どんな人にも才能は必ずあるものです。
社員一人一人その個性を最大限発揮することはベンチャー企業にとっても非常に重要です。
弱みとは、裏返すと強みであったりします。
今回は障害者雇用から働きやすい職場作りのヒント、そして様々な人材が活躍するための考え方についてお伝えします!
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「レインマン」という映画はご存知でしょうか。
ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ主演で有名となった、1989年公開作品です。
ダスティン・ホフマン扮する主人公レイモンド・バビットは自閉症、かつサヴァン症候群という設定でした。
このレイモンドには、実在するモデルの方がいました。
それがキム・ピーク(Kim Peek)です。
ユタ州出身で2009年に亡くなられています。
サヴァン症候群とは、主に発達障害(自閉症スペクトラム)のある者のうち、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する方を指します。
サヴァン症候群の方は驚きの能力を持っています。
それが、脅威の「記憶力」。
キム・ピークもその能力の持ち主でした。
読んだ本の内容、一字一句、完璧に覚えていたと言われます。
その数、何と……9,000冊!
更に、キム・ピークは初めてあった人でも、生年月日を聞くと、その日の曜日を瞬時に答えられるという能力がありました。
すごいですね。
自閉症であるキム・ピークは人と会話するとき目も合わせることができません。
靴下も一人で履くことができません。
でも、計り知れない能力を持っていました。
そういえば、日本では山下清もがサヴァン症候群といわれています。
ドラマ『裸の大将』(東宝)でも有名ですね。
日本各地を放浪し、その驚異的な記憶力をもとに作成した「貼り絵」はまさに芸術でした。
チョークの製造会社に日本理化学工業という会社があります。
神奈川県川崎市にある中小企業です。
この会社の特徴、それが障害者雇用です。
従業員は、なんと約70%が知的障害者。
しかも重度知的障害者の方が半数以上を占めているそうです。
この障害者雇用を推進している人が、会長の大山泰弘氏。
障害者を初めて雇用したのが、昭和34年。
一生懸命働く姿に心を打たれ、次第に障害者を雇用を推進するようになったそうです。
今では労働力の中心は障害者。
貴重な戦力となっています。
また、日本理化学工業は、昔ながらのチョーク製造会社からの脱却も試みています。
現在注力している新商品は粉が出にくい、ホタテ貝殻配合の「ダストレスチョーク」。
ガラスやお風呂で書いて遊べる「キットパス」という商品も投入しています。
障害者雇用をこれだけ実施しながらも、新しいことに挑戦し続けています。
昨今、目にするダイバーシティ経営。
女性や高齢者、障害者などの雇用、活用が注目されています。
中でも障害者雇用は、行政も力を入れている分野の一つです。
その背景から、企業は「障害者法定雇用率」という制度で、障害者雇用促進法で義務付けられています。
「障害者法定雇用率」とは、企業が全社員数の内、障害者を必ず一定比率採用しなければならないという制度です。
この障害者法定雇用率は継続的に引き上げられており、以下のように推移してきています。
・ 1997年 1.6%→1.8%
・ 2013年 1.8%→2.0%
・ 2018年 2.0%→2.2%
・ 2021年 2.2%→2.3%
例えば、法定雇用率2%、1,000人の社員の場合、内20人(2.0%)以上を障害者手帳保持者の雇用を義務付ける、という制度です。
この障害者雇用比率が継続的に引き上げられているのが政策として打ち出されています。
障害者法定雇用制度は、50人以上の企業に対し義務付けられています。
この雇用率の数字が未達成となりますと罰則があります。
それが「納付金(罰金)の支払い」と「社名公表」。
未達成企業には、1人あたりの雇用不足分の納付金(罰金)を命じ、改善しない企業には行政からの指導が入り、最終的には厚生労働省ホームページから社名公表に至るという制度です。
この納付金についてわかりやすくご説明いたします。
納付金(罰金)額は1人不足分につき、月額5万円(年間60万円)となります。
少し事例で見てみましょう。
(例)【納付金計算】社員数500人規模で現障害者雇用人数が6人の場合
・障害者必要雇用人数:10人
・現雇用人数:6人
・不足分:4人
・1人当たりの納付金5万円/月
不足4人分×納付金5万円/月=20万円/月(年間240万円)の納付金が支払い対象となります。
しかしながら、この納付金(罰金)を支払うだけでは免責とはなりません。
改善しない企業には行政指導(雇入れ計画作成命令)から特別指導がなされます。
それでも改善しない企業は、厚生労働省ホームページより「未達成企業」として社名公表に至ってしまいます。
仮に社名公表に至った場合、どのようなデメリットが企業にあるのでしょうか。
以下、社名公表となった場合のデメリット例です。
・ ブランドイメージダウン
・ 自治体や行政からのイメージダウン
・ 社員の意識低下(特に優秀な人材からの印象低下)
・ 取引先からの評価低下(顧客、クライアント、仕入れ先、外注先等)
・ 金融機関からの評価低下
・ 株価下落
など
特に株式公開企業や、企業ブランドを意識している企業、BtoC企業にとっては、大きな痛手となってしまいます。
企業としては、障害者法定雇用率は必ず達成しなければならないものでもあり、放置することができないものとなってきています。
企業にとって、様々な障害者を受け入れる体制作りが必要となります。
障害者には軽度の方や、重度の方、身体障害者から精神障害者にいたるまで、様々な方がいらっしゃいます。
軽度の方でしたら、一般オフィスや現場での活躍も期待できます。
しかし、昨今、人材不足そして法定雇用率上昇の背景から、障害者採用も活況の状況となってきました。
軽度以外の中度や重度の方々、また増加傾向にある精神障害者の方々の就業施策も進める必要が出てきています。
そのため、様々な障害者の方々が働きやすい環境を整備する必要性が企業側に求められています。
障害者雇用を推進する上で、安定雇用するため様々な取り組み方法があります。
以下、障害者雇用を推進するための取り組み方法の一例です。
通常は、一般社員と変わりなく、採用から定着まで特に配慮することなく雇用します。
オフィスで一般事務業務を実施したり、倉庫や工場での作業系、営業などの外回りもできる方もいらっしゃいます。
多くはハローワークからの紹介で入社しますが、人材紹介会社から専門能力を有する方を雇用する方法もあります。
一般部署に配属するのではなく、一定の部署やチームで構成し、障害者サポートを厚くすることで体制を安定化させる方法です。
配慮できる環境を整備し、中度障害者や重度障害者の方々も能力を発揮しやすい環境を構築する方法です。
障害者サポート経験者が管理することで手厚いサポートが可能であったりします。
例えばですが、以下のようなチーム体制です。
・資料作成チームを聴覚障害者中心に組成
・清掃チームや梱包チームを知的障害者を中心に組成
などです
最近進められているのが、在宅雇用です。
女性や高齢者雇用の対策の一つとしても注目されています。
通勤などにハードルのある重度障害者も雇用ができ、人材競争の激しい都心以外の雇用が可能となるメリットがあります。
別法人を立ち上げる施策もあります。
障害者雇用促進法で認められている特例子会社制度と呼ばれるものです。
主に大手企業が推進する障害者雇用で、グループ会社として子会社を設立(既存の子会社を認定する方法もあります)し、その子会社が障害者雇用を中心的に推進する方法です。
・グループ全体で雇用人数を算定できる(障害者向け業務が多い法人に雇用を集中することができる)
・親会社と異なる柔軟な就業規則などが適用できる
・設立に助成金が適用できる
・法人設立や既存法人の認定などの手間がかかる
・簡単にやめることができない
・多くの場合赤字企業となるため、グループ決算で目立ってしまう
ただ、昨今、この特例子会社制度を利用する企業数は減少傾向にあります。
理由としては、大手企業で特例子会社設立が一巡したことと、助成金額が減額されたことが背景にあります。
特例子会社制度は子会社数が多い企業で、かつ、それぞれの子会社が障害者雇用の課題を有する場合、有効に作用します。
上記以外にも、様々な障害者雇用を実現している事例があります。
以下事例です。
・飲食店(ベーカリーショップなど)を運営する
・農業で雇用する
・障害者アスリートを雇用する
など
障害者の方々が長く安心して働ける環境整備は、企業にとって欠かすことにできないものとなりつつあります。
しかしながら、これは障害者雇用に限りません。
障害者が安心して長く働ける会社は、子育て女性や高齢者、外国人などにとっても同じであるはずです。
そして、もちろん一般社員にとっても同じではないでしょうか。
障害者雇用推進は働きやすい環境への改善が求められるがゆえ、企業組織、各種制度そのものを柔軟にする効用があります。
働きやすい環境は、社員全員それぞれが、様々な能力を最大限発揮してくれるのではないでしょうか。
昨今、大手企業を中心にダイバーシティ(多様性)の考え方が広がってきています。
なぜ、今ダイバーシティが必要なのでしょうか。
もちろん、人材不足も背景かもしれません。
国の施策で義務的に進めている企業もあるのかもしれません。
しかし、ディフェンス面だけではありません。
企業のマーケット戦略や、魅力的な組織体制作りなどにも非常に重要な意味を持っています。
例えば、マーケット戦略。
今や商品開発や販売戦略において、多様な多角的な視点が必要になっています。
グローバル化、IT化などを背景に、大衆消費社会が過ぎ去り、商品やサービスは「多様化」「商品寿命短期化」が進んでいます。
爆発的ヒットも少なくなり、人それぞれの好み、嗜好性が事細かく分岐されています。
性別、年代、嗜好性、地域性など。
変化する市場、変化するニーズへ柔軟に対応する能力が企業に求められます。
「多様化」したニーズに答えられる企業はその「多様化」した価値観を理解できる人材が必要です。
女性向け商品であれば、女性目線での製品開発が必要です。
海外からの旅行者が増加したならば、外国人目線でのサービス開発が必要となります。
高齢者など体の不自由な人が増えたならば、体の不自由な人の目線が必要となります。
メンタル不調者が職場で増えたならば、メンタル不調者やその経験者の目線が多いに役立つはずです。
女性や外国人、高齢者や障害者の目線による商品・サービス開発は「多様化」した顧客ニーズにおいて非常に重要な意味を持つと言えるのではないでしょうか。
「社会全体のニーズが多様化する」中において、一つの価値観で企業運営することはあまりにもリスクは高いと言えます。
残念ながら、現状では、女性や高齢者、外国人採用も人材不足の単なる埋め合わせとして考えている企業も多く見られます。
しかし、その価値観が既に古いのかもしれません。
今、障害者、女性、外国人、高齢者が、組織の柔軟性のみならず、事業そのものの新しい未来を創造できる人材の一人として考えることができるのではないでしょうか。
名言を贈ります。
【人間の4つの幸せ】 人に褒められること。人の役に立つこと。人に必要とされること。人に愛されること。
大山泰弘
障害者から幸せを頂いている、感謝している。ありがとう。
大山泰弘
他の人との違いを認めて、それを尊重しよう
キム・ピーク(Kim Peek)
人はみな、神様からなんらかの才能を与えられています。だから、才能のことを英語で「ギフト」と表現するのです
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