専門職大学。
ご存知でしょうか。
国が55年ぶりに作る大学制度で生まれる新しい大学です。
専門学校でもない、大学でもない、新たな大学制度です。
今回は専門職大学、そして大学のその意義についてお伝えします!
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新たな大学制度、ご存知の方も多いかと思います。
2017年5月、学校教育法の改正によって「専門職大学」および「専門職短期大学」の創設が決まりました。
なんと、大学制度に新たな区分が創設されるのは、1964年度の短期大学以来、実に55年ぶり!
凄いですね。
何がすごいのか、それは55年もの間、改革がなかったという大学制度、そのものではないでしょうか。
これだけ世の中の流れが速い昨今。
55年もの間、大きな改革がなされなかったことが、ある意味、すごいと言えそうです。
専門職大学は、2019年4月よりスタート、日本の大学の制度体系は、「大学」、「短大」、「専門職大学」、「専門職短大」の4種類で構成されることとなります。
今までの大学や短大は、学問を深く研究する学校という位置づけ、専門学校は将来の就職に向けて技術を身につける学校という位置づけでした。
ですが、専門職大学は、産業界と連携しながら専門的なことを広く実践的に学ぶ学校として設立されます。
つまり、就職に対し、より実践的な学ぶ場として、専門職大学が創設されるわけです。
専門職大学の大きな特徴の一つが「大学」の枠組みの中に設置されることです。
卒業すると「学士(専門職)」(専門職短期大学は「短期大学士(専門職)」)という学位が得られます。
専門学校と大きく異なる点としては、大学卒業者と同等の「学士(専門職)」が得られながらにして、より専門的知識が得られ、即戦力人材として企業のニーズに答えられる点です。
授業は大学で学ぶ教養以外に、業界で実際に仕事をしていた実務家教員による授業や、企業での長期にわたる実習などが行われ、旧来の大学と比べて、選択した分野においては、より実践的で具体的な授業内容となります。
2019年度開設を目指し認可申請しているのは専門職大学13校、専門職短期大学3校。
いずれも私立で、分野は工科、ファッション、保険医療、医療福祉、看護保険などで医療系が目立ちます。
今後は、観光、食と農業、IT・コンテンツなどの分野が中心になると想定されます。
2017年11月時点で設置認可を申請した専門職大学は13校8学部44学科で入学定員は4,201人、ほかに2年次編入学定員18人、3年次編入学定員10人。
専門職短期大学は3校3学科で、入学定員は190人、ほかに2年次編入学定員5人となっています。
国際工科専門職大学(東京・愛知・大阪)
国際ファッション専門職大学(東京・愛知・大阪)
専門職大学 東都学院大学大(東京・神奈川)
東京医療福祉専門職大学(東京)
東京専門職大学(東京)
金沢専門職大学(石川)
名古屋医療福祉専門職大学(愛知)
京都専門職大学(京都)
大阪医療福祉専門職大学(大阪)
島根保健福祉専門職(島根)
岡山医療専門職大学(岡山)
高知リハビリテーション専門職大(高知)
福岡専門職大学(福島)
ヤマザキ動物看護専門職短期大学(東京)
日本歯科専門職短期大学(静岡)
大阪調理専門職短期大学(大阪)
このように、既存の専門学校の運営母体が専門職大学へ進出する傾向が強くあります。
旧来の大学が専門職大学創設することは可能ですが、その傾向は今のところ見当たりません。
そもそも専門職大学の制度の背景には、一部専門学校側の政治的な背景も垣間見られます。
大学制度への参入を願った専修学校関係者がつくる全国専修学校各種学校総連合会は、その政治的ポジションを見れば、自民党の有力な支持母体。
専門学校の地位向上を願う、専門学校団体が強力に推進した背景があると言われています。
ただ、客観的に見た場合、より専門的、より実践的な知識や経験が培われるのであれば、企業側から見ても多くのメリットがあるはずです。
また、就職を目指す学生にとっても、大学と専門学校という選択肢以外に、専門職大学という選択肢ができたことは、喜ばしいことかもしれません。
55年ぶりの大学制度改革、「何も学んでいない4年間」という学生を減らすことができるか、新たな仕組み作り、期待したいと思っています。
しかし、ここで問題となるのが、大学の存在意義です。
そもそも大学の意義とは何でしょうか。
大学とは何か、改めて考えさせられる問題ではないでしょうか。
就職?
学問を究めるためでしょうか?
仲間作り?
受験戦争の休息の場?
職業能力向上、という目的であれば、専門職大学の方がカリキュラム的には有利なはずです。
ですが、今のところ、専門職大学の人気がうなぎのぼり、という話は聞きません。
マスコミもあまり多く取り上げている様子も見られません。
まだスタート前であることも、注目されていない大きな理由ですが、今後大きな壁となってくると予想されるのが、ブランド志向日本。
「ブランド志向」が強い日本社会は、やはり有名学校卒業生を尊重する傾向は強いかもしれません。
実力や経験より、ブランド?と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
少し違和感がありますが、実際多くの大企業は「実」より「名」を取ることも多くあります。
旧態依然の思考ですが、〇〇大学派閥というような風土を抱える企業は、今のこの時世でもあることは事実です。
しかし、この考え方もいずれは少数派となっていくことは考えられます。
ベンチャー的素養の強い大企業では、そもそも採用基準を大学卒業者に限定していない形態も見られ始めました。
新卒者採用すら中止する企業も出てきました。
つまり、完全に実力重視の採用。
実力があれば、60代でも採用。
例え、20代新卒でも幹部並みの給与さえ可能な時代です。
時代の流れは確実に就職事情を変えてきています。
今必要なのは、実力、即戦力。
漠然とした汎用的教育を受けた人は、「何もできない人」という評価を受ける時代と言えるのかもしれません。
実力社会のビジネス社会。
実力を、即戦力を求める企業側のニーズは今後ますます強くなると思われます。
旧来の大学の学部、そのものも変わっていく必要があるのではないでしょうか。
今までの大学は、「文学部」「経済学部」「工学部」など、非常に曖昧な学部が多かったと言えます。
まさに学問のための学問の場?とも言えそうです。
「学士」という勲章を得るための形骸化した時間。
「文学」や「経済」といった、漠然とした内容の授業を受け、漠然とした知識を習得することにおいて、限られた人生の時間を無駄にしていたともいえるかもしれません。
「何となく経済一般の勉強をしてきました」という学生と、「AIについてプログラミング技術を磨いてきました」という学生、どちらが求められる人材でしょうか。
働く現場では、「広く浅い知識を持っている」ということは、「何も知らない」と紙一重です。
社会で稼ぐ力。
今、大学進学において「将来の夢」とセットで進学する時代。
初等教育、中等教育、教育そのものが根底から見直されているのかもしれません。
最近では小学生が英語教育を開始したり、ITの基礎的リテラシーに関する授業も開始しているそうです。
大学や高校の専門教育化が推進することで、小中学生の意識も変わることが必要かもしれません。
そのために必要なことは、早い段階での将来設計。
そういえば、以前、村上龍さんの「13歳のハローワーク」が有名になりましたね。
早い時期から、自分の「夢」は何か、自分を見つめることが重要になってきているのかもしれません。
そういえば、日本は昔から「元服」と言われる儀式がありました。
ご存知、日本で成人を示すものとして行われた儀式ですね。
おおよそ数え年で12~16歳の方が「大人」として認められてきました。
16歳と言えば、中学校卒業の頃。
つまり、日本古来「元服」の概念では高校生からは大人なんですね。
自分の人生を自ら選択すべき時期です。
細分化、専門化される教育。
中学校卒業と同時に、進路を、将来設計を明確にする時代かもしれません。
専門職大学、今のところ、あまり話題には上っていません。
あまり注目されていないことは少し残念です。
ただ、55年ぶりの大学制度改革。
旧来大学の存在意義が問われる中、新たな学部創設など、旧来大学の意識改革に少しでも寄与できれば、専門職大学創設の意義はあると言えるのかもしれません。
そして、専門職大学という選択肢を提示された、子どもたちと親御さんたちの意識の変化。
旧来大学の意識、家庭側の意識。
この2つの意識を少しでも変えることができれば、一つの成功と言えるのかもしれません。
学ぶとは何か。
働くとは何か。
今一度、深く考える機会となってほしい、そう願っています。
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