倒産!
起業家、ベンチャー企業経営者にとって、とても恐ろしい言葉ではないでしょうか。
倒産すると、何もかもすべてを失い、一生を台無しにしてしまう、そんな印象を持っている方も多いのではないでしょうか。
そもそも倒産とはどのようなものなのか、今回は「倒産」についてお伝えします!
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起業家、ベンチャー企業経営者にとって、気になる言葉の一つに「倒産」という言葉があるかと思います。
何となく怖い言葉ですね。
「倒産」は企業の経営破綻などをあらわす言葉として用いられます。
この倒産という言葉。
実は、「倒産」という言葉、明確な定義がありません。
驚きですね。
マスコミでの倒産という言葉をよく使われていますが、実はとても曖昧な言葉なんですね。
法律においても倒産という用語が用いられる例はありますが、倒産の一般的な定義を規定した法律はなく、さまざまな内容を含むものとして倒産という用語が用いられています。
あえて倒産を定義するのであれば、倒産とは、「会社などの法人や個人が経済的に破綻し、弁済期にある債務を一般的継続的に弁済できなくなること、またはそのおそれがある状態になること」であるといえるかもしれません。
つまり、支払うべきものが支払うことができなくなった状態ですね。
具体的には、官公庁のデータや信用調査会社などのデータ上では、たとえば、「銀行取引停止処分」があった場合、「内整理」が開始された場合、破産手続など「法的整理手続」が開始された場合などに、「倒産」として扱うものとなっています。
明確な定義がない倒産という言葉。
しかし、法律の中には、中小企業倒産防止共済法など「倒産」という言葉を含む名称の法律は存在しています。
たとえば、同法では、倒産とは以下の場合をいうものと規定しています。
この法律において「共済契約」とは,中小企業者が独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)に掛金を納付することを約し,機構がその中小企業者の取引の相手方たる事業者につき次の各号のいずれかに該当する事態(以下「倒産」という。)が生ずることに関し,この法律の定めるところにより共済金を貸し付けることを約する契約をいう。
第1号 破産手続開始,再生手続開始,更生手続開始又は特別清算開始の申立てがされること
第2号 手形交換所において,その手形交換所で手形交換を行つている金融機関が金融取引を停止する原因となる事実についての公表がこれらの金融機関に対してされること。
第3号 前二号に掲げるもののほか,過大な債務を負つていることにより事業の継続が困難となつているため債務の減免又は期限の猶予を受けることを目的とするものと認められる手続であつて,その開始日を特定することができるものとして経済産業省令で定めるものがされること。
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もっとも、これは「中小企業倒産防止共済法における倒産」を定義するもので、一般的に使われる「倒産」という言葉について定義したものとはいえません。
しかし、倒産とは何かを考えるに際しては、上記の中小企業倒産防止共済法における倒産の定義は参考になるかもしれません。
倒産という言葉はあいまいですが、大きく分けて、倒産は2つに区分けできます。
1つは法的倒産。
裁判所を通じ、法律に則って、法人などを整理する方法です。
会社更生法、民事再生法、破産法、特別清算の4つに分類されます。
もう一つは私的倒産。
裁判所などを通じることなく、私的に債権者と任意で話し合い整理を行うことです。
「内整理」や「任意整理」とも言われています。
また、手形や小切手の不渡り(指定期日に決済できないこと)を、同一手形交換所管内で6カ月以内に2回起こした場合、取引停止処分を受けます。
この銀行取引停止処分も私的倒産に含まれます。
なお、「廃業」は、資産超過で金融機関や取引先、従業員に金銭的な迷惑をかけずに事業を停止する場合を指し、倒産に該当はしません。
法的倒産は会社や企業などが倒産した場合で、債権者や債権額などが多く、第三者の仲介が必要な規模の比較的大きな会社が倒産した場合に、主に適用されます。
一方、私的倒産は、主に個人企業や零細企業など、債権者などが少ない比較的小規模な会社に、主に用いられます。
前述のごとく、法的倒産は4つに分類されます。
大きく分けて、会社を再建する「再建型」と、会社が消滅する「清算型」があります。
以下、4つの法的倒産です。
会社更生法は、企業が事業を継続しながら再建を図る「再建型」の代表格です。
株式会社を対象にして、更生計画策定等に基づき裁判所から指名された管財人が更生計画を遂行して再建を目指します。
主に大企業が利用。(中小企業は主に民事再生法)
原則として、選定されたスポンサーの支援を得て会社の経営を続けながら債務を弁済することとなります。
しかしながら、原則、現経営陣はすべて退任、新たな再建を目指し、裁判所に選任された更生管財人が更生計画を立てることとなります。
主に、中小企業向け「再建型」の法的手続です。
対象は株式会社や特殊法人、個人など幅広いのも特徴です。
倒産企業の経営者が引き続き経営にあたることができます。
大きな特徴は、債務超過や支払不能に陥っていなくても、その可能性があれば申請でき、会社更生法に比べ手続きが簡易であることも特徴の一つです。
再生計画認可の条件は「債権者集会に出席した再生債権者等の過半数で、債権総額の2分の1以上の同意」で成立します。
企業や個人が、財産を清算して消滅する「清算型」の法的手続きです。
会社更生法や民事再生法は、会社が存続し、再生を基本姿勢としていますが、破産法は会社を消滅し、清算するための手続きです。
現在、この破産法手続きが、倒産形態の約8割を占めます。
この③破産法適用と、以下④特別清算は「清算型」となり、いずれも手続き以後は会社がなくなります。
「清算型」は基本、③破産法適用を選択することとなります。
特別清算を利用できるのは「株式会社」のみで、「債務超過の疑い」があるときに行われる清算方法です。
破産ほど厳格な手続ではなく、会社側が選任した清算人が財産の処分を行えます。
特別清算の方が、手続きが簡易、かつ安価に清算することができますが、最大のポイントは債権者との話し合い、同意を得られるかどうかです。
よく使われる事例は、親会社が業績不振に陥った子会社を清算する場合、課税上の利益(債権免除の損金参入)を得るために利用されることが多いケースとなります。
特別清算自体、比較レアケースで、通常は破産法による清算が中心となります。
そもそも倒産という制度は、簡単に言えば、借金を踏み倒すシステムです。
法に則って、裁判所を通すだけで、借金を払わなくてよくなる制度なのです。
昔は倒産=自殺のようなイメージがあったかと思いますが、今では倒産も当たり前の時代。
世間の評判や周りの評価など気にしなければ、何も恐れることはありません。
ポイントは個人連帯保証。
当然、経営者は会社の借金に対し、連帯保証をしていますが、家族などに借金の保証人にしたりしていなければ、家族にもあまり迷惑が掛かりません。
倒産後、経営者が自己破産すれば、その個人が負うべき借金も踏み倒すことができます。
持っている資産(20万円以上の財産)は差し押さえとなってしまいますが、借金は無くなります。
つまり、マイナスがなくなり、ゼロになるだけです。
倒産という言葉はネガティブなイメージですが、実は多くの人が思っているよりダメージがないといっても過言ではありません。
強いて言えば、デメリットは、カードローンや銀行からの借り入れが10年間できなくなることくらいです。
普通に就職できますし、夜逃げするようなこともしなくていいのです。
当たり前ですが、自殺なんてもってのほか。
違う側面から見てみると、そもそも「倒産」とは、経営者を守ってくれる制度とも言えそうです。
実際私の周りでも倒産した経営者は何人も知っています。
ですが、今でも元気に過ごしています。
新しいチャレンジをしている方もいらっしゃいます。
やみくもに、「倒産」を恐れてしまう方も多いのかもしれませんが、それは「倒産」というものが分かっていないだけなのです。
知れば、何も恐れることはありません。
もともと「資産家」でないならば、尚更ではないでしょうか。
失うものがない、というのはある意味、強さにもつながります。
当然、新しいことにチャレンジすることはリスクを伴います。
しかしながら、そのリスクはどれほどのものなのか、どの程度の範囲なのか、「知る」ことで、自信をもって新しい一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。
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