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【本日のニュース・記事】
■安倍政権、7年半の不祥事を振り返るとこんなにあった
女性セブン 2020.07.15
~~~
7年半続いた安倍政権の終わりと、新しい時代の始まりが近づいている。
新型コロナ流行は、瞬く間に安倍政権を“オワコン”に変えた。
いまこそ、政治の中枢で何が起きているのか、私たちはしっかりと目に焼き付けるべきだ。
7年半どのような不祥事があったのか。
発足から今までを振り返る。
●2012年12月26日 第二次安倍政権発足
●2013年6月24日 経済政策『アベノミクス』発表
●2013年9月7日 五輪招致「アンダーコントロール」発言が物議
東京五輪招致のための最終プレゼンにおける安倍首相のスピーチ内容が物議をかもした。東日本大震災が起きた直後であり、汚染水の流失が完全には止められていなかったにもかかわらず「The situation is under control.(状況はコントロール下にある)」と発言。
「汚染水は福島第一原発の0.3k㎡の港湾内に完全にブロックされている」など過剰かつ軽率な「安全アピール」に批判が集まった。
●2013年12月6日 特定秘密保護法の強行採決
国の安全保障にかかわる重要な秘密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法が採決されるが、「知る権利を侵害される」など野党から批判が起きた。しかし、最終的に強行採決を行った。
●2014年4月1日 消費税を8%に引き上げ
●2014年10月20日 小渕優子経産大臣が違法献金で辞職
小渕優子経産大臣の後援会バス旅行をめぐる不透明な会計処理が発覚し、辞職。データなどを保存するハードディスクが捜索以前に電動ドリルで物理的に破壊された隠蔽工作も話題に。元秘書が有罪。
●2014年10月20日 松島みどり法務大臣が「うちわ」問題で辞職
自身のイラストや名前が入ったうちわを選挙区内で配ったことが寄付行為にあたると国会で追及され、安倍首相に辞表を提出した。
●2015年7月15日 安全保障関連法案強行採決
「違憲だ」という憲法学者の声もあり、世論調査でも6割が反対するなか、安全保障関連法案が強行採決された。これにより、集団的自衛権の行使を容認し、米軍の護衛が可能になった。
●2016年1月1日 マイナンバー制度開始
●2016年1月28日 甘利明経済再生大臣が「口利き」疑惑で辞職
千葉県の建設会社「薩摩興業」が土地買い取りをめぐって甘利経再大臣に都市再生機構(UR)に対する口利きを依頼し、見返りに総額1200万円を現金や接待で提供したとされる事件。甘利氏も秘書も不起訴となった。
●2016年7月22日 伊藤詩織さん事件で山口敬之氏不起訴
「安倍晋三首相に最も近いジャーナリスト」といわれた元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(54才)が就職相談したフリージャーナリストの伊藤詩織さんに性的暴行を加えたとして被害届が出されていたものの、不逮捕および不起訴という結果に。
●2017年2月17日 森友問題発覚
森友学園が大阪の国有地を適正価格の1割程度で購入していたこと、また同学の名誉校長が安倍昭恵夫人であることが報道されるが、首相は関与を否定。「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べていた。
●2017年4月26日 今村雅弘復興担当大臣が失言で辞職
政治関係者が集まるパーティーでの挨拶において、東日本大震災の被害状況について説明した中で「これはまだ東北で、あっちの方だったからよかった。これがもっと首都圏に近かったりすると、甚大な被害があったと思う」と述べ、批判を浴びる。翌日、不適切発言の責任を取る形で辞職した。
●2017年5月17日 加計学園「総理のご意向」文書報道
朝日新聞が「これは総理のご意向」等と記された加計学園の獣医学部新設計画に関する文部科学省の文書の存在を報道。
●2017年7月28日 南スーダンPKO日報隠蔽問題
2012年から5年にわたって派遣された南スーダンへのPKOの日報について防衛省は当初、陸上自衛隊が廃棄したと説明していたが、実際には電子データが保管されていたことが判明。
意図的に隠蔽したのではないかという疑惑が持ち上がる。真相はうやむやのまま、稲田朋美防衛大臣が辞職する形で幕引きとされた。
●2018年3月7日 近畿財務局の男性職員が自殺
森友問題の文書改ざんを指示された近畿財務局の男性職員の赤木俊夫さんが自筆の抗議文書を残して自殺。後にその内容を夫人が公開し、訴訟に。
●2018年7月14日 「赤坂自民亭」が炎上
西日本の大水害で11万人に避難指示が出される中、東京・赤坂の衆院議員宿舎で自民党国会議員の懇親会「赤坂自民亭」が開かれ、安倍首相や小野寺五典防衛相、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長ら40人以上が顔をそろえた。ツイッターに写真がアップされたことで、国民から大きな批判を浴びた。
●2019年4月10日 桜田義孝五輪担当大臣が失言で辞任
東日本大震災の被災地である東北ブロック選出の高橋比奈子衆議院議員のパーティーで、「復興以上に大事なのが高橋議員だ」と述べ、責任をとる形で辞職。桜田大臣は過去にも池江璃花子選手の白血病が発覚した際「がっかりしている」とコメントするなどの失言が目立っていた。
●2019年11月18日 「桜を見る会」問題
安倍内閣になって「桜を見る会」の支出金額が急増し、予算の3倍になったほか、安倍首相や昭恵夫人の関係者が数多く招待され、反社会的勢力も来場していたことも発覚。招待基準の不透明さについて批判が噴出した。
招待者の内訳に関する調査記録を野党が要求したが、その直後に役所が招待者名簿をシュレッダーにかけていたことが判明した。加えて会前夜に安倍首相後援会の主催で夕食会が開かれ、その支出をめぐり公職選挙法や政治資金規正法違反が指摘されている。
●2020年4月7日 緊急事態宣言発令
●2020年5月21日 黒川弘務東京高検検事長辞任
産経新聞記者や朝日新聞社員と外出自粛期間中に賭け麻雀をしていたという週刊文春の報道を受けて、黒川検事長が辞任。検察庁法改正案に国民の批判が高まる中での出来事だった。
●2020年5月28日 持続化給付金事業の電通中抜き疑惑
コロナで困窮する中小企業や個人事業主を救済するための「持続化給付金事業」において電通が104億円にのぼる“中抜き”を行っていたという疑惑が浮上。
●2020年6月18日 河井前法務大臣・案里夫妻が逮捕
※女性セブン2020年7月23日号
~~~
安倍政権、7年半の不祥事を振り返るとこんなにあった
女性セブン 2020.07.15
https://www.news-postseven.com/archives/20200715_1577747.html?DETAIL
本日は3つの記事をご紹介いたします。
2つ目の記事はこちらです。
■安倍政権とは何だったのか。この約8年で破壊されたものは?
HuffPost(ハフポスト)2020年09月03日 雨宮処凛
~~~
この7年間は、“公的な制度に守られている”ように見える人々へのバッシングが繰り返された。
それは、「失われた30年」の果ての地獄の光景だったーーー。
7年8ヶ月続いた安倍政権が、終わった。
突然の幕引きだった。
2012年12月に発足して8年近く。
思えば、長い長い時間だった。
諦めや無力感を植え付けられるような、反対意見を言えば「晒し者」にされかねないような、常にそんな緊張感が頭の片隅にあるような年月だった。
ということを、終わって初めて、意識した。
自分はどれほど萎縮していたのか、8月28日、辞任の会見が終わってしばらくして、改めて感じた。
さて、第二次安倍政権が真っ先に手をつけたのが「生活保護基準引き下げ」だったことは、この連載でも書き続けてきた通りだ。
もっとも貧しい人の生活費を下げるという決断は、「弱者は見捨てるぞ」という政権メッセージのようにさえ思え、貧困問題に取り組む私は発足そうそう、足がすくんだのを覚えている。
そうして13年から生活保護費は3年かけて670億円削減。
もっとも引き下げ幅が大きかったのは子どもがいる世帯だ。
13年、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立したものの、その影で、生活保護世帯の子どもはそこから除外されるような現実があった。
引き下げ後、生活保護利用者から耳にするようになったのは「一日一食にした」「どんなに暑くても電気代が心配でエアコンをつけられない」という悲鳴だ。
この夏も数万人以上が熱中症で救急搬送され、すでに100人以上が亡くなっているが、その中には、節約のためにエアコンをつけられずにいる貧しい人々が確実にいる。
こんなふうに弱者を切り捨てる一方で、安倍政権は「アベノミクス」を打ち出し、ことあるごとに経済政策の効果を喧伝してきた。
が、その実態はどうなのか。
私たちの生活は、果たして楽になったのか?
例えば、「非正規という言葉を一掃する」と言いつつも、12年に35.2%だった非正規雇用率は19年、38.3%に上昇した。
また、12年から19年にかけて、正規雇用者は154万人増えた一方で、非正規雇用者は352万人増えている。
金融資産を保有していない単身世帯は12年では33.8%だったが、17年には46.4%まで増えた(18年以降は質問が変わったので単純比較できず)。
また、アベノミクスで「400万人を超える雇用を増やした」と胸を張るが、その中には、年金では生活できない高齢者や、夫の給料が上がらず働きに出た女性も多い。
現在4割に迫る非正規雇用の平均年収は179万円。
働く女性の55.3%が非正規だが、その平均年収は154万円。
安倍政権は「女性活躍」と打ち出してきたが、多くの女性が求めているのは「活躍」よりも「食べていける仕事」だ。
結局、この7年8ヶ月で潤ったのは、ほんの一部の大企業と富裕層だけだ。
そんなこの国を今、新型コロナウイルスが直撃している。
この連載でも触れているように、現在、私もコロナ経済危機による困窮者支援をしているが、8月の今も連日「もう何日も食べてない」「3月からなんとか貯金を切り崩して頑張ってきたがとうとうそれも尽きた」「日雇いの仕事にどうしてもありつけず、今日から野宿」などの深刻な相談が寄せられている。
真っ先に切り捨てられたのは非正規やフリーランスや自営業。
リーマンショックの時との一番の違いは、女性からの相談が多いということだ。
それもそのはずで、コロナの影響を真っ先に受けた観光、宿泊、飲食、小売りなどのサービス業を支えるのは非正規雇用の女性たちである。
また、「夜の街」と名指された場所で働く女性からのSOSも止まない。
相談内容は「近々寮を追い出される」などの深刻なものだ。
そんな人々が餓死しないために使える制度のひとつが生活保護だ。
しかし、利用を勧めても、「生活保護だけは受けたくない」と頑なに首を横に振る人も少なくない。
そんな光景を見るたびに思い出すのは、自民党が野党だった12年春の「生活保護バッシング」。
お笑い芸人家族の生活保護受給が報じられ、不正受給でもなんでもないのに一部自民党議員がこれを問題視。
片山さつき議員は厚労省に調査を求めるなどオオゴトにしていった。
そんな中、同議員は生活保護について「恥と思わないことが問題」などと発言。
このような報道を受け、制度利用者へのバッシングがあっという間に広がった。
今年6月、安倍首相は国会で、生活保護バッシングをしたのは自民党ではない、などの発言をしたが、今書いたことからもわかるように、生活保護バッシングをしていたのは思い切り自民党である。
自民党の生活保護プロジェクトチームの世耕弘成氏は12年、雑誌のインタビューで、生活保護利用者に「フルスペックの人権」があることを疑問視するような発言までしている。
このように、ちょっと調べれば誰でもわかることなのに「すぐバレる嘘をつく」のが安倍首相の癖だった。
さて、自民党が政権に返り咲く半年前の生活保護バッシングはメディアにも広がり、テレビ番組の中には「生活保護利用者の監視」を呼びかけるものまであった。
当然、生活保護を利用する人々は怯え、外に出られなくなったりうつ病を悪化させていった。
なぜ、あれほどまでに生活保護利用者という弱者が叩かれたのか。
当時野党だった自民党にとって、それはコスパがよかったからなのだと思う。
どれほど叩いても、生活保護利用者はさらなるバッシングを恐れて声を上げたりはしない。
当事者団体もなければ、彼ら彼女らの声を代弁するような団体もない。
そうして利用者を叩けば叩くほど、「自分たちはこんなに働いても低賃金なのに」という層からは絶大な支持を得る。
生活保護バッシングは、リスクを最小に抑えて「仕事してるフリ」「やってる感」が出せる格好のネタだったのだ。
そうしてバッシングによって溜飲を下げた人々からは拍手で迎えられる。
このような状況の中、自ら命を絶った生活保護利用者もいたが、彼ら彼女らがその死を知ることは一生ないだろう。
そして12年12月、自民党は「生活保護費1割削減」を選挙公約のひとつに掲げて選挙戦を戦い、政権交代。
そうして実際に保護費はカットされた。
その後も、生活保護バッシンクは続いた。
それだけではない。
16年には「貧困バッシング」もあった。
子どもの貧困の当事者としてテレビ番組で取材された女子高生の部屋に「アニメグッズがあった」などの理由で「あんなの貧困じゃない」というバッシングが起きたのだ。
このことが象徴するように、この7年間は「声を上げた人」が徹底的に叩かれるようになった7年間でもあった。
「貧しくて大変」と声を上げれば「お前よりもっと大変な人がいる」と言われ(こういう物言いには「犠牲の累進性」と名前がついているのだが)、政権を批判する声を上げれば時に非難を浴び、「炎上」する。
同時に、この7年間は、「公的な制度に守られている」ように見える人々へのバッシングが繰り返された。
生活保護バッシングや、「安定した」公務員に向けられるバッシングだけでなく、おなじみの「在日特権」はもちろん、「公的なケアが受けられる」障害者が「特権」として名指しされたりもした。
同時に「子連れヘイト」も広がった。
このような人々が「守られている」ように見えるのは、障害も病名もない人々が「死ぬまで自己責任で競争し続けてください。負けた場合は野垂れ死ってことで」という無理ゲーを強制されているように感じているからだろう。
「失われた30年」の果ての地獄の光景がそこにはあった。
もうひとつ、書いておきたいことがある。
それは安倍首相が何度も「敵」を名指してきたことにより、この国には分断とヘイトが蔓延したということだ。
その被害を、私も一度、受けている。
それは「悪夢狩り」。
安倍首相が「悪夢のような民主党政権」と発言した少し後のことだ。
「悪夢狩り」は、スマホにTwitterの通知が怒涛の勢いで表示されるということから始まった。
見知らぬ人々から「雨宮さん、一体これはどういうことなんですか?」などの質問が次々に届き、あっという間に数百通にも達した。
「私、何かやらかしてしまったんだ」と全身から血の気が引いた。
それはどう考えても「炎上」が始まった瞬間に思えた。
もう終わりだ。
心臓がバクバクして、全身に冷や汗が滲んだ。
その間も通知はすごい勢いで届き続ける。
あの時、電車のホームにいたら飛び込んでいたかもしれないと今も思う。
そんな「リプ攻撃」は一時間ちょうどで終わった。
人生で、あれほど長い一時間はなかった。
のちに、それが「悪夢狩り」というものだと知った。
「悪夢のような民主党政権」と関係があった人物が次々とそのようにしてSNS上で「狩り」に遭っていたのだ。
何月何日何時からと時間を決めて、大勢が一斉にリプを送る。
参加する方にしたら軽い気持ちでも、やられた方は追い詰められる。
自ら命を絶ってもおかしくないほどに。
民主党政権時代、私は厚労省のナショナルミニマム研究会に所属していた。
それ以外にも、民主党政権とは、貧困問題に取り組む中で様々なつながりがあった。
私にとってこの「悪夢狩り」の経験は、第二次安倍政権を象徴するものだ。
国のトップが、誰かを「敵」と名指しする。
それを受け、「安倍政権が敵とみなした者には何をしてもいい」「自分たちが成敗せねば」という思いを持った人々が誰かをみんなで袋叩きにする。
トップは決して手を汚さない。
このような忖度のもとで、いじめや排除が正当化され続けてきた7年8ヶ月。
「言論弾圧」という高尚なものですらなく、もっともっと幼稚な、子どもが小動物をいたぶるような感覚に近いもの。
安倍首相は、そんなことを繰り返してきた。
自らを批判する人々を「左翼」「こんな人たち」と名指し、また国会で「日教組日教組~」とからかうような口調で言ったのを見た時、怒りや呆れよりも、恐怖を感じた。
クラスの中の、人気も信頼もないけど偉い人の息子でお金持ちという生徒が、「今からみんなでこいついじめよーぜ」と言う時の表情にしか見えなかった。
そんな子どもじみたやり方で進められる分断は、時には誰かを殺すほどのものになるのではないか――。
安倍首相が誰かを名指すたびに、総理大臣が「誰かを袋叩きにしてもいい」という免罪符を発行することの罪深さを感じた。
しかし、それに異を唱えたら自分がターゲットになってしまうかもしれない。
ターゲットにされてしまったら、終わりだ。
そんな恐怖感が、私の中にずっとあった。
そんな安倍政権が終わるのだ。
冒頭に書いたように、私はどこかほっとしている。
今までずっと緊張の中にいたのだと、終わってから初めて、気づいた。「悪夢狩り」のことだって、今だからこそこうして書ける。
いつからか息を潜めるような思いで生きていたことに、終わってやっと、気づいた。
7年8ヶ月。
その間には、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪など、多くの人が反対の声を上げてきたことが強行採決された。
私たちの声が踏みにじられ、届かないことを突きつけられるような年月だった。
声を上げることによって、見知らぬ人たちからネット上で凄まじい攻撃も受けた。
そんなことを繰り返しているうちに萎縮し、無力感に苛まれるようにもなっていた。
この約8年で破壊されたものを修復していくのは、並大抵の作業ではないだろう。
政治は私物化され、自分の身内にのみ配慮するやり方がおおっぴらにまかり通ってきた。
災害の中で「赤坂自民亭」が開催され、沖縄の声は踏みにじられ、福島は忘れられ、公文書は改ざんされ、そのせいで自死する人が出ても知らんぷりする姿は「民主主義の劣化」などという言葉ではとても足りない。
だけど、ここから始めていくしかないのだ。
なんだか焼け野原の中、立ち尽くしているような、そんな気分だ。
~~~
安倍政権とは何だったのか。この約8年で破壊されたものは?
HuffPost(ハフポスト)2020年09月03日 雨宮処凛
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f4f3bd2c5b6250f655cab87
最後3つ目の記事はこちらです。
■水道事業、種子法、北方領土……。安倍政権が進めた政策から見えてきたもの
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.01.28 適菜収
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・安倍政権がどうみても「売国」である理由
すでにメッキの皮は剥がれているが、安倍晋三は保守ではなくて、構造改革論者のグローバリストである。
2006年9月26日の第一次政権の総理就任演説では、小泉構造改革路線を「しっかり引き継ぎ」、「むしろ加速させる」と発言。
2013年7月には、シンガポールで「岩盤のように固まった規制を打ち破る」ために、自分は「ドリルの刃」になると述べ、「規制改革のショーケースとなる特区も、総理大臣である私自身が進み具合を監督する『国家戦略特区』として、強い政治力を用いて、進めます」と発言。
同年9月にはニューヨークのウォール街で、自分が規制緩和により、障壁を取り除くから、日本を買うなら今だと訴えた。
2014年1月の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)では、徹底的に日本の権益を破壊すると宣言。
電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。
この“ファミコン脳”の言葉通り、戦後わが国が積み上げてきたものは、わずか6年で完全にリセットされた。
左翼も麻原彰晃も、安倍の足下にも及ばなかった。
仕舞いには安倍は「我が国がTPPを承認すれば、保護主義の蔓延を食い止める力になる」などと言いだした。
外国勢力が放送を乗っ取るようにお膳立てしたのも安倍だった。
放送法4条の撤廃を目指した放送制度改革で、安倍は、外資が放送局の株式を20%以上保有することを制限する規定の撤廃を目論んでいた。
水道事業を売り飛ばそうとしたり、種子法廃止を押し通したり。
ロシアにカネを貢いだ上、北方領土の主権を棚上げ、日韓基本条約を蒸し返して韓国に10億円を横流しした。
「移民政策はとらない」と大嘘をつきながら、国の形を完全に変えてしまう移民政策を推し進めた。
結果、日本はすでに世界第4位の移民大国になっている。
安倍がやっていることは、一昔前の「保守論壇」が厳しく非難してきたものばかりだ。
その妥当性はともかく、村山談話・河野談話を踏襲し、 憲法九条第一、二項を残しながら、第三項を新たに設け、自衛隊の存在を明記するという意味不明の加憲論により、改憲派が積み上げてきた議論を全部ぶち壊した。
さらには、震災の被災者の方々に寄り添う天皇陛下のものまねをして、茶化して見せた。
安倍は、ポツダム宣言を受諾した経緯も、立憲主義も、総理大臣の権限もまったく理解しないまま、「新しい国」をつくるという。
そもそも、「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」などという「保守」がいるはずがない。
安倍信者の中では国益や国辱にこだわる時代も過ぎ去ったのだろうか?
国会でも外交の場でも安倍は平気な顔で嘘をつく。
漢字も読めなければ、政治の基本もわからない。
自衛隊の日報隠蔽、裁量労働制のデータ捏造、森友事件における公文書改竄……。
政策立案などに使われる「基幹統計」もデタラメだった。
「消費や人口、学校など、いずれも私たちの生活と密接に関わる56の『基幹統計』のうち点検の結果、約4割にあたる22で間違いがあった」(「ロイター」1月25日)。
財務大臣の麻生太郎は「日本という国の信頼が、そういった小さなところから崩れていくのは避けなければいかん」と言っていたが、なにが「小さなところ」なのか?
要するに、国家の根幹がデタラメなのである。
状況を嘆いているだけでは仕方ないので、なぜこのような政権が続いているのかについて述べておく。
一つは現実を見たくない人が多いからだろう。
「日本を破壊したい」という悪意をもって安倍政権を支持している人間はごく一部であり、ほとんどは無知で愚鈍だから支持している。
左翼が誤解しているように安倍を支持しているのは右翼でも「保守」でもない。
そもそも右翼が4割もいるわけがない。
安倍を支持しているのは思考停止した大衆である。
大事なことは、安倍にすら悪意がないことだ。
安倍には記憶力もモラルもない。
善悪の区別がつかない人間に悪意は発生しない。
歴史を知らないから戦前に回帰しようもない。
恥を知らない。
言っていることは支離滅裂だが、整合性がないことは気にならない。
中心は空っぽ。
そこが安倍の最大の強さだろう。
たこ八郎のノーガード戦法みたいなものだ。
そして、中身がない人間は担がれやすい。
ナチスにも一貫したイデオロギーはなかった。
情報機関は常に攻撃の対象を用意し、社会に鬱積する不満やルサンチマンをコントロールする。
大衆と権力機構の直結。
20世紀以降の「悪」は純粋な大衆運動として発生する。
空気を醸成するためのテンプレートはあらかじめ用意される。
「安倍さん以外に誰がいるのか」「野党よりはマシ」「批判するなら対案を示せ」「上から目線だ」。
ネトウヨがこれに飛びつき拡散させる。
ちなみにネトウヨは「右翼」ではない。
単に日々の生活の不満を解消するために、あらかじめ用意された「敵」を叩くことで充足している情報弱者にすぎない。
安倍政権が引き起こした一連の惨状を、日本特有の政治の脆弱性の問題と捉えるか、近代大衆社会が必然的に行き着く崩壊への過程と捉えるかは重要だが、私が見る限りその両方だと思う。
前者は戦前戦中戦後を貫く日本人の「改革幻想」や選挙制度についての議論で説明できるし、後者は国際社会が近代の建前を放棄し、露骨な生存競争に突入したことで理解できる。
いずれにせよ、こうした中で、わが国は食いものにされている。
対米、対ロシア、対韓国、対中国、対北朝鮮……。
すべて外交で失敗しているのに、安倍信者の脳内では「外交の安倍」ということになっているらしい。
たしかに海外では安倍の評価は高い。
当たり前だ。安倍の存在によって利益を得ている国がケチをつけるわけがない。
プーチンにとってもトランプにとっても、北朝鮮にとっても中国にとっても、安倍政権が続いていたほうが都合がいいのだ。
結局、負けたのはわれわれ日本人である。
北海道のある大学教授が「このままでは国は滅びる」と言っていたが、状況認識が甘い。
日本はすでに滅びているのだ。
これから日本人は、不道徳な政権を放置してきたツケを払うことになるだろう。
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■水道事業、種子法、北方領土……。安倍政権が進めた政策から見えてきたもの
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.01.28 適菜収
「ゆでガエル理論」ってご存知でしょうか。
カエルは、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出しますが、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後には死んでしまうというお話です。
戦争のような激変があれば、多くの方々は命の危険を感じ、身を守る行動に出ます。
ただ、少しづつ、少しづつ、そのリスクが及んでくる分には「まあいいだろう」と行動にでることは少ないのではないでしょうか。
今の日本、このような状況が起きていると感じるのは私だけでしょうか。
例えば消費税。
100円のうち、たった10円の税金。
「まあ、国家財政が大変なら少しでも貢献できればいいか」と、あまり深く考えることはないかもしれません。
おそらく、消費税3%の時も、5%の時も、8%の時も、このような感覚だったのではないでしょうか。
100円のうちの、たったの10円だから。
でも。
消費税の問題は、個人の問題だけではありません。
消費税の最大の問題は「日本経済全体への多大な悪影響」にある、という点です。
個人の消費、例えば1000円のうちの100円の話だけです。
少し我慢すれば、何とかなります。
ただ。
これが、数百万人、数千人、1億人となるにつれ「総体としての消費の落ち込み」は甚大な損失につながっていきます。
個人個人の生活では殆どこの悪影響は感じられません。
多少、安い商品に切り替えた程度のお話かもしれません。
しかしながら、1億人、日本経済の約60%近くを占める「日本の個人消費全体」では大きな悪影響となって表れてきます。
個人消費が落ち込むと商品や製品が売れなくなります。
販売数減少・利用頻度下落や安価な商品サービスへシフトなどなど、消費は落ち込んでいきます。
当然、商品やサービスを提供する多くの会社は収益悪化、赤字経営に落ち込んでいきます。
店舗やお店だけではありません。
製品を作っているメーカーや、メーカーに材料を供給している会社、製品を運ぶ運送会社、さらに広告宣伝を手掛ける会社などなど、日本に所在する企業のその多くに、売上減少や赤字転落といった事象が広がっていきます。
リストラや倒産も増加していきます。
結果、失業者や給与減少、ボーナス削減という形で、私たちの収入にも影響が及んできます。
収入が減った世帯は、またまた消費減退へ。
まさに、消費の悪循環、これが日本経済「失われた25年」の結果かもしれません。
たった10%の消費税。
少しづつ上がってきたから、私たちはあまり大きな問題として認識してきませんでした。
ただ。
消費税が上がれば上がるほど消費は落ち込み、日本経済は悪化。
先進国の中でも、完全な負け組に。
失われた25年に。
少しづつ、少しづつ、失ってきたのが、私たち日本国民かもしれません。
一方「社会保障のため」と導入した消費税ですが、消費税増税するたびに「法人税」と「所得税」の税率が下がってきました。
高収益の大企業と高所得富裕層の税金負担を減らしてきたのが、これまでの日本の財政政策でした。
今実権を握っている政治家の多くの取り巻きの中には、このような恩恵を受けた富裕層が多くいる、とも言われています。
ゆでガエル日本。
悪化してきたのは日本経済だけではありません。
担当してきた政権は、マスコミへの影響力も増大してきました。
言いなりのマスコミには優遇し、ジャーナリズムある事実追求型メディアには厳しい処遇を進めてきました。
時には、政府が「名指し」で個別メディア批判。
結果、各社新聞テレビの報道記事が、どのマスコミを見ても殆ど内容が同じという金太郎あめのような報道ニュースが溢れています。
政府の意向から外れたニュースは一切目にしなくなった、という方々もいらっしゃいます。
それだけではありません。
SNS上、特定政党が資金を使って企業でアカウント運営することまで明るみになりました。
他政党の誹謗中傷までするアカウントまで出現し、SNS印象操作のような運営を行っていたとされています。
政党が、政治が、資金を使ってまで「世論操作」する状況は、いつから始まっていたのでしょうか。
私たちが「ぬるま湯」に浸っているその間、少しづつ、少しづつ、政治の「悪影響」が拡大していたのかもしれません。
「絶対的権力は絶対的に腐敗する」
これはイギリスの政治家「ジョン・アクトン(John Acton)」氏の有名な格言です。
すでに大きな権力をもつ政治家は、政権や内閣が変わっても大きな影響力を持ちます。
まさに院政。
同じ政党が政権を担う限り、誰が内閣総理大臣になっても。
政治家が腐敗すれば、メディアも、教育も、行政も、劣化し崩壊する可能性もあります。
そして、日本中に広がった腐敗によって、私たち一人一人の「心」にまで腐敗が及んで切る可能性はゼロではありません。
本当の「ゆでガエル」の姿が、身近に迫っている可能性はないでしょうか。
失われた25年。
失われたのは日本経済だけではない、ともいえるかもしれません。
失われた30年とならないために、私たちは、今、何をすべきなのでしょうか。
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