ブロックチェーンと言えば、ビットコインというイメージが強いかと思います。
しかし、ビットコインというのはブロックチェーン技術を応用した1つのプロトコルに過ぎません。
ブロックチェーンとビットコインを混同して理解し議論することは、ブロックチェーンの本当の破壊力を見誤るのではないでしょうか。
今回は「脱ビットコイン」を実現しつつある、ブロックチェーン技術についてお伝えします!
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ご存知、仮想通貨。
一部仮想通貨の不祥事もあり、仮想通貨全体の信頼性低下が顕著になってきているのかもしれません。
ビットコインをはじめ、多くの仮想通貨の時価総額も大幅下落、2017年までの勢いは姿を消してしまいました。
世間的な見方が変わったと言っても過言ではないでしょう。
しかし、「ブロックチェーン」は「脱仮想通貨」し、注目されつつあります。
ブロックチェーンは、もともとビットコインを実現するための技術として登場したのが始まりで、ビットコインは2008年11月にサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)氏が執筆した、いわゆる「ナカモト論文」をきっかけに生まれました。
論文の執筆者であるサトシ・ナカモト氏の正体は、日本人だろうと言われていますが、現時点でも誰か分かっていません。
ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれます。
「皆で監視しあう分散型の取引履歴」と表現するとわかりやすいかもしれません。
世界中に点在するコンピューターにデータを分散することで、中央集権を置かずに破壊・改ざんが困難なネットワークを作る技術です。
すべての取引履歴が公開されており、相互に信頼関係の無い不特定多数の参加者間で、権利の移転を実現することに適しています。
ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので、ブロックチェーン技術内容についてかみ砕いてご説明いたします。
ブロックチェーンは、イメージとしましては、取引を「ブロック(固まり)」にして「チェーン(鎖)」のようにつなげたものです。
個々の取引を直接データベースに書き込むのではなく、いくつかの個々の取引をまとめて1セットにして、そのセット毎にデータベースに記録していきます。
この複数の取引のセットの事を「ブロック」と呼びます。
そして中に入っている個々の取引の事を「トランザクション」と呼びます。
トランザクションの情報を「ブロック(固まり)」にして、それを「チェーン(鎖)」でつないで集めたものが「ブロックチェーン」になります。
ブロックチェーンでは全てのデータが繋がっているわけですから、データを改ざんしようとしても、ネットワーク上にある複数のコンピューターのデータを前から遡って全てを改ざんしなければならなくなります。
つまり、前後のブロックがつながることでデータの改ざんを困難にしている技術となります。
このブロックチェーンを(参加者)全員で共有し、それぞれがコピーを保有します。
このようなブロックチェーン技術を活用し、仮想通貨は取引が世界中で監視され、その取引データに不正がないことが証明されて、信用を確保しています。
そして、今、ビットコインが広く世に知られるに従い、ビットコインの核心的な技術であるブロックチェーンを、他にも応用できるのではないかと考えられ、金融や流通、契約等の分野で注目が集まっています。
ブロックチェーン技術を使うメリットは大きく分けて3つあります。
以下、ブロックチェーンの3つのメリットです。
ブロックチェーンは分散型のコンピューターネットワークであり、一つの場所に貴重なデータを置くような仕組みではありません。
特定のサーバや管理者を攻撃しても意味をなしませんし、サーバダウンなどのリスクもありません。
皆でシステムを監視しあっているため、不正やハッキング、ウィルス感染等のリスクを防ぐことが可能となります。
ブロックチェーンは第三者機関、中央集権が存在せず、その管理費用などが軽減されます。
第三者機関を介さないことで、仲介料などの手数料が低いことも大きなメリットです。
ブロックチェーンは所有権移転を効率的に実現します。
例えば、「スマートコントラクト」。
スマートコントラクトとは、契約の自動化(自動実行される契約)のことです。
契約と執行をプログラム化し、決まった形式ができると、契約内容が自動で執行され、紙媒体などを不要とし、大幅な効率化につながります。
一つは、処理時間の問題です。
ブロックチェーンは大量のデーターベースがあり、それを適切に同期をとって更新しなければいけません。
そのため、中央集権型に比べて速度は遅くなり、高い処理速度を求められる取引には向いていません。
また、大量のデータ処理のための安価で大量の電力が必要でもあります。
(現在、仮想通貨のマイニングの6割近くは中国。中国が国策として安価な大量の電力を供給しているためです)
このように、速度面、コスト面のハードルが課題ではありますが、この課題を乗り越えることで、多くの分野にてブロックチェーンが活躍することが見込まれています。
なお、1秒間で40万件以上の取引処理ができる超高速次世代ブロックチェーンが実用化も向けて開発中ですので、今後このブロックチェーン技術が活躍できる土壌は整いつつあります。
ブロックチェーンは、仮想通貨の取引のみなら一般銀行取引にも応用されようとしています。
入出金や振り込みなどの銀行取引は通常、銀行システムを経由して行われますが、ブロックチェーンを応用することで、中央管理サーバはなくなります。
中央管理サーバが無くなると、データ改ざんが殆ど不可能となることに加え、管理コストがなくなり、サーバがダウンするといったことが起こらなくなるメリットがあります。
証券業界など、金融取引を担う技術としても注目を浴びており、実用化に向けた企業も多く存在します。
また、ブロックチェーン技術は、金融業界以外でも様々な分野での活躍が期待できます。
そもそもブロックチェーン技術は、世界中の誰もがアクセスできるオープンなデータベースですが、プライベートブロックチェーンという特定のユーザーの中で共有するクローズ型のブロックチェーンも開発されています。
このクローズ型ブロックチェーン技術を応用することで、不動産業界や医療業界、公共分野など、データ改ざんが許されない現場での導入も開発されつつあります。
以下、4つのブロックチェーン技術の活用例をご紹介いたします。
不動産売買の仲介をする場合、現在は不動産情報を収集するために複数の役所などをめぐる必要があります。
また、過去の取引価格や修繕履歴などについても、煩雑な情報収集が不可欠です。
しかし、ブロックチェーン上に不動産情報を加えていくことで、過去の取引を含めた連続的な情報を一括して取得することができます。
ブロックチェーンの活用によって、不動産登記手続きの効率化にもつながると言われています。
そして「スマートコントラクト」。
もともと不動産取引は多くの契約プロセスを経るため、手順が非常に複雑で、また一般的には紙の契約書も必要となり、取引負担が多いことも大きな課題でした。
ブロックチェーン上のスマートコントラクトは、コンピュータが読めるプログラムを書き、当事者双方の署名付きでブロックチェーンに登録することで、それを契約締結と見なし、法執行機関なく自動的に執行されるようにします。
スマートコントラクトを利用することで、不動産取引において大幅な業務効率化を実現できます。
車のリースは従来、リース契約だけでなく保険契約や決済など多くの書類が必要な業務でした。
ブロックチェーン上のスマートコントラクトを活用することで、自動車リースの契約が大幅に効率化・自動化できると言われています。
リース・レンタカーの個別車体情報と利用法人または利用個人も簡易認識できます。
IoTと融合することで、自動車それぞれの走行距離、ガソリン残量などが随時把握され、ガソリン残量が少なくなると最短距離のガソリンスタンドを推奨できます。
ガソリンスタンドではフィンテック技術と融合し、ワンタッチの自動決済。
過去の給油履歴を表示させて、高速道路決済を含め、経費報告など、他のシステムにデータをエクスポートすることも可能となります。
法人利用のレンタカーは、契約から毎月の経費決済も含めて、効率化、自動化できる仕組みが実現する見通しとなっています。
TOYOTAは、この「自動車のウォレット化」に注力しており、実用化しつつあります。
患者個人の医療情報を共有する仕組みも進められています。
患者本人のヘルスレコードを暗号化し、ブロックチェーンに書き込むことも可能となります。
特に重篤な病気を抱える方などは、外出時意識を失った場合の病歴や血液型などの情報を地域医療へ共有することも可能となります。
マイナンバーと連動しながら、救急搬送の際もスムーズな治療に役立ちます。
今後、IoT技術が家庭内に張り巡らされることから、個人個人の健康状態もこのヘルスレコードが連動する可能性もあります。
例えば、毎日の体温、心拍数、血圧、排尿・排便回数、さらには検便情報も含めてデータ蓄積が可能となります。
これらすべての情報を管理することが可能となります。
食品の安全性に対する関心は高まりつつありますが、ブロックチェーン技術は「食の安全性」の透明化を実現しつつあります。
誰が、いつ、どこで、どのように収穫し、生産、加工、流通したのか、消費者が求める「透明性」をブロックチェーンは実現できます。
食品が生産者から出荷され、消費者の元に届くまでの経過をブロックチェーン上に細かく記録することで、サプライチェーン(供給網)の透明化が進められています。
例えば、集団食中毒が発生した場合、短時間で原因が突き止めることも可能となります。
海外からの輸入食品も同様です。
発展途上国の労働者の生活向上を目指し、フェアトレード(公平な取引)にも活用されつつあります。
ブロックチェーン技術の可能性は広がりつつあります。
今後、ブロックチェーン技術を応用することで見えてくる分野を4つ取り上げてみます。
以下、未来のブロックチェーン技術4分野です。
ブロックチェーンの特徴の一つとして「取引コストが低い」というものがあります。
仲介者なしの直接取引が可能となったため、手数料などが発生しないためです。
このメリットを応用することで、少額決済(マイクロペイメント)の事業が成り立つ可能性があります。
特に、BtoC事業、またはCtoC事業において可能性が広がります。
例えば、動画閲覧1円、音楽ダウンロード2円、電子書籍閲覧3円、1取引50円といった低単価事業の収益化です。
このようなマイクロペイメント事業は、ブロックチェーンで作成されたアセットを個人情報と紐づけることで解決することもできます。
ブロックチェーンと非常にシナジーがあるのが「IoT」。
ご存知「モノのインターネット」。
2020年には500億個のデバイス(モノ)がインターネットに接続すると言われています。
現在においては、ブロックチェーン技術とIoT技術を用いて、「モノ」を効率的に、ソフトウェア更新、バグ、またはエネルギー消費状況管理、制御することが実用化し始めています。
さらに注目すべき点は、ブロックチェーン技術を用いることで、中央制御システムを持たずしてデバイス同士が互いに識別することが可能となります。
いわゆる「横」のつながり。
異なる「モノ」同士で、個々を識別することが見えてきます。
AI技術などと組合せることで、様々な「モノ」が自律的に連動していく、そのような可能性にもつながりつつあります。
ブロックチェーンは、今問題となっているコンテンツ保護においても威力を発揮できる可能性が広がっています。
例えば、写真、音楽、動画、文章、ゲーム、アートなどです。
コンテンツを常時監視することが可能となり、無断利用した際には警告を発信できる仕組みが整いつつあります。
コンテンツファイルをドロップすることで、登録証明書発行と同時に、ブロックチェーンに登録される、といった方法です。
実際に米ベンチャー企業で「画像」において、サービスインしているサイトも存在しています。
今後はスマートコントラクトと合わせることで、安価なライセンス販売のプラットフォームも整備されることでしょう。
特に今後注目されるのが、個人取引(CtoC)市場。
個人のクリエイターにとっても、自身の貴重なコンテンツ保護が可能となり、ブロックチェーン技術を応用した、膨大な市場が見えてくるのかもしれません。
個人取引(CtoC)市場と言えば、ネットショッピングの在り方さえも、覆す可能性も秘めています。
例えば、メルカリ。
個人取引(CtoC)市場で不用品を個人同士の取引を仲介する事業として大成功を収めました。
このブロックチェーン技術を用いることで、個人の購入記録を分散記録し、信用と安心を担保することも可能となります。
将来的にはメルカリやアマゾンを介さない取引が増えていく、そのような未来の姿も見えつつあります。
仮想通貨が今、信頼性を欠いている状況下、このブロックチェーン技術も不安視する傾向があるのは事実です。
ただ、仮想通貨はブロックチェーン技術の一例にすぎません。
ブロックチェーン技術は、もともとビットコインと合わせて発明された技術ですが、今や金融業界以外にも活用分野が広がりつつあります。
法人取引だけではありません。
個人取引、特にCtoC市場においては、ブロックチェーン技術のメリットが多くのサービスを生み出すのではないでしょうか。
個人の生活にも大きく影響を及ぼしつつあるのが、このブロックチェーン技術です。
いまや、すべての業界、業種にかかわるブロックチェーン技術。
AIやIoT、フィンテック技術と融合しながら、私たちの生活そのものを根底から覆す技術と言っても過言ではない、大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。
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