「アクセラレーター」はご存知でしょうか。
まだまだ一般的ではなく、初めて聞く言葉という方もいらっしゃるかもしれません。
起業の際、またはアーリーベンチャーの段階で、ベンチャー企業の成長を促すプログラムです。
よくインキュベーターとの違いは何か、と聞かれることが多いですが、今回はアクセラレータープログラムについてお伝えします。
Contents
多種多様な業界の大企業が取り組む「アクセラレータープログラム」というものが広まっています。
Accelerator(アクセラレーター)とは、自動車などのアクセルをイメージすると分かりやすいかもしれません。
加速、加速装置、促進剤というような意味の英単語です。
つまり、ベンチャー企業(主に起業間もないアーリーベンチャー企業)の成長を加速、促進するためのプログラムです。
「アクセラレータープログラム」の開催者は大きく分けて3つに分かれます。
①大企業(事業会社)
②自治体、地方公共団体等
③ベンチャーキャピタル、金融機関等
中でも「アクセラレータープログラム」で注目されているのが、①大企業が開催者となっている場合です。
既に市場で多くの経験、実績、シェアを持っている大企業が、アーリーベンチャー企業に支援をする公的な「場」としては出会えるのは画期的です。
②の自治体、地方公共団体や、③ベンチャーキャピタル、金融機関等が主催する支援プログラムは古くからありますが、事業会社が積極的に増加していることは好ましい方向性ではないでしょうか。
「アクセラレータープログラム」は多くの場合、期間が設定されており、研修やセミナーなどを通し、ビジネスコンテストなどを開催しながら、事業プランのブラッシュアップを中心に進め、最終日に発表会で締めくくる、という流れが一般的のようです。
アーリーベンチャー企業は、非常に尖った「強みの部分」と、リソースなどの問題から「弱みの部分」が、それぞれ顕著であることが多々あります。
このような「強みの部分」を生かす方法、「弱みの部分」をカバーする方法など、俯瞰的、第三者的視点からプログラムを設定し、成長を促すことは非常に有意義だと思います。
プログラム終了後、大企業とベンチャー企業双方がそれぞれを理解し、双方の思惑が一致した場合、大企業は資金提供を行うことがあります。
つまり、起業間もないベンチャー企業が、大手企業をビジネスパートナーとし、かつ、資金調達できる可能性がある、というベンチャー企業にはメリットのある仕組みではないでしょうか。
それでは、この「アクセラレータープログラム」は、大企業側、ベンチャー企業側にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
大企業側のメリット、そしてベンチャー企業側のメリット、双方について検証します。
まずは大企業側のメリットからです。
大企業にとって成長の鈍化、市場縮小、売上減少など既存事業で課題を抱え、成長しにくくなっていることもあります。
大企業は「アクセラレータープログラム」を通して、この既存事業における課題解決、または既存市場の再拡大など、ベンチャー企業とビジネスパートナーとして提携することで解決できる可能性があります。
大企業は既存市場が成長鈍化、市場縮小している大企業も少なくありません。
人材や資金などが豊富でありながら、新しい事業が失敗するケースも多いのも事実です。
「アクセラレータープログラム」を通して、ベンチャー企業と提携することで、技術やアイディア、パテントなどを生かし、新しい事業分野への進出の可能性が広がります。
「大企業病」という言葉もあるが、大企業の風土として安定を優先し、リスクを回避する傾向があります。
新しい事業に挑戦しようとしない、または積極的に関与しないという考え方が多くの社員に根付いてしまいがちです。
このような風土を打破するために、ベンチャー企業のチャレンジする姿勢、考え方を常に取り入れる、近くで接することを仕組みとして取り入れること自体、大企業にとってメリットとなりえます。
既存社員は、多くの場合、メンターとして各ベンチャー企業と事業について接する機会が増えます。
一定期間内ですが、ベンチャーの刺激を受け、リスクテイクすることの重要性、チャレンジできる人材の育成の必要性など、改めて学べる貴重な機会となります。
「アクセラレータープログラム」の多くは、メンターと呼ばれる担当者社員と密接に話し合いが行われます。
ベンチャー企業にとっては、大企業が経験してきた実績、経験を学ぶことが可能となります。
業界内の慣習やNG事、成長するためのヒント、事業領域の立ち位置分析等、見えなかった視点からのアドバイスも得ることができます。
ベンチャー企業にとって大きな課題としては、資金調達の課題と信用面での課題があります。
「アクセラレータープログラム」をきっかけに、大手事業会社からの資金調達、または大手企業との資本関係を結ぶことで、信用拡大というメリットも実現する可能性があります。
特に起業間もないアーリーベンチャー企業にとっては、大手企業との資本関係が、その後の事業運営に大きなプラスとなることは間違いないでしょう。
大手企業とビジネスパートナーとなることで、大手企業が持っているリソースを活用できる可能性が広がります。
例えばですが、海外取引先ネットワーク力、販路、輸送力、情報力などを得ることができ、事業拡大のレバレッジを利かせることが可能となります。
※また、「アクセラレータープログラム」を活用することで、オフィスなどのハード面を用意してくれることもあります。
アクセラレーターとインキュベーターの違いについて混同されることが多くあります。
同じような印象を受ける方もいらっしゃいますが、どのような違いがあるのでしょうか。
以下、アクセラレーターとインキュベーターの違いについてです。
アクセラレーターは多くの場合、3か月から6カ月の期間設定があります。
インキュベーターは多くの場合、期間は設定されていません。
アクセラレーターは期間が設定されていることもあり、短期間で集中的に一定の分野をカバーしたプログラムを設定します。
大手企業の事業会社が主体となるアクセラレーターは、既存事業範囲に絞った特定分野のプログラムなどが主体となります。
インキュベーターの場合、資金調達などの財務面、企業運営や企業成長の在り方など、全体アドバイスに近いサポートが主体となります。
大手事業会社が主催するアクセラレーターは多くの場合、主催側の大手の事業会社の分野や市場に関係することが多いのも事実です。
一方、インキュベーターは世の中にないビジネスモデル、新規性の高い革命(イノベータ)を起すための事業が中心となり、特定の分野や市場に関係なく、イノベーションを重視しています。
つまり、事業会社が開催するアクセラレータープログラムを活用する場合、開催する大手事業会社の事業領域を意識し、双方にウィンウィンの関係になり得るのか、その先を意識することで、有意義な参加に結び付くのではないでしょうか。
以上、アクセラレータープログラムについてでした。
アクセラレータープログラムは、大企業とアーリーベンチャー企業と新しいビジネスパートナーとしての連携を生み出しうる仕組みとも言えます。
ベンチャー企業と大企業がウィンウィンの関係を築くことができれば、新しい市場を創造することも可能ですし、経済全体を活性化することも可能ではないでしょうか。
今、ベンチャー企業は資金調達だけでは、社会を変える存在には成長し得ません。
資金のみならず、業界ノウハウや取引ネットワーク、強固な信頼性を背景に、よりスピーディに成長することが重要です。
でも、アクセラレータープログラムの最大のメリットは、これ以外かもしれません。
最大のメリットは、本来、つながり合うことが少ない、未来を話し合える「人」と「人」が出会い、信頼で深くつながり合うことなのかもしれません。
【なぜ日本の食の安全基準だけが…
1985年日航機墜落事故!日本…
【日本会議と統一教会、そして勝…
【えっ!選挙に出るのに必要な供…