。
ただ、意外だったのは、松竹が新宿ピカデリー(映画館)をおさえているからやろうと決断してくれたことです。
きちんと客観的に見つめ直した映画を見てみたいという人はたくさんいるんだろうな、ということはみんな分かっているんですよ。
松竹の決断は、エンターテインメント業界として、観客が求めているものを世に出すのが我々の仕事だ、という筋を通してくれたと感じています。
・中枢官僚の絶望は想像以上
──古賀さん自身は映画で覆面官僚2人にインタビューしていました。
安倍さんを評価できる人っていうのは、各省庁で官房に近いところにいた人とか、内閣府や内閣官房にいて官邸に出入りするなど、中枢にいた人じゃないと分からないんですね。
そういう経験のある2人ですが、想像以上に深い絶望にあるという感じでしたね。
──「我々が習った憲法学では集団的自衛権は違憲。これからは合憲と答えないと公務員になれない」という言葉には背筋が凍りました。法律を作る官僚が「もう憲法は変わった」とはっきり言う。すごいことだな、と。
「テロだ」いう言葉も出ました。
国家の根本規範である憲法を正当な手続きを踏まずに変えることは、暴力は使わずとも、テロ以外何ものでもない、ということですよね。
あの安保法制反対のデモまでは、わりと一般の人が参加するムードがあった。
でも結局、あれだけやっても止まらなかったっていうことが、その後の日本の一般市民に、相当影響を与えたと思います。
何も変わらないという諦めになってしまった。
あれが止まっていたら、日本はまったく変わっていたんじゃないかと思います。
──覆面官僚の「そんな勇気ある官僚は残念ながらいない。(官僚は)臆病で弱くて卑怯な人間なんです」という言葉も強く印象に残りました。
財務省の公文書改ざんで自ら命を絶った赤木俊夫さんについて聞いた部分ですね。
妻の雅子さんに聞くと、最初は財務省本省からもお花を送った人がいたそうなんですが、途中から音信不通になったと。
裁判になったこともあるけれど、赤木さんに花を手向けるとか、お線香をあげるなどしたら、きっと安倍さんに睨まれるという恐怖感が官僚にはあるんだろうな、と思っていて、それを聞いてみたんです。
そうしたら出てきたのが、あの名ゼリフでした。
──「妖怪の孫」というタイトルは直接的な意味だけではないですよね?
河村さんが「タイトルは妖怪の孫だ」と。
ただ当初は、「昭和の妖怪」と呼ばれた岸信介元総理の孫で、脈々と伝わる保守の思想……というところまでだった。
岸さんのことをあまり知らない人もいるし、僕はタイトルとしてどうかな、と思っていたんです。
だけど、旧統一教会のこともあったし、安倍さんが亡くなった後でも岸田総理は「アベ的」なものを否定できず、防衛費のGDP比2%とか原発の新増設とか、むしろ先鋭化している。
それで、後から解釈を付け加えたんです。
「妖怪の孫」とは、岸さんの話をしているというより、もう安倍さんはいないし、そういう意味ではアベ政治は終わっているはずなのに、何か得体の知れないものに支配されているという状況。
それを許してしまうのは、もちろん岩盤保守層の人たちであり、それをしっかり固めた安倍さんの最大の功績です。
ちょっとやそっとじゃ壊れない。
・心の中に妖怪が仁王立ち
──まさに日本中が妖怪に支配されている。
今の日本のしくみは、憲法が想像していた世界を完全に逸脱しているんですよ。
憲法では国民主権であり、国民が国民の代表である国会議員を選び、国会が国権の最高機関です。
その国民の代表である国会が選んだ内閣総理大臣が政治をするのだから、この人に任せれば国民のための政治が行われるという前提なんですね。
しかし、内閣が国民のために働かない、あるいは米国のために働いているとしたら……。
そんな酷い内閣は選挙で落ちるでしょ、というのが憲法のしくみなんです。
ところが、何をしたって選挙で勝っちゃう、というのが安倍政権だった。
もうどうすればいいのか分かりませんよね。
国民が正しいんだってことであれば、国民が勝たせたんだから、安倍さんがやってることが正しいと、安倍支持派の人は言うでしょう。
公約を掲げて選挙に勝ったんだから、その公約を前に進めて何が悪いのかと。
でも、最後は国民自身に返ってくるんです。
映画にアニメが登場します。
人の心の中に妖怪が仁王立ちしているのは、「国民自身がなにか変えられちゃっていませんか」というメッセージになっている。
もう一度、みんなで考え直してみようというメッセージです。
4月に統一地方選や国政の補欠選挙がありますから、映画を見て、よく考えてもらいたいなと思っています。
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古賀茂明氏「アベ政治は終わったはずなのに、何か得体の知れないものに支配されている」
日刊ゲンダイ:2023/03/13
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319824
■映画『妖怪の孫』企画プロデューサー古賀茂明氏に訊く「安倍政権、官邸一強を可能にした強さの正体」
週刊現代 2023.03.17 熊野 雅恵
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安倍晋三元首相の軌跡を検証する映画『妖怪の孫』が本日から公開となる。
「昭和の妖怪」こと岸信介元首相を祖父に持つ安倍元首相は長期政権の実現に成功。
SNSを駆使して若年層にアピールし、批判をするメディアには圧力をかける。
そして、官僚の人事を掌握するために内閣人事局を設置し、強力な官邸主導型政治を確立した。
そんな安倍政権が若者から高齢者まで幅広く絶大な人気を得た理由は何だったのか?
元経済産業省官僚であり、本作企画プロデューサーの古賀茂明氏に、制作の経緯や、安倍政権と官僚の関係などについて聞いた。
・安倍政権検証への思い
――今作では企画プロデューサーを務めていますが、前作にあたる菅(義偉)政権を検証した『パンケーキを毒見する』にも出演していますね。
古賀: 前作では、菅元首相が安倍政権の官房長官時代に行ったメディアコントロールについて私自身が劇中で証言したのですが、その他にも「企画協力」として、村上誠一郎、石破茂、江田憲司各衆議院議員のインタビューの企画・出演交渉をしたり、河村氏への全体的なアドバイスもしたりとかなり深く関わっていました。
河村さんとはその時からの付き合いです。
当時、映画『新聞記者』を作っていて、財務省や国会内部の様子などについてアドバイスしたり、脚本の企画・監修などでも協力していました。
『パンケーキ~』の公開準備をしていた頃から、本当に検証したいのは、菅(義偉)政権ではなく、安倍政権だと言っていました。
それで、その頃から安倍政権を検証する映画に内容について相談するようになったんです。
河村さんが電話をしてきて、「今の政治は酷い」と言うと、私がその背景を解説する。
そして、河村さんがアイデアを膨らませる。
そんな感じで、毎回2時間も3時間も話していました。
その頃から河村さんは、タイトルは『妖怪の孫』にすると決めていました。
――河村さんが亡くなられる前日にも電話があったとのことでした。
古賀: いつもは2?3時間話すのですが、その日は20分で終わってしまいました。
やはり体調が悪かったんですね…。
その時もこの映画の話はしました。安倍政権を検証する映画はきちんと作らないと死んでも死にきれない。
死ぬまでに絶対にやりたい、と。
エンターテイメントの世界でも忖度やタブーがあって、本来果たすべき役割を果たしてないともおっしゃっていました。
自分はそこをやりたい、と。
急逝された後、制作会社のテレビマンユニオンからこの映画について河村さんと深く関わっていたのだから企画の実現を引き継いでほしいと打診がありました。
また、安倍政権を検証することでハレーションを起こす可能性もあるので、対外的な窓口になれる人が欲しいと。
それで企画プロデューサーを引き受けることにしたんです。
・「安倍プロダクション」の強み
――今作では安倍政権の人気の強さ、つまり、マスメディア戦略の巧みさを検証していますが、かつての小泉(純一郎)政権も写真集を出すなど国民へのアピールは意識していました。
古賀: 小泉政権は、基本的に個人商店です。アドリブでも何でもできる小泉純一郎という千両役者がいる。
そういう大スターがいて、そのスターを演出する名プロデューサーの飯島(勲)さんがいました。
一方、安倍政権はチームです。安倍元首相を社長とするプロダクションがあって、抜群の組織力で運営していました。
安倍元首相、菅官房長官、今井(尚哉)総理大臣補佐官の三人がいて、安倍さんはメディアの社長会長と仲良くなってトップを抑える。
菅さんはインフルエンサーになってくれそうな、有識者や有名人とご飯を食べて仲良くするふりをしながら、無言の圧力をかける。
そして、今井補佐官がメディアに対して睨みを利かせる。
さらにその周りに萩生田(光一)氏(自民党総裁特別補佐、党筆頭副幹事長、文部大臣などの要職を歴任)がいて、言うことを聞かない人たちに鞭を打つ。
また、内容があるのかないのかわからない派手な政策を打つと、それを庶民向けに平(将明)衆議院議員(内閣府副大臣などを歴任)が自民党のネット番組「カフェスタ」で、面白おかしく伝える。
さらに、電通がその裏を支えていました。
「クール・ジャパン」や「プレミアム・フライデー」「おもてなし」が際たるものです。
とにかく、組織力と役割分担が見事な政権でした。
・第1次安倍内閣は機能不全
――1年間で終わってしまった第1次安倍内閣の頃は、長期政権を匂わせる雰囲気はありませんでした。
古賀: 第一次安倍内閣は、小泉元首相に指名されて登場しました。
キャッチフレーズは「若き改革のプリンス」。
最初から「改革する」という立ち位置で総理大臣になりました。
ちなみに、天下り規制を日本で初めてやったのは安倍さんです。
また、第2条に「愛国心」についての規定を盛り込んだり、道徳を教科化した教育基本法の改正も、第一次安倍政権が実施しました。
第一次安倍政権は安倍さんの病気が原因で退陣したことになっていますが、その前の参議院選は大負けでそれも少なからず退陣の理由です。
あの頃は経験が浅かったということもあるのでしょうが、第二次安倍政権以降のようなチーム作りはなかった。
その頃のパフォーマンス力は小泉さんに比べればはるかに劣ります。
例えば、郵政民営化がいい例ですが、小泉政権は、改革派である小泉政権=善、反対派の既得権益層=悪というように、対立する構図は上手く演出していました。
一方、第一次安倍内閣の天下り規制は本当はすごいことなのですが、見せ方が上手くなかった。
保守のイメージが強い安倍さんが天下り規制をしたというのは知らない人も多いでしょう。
小泉さんは安倍さんが「天下り規制をやる」と聞いた時に「すごいね。安倍君は。俺だってできなかったんだよ」と言ったという話があるぐらいです。
第2次安倍政権以降の「チーム安倍」がいたらものすごい「安倍劇場」ができていたはずです。
改革派の安倍政権vs.財務省を中心とした官僚たちの抵抗勢力という図式を作って、果敢に改革に挑む安倍さんを国民が応援する、というフィーバーが起きていたのではないでしょうか。
・「政・官・財」の癒着構造
――劇中では、「政官財」に絡んだ経済政策の歪みなども検証されていますが、かつてに比べると政治家と官僚の関係は変わったのでしょうか。
古賀: 「政(政治)と官(官僚)」そしてそれに絡む「財(財界)」の構造的な問題は昔からあります。
自民党は支持層に向けて政策を実施し、官僚は天下り先に向けて利権を配分している。
しかし、それを1対1でやったら全部贈収賄になってしまうので、官僚と自民党の族議員が結びついて「日本のために必要な政策です」とプレゼンして実施する。
その結果、自民党の支持層が儲かる。
その構造は絶対になくなりはしません。
しかし、かつては、今述べたような「政官財」の癒着はありましたが、選挙もあるし、マスコミも見ているし、そんなに好き勝手ができるわけではなかった。
せめぎ合いの構造がありましたが、安倍政権になってから、歯止めや牽制する力は急激に弱くなりました。
それまでは政官財のトライアングルがありましたが、安倍政権以降は、「政」が東京タワーのように高く、「官」「財」はものすごく低くなり、「政」に従うという図式ができました。
それは官邸支配、そして、それに基づくメディアコントロールによるものです。
・「官邸主導」から「官邸一強」へ
――政治家と官僚の関係が変わったということですね。
古賀: かつての名宰相と言われるような人たちは、自分のやりたいことがあって、その人のリーダーシップで動いていました。
ただし、それ以外は基本的には「良きに計らえ」で官僚が政策を決定し、上手く回してくれる。
小泉元首相の場合は、郵政民営化など大きな改革案をいくつかピックアップして、思い切り突っ込んでいくというような印象がありました。
安倍政権は、憲法改正や集団的自衛権の導入など安倍元首相の思い入れが強いトピックについては、何としても実現しようと官僚の人事にも手を入れます。
例えば、集団的自衛権行使を容認する閣議決定をした時は、反対していた山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、外務省出身の小松一郎氏を後任に就任させました。
「法の番人」と言われる内閣法制局長官のポストは、法務、財務、経済産業、総務の4省出身者が交代で次長から昇格しますが、その慣行を破った異例の人事です。
安倍政権に仕える官僚も、組織図では同じ官僚ですが、従来のそれとは全く違います。
かつての官僚は自分たちの意思で政策を考えていましたが、第二次安倍政権以降の官僚は「官邸官僚」、つまり、官邸にダイレクトに指示されて動く。
「官邸主導」と言われていたのが、気づいて見れば「官邸一強」になった――。
官邸主導は、官邸がきちんと各省庁をコントロールしながら、各省庁が国民の意志に沿う行政権の行使を実現するというコンセプトです。
しかし、そこから進んで、官邸が直接指示し決定するのが安倍政権でした。
・日本を動かせるという万能感
――前作では、「安倍さんのために命を捧げる官僚はいるが、菅さんのために命を捧げる官僚はいない」というコメントがありましたが、安倍元首相は「官邸官僚」から絶大な支持を得ていましたね。
古賀: 経済産業省出身の官邸官僚に聞いたことがあるのですが、安倍さんは天下りしなかった自分を抜擢してくれたことに恩義を感じている、とのことでした。
そして、恩義を感じている間は、恩返しをしたいという印象でした。
安倍さんがやってることがいいかどうかとは別。
政策で結び付いているわけではないんです。
良くしてくれたお礼でつながっている。
また、経済産業省は従来、財務省ほど官邸と距離の近い省庁ではありませんでしたが、それでも、安倍さんに食い込んで重要ポストに起用されれば「日本を動かせる」という万能感を味わえる。
官邸官僚にとっては、それがたまらなかったのではないでしょうか。
・参謀なき岸田政権の現在地
――安倍政権の目指したものは、岸田(文雄)政権に受け継がれているのでしょうか。
古賀: 政策に一貫性がないので、岸田首相が何をしたいのかよくわからないという感じです。
変に凝り固まったところがないので、きちんとした参謀や良いアドバイザーがいれば、いい仕事ができるような気もしますが……。
政権を維持するには安倍派から支持を得なければならない。
なので、安倍派が喜ぶ話はどんどん吸収しますし、アウトプットが出て来ます。
例えば、防衛費の増額や原発運転期間延長と新増設がそうです。
しかし、少子化対策や子育て支援になると、安倍派が「こうして下さい」と言って来ないので、野党から突っ込まれても何も出て来ない。
先日、子ども予算倍増の話が出ていましたが、防衛費を倍増したから子ども関係の予算も倍にしなくてはいけない、というノリなのではないでしょうか。
政治的なアピールなのでしょうが、財源のあてもなく、かえって窮地に立たされています。
岸田首相は、今、国民より財務官僚の方を向いています。
なので、政策については彼らの言うことを鵜呑みにして「うん、そうか」と思って、彼らの説明だけを吸収して思考停止しているのかもしれません。
・「新しい資本主義」はどこに
――岸田政権は「新しい資本主義」を掲げてスタートしました。
古賀: 「新しい資本主義」は、今の資本主義を変えるしかないという決意の表れだったのでしょう。
しかし、格差の縮小には、金融所得の総合課税だと提案したら、マーケットから総スカンを食らいました。
そして財界からも自民党からも批判が出た。
そうなるとパッと引っ込めてしまう。
でも、元々の発想は良かったんです。
例えば、金融所得の総合課税を実施して富裕層に税金を払ってもらい、それを財源にして少子化政策・子育て政策にあてると言えば、ものすごくわかりやすい。
そして、小泉政権のように、党の内部が反対するというのであれば、それを「改革の抵抗勢力」だと言って、富裕層には「将来のための政策を実施するのでお金を負担してください」とお願いすればいいのに、そういう作戦もなかった。
岸田首相は、「日本は様々な課題を抱えている。その課題は足かせになるけれども、それを逆手にとって、成長の糧にする。
それが新しい資本主義です」と言っていました。
この発言が一番良かった。
1回言っただけなので自分では意識していないのかもしれませんが……。
一例ですが、「外国に比べて遅れを取っている温暖化対策は、省エネや排ガス規制や排出権取引の負担を厳しくし、それを乗り越えると世界最先端の産業が復活する。最初の規制が日本の劇的な成長につながる」というビジョンを出してみればいいんです。
そういう政策を考えればいいのに、抽象論で日本は課題先進国だ、と言っただけで思考がストップしています。
・アベノミクスの顛末
――岸田政権には「アベノミクス」を提案したような参謀がいるようには見えません。
古賀: 安倍さんは、浜田宏一さんの他、元財務省の本田悦朗さん、高橋洋一さんをブレーンにして、門前の小僧のように話を聞いていたそうです。
なお、高橋洋一さんには「マクロしか見ていない」という指摘をしたら、「マクロ学者だからマクロ経済を見ておけばいい」という返事がありました。
雇用を生み、失業率が下がったのだからいいでしょう、と。
では産業がボロボロなのはどうすればいいのか、と聞いたら、そこは我々が考える範疇ではない、との回答でした。
一方、ミクロ経済のエキスパートは竹中平蔵さんですが、規制改革などのミクロの政策を実施しようとすると、必ず敵が出るんです。
マクロレベルの給付金や補助金、金利の引き下げは、経済界は抵抗しません。
ぜひやって下さい、となる。
ところが、ミクロレベルの規制改革をやろうとすると、凄い抵抗勢力が出て来る。
小泉政権時代に行われた規制緩和がそうですが、小泉元首相は「小泉劇場」によってそれを打破した。
一方、安倍さんはそこには着手できなかった。
だから、彼は改革派ではないです。
ところが、敵の出ないマクロレベルの政策を「異次元の金融緩和」「機動的財政出動」とカッコ良く言って、株が上がり、一時期アベノミクスは評価されました。
しかし、それだけで引っ張り続けて、本当の改革は何もしていなかったというのが実態です。
劇中にも登場しますが、岸田総理自身が年頭の記者会見で、「アベノミクスで想定されたトリクルダウン(富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配される現象)は起きなかった」と発言してしまいました。
これについては、浜田さんも認めています。
これからも、安倍政権時代に糊塗された様々な問題が、出てくるのではないでしょうか。
安倍さんの後は、誰がやってもうまくいかない。
それはある意味気の毒ですが、岸田首相本人がそのことを理解せずに、夢のようなことばかり言っている。
「今の日本は緊急事態です」と宣言するところから始めないといけないのですが……。
・本当に防衛費倍増が必要なのか
――劇中では自民党の憲法改正法案に触れていますが、岸田首相の施政方針演説冒頭も「自国民を守るために防衛力を強化すべき」という論調でした。
古賀: 全てが「攻めて来たら怖いので防衛力を強化」という前提で話が進んでいて「中国が本当に日本を攻撃するか」については議論されていません。
そして、中国が積極的に戦争を仕掛けるメリットはありません。
それでも戦争が起こるとしたら、中国にとって日本と米国が敵で「我々を潰しに来る」と判断した時です。
要するに「やらなけれなければ、やられる」と判断された時です。
一方、アメリカは「中国というとんでもない奴が本当に攻撃してくるかもしれない」と思わせたい。
なぜなら、中国を悪者にして西側の結束を高めれば、他国がアメリカに依存し、武器が大量に売れるからです。
そうすれば経済界も喜ぶし、西側の盟主という地位を守れる。
アメリカにとって、非常にいいシナリオになる。
日本はそれに加担しています。
アメリカが中国を挑発し、中国がアメリカと同盟国関係にある日本に対して武力行使をしたとしても、アメリカは、本土が攻撃されない。
台湾も日本と同じように利用されています。
アメリカからしてみれば本土は攻撃されない以上、戦争はしていないことになる。
そして、「中国は危険だ」と思わせ続けることで中国を孤立させれば、西側諸国は武器を買い続けるのです。
・日本が戦争を回避するためには
――では、日本が戦争を回避するにはどのような外交姿勢が必要なのでしょうか。
古賀: 先日、CSIS(Center for Strategic and International Studies・戦略国際問題研究所)でシミュレーションが出ていましたが、地政学的に見て日本が参戦しなかったらアメリカは中国とは戦えないです。
なので、アメリカに対して、「日本は中国とは戦わないので、アメリカが勝手にやってください、でも、アメリカが中国と戦争する時は日本の基地は使わせません」と言えば、アメリカは戦争できません。
ところが、自民党政権は日米同盟が日本の安全保障の根幹だと言っています。
日本がアメリカの要求を断らないという前提ですべてが組み立てられているからです。
その前提を捨てて「アメリカの要求を断るかもしれませんよ」と言いながら、中国と交渉すればいい。
「日本はアメリカに基地を使わせないので、中国は尖閣諸島も含めて武力で現状を変更しない」という約束を中国とすれば、少なくとも中国と戦争状態になることは避けられるでしょう。
しかし、今の自民党幹部は「戦争も辞さない」という姿勢です。
安倍さんの根幹にあったのは、太平洋戦争は間違いではなかったというものです。
大東亜共栄圏構想の下、日本が世界のリーダーになるべき国であったと本気で信じていました。
そして日本は戦争に勝てる国だとも思っていた。
そこは論理的な議論ではないです。
宗教的な思い込みがあったのではないでしょうか。
――映画の終盤では、自民党の憲法改正草案についても検証しています。
古賀: 自民党草案は、現行の日本国憲法の根幹を全て白紙にして、国民主権や基本的人権の保障を骨抜きにする内容になっています。
国民は権利を主張するのではなく、義務だけを果たして生きる。
それが日本人のあり方だとすると戦争に勝ちやすいからです。
民主主義的な国家と国民を犠牲にして軍事を優先する専制主義的な国家を比べると、戦争遂行という点だけで見れば圧倒的に後者の方が強いのです。
・現役官僚たちの苦悩とは
――古賀さんは劇中で現役官僚のお二人に覆面インタビューしていますが、法の支配を無視した官邸からの指示に辟易したというコメントがありました。
古賀: 私が勤務していた2011年までは、官僚の立場から見ておかしいと思うことは、避けなければならない。
だからまともなことをやろうとする勢力が一定数存在していました。
そして、役所の中でそれが路線対立になりました。
改革派と守旧派、僕は役所が権限を振るって経済社会に介入するという意味で、「介入派」と呼んでいましたが、その2つがあって、事務次官がどちらにつくか、という構図があったんです。
ところが、安倍政権になった途端、その対立がなくなった。
劇中の覆面官僚のコメントにもありましたが、議論ができなくなったからです。
議論の前に「官邸が考えてること以外やるな」と忠告されてしまう。
安倍政権による強権政治で議論がなくなってしまった。
官邸に逆らえばクビになるからです。
そして、転職しようとしても、多くの官僚は40を過ぎれば他の職場では使いものにならなくなっているし、子どもの教育費も増えて来る。
結局、役所に留まって悶々としながら、その後の官僚人生を送ります。
現行憲法によれば、もし役所が変なことをするのであれば、役所に指示を出している内閣を選挙で倒すしかない。
そして、その歯止めが、かつては機能していましたが、第2次安倍政権になってから、安倍政権は選挙に負けていなかった。
なので、歯止めが利かない状態になってしまったのです。
「国民が私たちを選んでいます」という一言で、政権に対する批判がすべて消えてしまう。
そして、官僚は役所に所属していて、官僚のトップは大臣で、大臣は内閣総理大臣が指名します。
つまり、官僚は内閣総理大臣の指示で動く人たちです。
そうすると、国民から選挙によって信託を受けて働いている内閣総理大臣の言うことを聞かない官僚はクビだと言われても仕方がない。
それが憲法の仕組みです。
・日本国民の心に潜む「妖怪」
――確かに、安倍政権を支持し続けたのは、国民ですね。
古賀: 結局、選挙で安倍政権を選んでいる自分たちに返って来るんです。
映画のタイトル『妖怪の孫』は、安倍さんのおじいさんの岸信介元首相が「妖怪」と呼ばれていたことに由来します。
そして、孫の安倍さんも亡くなりましたが、その支配は続いている。
政治は安倍派抜きでは考えられない。
つまり、“安倍的なもの”はなくなりません。
僕は「岩盤右翼層」と呼んでいますが、安倍さんの最大の功績は、岩盤を固めて残したということです。
また、その恐ろしい岩盤に潜む“安倍的なもの”を利用して、未だにマスコミを支配しようとする動きもあります。
でも、政治家・官僚・マスコミだけではなく、国民もまた支配されているのでは? というのが僕の考え方です。
そして、支配されている人たちには2通りあって、1つは、完全に洗脳されて“安倍的なもの”を積極的に支持する人たち。
もう1つはいわゆるリベラルでも、諦めている人たちです。
多くの一般の人たちは「仕方がない」と諦めている。
この空気の蔓延こそが「妖怪による支配」なのです。
国民がその諦めを自覚していない。
気がつくのはいつかというと、本当に日本が経済破綻してどん底に落ちた時と戦争で人が亡くなった時です。
上映時間2時間は長いと思うかもしれませんが、本を読んでこの映画に紹介されていることを勉強しようと思ったら大変です。
それに比べれば、はるかに楽に、楽しみながら今の日本が分かると思います。
そして、映画を観終わったら、今度の選挙はどこに投票すればいいのか、考えてもらえたら嬉しいです。
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映画『妖怪の孫』企画プロデューサー古賀茂明氏に訊く「安倍政権、官邸一強を可能にした強さの正体」
週刊現代 2023.03.17 熊野 雅恵
https://gendai.media/articles/-/107672
■安倍元首相ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』、監督が制作秘話など語る
福岡の経済メディア NetIB-News 2023年2月28日
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3月17日に新宿ピカデリーなどで全国公開される映画『妖怪の孫』(内山雄人監督)の先行上映会が2月23日に東京都内で開催された。
A級戦犯容疑者(後に不起訴)となりながら首相の座にまで上り詰めた“昭和の妖怪”こと岸信介・元首相と、その孫の安倍晋三・元首相に斬り込むドキュメンタリー映画。
上映会後には、企画プロデューサーを務めた元経産官僚の古賀茂明氏、東京新聞の望月衣塑子記者と内山監督が対談、亡くなった映画プロデューサー・河村光庸氏の思いを受け継いで完成に至った制作秘話をはじめ、銃撃事件後も続く“アベ政治”などについて語り合った。
古賀茂明氏(以下、古賀氏) 河村さんは「安倍さんの話をやりたい」というふうにずっと言っていました。
河村さんから電話がかかってくると話が長くて、一回かかってきたら最低一時間。食事の前だと出るのをやめようかなというくらい。
河村さんは「タイトルは妖怪の孫」と決めていました。
ずっと、ああした方がいい、こうした方がいいという話をしていたのですが、ある日、電話がかかってきて、「これをやらないと死んでも死にきれないから」という話をしながら、(電話が)20分で終わってしまったのです。
ずいぶん早いなと思ったら、次の日に亡くなってしまった。
多分、相当体調が悪かったのだと思うのですけれども、亡くなったという話を聞いた瞬間、河村さんの遺言を聞いた感じがして、これは絶対にやらないといけないと思いました。
一方で、河村さんがいなくなったらできるのかなと思っていたところ、内山さんから「これはやらないといけない」という話が来ました。
内山さんからは「ちょっと手伝ってよ、古賀さん。因縁があるでしょう」と言われたこともあり、お手伝いさせていただきました。
司会者 『パンケーキを毒見する』を撮られていた時も菅さんを撮りながらその先に(本丸の安倍さんがいたのですか)。
内山雄人監督(以下、内山氏) 菅さんがもともと官房長官をしていて、菅さんの背景に安倍さんがやってきたことがベースにありますから、結局、国の舵取りの大きな軸は安倍さんから始まっていると思うので。
どういったって安倍さんの話だよね、というのはずっと頭のなかにありました。
あのときは「菅さんを丸裸にしようよ」という話だったので菅さんをやりましたが、とにかく安倍さんをやりましょうと。
とにかく河村さんは「妖怪の孫」というタイトルにずっとこだわっていました。
個人的には「妖怪の孫」と言われても──。
僕も岸さんの特番をやったことがあったので、岸さんのことは知ってはいたのですが、「今頃、岸さんと言われても誰も知らないよな」と思いながら、まあ、追々、話を変えていけばいいと思っていた。
それぐらいのつもりでいたのです。
その後、あの事件が起きた。ちょうど山口を取材していたときに、本編にもありましたが、13日後に安倍さんが亡くなった。
河村さんが亡くなったことで、ただでさえ映画自体がぐらつきかかったところに安倍さんが亡くなったことで一気に空気も、「これはちょっと、安倍さんをいじったり、揶揄したりする映画は無理なのではないか」という雰囲気になった。
一気にトーンダウンですよね。
古賀さんにも「もう無理かもね」と(言った)。
古賀氏 安倍さんが亡くなった後すぐ「安倍さんが亡くなったからと言って、安倍さんのことを語るのを止めるのは止めよう。やはりちゃんと検証しないといけない」とツイートしたのですが、やはり世の中では亡くなった人の悪口をいうのは、「死者に鞭打つ」というような雰囲気がものすごく強くて、内山さんもいろいろな方に声をかけて出演依頼するのだけれども、ことごとく断られるのです。
与党の議員だったら分かりますが、野党の議員でもみんな嫌がるのです。
思いっきり攻撃していたような人でも、政策の批判であったとしてもやりにくいということを言われました。
映像で国会での審議とかは使いましたけれども、中途半端になるのだったら、政治家の先生に無理して登場してもらう必要はないなというふうに思いました。
内山氏 そうですね。
何しろ、配給のK社というところが河村さんの段階からふらふらし出して、「ちょっとダメ」と。とうとう安倍さんの事件が起きて「完全になしよ」という話になった。
ところが、いわゆる統一教会問題が出始めて急に風向きが変わったのです。
そうすると、K社のトップのほうが、「内山さん、これはやるべきだ」と急に言い出した。
トップダウンで動く会社ですから、一気にやるということになったのです。
ところがK社の会長がいわゆるオリンピック(汚職事件)関係で急にいなくなったこともあり、この話は収束してしまった。
ただ嬉しかったのは新宿ピカデリーの方が「是非、これはやりたい」とその前から言ってくれて、頑張ってくれたことで、やれそうな空気になった。
同時に、この映画をもう一回やらないといけない。安倍さんを検証しないといけない。
とくに統一教会の問題が盛り上げって来ましたから、「やらないといけない」という空気があって、最終的にここに辿り着けました。
司会者 本当にそうですよね。
「パンケーキ(を毒見する)」の時もそうですけれども、新宿ピカデリーに人がすごく集まっていて、それが口コミで広がって行ったというのがある。
今日は写真もOKにしているので、今日、見た感想をぜひ、皆さんで広めていただいて。
内山氏 前回もそうですが、ちょうどこのタイミングでツイッターが凍結されたのです。
もし凍結される力がある方がいたら、凍結していただいて、また盛り上がる。
望月衣塑子氏 (前略)私もインタビューをさせていただいたウメさんという安倍さんの乳母に非常に食い込んでいて、ものすごい数のオフレコ集が映画のなかに出てきますけれども。
幼少期からおじいさんを越えようとしてきたのだなとわかる。(中略)
これからの岸田政権を動かしていく原動力の元になるものが、岸さんであり、安倍さんであることを改めて痛感しました。
本当に良かったです。(中略)
メディアの問題も取り上げていて、軍拡偏重になっていく状況なんかを見ると、まったく同じだと感じた。
監督が最後に葛藤するシーンがある。
最後、迷う姿は監督らしい。あれを入れた意義は?
内山氏 取材する側がリスクを背負うことがある。
出ていただいた方への思い、覚悟を伝えないといけない。
自分事にならないのかと考えていた。
終わり方が何となくぼんやりしているという評が出た。
自分でも格好悪さもあったが、思いをぶつけてみた。家族だけの社内チェックを受けた。
妻は編集者。涙ぐんだりした。家族は納得してくれた。(中略)
望月氏 しかし亡くなってもなお、そんなに萎縮、忖度をするのか。
私はビックリする。
単に安倍さんが怖いのか。
背景が怖いのか。
私は、安倍さんが亡くなって少しは世の中が宏池会的な穏健派になるのかなと思ったら、今はもっとひどいですよね。
古賀氏 それはアメリカも同じだと思いますけれども、要するに安倍さんがいわゆる岩盤支持層である非常に硬い右翼の支持層を固めてしまったわけですよね。
国民全体からすれば、一割くらいだと思うけれども、いま投票率がものすごく低いですからね。
5%でも非常に大きいです。
その支持を失うと、やはり当選できないかもしれない。
あるいは、岸田総理からいえば、やはり(自民党国会議員の)数が減るかもしれないので、その支持を取り付けないといけない。
その層を一番取っているのが安倍派ですから。
だから(岸田首相は)安倍派に忖度せざるを得ないというかたちになっている。
だから岸田さんが本当に何を考えているのか。
岸田さんは何も考えていないと思いますけど、どうやってもそこ(安倍派と岩盤支持層)を無視するとか、そこを怒らせることはできない。
トランプも力が落ちてはいるけれども、それでも一定の支持層をがっちりとつかんでいる。
日本も同じだなと。
そういう意味で、僕は「妖怪の孫」というタイトルはすごく良かったなと思っていて、安倍さんがいなくなった。
岸さんも関係ないのだけれども、引き続き、その影響力はずっと続いていると。
このまま行くと、日本を変えていく。
今、大きく変わろうとしていますけれども。
望月氏 それを変えていくために統一地方選があるのだけれども、こういうドキュメントが出てくると、今日も鈴木エイトさんがきて見ておられると思うのだけれども、これがまた年末、年を超えて、最近またミヤネ屋でエイトさんの姿を見たのですが、ちょっと(旧統一教会問題について)メディアが収束気味です。
古賀氏 やはり統一教会の報道が基本的に被害者の問題になったのです。
「被害者救済の法律をつくれ」と。
「それが甘い」とか。
そこに集中してしまって、一番大事な、自民党とどういう関係だったのか。
それで、どういうふうに政策が歪められたのかというところにはいかないのです。
萩生田さんとか。萩生田さんは政調会長ですよ。
驚くべきことですよ。
だけど、そういうところについては新聞やテレビはやらないのです。(中略)
2015年に「I am not ABE.」をやった。
安倍さんはトンでもないと言った。
それは正しかった。
それから、あのときに一番言いたかったのはマスコミが変わってしまったということです。
ガンジーの言葉を出して、とにかく、あなたたちがやっていることは無駄なことの連続かもしれないが、それをやらなくなると自分が変えられてしまうのですよという言葉を出して、それは古館さんにも伝えた。
それが今のマスコミが変われない。
そのまま続いてしまっているなというふうに思うので、やはり、そこに気が付いてほしい。
日本のマスコミ統制はたいしたことはない。
殺されるわけではない。
海外ならみんな殺されたり、牢屋に入れられたりする。
せいぜい、僕も庭に頭を割られたハクビシンの死体を投げ入れられたりとか、家を停電させられたり、というのはあったけど、決して体を傷つけられたり拘束されたりしたことはない。
望月氏 マスコミの状況はひどいと思っていたけれども、安保三文書が決まって以降は、公然と、その前の9月から防衛力強化を話し合う有識者会議のなかに、日経新聞の喜多恒雄顧問と、読売新聞の山口寿一さんと朝日新聞の元主筆だった、私もすごく尊敬していた船橋洋一さんが入っていて、そのなかで話し合った議論のなかでは、戦争の準備行為をしよう、武器輸出を解禁しようという話がでてきました。
そして、スタンド・オフ・ミサイルがないのであれば、当面、外国製のミサイルを買えとか、ほとんど準戦時体制に入るという内容の有識者会議での発言をしていたということが1月に(安保)三文書が決まった約1カ月後に分かったというのがありました。
このドキュメンタリーで描かれているときはまだまだ後ろでコソコソやっている感がありましたけれども、もはや堂々と安倍さんの亡霊を引き継いだ、妖怪の亡霊を引き継いだ岸田政権がメディアとともに、有事に備えよということをやって、人々の、市民の生活を圧迫して、見えない将来がますます暗くなってきたなと思っています。
異次元の子ども対策と言いながら、官房副長官の木原さんが、子どもの数が増えれば自ずと子どもに対するお金が増えていく。
出生率を増やすためにお金を増やすのではなくて、子どもが増えれば、それに合わせて子どもの予算が増えるという滅茶苦茶な話をしているのです。
これを見ても、妖怪の孫から引き継がれた今の岸田さんというのは、とにかく政権を維持して今のポジションから引きずり降ろされたくない。
それがために、もはや日本の国民の命をアメリカに突き出して、何か起きたときにはもうすぐに日本の本土が敵基地として狙われる。
そういう体制が着々と整えられていて、これにメディアのトップたちが関与しているという(状況)。
公然とやり始めたと思っています。
だから何よりも今の問題に気づくためには、この「妖怪の孫」を本当に多くの人たちに見ていただきたい。
良くも悪くもキャラクターが入ってきたり、内山さんの情けない葛藤が出てきたりとか、河村さんと内山さんと古賀さんの3人がつくり上げたすごく共感をもてる映画、ドキュメンタリーになったと思います。
今日見た方がダメ出しを含めて、「今、見なきゃ」というふうに多くの人が河村さんや皆さんの気持ちと連帯をしてくれるような発信をしていただいて、「おかしい」「これはそうではないのだ」という声も含めてもいいのですけれども、とにかく、このドキュメンタリーを見て、今の社会や政治を変えていく、考えていく一歩につながればと思っています。
古賀氏 国のかたちが変わります。
変わることが決まったという状況になっている。
これをひっくり返すのは大変なことです。
ずっと戦後70年以上、日本は軍事、軍備にはお金をかけない。
軽武装で行きますよ。
それは戦争を絶対にしないから。
絶対に戦争をしない前提があるから軽武装でいって、余裕がないのだから国民経済、国民生活最優先で生きていきましょうというのを60、70年ずっとやった。
それで日本はすごく発展してここまで来ました。
いまやっていることは何かというと、隅から隅まで財源を探して見つかったら、まず防衛費に当てますということになったのです。
その前提としては、戦争をするかもしれません。
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安倍元首相ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』、監督が制作秘話など語る
福岡の経済メディア NetIB-News 2023年2月28日
https://www.data-max.co.jp/article/62305
■『妖怪の孫』古賀茂明氏による分かりやすい解説 本編映像解禁
映画情報サイト「CINEMA MACTORY シネマ・ファクトリ―」 2023.03.14
■『妖怪の孫』内山雄人監督のオフィシャルインタビュー
SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)2023-03-10
■映画『妖怪の孫』内山雄人監督が語った撮影秘話
Yahoo!ニュース 2023/3/23
■マスゴミは報じてくれない!? 安倍元総理、生い立ちの秘密から選挙で圧倒的支持を得たワケ、現役官僚の本音を紐解く
[ムビコレ] 2023.01.30
■鈴木エイト、統一教会と安倍元首相との問題を知るためのガイドラインになれば
[ムビコレ] 2023.03.22
■映画『妖怪の孫』プロデューサー・古賀茂明 「”アベ的なるもの”に支配された日本の処方箋は、この映画では描けませんでした」
週プレNews 2023年03月17日
■安倍政治を検証した「妖怪の孫」監督「成熟した大人の言動とは思えない」
AERA dot. (アエラドット) 2023/03/17
■映画『妖怪の孫』――安倍晋三がもたらしたのは美しい国か、妖怪が棲む国か? 監督・内山雄人
長周新聞 2023年3月6日
■「昭和の妖怪」岸信介の知られざる素顔?安倍首相の祖父が目指していた国家とは?
週刊現代 2016.07.10 魚住昭
■「日本はとんでもない間違いをした」岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三…3代続く関係性から見える旧統一教会が目指した“国家宗教”
TBS NEWS 2022/09/24
■旧統一教会本部が岸信介元首相の自宅隣に。旧統一教会と政治家の長年の関係。名称変更の裏には圧力が?
古舘伊知郎/YouTubeチャンネル『古舘Ch』公式 2022/08/09
■安倍晋三、晋太郎、岸信介「岸・安倍家3代と旧統一教会」60年の知られざる関係
週刊ポスト 2022.07.15
■旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」…スパイ防止法を巡る歴史から闇を読み解く
東京新聞 2022年8月17日
■自民党と旧統一教会、共鳴の半世紀 岸信介元首相から続く歴史
朝日新聞 2022年8月6日
■岸信介元首相はCIAのエージェントだった
『週刊文春』2007年10月4日号
■岸信介とCIAの密接な関係 自民党にも金の流れ?
週刊朝日 2013/05/17
■岸、児玉、笹川にCIA。統一教会と自民を繋いだ「黒幕」たちの魂胆
まぐまぐニュース 2022.08.10
■CIAに支配され続けた日本政治の基本構造
「摘発される人・されない人」
「対米隷属路線を日本政治に定着させたのが岸信介元首相」
「財務省、警察庁、検察庁である悪徳ペンタゴンの中心に米国と自民党清和政策研究会が位置」
植草一秀(2010年1月21日)
■第二次安倍政権以降「自殺&不審死」リストを公表する
FRIDAY 2018年03月16日
■民放各社は米国に乗っ取られているのか
「民放各社大株主に米国系の投資ファンドが名を連ねている」
・外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%
「テレビ朝日が12.7%、TBSは13.34%」
日刊ゲンダイ(講談社)2015/11/09
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168954
■日本のテレビ局が外国資本に支配されている件。
Noboru Matsushita
2022年3月12日
■籠池、不正選挙システム『ムサシ』の闇を語る。ムサシの筆頭株主は安倍晋三だった。
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■【安倍晋三氏の甥・岸信千世氏】安倍元首相弟の岸信夫氏議員辞職へ、長男信千世氏が後継「『岸』の名前を確実に残すため」推測
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■「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?
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PR TIMES 2018年12月26日 株式会社旭屋書店 矢部宏治
■安倍元首相祖父・岸信介はこうして「極刑」を免れた~明かされるGHQ尋問の真相
「岸信介は同じA級戦犯容疑者ながら、翌年3月初旬まで一度も尋問を受けていない。GHQにとって、岸より木戸のほうがはるかに重要な人物だった」
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■安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!
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