昨今、あらゆる情報を集めた「ビッグデータ」が注目されています。
IoTなどを通じ、私たちの身の回りにある情報はすべて蓄積していきます。
しかし、ただ情報を蓄積するだけでは何も生まれません。
例えば、AI(人工知能)などが、その情報を解析し、さらに、その情報を活かすためのステップが重要です。
今回は「情報」や「知識」をどう生かすのか、そのヒントについてお伝えします!
Contents
江戸時代にビジネス書があったのはご存知でしょうか。
それが井原西鶴の「日本永代蔵」。
貞享5 (1688) 年刊、全6巻、各巻5話、計30話の短編小説集です。
町人が勤勉、倹約、才知、知恵などによって富を得た話を主とし、そのほか致富後没落した話などすべて富に関する世相を描いたものとなっています。
少しご紹介いたします。
最初は「世界の借屋大将」。
2巻の第一話です。
商店を営む藤市。
ある年末に餅屋が卸販売にきました。
「受け取りをお願いします!」と餅屋が言っても忙しいふりをして餅を受け取ろうとしません。
当時、餅はその場で秤できっちり量りして卸販売するのが慣習でした。
何度も催促しても、藤市は忙しい振りをします。
この餅屋が可哀そうで店で働いていた若者が受け取ってしまいます。
餅屋が帰り、藤一は若者に諭します。
「もう一度、餅の量を測ってみろ」
再度測ってみると、対価に対し、餅は軽くなっていました。
つまり、損をしていたのです。
藤市は、餅から水分を抜けたところで安く購入しようと知恵を働かせていました。
そしてもう一つ、「煎じよう常とはかわる問薬」。
3巻、第一話です。
ある長者丸というお金持ちに、貧しい町人が「貧乏に効く薬はないでしょうか」と尋ねます。
長者丸はその貧しい町人に処方します。
50両を配分して調合します。
朝起(早起き) 5両
家職(家業) 20両
夜詰(夜なべ) 8両
始末(倹約) 10両
達者(健康) 7両
このように生活することで、貧しい生活から抜け出せる、そう伝えます。
さらに、長者丸は「毒断ちが大切」と町人に伝えます。
衣食住の倹約を徹底すること。
芸事や夜遊び、ギャンブル、飲酒、たばこを控えること。
借金はせず、他人の保証人とならないこと。
貧しい町人は、長者丸からの処方を守ります。
町人は、後に大工の廃材を箸作りとするビジネスを始め、処方通り、倹約、早起き・夜なべをしながら、そのビジネスを成功させ、億万長者となったというお話です。
勉強になりますね。
この井原西鶴の「日本永代蔵」は創作話だと言われています。
でも、こういった「知恵」は現代ビジネスでも十分通用するのではないでしょうか。
ビジネスにおいて、専門知識は不可欠です。
様々な「知識」をインプットして蓄えることは非常に大切です。
でも、知識を蓄積すること、それ自体は意味を成しません。
知識を実ビジネス、実生活に生かすこと、それが重要ではないでしょうか。
それでは知識を生かすためにはどうすればよいのでしょうか。
その一つのヒントが「知恵」ではないでしょうか。
「知恵」は、知識に基づき、知識と知識を組み合わせて、実社会で適切に対処する能力です。
知識は実社会に活用できて、はじめて価値となるのではないでしょうか。
そういえば、古来からの慣用句に「三人寄れば文殊の知恵」がありますよね。
「三人も集まり知恵を合わせて考えれば良い案も浮かび得る」という意味です。
一人で考えても、知識と知恵いずれも、一人の視点に偏ってしまいます。
しかし、三人で考えることで、知識と知恵が3倍になります。
課題に対し、ブレイクスルーできる可能性が3倍になるんですね。
より多くの知識、経験を持ち合い、「知恵」として昇華することができれば、ビジネスとして飛躍する可能性は高まるのではないでしょうか。
株式会社 ユーグレナというベンチャー企業があるの知っていますか?
社名と同名の製品ユーグレナとは「ミドリムシ」のことです。
え!虫?
ご安心ください。
「ミドリムシ」は藻類。
現在は健康機能食品として有名です。
この株式会社 ユーグレナ。東証一部上場を果たし、さらに成長し続けています。
たかが健康食品、と侮ってはいけません。
このユーグレナは、豊富な栄養成分が安価かつ、短期的に、大量に生成が可能なんです。
今世界中人口は増加しています。
日本は人口減少していますが、アジア、アフリカ、南アメリカ、中東地域など人口は大幅に増加しています。
この将来的な世界的食糧難の課題解決の一つになりうるのが、この「ユーグレナ」。
それだけではありません。
なんと、「ユーグレナ」は石油代替、燃料エネルギーとしてバイオ燃料の活用も考えられているのです。
つまり、株式会社 ユーグレナは石油やガスなどのエネルギー分野という膨大な市場へのステップが見込まれているのです。
安価、かつ短期的、大量に生成できる燃料、「ユーグレナ」は限りない可能性を秘めています。
ベンチャー企業、株式会社ユーグレナの代表は東大卒の出雲充氏。
私もお会いしたことがありますが、上場前からこの企業はよく知っていました。
ユーグレナは徹底したオープンイノベーションを貫いています。
オープンイノベーションとは、自社だけでなく他社や大学、地方自治体、社会起業家など異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組み合わせ、革新的なビジネスモデルなどを生み出すための方法論です。
みなさんも多くの製品にこのユーグレナが組み込まれているのを見たことがあるのではないでしょうか。
一見怪しくみえる「ユーグレナ」というものが、これだけ成長できたのも、多くの大企業とタッグを組んで様々な失敗を繰り返してきたからだと、個人的には思っています。
最初に投資を決めた伊藤忠商事のバックアップの下、食品関係や燃料関係の大手企業との協力関係はさらに拡大しつつあります。
ユーグレナは多くの企業と「文殊の知恵」を生み出している、代表的なベンチャー企業と言えるでしょう。
「知恵のある人」「賢い人」になるためには三つの段階があると言われます。
第一段階は「知識」、情報を集める、知ることです。
第二段階は「知恵」、知識を日常生活に埋め込みながら 実践していくことです。
そして第三段階は「智慧」(ちえ)です。
え!
知恵と智慧は違うの?
そうです。違うものです。
では、「智慧」とはどんなものでしょうか。
少しわかりやすくご説明いたします。
ジュースが1本あります。
2人がこのジュースをトラブルなく、分けるためにはどうしたらよいでしょうか。
まずは第一段階「知識」での解決方法案。
近くのコンビニでもう1本買ってきます。
合わせて2本。1人1本ずつ。
トラブル解消ですね。
そして第二段階「知恵」での解決方法案。
2人をそれぞれAとBと仮称します。
まずAが自分が半分だと思う分だけをコップに移します。
それをBが好きな方を取る。
配分を作る人、選択する人を分けることでトラブル解消です。
そして最後の「智慧」。
Aは、Bに「どうぞ好きなだけ飲んでください」とジュースを渡します。
もちろんBは、Aのために半分以上残して「もう充分ですから、あとはAさんどうぞ」と返します。
でも、Aは飲み干すようなことはせずに「私ももう充分ですから」とBさんに渡します。
お互い「相手を思いやる」のですね。
そもそも「智慧」とは仏教用語。
本来の意味は「真理を見極める認識力」のことです。
そういえば、禅語には「不苦者有智」(ちあれば、くるしからず)という言葉があります。
どんな逆境にあろうとも、どんな誘惑に出合おうとも、智慧があればそれを乗り越えていくことができるという意味です。
創業、起業、ベンチャー企業運営には、ビジネス上、様々なトラブルが発生することでしょう。
そして、事業成長のブレイクスルーを実現するためにも様々な壁やハードルを乗り越える必要があります。
ベンチャー、起業家だけではありません。
私たちの日々の生活の中、一つ一つの物事でもそうではないでしょうか。
より良く生きるための「知恵」、そして「智慧」。
最後に名言を贈ります。
ほとんどの問題には答えはない。正解があるのは学校のテストだけ
榊原英資/「榊原式スピード思考力」より
知識も大切だが、知恵をもっとだせ。知識は比較的簡単に手に入るが、知恵は大きな努力と体験がないとなかなか手に入らない
安藤百福/日清食品創業者
希望を失わないでやっていると自然と知恵も出てくる。精神が集中して、そこに色々な福音が生まれてくる
松下幸之助
会社に存在する問題は、ほとんどが多答解です。解決策がいくつか考えられる問題こそ、幹部は取り組まなければいけない問題です。日々、正解のない問題を解決することで、自社を強くする改善や改革がうまれます
飯塚保人/経営コンサルタント
大切なことは問題を見つける能力、それをあきらめずに解決する能力、それ自体を楽しめる能力、そして、柔軟性。
利根川進/ノーベル生理学・医学賞受賞者
人の上に立つ者の資格は、知略才能あるはもとより良けれど、なくて事は欠かぬなり。ただひたぶるに実直なれば、知能を持つに及ばず
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