下請とアウトソーシングの違いはご存知でしょうか。
多くの方は同じような意味で使っていると思います。
しかし、下請とアウトソーシングは厳密には意味合いが異なっているのです。
今回は下請とアウトソーシングの違いについてお伝えします!
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「下請」という言葉はご存知でしょうか。
最近はあまり使われていませんね。
外注、代行などとも呼ばれています。
ある会社の業務の一部を請け負い、指示通りに業務を実施することです。
一般的には大手企業から中小企業が製品製造の一部を担ったり、一部サービスをサポートする時などに使われます。
下請・外注は、巨大市場によく見かけますが、製造業や建設業などに多く、また、テレビ番組制作や広告制作会社などにも下請・外注業者が多く存在しています。
一次下請、二次下請と、構造的に重複した形態もあり、下請けの下請けといった構造もよく見かけます。
例えば、建設業界。
受注元は大手ゼネコンですが、その下請企業が現場監督的役割を担い、そのさらにその下請が実際に現場での建設業務を実施している、という構造があったりするものです。
世の中の仕事の多くは、その受注した1社だけで成立するのではなく、こういった下請・外注などの協力会社がサポートする形で、多くの優れた仕事が成り立っているのです。
それでは、なぜ、下請や代行企業に業務を委託するのでしょうか。
自社でやればいいのに。
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
以下、外注・代行するメリットとデメリットです。
・コストの削減
・人材不足の解消
・業務のスピード化
・固定費の変動費化、キャッシュフローの改善
・組織のスリム化、事業の再構築(リストラ)
・本業への集中
・リスクの分散
・各業務プロセスの見直しに貢献
など
・情報伝達が煩雑になる
・ガバナンスの弱体化
・費用がかかりすぎる場合がある
・個人情報リスク
・業務のブラックボックス化
・業務の標準化作業の手間が発生
など
多くのメリットがもたらされます。
下請け専門業者は、多くの場合、その下請を専門に実施していることから、効率的に、大量に業務を実施していることがあります。
そのため、効率性を追求し、スケールメリットなどの背景から、安価に、かつ、スピーディに業務を実施してくれます。
また、多くの人手が必要な業務の場合、自社の人材だけでは賄いきれない分を請け負ってくれます。
多くのメリットがあります。
一方、デメリットもあります。
複数社の外注先を活用する場合、情報伝達が複雑となったり、ガバナンスの弱体化など、統一感が失われてしまうといったデメリットも存在します。
では、アウトソーシングという言葉はご存知でしょうか。
あれ?
それも外注でしょ。
そうです。
同じ意味で使われることが多いかと思います。
アウトソーシングは、業務を一部請け負い、発注企業をサポートすることです。
しかし、厳密には、下請けなどの言葉とは違う意味があります。
もともと、アウトソーシングという言葉はアメリカから日本にもたらされました。
語源は「Out」(外部)と「Sourcing」(資源利用)を足したもので、直訳すると「外部資源利用」や「外部資源の有効活用」と訳されます。
そもそも情報システム分野(IT分野)でまず先に取り入れられた手法でした。
「専門家」「プロフェッショナル」の専門的サービス、つまり「質」の部分を外部活用する、という考え方から生み出されています。
つまり、コストカットを追求するものではないのですね。
自社にとってのコア事業以外を「外部の優秀な事業者」に業務委託(外注)するという考え方なのです。
個人一人一人もそうですが、企業も強みと弱みがあります。
その強みを生かしましょう、弱い部分はサポートしましょう、こういった概念なんですね。
ですので、下でもなかれば、上でもない関係。
これがアウトソーシングです。
このような概念でアウトソーシングを鑑みたうえで、メリットとデメリットは以下となります。
・足りない部分の専門性向上
・本業への集中
・クライアント、顧客などへのサービス向上
・新規分野の進出、海外進出
・業務のスピード化
など
・自社にノウハウの蓄積ができない
・価値観の共有が必要
・費用がかかりすぎる場合がある
など
アウトソーシングとは、本来コストカットを目的とするものではなく「企業価値向上」のための経営手法です。
単なるコストカットを主眼とするのではなく「専門性の向上」「本業への集中」など自社の価値を高める部分で、中長期視点で重要な経営手法の一つと言えそうです。
一方、デメリットもあります。
コスト上昇の可能性もあるのです。
アウトソーシングはコスト上昇という前提で導入する、そういった考え方でもあるのです。
ただし、コスト以上の価値を手に入れることは十分可能であるともいえるでしょう。
つまり、今まで外注しなかった、本来自社の中核に近い分野でも、アウトソーシングは威力を発揮することも可能ではあります。
専門性の高い事業会社同士でお互いの専門性を生かし、チームとして市場にブレイクスルーを実現する、こういったことも経営判断の一つとなるのではないでしょうか。
それでは、アウトソーシングではどの範囲まで業務を委託できるのでしょうか。
主に3タイプあると言われています。
【アウトソーシング3つのタイプ】
「フルサービス型」
「ハイブリッド型」
「プロジェクト型」
一部門、一分野をすべて委託するような完全委託アウトソーシングのタイプです。
あまり見かけず、日本ではレアケースですが、アウトソーシングが定着しつつある日本でも少しづつ、アウトソーシングする範囲が広がりつつあります。
業務の中でも一部をアウトソーシングするタイプです。
一般的に使われる形式です。
自社とアウトソーシングを並行して利用する方法です。
一定の期間、一定の地域や一定の職種をプロジェクト型で推進するタイプです。
地域限定であったり、プロジェクト毎に一括してアウトソーシングする方法です。
例えば、関東企業が関西地区の業務を一括でアウトソーシングする場合などに使われます。
一般的には「ハイブリッド型」アウトソーシングが多くみられます。
しかし、昨今はフルサービス型も浸透しつつあります。
例えば、営業。
営業部門をすべて他社に委託するといった企業も出てきています。
また、製造部門もそうですね。
「OEM」(original equipment manufacturer)などと呼ばれ、商標やブランド以外、製造はすべて委託する形態なども浸透しています。
さらに、物流や倉庫業も委託が進んでいます。
ネットショップなどで「フルフィルメント」と呼ばれる形態も有名です。
受注が入ったタイミングで倉庫管理、ピッキング、物流すべてをペッケージ化し、一括して請け負うタイプです。
ネットショップ運営者は、販売業務にのみ特化すれば、あとはお任せ!というサービスです。
企業が取り巻く環境は大きく変化しています。
顧客ニーズの多様化、商品寿命サイクルの短縮化、グローバル化、IT化など様々な要因で変化しています。
環境変化の中でも、特に昨今は、「IT化」と「グローバル化」において劇的な変化が見られます。
例えばですが「海外事業所展開拡大」「IT、システム基盤構築」「社内意思決定のスピード化」「新規事業立ち上げ」「新商品開発」など新しい動きが、より一層重要となってきています。
このような新しい動きをよりスムーズに、より専門的に、よりパワフルに進めていくための施策が必要になってきています。
そのために考えられる手法の一つが、アウトソーシングかもしれません。
しかし、アウトソーシングをどうしてもできない部分があります。
それが「人」です。
派遣会社があるじゃないか!と言われそうです。
でも「業務」のアウトソーシングはあれど、本来は「人」はアウトソーシングするものではない、と個人的には思っています。
なぜなら、「人」は「資産」だからです。
自社の強みとは?という問いを繰り返し、深化させていくと、「人」に行き着くのではないでしょうか。
ベンチャー企業は特にそうかもしれません。
経営者本人。
共同創業者もそうです。
創業メンバーもそうです。
よく「企業は人なり」と言われます。
人が組織をつくり、人が企業の基盤となります。
このような意味では、決して人はコストではなく「資産」ではないでしょうか。
代替可能なものではない、そう思います。
人が企業を創り、企業が人をさらに高める。
世の中のイノベーションは「企業」が生み出すのではない。
「人」がイノベーションを生み出すものではないでしょうか。
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