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【具体事例】失敗したベンチャー企業を考察してみた!~インターネット通販コンサル企業~



過去出会ったベンチャー企業の中で、成功した企業、そして失敗した企業、様々ありました。

成功した企業は、まさに「運」で成功した企業もあります。

しかし、失敗した企業には、必ずその原因があるものです。

偶然成功した企業より、実際には失敗した企業から多くの学びがあるものではないでしょうか。

今回は失敗した企業についての具体的事例、その原因について考察してみました!

Contents

あるインターネット通販コンサル会社について

過去において、私が出会ったベンチャー企業の中に、あるインターネット通販コンサル会社がありました。

創業者は2名。

代表は元大手ネットショッピングモール会社出身の経営者でした。

代表はネット通販事業者誘致の営業をしており、同社でもトップレベルの営業マンでした。

もう一人の創業者は副社長

プログラミングを中心とし、主にサイト構築を担っていました。

メインの事業内容は、ネット通販事業者向けプロモーション事業

ネットショッピングモールなどに出店している通販事業者に対し、プロモーションを軸とした支援事業をメインに活動。

将来構想としては、自社モバイル版ショッピングモール構想を持っていたようです。

当時、ネット携帯通販が伸び盛りで、モバイルに特化した部分では画期的でした。

同社のすごいところは、売上伸長率

創業1年目で売上高1億円を突破、2年目で10億円を突破し、創業3年にして売上高30億円超え!

軽々と、売上高10億円の壁を越えたところは、目を見張るインパクトでした。

コアコンピタンスは、代表の営業力。

大手ネットショッピングモール会社時代に培ったノウハウを存分に生かし、ネット通販事業者向けに、様々な広告営業を広げていきました。

当時は大手ネットショッピングモールは絶好調。

ネット通販事業者も大幅に数が増えており、その多くの事業者が売上に伸び悩みの課題を抱えていました。

そこに、「モバイル通販」という武器を提案し、影響力のある広告をラインナップ。

特に強みはプッシュ型広告

中でもメール配信広告が主力でした。

当時、携帯はF1層、つまり10代や20代の女性が大きなマーケット層でした。

アパレルや美容に強みを有し、顧客も広告配信先も、同分野でスタート。

提案する広告枠も、扱う商品としっかりとピントが合っており、入稿する商品は、支払う広告額以上に収益を上げており、顧客である通販事業者、そして協力会社である広告配信事業、そして同社の3社はすべてウィンウィンの関係となり、業績を大幅に伸ばしました。

さらに、同社が業績を伸ばした背景がもう一つ。

同社は広告以外にも、商品販売を自ら手掛けたことも売上を拡大につながります。

売上が伸び悩む通販事業者に対し、売れ行きの良い商品を提供し、商品と組み合わせて広告入稿を取り付ける、ダブルインカムを可能としたことです。

自社商品や他社商品を通販事業者に販売し、さらに広告収入を得る。

顧客である通販事業者数が増えることで売上が拡大、持ち前の営業力を存分に生かし、急成長を可能としたのです。

分析してみた!6つの失敗原因!

同社が失敗した原因について、6つに区分けしてみました。

それが以下です。

①時代の変化への対応

急成長した市場は、急激に縮小するというリスクを抱えます。

同社の場合、モバイル通販に特化していました。

当時、PCからモバイルへ、大きく市場が動いていました。

その流れが、今後も続く、と思われましたが、当時普及してきたのが「スマートフォン」。

apple社からiPhoneが発売され、徐々にガラケーからスマホへ、ユーザーが移行しつつありました。

モバイル通販は、モバイルならではの広告、メール配信広告を強みに成長してきました。

ところが、スマホユーザーが増加

PCと同じ環境が手に入るスマホは、モバイル広告とは異なるプロモーション手法が有効となります。

モバイルからスマホへの時代移行、この流れをしっかりと把握することができなかった、とも言えそうです。

つまり、スマホ時代の到来、市場動向が大きく変化したことも一つ大きな背景でした。

②流行というリスク

前項にもつながるところがありますが、モバイル通販の主役は当時、F1層(10~20代の女性)が中心ターゲットでした。

通販商品構成も、アパレルと美容の2軸が主流。

この分野ではリーディングカンパニーでした。

モバイル通販のメイン層を抑え、広告から商品に至るまで手掛け、一気に売り上げを伸ばします。

アパレルや美容分野をF1層に訴求する技術、これが業績拡大の重要ポイントでした。

ところが、この分野での成功体験に縛られ、他分野への展開を怠ったことは、業績不振を招きます。

もともとF1層は、興味関心のスピードが早い傾向にあります。

その中、組織全体として過去の手法にこだわり、新たな手法の開拓を怠ったように思います。

③売上至上主義

代表の考え方として「大きなものはすべて良い」という考え方が背景にあったように感じます。

この考え方が、売上至上主義に結び付きます。

粗利率や収益性をないがしろにし、取り扱う商品やサービスは「売上」という概念を優先し、圧倒的連続増収を実現させます。

一方、商品を扱う業態であることから、低い粗利率の商品も多数存在します。

さらに、商品を置いておく倉庫、その商品の配送料など、経費も増加してきます。

収益性とコストという意識を持たないまま、ただひたすらに売上を求め、目標設定は売上一本。

組織全体として「売上」だけに縛られた思考で運営されていきました。

④発散した事業展開

構造的な問題として、事業展開の課題を抱えていました。

売上の中心軸は「広告」と「商品販売」の2軸でしたが、その他、事業が2つありました。

創業以来続けてきた自社メディア事業と、通販事業者向けの人材紹介事業です。

自社メディア事業はBtoC事業で、モバイルマンガ配信などです。

そして人材紹介は、支援している顧客の通販事業者の課題解決方法としての人材紹介です。

苦し紛れに始めたショッピングサイト構築事業も合わせて、合計5つの事業を手掛けます。

5つにまで拡大した事業。

結果、リソースを分散する形となってしまいました。

⑤肥大化したバックオフィス

創業から連続増収を可能とし、3年目からIPOを意識します。

経営企画部を発足、株式公開のための人材を増員させます。

同時に、人事、総務も増員、非収益部門への人員は大幅に増加してしまいました。

もともと営業に強みのあった企業にも関わらず、営業以外の人材が約半数を占めるまでに至り、減収に転換した際、あっという間に赤字企業に変貌してしまいました。

⑥ブラック的社風

もともと営業出身の代表は営業会社そのもの、イケイケの社風でした。

代表がやんちゃだったこともあり、集まってきた社員もやんちゃ人材が中心。

元ヤンキーや素行に問題のある社員が多かったのも事実です。

残業も多く、営業社員が非常に厳しいノルマを達成するために日を跨ぐ時もありました。

ノルマを達成できない社員は在籍していられないような社風を作り上げ、ノルマ達成のために、顧客本位の姿勢ではない営業社員も多く見受けられました。

その後の動向・・・会社消滅へ

創業以来、4期連続の増収を続け、売上高40億円近くにまで急成長したにもかかわらず、5期目以降は減収に伴い、人件費を吸収できず、すぐに赤字に転落

その後は3期連続の減収と3期連続の赤字を計上。

人員削減、リストラなど手当てを行うも、時すでに遅し。

大幅赤字を計上し、蓄積した自己資本を食いつぶし、債務超過へ。

副社長が別会社を設立し、同社は消滅することになりました。

最大の要因とは何か?

まずもって、考察するうえで、同社について素晴らしい点があります。

それが何もない、ゼロから創り上げた点です。

多くのベンチャー企業はそうかもしれません。

同社もスタートアップ時、知り合いの会社の事務所の一角を借りて創業しています。

ゼロから売上40億円近くまで作り上げた、そのパワー、ポテンシャルには、まずもって敬意を払いたいと思います。

そのうえで、何が足りなかったのか。

または、何が多すぎたのか。

時代の潮流に乗って急激な成長を遂げたものの、市場への変化に対し、過去の成功体験から抜け出せず、既存マーケットに固執してしまったことも要因の一つです。

そして、売上拡大に注力するあまり、事業を多角化し、コスト意識を持たないまま、バックオフィスなどの組織を肥大化こともそうかもしれません。

しかし、最大の要因、それは代表個人の考え方ではないでしょうか。

親分肌の代表は、周りのブレーンをイエスマンで固めてしまい、自らの考え方を顧みることがなかったことかもしれません。

拡大志向一直線。

代表を慕ってきたやんちゃな人材達も、自分の立ち位置となる既存の事業に固執、新たな展開への思考まで及ぼなかったことも大きく影響したと思われます。

創業代表個人の思考、考え方は組織全体の細部にまで及びます。

「何を」大切に運営し、「何を」目指して進んでいくのか。

企業運営において、最も重要な部分かもしれません。


arashidaisuki

2,000社以上訪問してきた東証一部上場企業のベンチャーキャピタリストです!「新しいことに挑戦する人を一人でも増やしたい」をフィロソフィーとして、元気や勇気を贈ります!元気になれる「ベンチャーブログ」と様々なニュースや為になる記事の「コラム」の二種類で更新していきます!

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