今、TOYOTAが揺れています。
2012年から4年連続で世界首位を維持してきた世界企業TOYOTA。
ついに3位に転落。
今回はトヨタ世界販売3位の衝撃とともに、EV革命、そして代表豊田章男氏のポリシー、今トヨタが新しいことへの挑戦する姿勢についてお伝えします!
Contents
「トヨタ世界販売 3位に後退!」
速報!ニュースが流れてきました。
あの世界のトヨタが2位から3位に順位を下げました。
トヨタは2012年からは4年連続で世界首位を維持していたものの、一昨年2016年にはドイツのフォルクスワーゲンに首位を譲り、2位に転落。
昨年2017年はカルロスゴーン率いる日産とフランスのルノーのグループに2位の座を奪われ、3位に転落しています。
理由は中国での販売が伸びなかったことです。
もともとドイツやフランスなど欧州は中国と関係が緊密。
中国政府が欧州メーカーを優遇している背景はありました。
アメリカ、そして日本のメーカーを遠ざけているという中国の思惑も一部ありました。
でも、日本を代表する一流企業トヨタが、3位後退は多くの人はショックだったのではないでしょうか。
トヨタの3位転落。
しかし、この転落劇、これはトヨタが敢えて選択した「戦略」だったと個人的には思っています。
この結果は当然、想定内のはずです。
トヨタは変革しようとしている、その時期として位置付けているのはないか、そう思っています。
つまり、「踊り場」。
階段にある、あの「踊り場」です。
ベンチャー企業にもよくあるのですが、急成長する企業が一旦売上げが伸び悩む段階があります。
しかし、この「踊り場」は次なる成長への切り替えに非常に重要な意味を持ちます。
例えば、人間がジャンプするために、一旦膝を屈伸して、タメを作り、そして大きくジャンプします。
その「タメ」にあたる時期です。
ベンチャー企業にとっての「踊り場」は、多くの場合、第二事業の創造であったり、個人経営から組織運営への転換期など、企業としての構造的な変革時期に当たります。
では、なぜ、現代表豊田章男氏はこの「踊り場」を敢えて作ったのでしょうか。
豊田章男氏はクルマ好きでも有名です。
「モリゾウ」という愛称があり、その名前でニュルブルクリンク24時間レースや国内ラリーに、ドライバーとして出場してきました。
現在でも積極的にテストコースに現われては開発車に試乗をすることでも知られ、テストドライバーの成瀬弘氏に直訴してドライビングの手ほどきを受けたというのも有名な話です。
豊田章男氏は、以下のように述べています。
「社長になってから運転機会は減りましたが、新型車の乗り心地やデザインなど含めて私自身が運転確認して常に最良の商品をお届けすることが自動車メーカーの経営トップの使命と考えています」
また、以前TV出演した「カンブリア宮殿」では、このように語っていました。
「私が社長に就任する前から、トヨタの役員たちはそれぞれの分野のプロばかり。日本を代表する有能なマネジメントのプロフェッショナルばかりです。だから敢えて、私は「クルマの楽しさ」を社内外に伝え、発信していくことが重要であると考えています」
リーダーとして重要な素質。
それは変えてはならないブレない軸、理念です。
トヨタと言えば、日本を代表する大企業。
トヨタの営業利益は、国家税収でいえば、世界ランキング17位のスイス、18位のオーストリアと同等レベル。
そういう国家予算と見紛うレベルの決算を叩き出している超優良企業です。
その役員は当然、日本を代表するような優秀な人物ばかりです。
そのなか、豊田章男氏は、社長として何をすべきか、理解している人ではないでしょうか。
豊田家の豊田章男氏は単なる跡継ぎ社長ではないようです。
トヨタは昨年2017年11月劇的な組織改革を実施しました。
副社長の新任が3人。交代が1人。
専務の新任が5人。交代が6人。
常務の新任が13人。交代が7人。
まるで企業買収にでもあったような大改革と言えそうです。
なぜでしょうか。
背景にあるのは自動車業界を取り巻く環境。
英政府は2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表しました。
ドイツでも2030年までにガソリン車などの販売を禁止する決議が国会で採択されています。
欧州でのガソリン車規制はさらに加速し、その流れは中国も顕著に表れています。
ガソリン車規制は世界に展開していきそうです。
待ったなしです。
この規制ではハイブリッドも対象となります。
つまり、トヨタの主力販売ハイブリッドも通用しません。
全面EV化という現実が迫っています。
豊田章男氏はこのように述べています。
「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもない。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている。」
トヨタはこのところ“むやみに規模の拡大を追わない”戦略を進めているようです。
電気自動車化されることで、自動車という概念、コンセプト、意味そのもの自体が変わる可能性があるからです。
例えば、部品数です。
ガソリン車は通常10万点以上の部品をもって製造されています。
それが電気自動車となると、1万点ほどで製造できると言われています。
10分の1!
取引先数も劇的に変化します。
軽量になれば、販売する場所も広がります。
家電量販店やドン・キホーテでも販売されるかもしれません。
すべてのガソリンスタンドがEVスタンドとなる可能性があります。
道路の構造が変わる可能性もあります。
公共投資そのものも影響しますし、国家運営の考え方を再構築する可能性すらあります。
全世界的に。
今、電気自動車は旧来の自動車メーカー以外の新規参入も進んでいます。
グーグルやダイソン、アップルなどの海外勢、パナソニックやヤマダ電機、DeNAなどの国内企業も参入し始めています。
EV向け部品を製造している、国内大手の電機モーター会社には、世界各地から名もないベンチャー企業からの新規取引要請が相次いでいるそうです。
EV革命。
TOYOTAと言えども、まさに生き残りがかかっています。
話を戻します。
なぜ、トヨタが「踊り場」を敢えて作ったのか。
自動車メーカーという枠以外への拡大を社内外に周知させているのではないでしょうか。
「自動車メーカーとしての販売規模だけを目指さない」ということのメッセージに感じます。
自動運転技術、カーシェアリングやライドシェア、ビッグデータ、AI技術など新しい分野への展開。
つまり、販売台数ではなく、価値創造。
EVベンチャーテスラとの資本関係解消は残念なニュースの一つでしたが、今、トヨタは生まれ変わろうとしています。
危機を危機と認識していること。
経営者にとって重要な素質の一つです。
トヨタは今、新しいことに挑戦し、生まれ変わろうとしているのではないでしょうか。
豊田章男氏の名言を贈ります。
次の100年も『愛』をつけて呼んでもらえるモビリティをつくり、すべての人に移動の自由と楽しさを提供するために、トヨタに関わる全員が、心をあわせて、チャレンジを続けていく
何もやらないと企業はそこで止まる。だからこそ体力とチャンスがある間に、いろんなことにチャレンジしなければならない。
何が起きるかわからない激動の時代。だからこそ、変えてはいけないブレない軸と、未来のために今を変える覚悟を持つべきだ。
豊田章男
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