会社を探偵する会社があるのを知っていますか?
会社を探偵?
探偵と言いつつも、会社を調べる会社です。
今回はこの信用調査会社という謎の会社に迫ってみます!
Contents
「信用調査」という言葉をご存知でしょうか。
一般の会社で総務経理部や営業部などで働いた経験がある方はご存知かと思います。
新しく取引を開始した会社や、立ち上げたばかりのベンチャー企業など、取引において安心できる企業かどうかを調査することです。
企業を調査する企業があります。
企業の探偵会社!
今の日本では大きく2社「東京商工リサーチ」と「帝国データバンク」が全国規模で活躍しています。
この会社は信用調査会社と言われています。
それでは、なぜ、会社を調べる必要があるのでしょうか。
就職?
いえ、違います。
企業が企業を調査します。
つまり、取引先の調査です。
現在取引している取引先が「倒産しないかどうか」企業体力などを把握するためです。
一般的には大手企業がベンチャー企業や中小企業と新規に取引を実施する場合に調べることが多い傾向にあります。
昨今はIT、情報産業やサービス業が多くなっているので、あまり取引先が倒産しても実際の損失は大きくはありません。
しかし、「モノ」を販売している企業はそうはいきません。
通常、企業間取引は販売契約締結後、モノを先に納品します。
その後、契約に基づいた支払期日までに、購入した企業は支払いします。
金額が少額であれば、翌月末などで対価が支払われます。
しかし、金額が大きい場合、90日~120日後の支払いとなることも実際は多くなります。
この場合、この90日~120日は実際支払われない空白の期間となります。
この期間内に、仮にモノを持ち逃げる業者もいたり、倒産してしまう企業があったりするケースがあります。
そうなってしまえば、「モノ」が戻らず、かつ支払いはされません。
大損となってしまうことになりかねません。
この事態を事前に防ぐために「会社を調べる」のです。
取引と持ち掛けて、モノを持ち逃げする会社を一般的に「パクリ屋」と呼ばれています。
戦後から、このパクリ屋は多くありました。
主に、米や食料品、電化製品、パソコンなどの高価な商品をターゲットに、悪意のある業者は多く存在しました。
展示会などで近づき、まずは少額取引で実績を積み、安心したところで大口取引し、ドロン!
もちろん、今でもちゃんと存在しています。
もう一つ、「計画倒産」という悪意ある会社もあります。
悪意を以って倒産を前提に会社設立し、前金で多くの資金を集めたのち、「経営に行き詰りました!」と自己破産するケースです。
法的整理を実施することで倒産企業は支払いを免除され、多くの顧客(債権者)は泣き寝入りとなってしまいます。
もちろん、この「計画倒産」は、実際に本当に行き詰った挙句の倒産なのか、悪意ある倒産かどうかは、客観的には判断が難しいところではあります。
さらにもう一つ、取引先における大きなリスクの一つに、「連鎖倒産」というものがあります。
大手企業が倒産に至った場合、多くの取引先が損害を被ります。
体力の小さいベンチャー企業や中小企業にとって、大口得意先が倒産してしまった場合、その倒産した大口取引先に続いて「連鎖」して倒産してしまうケースです。
連鎖倒産に至らないためにも、取引先の取引先にも気を配る必要があったりもします。
このような悪意ある業者も含め、自らの企業を守るためにも、取引先をしっかりと理解する必要があるのです。
東京商工リサーチや帝国データバンクは既に全国の200万~300万企業のデータを蓄積しています。
なおかつ、それぞれの企業に倒産する可能性に対する「評点」を付けています。
もし、他社の会社情報を入手したい場合、どうすればよいのでしょうか。
企業調査する方法は大きく分けて2つあります。
一つ目は、既存データを参照する方法です。
信用調査会社とASPなどネット上で月額契約すると、1件2,000円ほどで「企業概要」と「評点」のみを参照することもできます。
また、過去に詳細な「調査レポート」が存在すれば、1件3~5万円ほどで詳しい企業調査報告書を入手することも可能です。
もう一つは、改めて信用調査を依頼する方法です。
データベース上に「調査レポート」がない場合や、古い「調査レポート」しかない場合、改めて調査依頼をすることも可能です。
大手信用調査会社は各都道府県に必ず支社店が存在します。
どんな農村でも調査可能です。
改めて調査依頼し、最新の調査レポートが入手可能です。
新規調査依頼の場合、実際に調査員が該当企業に調査を実施しますので、通常1社あたり5~7万円ほどの費用がかかります。
では、大手信用調査会社は、実際どのように調査しているのでしょうか。
以下、信用調査会社の調査方法です。
【信用調査会社の調査方法】
①登記情報収集
②訪問調査
③側面調査
それぞれご説明いたします。
法人は通常、商業登記がなされています。
一定の情報でしかありませんが、悪意ある企業などはこの登記自体がなされていないケースや、現実と異なった登記がなされたりする場合があります。
常習性のあるパクリ屋などの確認には意味があります。
また、必要に応じて不動産登記も確認します。
不動産保有など資産背景がある場合、その確認を実施し、安定性の一つの評価とします。
大手信用調査会社は新規調査依頼が入った場合、必ず訪問調査を実施します。
事前にアポイントを取得し、代表または役員、経理責任者などへ直接ヒアリングを実施します。
しかし、このヒアリング受け入れは義務ではありません。
あくまで民間企業からの任意でのヒアリングです。
当然、ヒアリングを拒絶する企業もあります。
その場合、③側面調査を実施します。
大手信用調査会社は約100年の歴史を持ってデータ蓄積し、さらに全国の実績ある企業とも一定の信頼関係を維持しています。
そのため、取引先や銀行など、側面からの情報を入手できる場合があります。
もちろん、入手出来る情報は限られたものですが、悪意あるパクリ屋や計画倒産の場合、良くない情報をキャッチできることもあります。
さらに、建築業や証券業など一定の業界は都道府県への情報提供が義務付けられています。
一定の範囲で情報公開がされており、その情報を確認することにより、情報を補完していきます。
それでは、実際に訪問ヒアリング調査が実施できた場合、調査内容はどこまでの範囲でしょうか。
以下、調査レポート項目例です。
企業概要|商号・住所・資本金・事業内容・売上高など
評価|信用要素別の評点内訳および評点
登記|発行株式、資本金推移など
役員|役員の氏名および担当業務など
大株主|大株主および持株数
従業員|職務別男女別の従業員内訳、従業員数の推移など
設備概要|本社・工場・営業所・寮・各種設備等の概要
代表者|氏名、経営者タイプ、後継者状態など
系列|資本・人的関係、関係会社など
沿革|年月別の企業沿革
業績|決算期毎の売上高・経常利益等の業績推移
取引先|主要仕入先、仕入先概数、支払方法、主要得意先、得意先概数、回収方法など
銀行取引|取引金融機関名と借入金額、担保状況など
資金現況|回収状況、支払能力・資金調達余力など
不良債権|未償却の不良債権および処理方法
現況|事業内容、会社の特色、業績推移、資金現況など
見通し|最近の動向と見通し
貸借対照表|貸借対照表の概要など
不動産登記写|物件、担保権等の設定状態
調査レポートの最大のポイントは「業績」と「財務」です。
いわゆる、PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)と呼ばれるところです。
「財務」はその企業の体力や安定性がわかります。
「業績」は企業の成長性、収益性などがわかります。
しかし、実際のところ、決算書類を公開している企業は多くはありません。
大手企業の場合は上場企業であれば株主向けに決算書類は公開されていますし、一定規模以上の大手企業であれば、公開性を意識し、ホームページなどで決算書類は公開されています。
ただ、中小企業は決算書類自体を入手することは困難となります。
特に立ち上がったばかりのベンチャー企業や創業間もない零細企業の場合、大半は非公開となります。
実際はヒアリングの中で大まかな売り上げや利益の推移などをヒアリングするにとどまります。
企業の評点はどのような基準でつけているのでしょうか。
評価軸は東京商工リサーチと帝国データバンクそれぞれで微妙に異なります。
いずれも100点満点で評価しています。
以下、それぞれの評価軸についてです。
東京商工リサーチは、「経営者能力」「成長性」「安定性」「公開性・総合世評」の4つの軸で評価します。
経営者能力(配分20点): 経営者の資産担保力、経営姿勢、経営の経験を評価して企業の評点とします。
成長性(配分25点): 売上の伸び方、利益が確保できているか、市場における商品の状況から評点を出します。
安定性(配分45点): 業歴・自己資本、決済状況・金融取引・担保余力・取引関係などから企業が安定しているかの評点を出します。
公開性・総合世評(配分10点): 公開されている資料やデータ、総合世評などで評点を出します。
合計100点
一方、帝国データバンクは、「業歴」「資本構成」「規模」「損益」「資金現況」「代表者」「企業活力」の7つの軸で評価します。
業歴(配分5点): 企業運営が継続できているかどうかで、基本的に業歴が長くなるほど高得点になります。
資本構成(配分12点): 企業の財務状況、経済状況を評価します。
規模(配分19点): 従業員数や年間の売上高から企業の経営規模を評価します。
損益(配分10点): 決算報告書などから企業の損益状況を客観的に評価します。
資金現況(配分20点): 調査を行った時点での期企業の収益や資金調達余力などを評価します。
経営者(配分15点): 企業の経営者を個人の資産状況、これまでの経営経験、人物像などから経営者としての評価をします。
企業活力(配分19点): 人材や取引先の状況、将来性などから帝国データバンクの調査員が企業を評価します。
合計100点
いずれも100点満点で評価しますが、実際は偏差値のような評価方法となります。
多くの評点は50点を平均として、そのバランスから上下に配分するようなイメージです。
つまり、多くの企業は55点~45点に集中していると言ってもよいかもしれません。
取材を受けるか受けないかは、経営者、企業担当者の判断となります。
取材を断ることも当然可能です。
ただ、調査依頼に対し、あまり猜疑心を抱く必要はありません。
調査依頼先とは、大手企業の場合、新規取引において社内規定として調査を実施することが義務付けられている企業もあります。
例え、業績が好調なベンチャー企業との取引においても、「社内規定」で「形式的に」調査を実施することも多々あります。
しかしながら、仮に取材拒否した場合、非公開企業(不透明な企業)は一定のリスクと判断し、取引におけるマイナスイメージにつながることもあります。
もし、時間的余裕があれば、取材を受けてもよいかもしれません。
もちろん、決算書類を提出する必要はありません。
そして、もう一つ取材を受けるメリットがあります。
それは、信用調査員という情報網です。
大手信用調査員は全国に配置されています。
地方の場合、地域に根差し、多くの情報を持っています。
都心の場合、業種別に分かれて業界それぞれに情報を蓄積している人材もいます。
つまり、地域情報、業界情報に精通している人材もいるのです。
信用調査会社と友好的関係を維持することは、実は自らの情報ネットワークの一つとなる可能性があるのです。
ベンチャー企業、起業家にとって信用調査会社の評点は一喜一憂するかもしれません。
ただ、あまり気にすることはありません。
自らの事業を進めていくことが最重要です。
今、その事業を進めることで、着実に実績と業績はついてきます。
でも、一つ、信用調査会社から学べることがあります。
それは「評価軸」です。
東京商工リサーチ、帝国データバンク、いずれも「経営者」という評価軸があります。
しかも、この「経営者」という軸は、東京商工リサーチは20点、帝国データバンクは15点という高い配分をしています。
これは何を意味しているのでしょうか。
個人資産の有無という軸もあるかもしれません。
しかし、100年以上企業調査をしている調査会社。
数多くの企業を調査してきた、そのノウハウ。
企業を知り尽くした企業が大切にしている評価軸。
企業とは、行きつくところ、それは「経営者」。
つまり企業とは、「経営者」という存在に大きく依存する、そう言えるのかもしれません。
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