昨今、注目されている経営の「見える化」。
経営を数値化し、あらゆる経営を立体的に把握できる手法が広がっています。
今までこういった「見える化」を導入していなかった経営者には非常に有効な施策だと思います。
ただ、この「見える化」に頼り切るのはいかがでしょうか。
今回は経営における「割り切れない」問題についてお伝えします!
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ご存知、円周率。
3.14。
この数値から、毎年3月14日は円周率の日となっています。
3月14日と言えば、ホワイトデーと同じ日ですね。
多くの人が知っている円周率。
割り切れない数値としても有名です。
円周率は「3.1408以上で、3.1428以下」のいずれかです。
割り切れません。
この円周率のすごいところは「ループせず無限に続く数」という部分です。
2017年、アメリカ、サンタクララ大学のEd Karrels氏らの研究グループは円周率の小数点以下8,000兆桁目(ただし2進法表記)の計算を達成したと発表しています。
8,000兆桁!?
すごいですね。
どこまでも割り切れない数字。
謎と同時に、何か魅力的ですね。
円周率と言えば、「ファインマン・ポイント」はご存知でしょうか。
円周率を十進法で表記したときに、小数点以下762桁目から始まる6個の「9」の並びのことです。
つまり「999999」が並ぶのですね。
この「ファインマン・ポイント」はアメリカの物理学者のリチャード・ファインマンにちなんでつけられたそうです。
何がすごい数値なのかと言いますと、円周率において、6つ数字が並ぶことは特に珍しいことではないのですが、ここまで早く6つの連続した数字が並ぶことが、珍しいのです。
例えば、4桁の数字が最初に連続して並ぶのは4,751桁目からの「8」であり、5桁の数字が最初に連続して並ぶのは17,534桁目からの「0」です。
また、各数字において6桁の数字が連続して並ぶ小数点以下の桁数は以下です。
000000・・・169万9927桁目
111111・・・25万5945桁目
222222・・・96万3024桁目
333333・・・71万100桁目
444444・・・82万8499桁目
555555・・・24万4453桁目
666666・・・25万2499桁目
777777・・・39万9579桁目
888888・・・22万2299桁目
999999・・・ 762桁目
「9」が6桁続くことが、わずか762桁目で出てくることが非常に印象的。
このため、高度教育における暗記の練習には「ファインマン・ポイント」までは暗記しましょう!という目安にもなっているようです。
そして、円周率には「000000000000」という、ゼロが12個連続している部分もあるそうです。
不思議ですね。
円周率はずっと続きます。
3.14の円周率の日。
ホワイトデーですので、その日はまた多くの人が、誰かと誰かがつながるのかもしれません。
途切れることはないでしょう。
円周率と言えば「円」「丸」ですね。
以前、コンサルタント会社に在籍していた時、日本人の強い技術分野は「丸」や「球体」が世界でもNo1であると聞きました。
例えば、機械の部品の一つ「ベアリング」。
ベアリングの日本の技術は世界の中でもトップクラスだと言われています。
ベアリングは軸受全般を指します。
軸受(じくうけ)とは機械要素のひとつで、回転や往復運動する相手部品に接して荷重を受け、軸などを支持する部品。
日本では英語の「bearing」(bear = 支える、担うの意)の外来語です。
ベアリングは回転・往復する部品を持つ機械には必ず存在する部品で、自動車や航空機の部品、鉄道関連機器、バイク、家電、電子機器、医療機器など幅広い分野で利用されており、多くの機器にとって不可欠な存在であることから「機械産業の米」と呼ばれることもあります。
自動車には1台あたり、120個程度使われています。
このベアリング技術、実は日本が世界でもトップクラス。
日本は精密ベアリング生産において世界の3分の1以上のシェアを有するといわれています。
有名どころでは、日本精工株式会社 (NSK)、株式会社ジェイテクト (JTEKT)、NTN株式会社、株式会社不二越 (NACHI)などです。
すごいですね。
日本は「円」「丸」に強いと言えるのかもしれません。
「円」「丸」と言えば、タイヤもそうですね。
日本はタイヤメーカーも強いのが特徴です。
有名どころでは、株式会社ブリヂストン、住友ゴム工業株式会社(ダンロップ)、横浜ゴム株式会社(ヨコハマタイヤ)、東洋ゴム工業株式会社(トーヨータイヤ)などです。
いずれも世界へ打って出ているメーカーです。
中でもブリヂストンはダントツ。世界1位メーカーです。
ブリヂストンは創業早くから世界展開を開始し、昨今のグローバル化が進むはるか前から海外展開を加速してきました。
現在では世界26ヶ国180以上の拠点を持ち、連結従業員数は全世界で14万人を超えています。
「円」「丸」と言えば、日本の通貨は「円」ですよね。
この日本の通貨「円」(¥)。
なぜ「円」という名称なのか、実は由来の詳細は分かっていません。
1871年(明治4年)6月27日、新貨条例において、最初提案されたのは「元」だったそうです。
法制定から遡ること2年前(明治2年=1869年)の新通貨を決める会議で、通貨政策を担当していた大隈重信がそれまでの「両」に代えて最初に「元」を提案しました。
しかし、実際に採用されたのが「円」。
理由は不明だそうです。
そもそもなぜ「円」なのでしょうか。
なぜ「円」なのか、諸説あるのですが、有力説は以下3つ。
①楕円形、四角形など複数あった形を持ち運びしやすいよう円形に統一
②製造モデルとなった香港銀貨「壱円」をまねた
③円銀などと呼ばれていた中国の円形通貨が伝わった
以上、3つの有力説がありますが、なぜ、日本の通貨が「円」なのか詳細は分かっていません。
「円」「丸」と言えば、日本の文化などに使われる「和」も近いですね。
「和菓子」「和食」「和暦」「和の文化」「和の精神」「和の心」などとも使われています。
日本の精神文化・社会特性を説明するときによく用いられます。
「個性重視とする文化ではなく、集団の秩序と安寧、また礼儀と作法を重視した文化」とも表現されます。
7世紀初頭に成立したとされる十七条憲法では、第一条と第十条、第十七条にそれぞれ協調の精神が謳われており、なかでも第一条の冒頭「和を以て貴しと為し」は非常によく知られています。
7世紀頃から国号を「日本」へと改め、また旧来の呼称である「わ、やまと」の漢字表記として、「和、大和」の表記を用いるようになってきました。
「円」「丸」、そして「和」。
日本にとって根幹をなす言葉のようです。
日本中に「和」のつく企業は無数にあります。
以前、信用調査会社のデータベースで「和光」という企業名を打ち込んだ時に、検索結果で数百件の検索結果が出たことを覚えています。
日本人は「和」という字が好きなんですね。
そういえば、国旗も「日の丸」。
日本を代表する総合商社丸紅も、その名はまさに「丸」「紅」、「日の丸」ですね。
「輪廻転生」という考え方も無意識的に結びついているかもしれません。
仏教用語の「輪廻転生」も生命が輪廻する考え方ですね。
日本人は「丸や球体、円、和、輪」に関して、意識的にも、無意識的にも深くつながっており、日本の高度成長にも大きく寄与した、そんな見方も一つできるかもしれません。
冒頭の円周率。
円周率は割り切れない数字です。
曖昧なんですね。
右か、左かではなく、Yesでも、Noでもない。
玉虫色なんです。
これは、企業経営にも通じるところがあると思います。
よく企業経営はオーケストラの指揮者に例えられます。
組織運営は「芸術」に近いとも言われています。
例えば、経営分析するとき、「人」の価値は、「人件費」で算出します。
「コスト」ですね。
社員は明確に数字で表現できます。
ところが、働いている人、一人一人は様々な感情があります。
一人一人、好調や不調の波、バイオリズムなどもあります。
一人一人強み、弱みもあります。
隠れた強み、潜在的能力を持っている社員がいるかもしれません。
飛躍的成長を見出す人もいるかもしれません。
その「総和」が組織力ではないでしょうか。
社内だけではありません。
マーケット分析、市場調査、取引先との折衝もそうかもしれません。
あらゆる経営を取り巻く判断には正解はありません。
数字では割り切れません。
企業運営における問題の大半は割り切れない問題です。
でも。
だからこそ、チャンスがあるのではないでしょうか。
割り切れないもの。
これを強みにできる人、できない人。
大きな分岐点となるのかもしれません。
名言を贈ります。
生きるということの1/3は哀しみで出来ている。1/3は悔しさで出来ている。残りの1/3はね、笑うことで出来てるはずさ。1/3は何処まで行っても割り切れることがないように。
さだまさし
自然の姿の中には直線というものがありません。だから優しいんです。
永六輔
世の中は、白と黒ばかりでは無い、敵と味方ばかりでもない、その真ん中にグレーゾーン(中間地帯)があり、じつは、これが一番広い。そこを取り込めなくてどうする。天下というものは、このグレーゾーンを味方につけなれば、決して取れない。真理は常に中間にありだ。このことを知ることが大事だ。
田中角栄
割り切れないのが人生なんです。だったら割り切れないことをするのがいいんだな。
本田宗一郎
自分の役職の階層が上がるほど、不条理というものを理解できるかどうかが非常に重要になってきます。世の中というものは、数字や論理で割り切れない、不条理なことの方が多いのですから。とくに経営者になると、不条理に満ち溢れた情報や現実を賢く料理し、いかに情熱をもって最終目的へと向かう解を見出していくかが、ビジネスの成否を分けると言っても過言ではないでしょう。
山西健一郎/三菱電機会長
死後、評価される画家が多いように、成功した経営者の多くは、当初、周囲の理解を得られなかった。理屈で解釈できる経営に成功はない。論理で割り切れないところにチャンスがある。
松井道夫/松井証券創業者
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