■国鉄民営化が失敗だったことが次々明らかに
「新」経世済民新聞 2022年4月12日 室伏謙一
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JR西日本が地方路線の収支を公表し、30の線区で赤字になっていることが分かりました。
路線バスへの転換も含めて今後検討していくと報じられています。
例えばこんな報道。赤字線区と赤字の額が具体的に記載されています。
コロナの影響で乗客数が減ったし、リモート(僕はこの意味不明な和製英語は嫌いなんですが。)だなんだで仕方ないよねと思ってしまいがちですが、乗客の減少は今に始まった話ではありません。
これらの沿線では総じて人口が減少傾向にありますから、住む人が減れば鉄道の利用者が減るのはある意味当たり前です。
ではなぜ減ったのでしょうか?
それは国が地方に投資をしなくなったから。
勿論全くしなくなったわけではなく、投資を大幅に減らしたからです。
不便なところに人が住まない、まして便利な都会から移住なんてしない、これは国の調査結果等からも明らかな傾向です。
人が減れば需要が減りますから、小売店舗を中心に閉店・撤退が進んでいきます。
そうすれば生活の利便性が失われていきますから、より便利なところへ引っ越していくのは仕方がないというより、ある種当然の選択です。
つまり緊縮財政の結果として乗客が減ったということです。
JR西日本からすれば、乗客が減ったのに、列車を以前の乗客数の時と同じように運行するわけにはいきませんから、運行本数を減らしたり、編成を短くしたりするといった対応をせざるをえません。
そうすれば乗客からすれば利便性が低くなりますから、結果的に利用者が減る可能性が出てきます。
要は緊縮財政による悪影響と、それへの事業者の防御策の影響の悪循環の結果、赤字路線に陥ってしまったということが言えるのではないでしょうか。
地方への投資を大幅に減らし、それまで計画されていたインフラ計画等を凍結させる発端となったのは、中曽根内閣による「増税なき財政再建」の名の下に進められた緊縮財政です。
そして過剰に採算性を考えて経営をせざるをえない状況にJR西日本等を追い込む発端となったのも、中曽根内閣による国鉄等の民営化です。
要するに緊縮財政に加えて、民営化が日本のインフラを窮地に追い込んだ元凶ということであり、端的に言って、民営化が大失敗に終わったということなのです。
国鉄民営化に当たって、路線は守るとか、ブルートレインもなくなりませんとか、そんなことを言っていたのですが、それらは見事に反故にされました。
理由は車両の老朽化とか言っていますが、電車による運行に変わったサンライズ瀬戸・出雲は残っています。
出張日程の関係で乗ったことがありますが、非常に便利でした。
近年の鉄道民営化の発祥の地であるイギリスでは、民営化の失敗、分割民営化の大失敗を認めて、国有化に戻す方針を決め、順次それを実行しています。
鉄道等の公共交通は、それだけで儲けるというよりも、それがあることによって社会経済に様々な便益をもたらし、それによって経済が成長し、豊かになっていくというところに目的があるはずです。
つまり、それだけで独立採算で考えてはいけない存在なのです。
そうした効用を考えれば、国が必要な財政支出を行なって支えるべき存在、インフラなのです。
改めて言いますが、今回のJR西日本の発表から、国鉄民営化、分割民営化の大失敗が明らかになりました。
今こそ再国有化の議論を始めるべきでしょう。
今回のJR西日本の発表はそうしたことを求めるものだと解釈した方がいいように思いますね。
少々乱文になりましたが、「国鉄の再国有化」という、まさに世界的に当たり前の議論を、主張を、皆さんも一緒に進めていきましょう。
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国鉄民営化が失敗だったことが次々明らかに
「新」経世済民新聞 2022年4月12日 室伏謙一
https://38news.jp/economy/21505
■国鉄民営化という名の「私物化」で地方を切り捨てた自民党<安田浩一氏>
ハーバービジネスオンライン(扶桑社)2020.03.21
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・「民営化」は何もかも解決する魔法のコトバではない
電電公社、郵政、国鉄、そして水道……。
80年代の中曽根内閣以来、「民営化」という言葉は、まるでなにもかも解決する素晴らしい魔法のコトバのように取り沙汰されてきた。
しかし、果たして本当にそうだろうか?
本来、公共サービスとは、国民の生命、安全と直結しており、効率だけで行われるべきものではない。
経済学者の宇沢弘文が喝破したように、それらは「社会的共通資本」であり、市場原理に委ねるべきものではない。
中曽根政権時代に実行された国鉄民営化では、国鉄が保有していた土地が払い下げるなど、一部企業にだけ利益をもたらす他、住民がいるにも関わらず不採算路線として切り捨てるようなことが罷り通った。
小泉政権が推進した郵政民営化は、国民の資産である郵政マネーをアメリカに売り渡し、郵便遅配・誤配の増加だけでなく、かんぽの不正営業などの弊害をもたらした。
これらのデメリットは当然、安倍政権が断行した水道民営化でも十分起こり得るものだとして当初から指摘されてきた。
3月21日発売の日本の自立と再生を目指す闘う言論誌『月刊日本 4月号』では、こうした民営化と規制改革の美辞麗句のもとに構築された利権構造にメスを入れ、その弊害について改めて考えるべく、第2特集として「民営化とは私物化するということだ」という特集記事が組まれている。
今回は同特集から、ノンフィクション作家の安田浩一氏による国鉄民営化についての論考を転載、紹介したい。
・民営化のせいで事故が多発
―― 安田さんは著書『JRのレールが危ない』(金曜日)で、国鉄分割民営化がもたらした弊害を明らかにしています。
安田浩一(以下、安田):
国鉄分割民営化を進めたのは自民党です。その際、彼らは国民の支持を得るため、北海道新聞をはじめとするブロック紙や一部全国紙に「国鉄が…あなたの鉄道になります」という広告を掲載しました。
ここには「会社間をまたがっても乗りかえもなく、不便になりません。運賃も高くなりません」、「ブルートレインなど長距離列車もなくなりません」、「ローカル線(特定地方交通線以外)もなくなりません」といったことが書かれていました。
しかし、端的に言って、これらはすべて嘘でした。
現在では会社間の相互乗り入れは減ってきていますし、ローカル線を維持することも難しくなっています。
特に深刻なのがJR北海道です。
JR北海道は赤字続きで、自社単独では現有路線の半分も維持できないという状況になっています。
その他の地方も同様です。
私は地方出張のたびに痛感しますが、地方では無人駅がどんどん増えており、小さな駅ではみどりの窓口を廃止するのが当たり前になっています。
民営化の過程で大幅な人員削減が行われたことも問題です。
国鉄時代には「レールセンター」という部署があり、保線作業員たちがレールの破断などを歩いてチェックしていました。
しかし、現在のJRには保線作業員は一人もいません。
保線作業はすべてパートナー会社や協力会社に丸投げしています。
そのため、JRという組織の中で保線の技術が継承されなくなってしまっています。
どのような理屈をつけようとも、民営化の目的はコスト削減です。
儲かる部門は存続させ、儲からない部門は切り捨てる。
それが民営化の内実です。
しかし、利益を優先すれば、安全性が犠牲になるのは避けられません。
実際、民営化後のJRでは大きな事故が何度も起こっています。
最大の事故は、2005年に起こったJR西日本の尼崎脱線事故です。
乗客と運転士合わせて107名が亡くなる凄惨な事故でした。
この事故は民営化の弊害を象徴するものでした。
JR西日本は人員削減を行う一方で、利益を最大化するため、運転手たちに効率的な運転を求めていました。
効率的な運転とは、要するに列車のスピードアップです。
それが結果として大惨事をもたらしたのです。
JR西日本では尼崎脱線事故から一年もたたないうちに再び死傷事故が起こっています。
伯備線の根雨―武庫間の線路上で保線担当者4名が列車にはねられ、そのうち3名が亡くなったのです。
この事故は、きちんと見張り員を配置しておけば防ぐことができました。
しかし、人員削減のため、見張りを立てる余裕さえなくなっていたのです。
まさに民営化がもたらした事故だったと言えます。
・国鉄用地に群がるマスコミ
―― 国鉄民営化を実行したのは、昨年亡くなった中曽根康弘総理大臣です。中曽根総理の狙いはどこにあったと思いますか。
安田:
中曽根は2005年11月にNHKのインタビューで、分割民営化の狙いについてわかりやすい言葉で語っています。
中曽根はおおよそ次のように言っています。
「国鉄民営化を実行したのは国労(国鉄労働組合)を潰すためだ。
国労は総評(日本労働組合総評議会)の中心だから、いずれ崩壊させなければならない。
それで総理大臣になったとき、国鉄民営化を真剣にやった。
国鉄民営化ができたから、国労は崩壊した。
その結果、総評が崩壊し、社会党が崩壊した。
それは一念でやった」。
これは当時から言われていましたが、中曽根の目的は労働組合潰しというより、社会党を潰して55年体制を終結させることでした。
その後、実際に社会党はなくなり、55年体制は終結しました。
中曽根の思惑通りになったわけです。
国鉄民営化を進めるにあたって中曽根が重宝したのが、経団連会長を務めた土光敏夫でした。
土光は第二次臨調(臨時行政調査会)の会長に就任し、分割民営化に精力的に取り組みました。
メディアもこの流れを後押ししました。
土光がメザシを食べている姿をテレビで流し、質素で清廉な人間であるかのような演出を行ったのです。
私からすれば、本当に生活に苦しい人はマクドナルドなどで食事を済まし、むしろ金持ちほどメザシのようなものを食べるのではないかと皮肉を言いたくなりますが、これによって国民の間で土光への支持が高まったことは間違いありません。
―― マスコミの責任は重大です。なぜ彼らは国鉄民営化を応援したのでしょうか。
安田:
当時の国鉄本社には「ときわクラブ」という記者クラブがありました。
私はそこに所属していた記者に話を聞いたことがあります。
その記者は分割民営化に疑問を感じ、批判記事を書こうとしたそうですが、会社から「分割民営化は批判すべきものではない」と圧力をかけられ、記事にできなかったと言っていました。
マスコミが民営化に賛成したのは、一つには利権が関係していると思います。
国鉄民営化の結果、それまで国鉄が保有していた土地が民間に払い下げられることになりました。
たとえば、汐留がそうです。
いま汐留には共同通信や日本テレビ、電通などのビルが建っています。
これは綿密な検証が必要ですが、マスコミは分割民営化を応援した論功行賞として国鉄用地をわけてもらったという見方をする人も一部に存在します。
・国土の荒廃に手を貸した保守派
――麻生太郎財務相は2017年に衆院予算委員会で、「貨物も入れて7分割して、これが黒字になるか。なるのは3つで、他のところはならないと当時からみんな言っていたんです。鉄道関係者なら例外なく思っていましたよ」と述べ、国鉄民営化は失敗だったという認識を示しました。
安田:
「お前が言うな」と言いたくなりますが、発言の内容自体は正しいと思います。
もっとも、分割民営化を考える上で重要なのは、黒字になるかどうかではなく、公共サービスをビジネス化することが適切かどうかという視点です。
鉄道をはじめとする公共サービスは、人の命や生活に直結します。
それは決してコストがかかるからという理由で廃止したり、切り売りしていいものではありません。
たとえ儲からなかったとしても、全国津々浦々まで必要なサービスを届けるのが「公共」というものです。
そういう意味では、分割民営化を食い止められなかった責任は、国労にもあると思います。
当初、国労はこの問題を労働問題としてのみ捉え、民営化に反対しました。
確かに労働組合の役割は、組合員の待遇向上や労働環境の改善などを実現することです。
しかし、この問題を労働問題に限定してしまったことで、鉄道の公共性という観点をなかなか打ち出すことができませんでした。
それもまた国民の支持を得られなかった一つの要因だと思います。
また、保守派や愛国者を自称する人たちにも責任があります。
先ほど述べたように、国鉄分割民営化は鉄路の安全を脅かし、地方に荒廃をもたらしました。
私にしては珍しい物言いかもしれませんが、民営化は国土を破壊し、国の安全を脅かしたのです。
普段は国家の安全保障といったことを声高に唱えている保守派や愛国者が、なぜこのことに無頓着なのか。
理解に苦しみます。
もちろん一部の保守派は民営化に反対したのかもしれませんが、その多くが国の方針に賛同したことは否定できないでしょう。
いったい彼らは何を保守したのか。
なぜそれで保守派を名乗れるのか。
そんなものは愛国者でもなんでもないということは強調しておきたいと思います。
(3月4日インタビュー、聞き手・構成 中村友哉)
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国鉄民営化という名の「私物化」で地方を切り捨てた自民党<安田浩一氏>
ハーバービジネスオンライン(扶桑社)2020.03.21
https://hbol.jp/pc/215364/
■電気代で逆転現象 燃料費高騰で自由化料金割高に
産経新聞 2022/8/12 永田 岳彦
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火力発電用の燃料費高騰が長期化し、大手電力各社の家庭向け電気料金で、電力自由化後に設けられ安価とされてきた「自由料金」が、従来の「規制料金」より高くなる〝逆転現象〟が起きている。
自由料金は各社の判断で値上げができるが、規制料金は監督官庁である経済産業省に申請した燃料費の基準価格の1・5倍までしか高騰分を反映できないためだ。
原子力発電所の再稼働がすすまない中、ウクライナ危機の長期化を受けた石油や天然ガス価格の高止まりを受け、各社は頭を抱えている。
「今は異常事態だ」。
7月15日の会見で、大手電力10社で構成する電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は厳しい経営環境を訴えた。
規制料金は2月分で北陸電力が値上げ上限に達して以降、上限到達が相次ぐ。
9月分では東京電力が25年ぶりに上限に達した。
未達は大手電力10社中、中部電力1社だけとなっている。
原因は燃料費高騰分を反映する燃料費調整制度(燃調)にある。
各社の燃調の基準価格はウクライナ危機前に経産省から認可されたものだが、直近の燃料費急騰が想定を上回り、各社が次々と上限に達している。
燃調の基準価格の再申請を行い価格転嫁の上限を引き上げることは可能だが、家計の負担が増している中では反発が予想され、目立った動きは見せていない。
申請しても、内容が適正かの審査は数カ月かかる可能性がある。
家庭向け電気料金には規制料金以外に、オール電化住宅向けやガスとセットなどの自由料金もある。
大手電力各社も電力自由化後、他社に顧客を奪われないように規制料金より安価となる自由料金のプランを数多く導入してきた。
ただ、逆転現象が発生。
東京電力エナジーパートナー(EP)によると、9月分の規制料金の平均モデルの料金は9126円。
ほぼ条件が同じ自由料金の場合9535円だった。
中国電力も9月分の規制料金の平均モデルが8029円に対し、ほぼ同条件の自由料金は9605円。自由料金はガスなどとのセットに伴う料金割引など付随するサービスがあり単純比較は難しいが、規制料金の方が割安となっている。
規制料金の値上げが止まる一方で、自由料金だけ値上げが続くことは競争を促し、料金抑制を目指すという電力自由化の趣旨にも反する。
岸田政権には迅速な対応が求められる。(永田岳彦)
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電気代で逆転現象 燃料費高騰で自由化料金割高に
産経新聞 2022/8/12 永田 岳彦
https://www.sankei.com/article/20220812-2Z4VED7PS5L4HLSTRFLAVOLRKM/
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電力自由化が破綻…大手電力会社が通常料金の10倍を請求、新電力会社の破綻ラッシュ
Business Journal 2021.04.24
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新電力大手のF-Power(エフパワー、東京・港区)は3月24日、東京地裁に会社更生法を申請した。
申請時の負債は債権者315名に対して約464億円(帝国データバンク調べ)。
新電力の倒産では16年4月に破産申請した日本ロジテック協同組合の負債約162億円を上回り、過去最大となった。
エフパワーは2009年4月に設立した独立系の新電力事業者。
自社では発電設備を持たず、グループ会社の新中袖発電所や新潟ニューエナジー、民間発電所・自治体の清掃工場などから電力を調達するほか、電力使用量の増加で供給が不足する場合は日本卸電力取引所(JEPX)からスポット取引で調達。
事業者向けを主体に高圧電力および特別高圧電力、一般家庭用に低圧電力の小売りを行っていた。
低料金を武器に18年4~7月に契約電力400万キロワット以上となり、新電力で首位に立った。
しかし、原油価格と卸売市場価格の高騰が直撃して18年6月期は120億円の最終赤字を計上。
19年6月期は売上高は約1606億円となったものの、需要期の卸売価格の変動が響いて最終赤字が約184億円に拡大し、債務超過に転落した。
そのため、料金を見直したり、火力発電所子会社などの資産を売却して自力再建に取り組んだ。
20年6月期の売上高は722億円に減少したが、最終損益は約2億円の黒字となり、2期連続の赤字から立ち直った。
だが、21年初頭の電力逼迫による電力卸市場の調達価格の急騰で再び業績が悪化。
関連費用の追加支払いが重なり自力再建を断念した。
・猛烈寒波で卸電力の価格が10倍に急騰し逆ザヤに
電力自由化で誕生した電力小売事業者(新電力)が曲がり角に立っている。
事業者数は700社に増え、顧客獲得競争が激化。
昨年末からの寒波襲来に伴う電力需要の急増で苦境に陥った。
液化天然ガス(LNG)火力発電所の燃料が不足したことが引き金となり、今冬の電力需給が逼迫。
日本卸電力取引所(JEPX)の価格は、通常は1キロワット時当たり10~20円で取引されていたのが、1月中旬には一時251円と10倍超にまで跳ね上がった。
自前の発電設備を持たない新電力の多くはJEPXを通して大手電力会社から出た余剰電力を調達している。
新電力は仕入れコストが膨らんでも、それを電気料金に転嫁できない。
電気料金を大幅に値上げしたら解約が相次ぐことになるからだ。
その結果、仕入れコストが電気料金を上回る逆ザヤが発生した。
加えてインバランス料金の高騰が新電力の経営を圧迫した。
インバランスとは新電力が電力を調達できない場合、電力会社が穴埋めする仕組みのことで、電力供給はストップせず、停電などにならずに済む、いわゆるセーフティガードだ。
とはいっても、新電力は後日、不足した電力分の費用を精算金(ペナルティー)として電力会社に支払わねばならない。
年始に発生したインバランス料金のペナルティーは3月以降に支払い期日が到来することから、新電力各社は購入した電力の高騰にインバランス料金が重なり「3月危機説」が取り沙汰されていた。
新電力56社は1月18日、連名で経産相に要望書を提出。
価格が高騰した期間のインバランス料金で電力会社が得た利益の還元とインバランス単価の見直しを求めた。
3月以降、経産省は新電力への支援策として、最大9カ月のインバランス料金の電力会社への分割支払いと、政府系金融機関に対して影響を受けた事業者への柔軟な対応を求めた。
3月5日、新しいペナルティーの単価が発表された。
1月の平均単価は1キロワット時当たり77円65銭。通常時に比べて10倍を超える高額請求となった。
分割での支払いや政府系金融機関からの融資という救済措置で「3月危機」を乗り切れるはずだったが、エフパワーは高額ペナルティーが判明した時点で自力再生を断念した。
救済措置に申し込みをせず、会社更生法の適用を申請した。
今後、先送りされたインバランス料金の支払期日が次々とやってくるため、新電力から撤退する企業が出てくるとの悲観的な予想が広がっている。
電力大手と提携している新電力の一部は「提携先から安値で電力供給を受け、その電力をJEPXに転売して大儲けした」(業界筋)そうだ。
こうした異常な状態が現出したことは、新電力だけでなくエネルギー業界全体にとって決して好ましいことではない。
2016年の電力小売り全面自由化以降、異業種から参入した新電力の事業者は700社を超えた。
20年11月時点の新電力の販売電力量は全体の約18%を占めるまでに成長した。
「売電事業は安定した収益を確保できるという計算で参入したが、今回の事態で未曽有の逆ザヤを経験し、リスクが高いことを思い知らされた新電力もある」(関係者)
卸市場の価格高騰はいったんは収まったが、液化天然ガスの入手が困難になれば、再び同じようなことが起きる。
新電力に見切りをつけ撤退するところが続けば、電力自由化にブレーキがかかる。
電力小売り自由化から5年。
新電力は岐路に立たされている。
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企業・業界
電力自由化が破綻…大手電力会社が通常料金の10倍を請求、新電力会社の破綻ラッシュ
Business Journal 2021.04.24
https://biz-journal.jp/2021/04/post_222190.html
■電力自由化(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
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電力自由化(でんりょくじゆうか)、または電力市場の自由化とは、従来自然独占とされてきた電気事業において市場参入規制を緩和し、市場競争を導入することである[1]。
電気料金の引き下げや電気事業における資源配分の効率化を進めることを目的としている。
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電力自由化(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96
■年次改革要望書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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年次改革要望書は日本政府とアメリカ政府が両国の経済発展のために改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点についてまとめた文書で2001年から毎年日米両政府間で交換され2009年(平成21年)に自民党から民主党へと政権交代した後、鳩山由紀夫内閣時代に廃止された。
日本に対するアメリカ側の要望書は『日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府に対する米国政府の年次改革要望書。
○アメリカの要望
・アメリカ政府による日本改造
関岡英之は年次改革要望書は、アメリカ政府による日本改造という観点から注目し、アメリカによる日本への年次改革要望書の性格は、アメリカの国益の追求という点で一貫しており、その中には日本の国益に反するものも多く含まれているとしている。
衆議院議員小泉龍司は、2005年(平成17年)5月31日の郵政民営化に関する特別委員会において、要望書について「内政干渉と思われるぐらいきめ細かく、米国の要望として書かれている」と述べている。
郵政民営化は、郵便貯金や簡易保険などの国民の財産を外資に売り渡す行為であるとし、また三角合併解禁については時価総額が大きい外資が日本大手企業を買収して傘下に置き易くすることを容易化する行為として、外資への売国的行為とする意見がある。
年次改革要望書で言及されている医療改革は、外資系保険を利することが目的となる一方で、診療報酬(レセプト)減額や患者の医療費負担増大が、医療崩壊に繋がっていると指摘する意見がある。
1999年(平成11年)の労働者派遣法改正により、日雇い派遣が原則解禁となったが、これにより労働環境の不安定化(ワーキングプアの発生)という社会問題を生み出している。
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年次改革要望書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E6%AC%A1%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8
■年次改革要望書…アーミテージレポート… 属国は何を押しつけられてきたか
長周新聞 2018年10月15日
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第4次アーミテージレポートを発表したことが注目を集めている。
これはアーミテージ元米国務副長官、ジョセフ・ナイ元米国防次官補らが主導するシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が発表した「21世紀における日米同盟の再構築」とする文書で、表向きは対等な「提言」という形だが、実態は宗主国アメリカが植民地日本に押しつける政策命令書に等しいものだ。
ここ二十数年で進行した郵政民営化も人材派遣自由化も米軍再編も、すべてアメリカが1994年以後突きつけてきた年次改革要望書と、それを引き継ぐアーミテージレポートの具体化だった。
それは日本の主権が侵された異常な現実を突きつけている。
「年次改革要望書」は、1993年の宮沢―クリントン会談で合意し、翌年から毎年10月に提出されるようになった。
表面的には日米両国が互いに要望書を交換する形態をとるが、日本側の要望はまったく実行されない。
その実態はアメリカ側が日本に押しつける一方的な政策命令にほかならない。
しかもアメリカの要求は通信、医療機器・医薬品、金融、エネルギー、流通など多岐にわたり、法律業務、競争政策をふくめ、国の制度自体を変える内政干渉を含んでいた。
90年代の年次改革要望書を見てみると、「商法」関連で米国型企業統治の導入や、日本企業を買収しやすくする株式交換型M&A(三角合併)解禁を求め、「競争政策」で独占禁止法の罰則強化や公正取引委員会の権限強化を要求している。
これはNTTなど日本の巨大企業を規制し、外資が日本市場に殴り込みをかけるための施策だった。
さらに郵政民営化、立法・行政の施策決定過程への外国人利害関係者の介入拡大、日本を訴訟社会にして日本企業の弱体化とアメリカの弁護士業界進出をはかる司法制度改革などを盛り込んだ。
その要求にそって日本政府は1997年に独占禁止法改定をおこない、持株会社を解禁(金融持株会社も含む)した。
持ち株会社は傘下企業の株式だけ握って支配する会社で、以前は禁じていた制度だ。
持ち株会社の解禁によって製造に直接携わらない持ち株会社がグループの頂点に君臨し、末端の製造部門を徹底したコスト削減に駆り立てる動きが加速した。
98年には地元小売店や商店街を守るための大規模小売店舗法(大店法)を廃止し、大型店出店を野放しにした。
海外からの参入も促進し、地元商店街が一気に疲弊していく下地となった。
同年には、「約半世紀ぶり」ともいわれる建築基準法抜本改定を強行した。
もともと日本の建築基準は、地震国であるため国際基準より厳しく、建築物の建て方(仕様)を細かく規制した「仕様規定」だった。
それを「国民の生命、健康、財産の保護のため必要な最低限の性能があればよい」とする「性能規定」へ転換した。
日本で古来から培われた建築基準を崩したことで、外国の建材や工法がどっとなだれ込んだ。
その結果が現在の自然災害における家屋被害拡大にもつながっている。
99年には労働者派遣法改悪で人材派遣を自由化した。技術者を育てていく終身雇用を崩壊させ、必要なときだけ外から連れてきて働かせる不安定雇用を拡大した結果、若い世代の貧困化、技術の断絶、少子高齢化に拍車がかかった。
さらにアメリカは制度変更後も着実に実行しているか目を光らせ、毎年の年次改革要望書に盛り込んだ。
例えば大店法を廃止した翌年の1999年には、大型店出店の動きがある地方自治体の活動を監視し、大型店出店を国を挙げて援助することを促している。
このころから「市場参入と事業の運営、許可、規準、資格、検査、試験、認定制度に関する規則等の民間規制は事業活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と明記し、それこそ「聖域のない規制緩和」を要求し始めている。
そして2001年になると小泉―ブッシュ間で、今後「日米規制改革イニシアティブ」の名で年次改革要望書の発行を継続すると決定した。
このとき小泉首相が身振り手振りを踏まえながら絶叫していた「聖域なき構造改革」はこの年次改革要望書の具体化だった。
なかでも「年次改革要望書」で1995年から実行期限まで区切って要求したという郵政民営化はその典型だった。
03年段階で郵政事業庁を廃止し、日本郵政公社を発足させていたが、同年の年次改革要望書が「(郵政三事業の民営化計画を)2004年秋までに作成するよう指示を出したことを特筆する」と記述すると、小泉政府はますます強引に制度構築に奔走した。
2004年6月の経済財政諮問会議で「骨太の方針2004」に郵政民営化を盛り込み、十分な論議もなく、郵便局現場で今後の不安が拡大するなか3カ月後の9月に閣議決定した。
そして2005年8月に郵政民営化関連法が参院本会議で否決されると「自民党をぶっ壊す」と叫び、郵政解散選挙を演出。
そして郵政民営化に反対した議員の選挙区に小池百合子などの刺客を送り込み、メディアを挙げて郵政民化営反対の動きを袋だたきにしてつぶすことで、アメリカの対日要求に忠実な施策を着実に実行していく隷属構造を強化した。
郵政民営化法成立によって当時、郵貯、簡保の国債分を除いて200兆円もあった国民財産は民営化でいつアメリカ金融資本に奪われてもおかしくないようになった。
120兆円資産の簡保は、今後「透明性のある競争の確保」「民業を圧迫する政府保証を排除せよ」などといってさらに弱体化させ、最終的には分割、解体、経営破綻に追い込み、M&A(企業の合併・買収)や営業権譲渡で米国系民間保険会社が吸収する危険も指摘される事態となった。
この郵政民営化以後、アメリカの対日要求を首相直属機関である諮問会議などがせっせと「国の方針」に作り直し、それを短時日のうちに閣議決定して法案作成、国会採決へとすすむ流れがより露骨になった。
郵政民営化の次は農協・漁協などの相互扶助組織がおこなってきた金融・共済の解体、日本の医療制度や国民皆保険制度の破壊などの動きを強めている。
・属国打破が全国的課題
年次改革要望書自体は自民党大惨敗で発足した鳩山政府の時期(2009年)に廃止となり、それ以後、日米経済調和対話やアーミテージレポートへと引き継いでいる。
だがアメリカがシナリオを書きそれを時の政府が忠実に実行する関係はまったく変わっていない。
2016年3月に米日経済協議会(USJBC)が「アベノミクスの中心転換経済成長に不可欠な新しい構造・規制改革」と題する提言を発表した。
事実上、年次改革要望書にかわる文書だが、そこにはTPP協定実施に向けた関税・非関税措置の撤廃、法人税率の25%への引下げなどの要求とともに、今年成立させた働き方改革関連法や統合型リゾート推進法(カジノ法)を優先課題として明記していた。
そして軍事・政治問題の対日要求を系統的に突きつけてきたのがアーミテージレポートで、これまで4回発表している。
2000年に発表した第1次レポートでは活動領域を太平洋全域に広げた「安保再定義」について「日本の役割の下限を定めたと見なすべきで上限を示すものではない」と指摘し「米日二国間の防衛計画にもっとダイナミックなとりくみを求めている」と強調した。
そして集団的自衛権の行使容認、有事法制の国会通過、米軍と自衛隊の施設共用と訓練の統合、PKF本体業務への参加凍結解除、米軍再編計画の実行、ミサイル防衛に関する日米協力の拡大、軍事情報を共有するための秘密保護法制定、などの要求を突きつけていた。
その後の日本の動きを見ると、2001年にPKO法を改定しPKF本体業務への参加凍結を解除した。
2003年には弾道ミサイル防衛システムの導入を決定し、有事関連三法(武力攻撃事態法など)を成立させた。
さらに2004年には有事の際米軍が民間施設を接収したり、国民の行動を制限することを定めた有事関連七法(国民保護法や米軍行動関連措置法)が成立。
法整備はアーミテージレポートの要求に沿って進行した。
「米陸軍第一軍団司令部の座間移転」「岩国基地への厚木艦載機移転」を盛り込んだ米軍再編のロードマップ発表も同時期だった。
そして東日本大震災を経て2012年に発表した第3次レポートの対日要求は、原発再稼働、TPP推進、日韓「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)締結、新たな安保法制の制定、武器輸出三原則の撤廃、などを要求した。
安保関連では「平時から緊張、危機、戦争状態まで安全保障のあらゆる事態において、米軍と自衛隊が日本国内で全面協力できるための法制化を、日本側の権限において責任もっておこなうべき」「米陸軍と海兵隊は陸上自衛隊との相互運用性を高め、水陸両用作戦などで機敏であり展開しやすい軍体制の方向へ発展していくべきだ」とより突っ込んだ内容に言及した。
さらに「国家の防衛には攻撃責務の備えが必要だという事実をはぐらかしている」と記述し、集団的自衛権に関連して「平和憲法の改正を求めるべきだ」と明記した。
それはまぎれもなく日本を再び戦争に引きずり込む危険な内容をはらんでいた。
ところが安倍政府が「国防」を叫びながら実行したのは、特定秘密保護法の成立、武器輸出三原則の撤廃、原発再稼働、安保関連法成立、TPP関連法成立、日韓GSOMIA締結(2016年)などアメリカによる対日要求の丸呑みだった。
攻撃専門部隊である水陸機動団(日本版海兵隊)を発足させ、改憲を声高に叫んでいる。
そして今月発表した第4次アーミテージレポートは、日米統合部隊の創設、自衛隊基地と在日米軍基地を日米が共同使用可能にする基準緩和などを要求した。
それは事実上、自衛隊を丸ごと米軍傘下に組み込み、日本全土を米軍基地化していく方向性を示している。
こうした「年次改革要望書」と「アーミテージレポート」が示しているのは、日本国内の政治に主権がない現実である。
さらにあらゆる施策が海の向こうで作られ、その顔色ばかりうかがう売国的な政治家によって、国民無視の施策が次から次にまかり通る異常さである。
日米安保体制に基づくアメリカによる日本支配は、基地のある町や沖縄だけにとどまらず日本全土に及んでいる。
この属国状態を打破する全国民的な運動が切実に求められている。
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年次改革要望書…アーミテージレポート… 属国は何を押しつけられてきたか
長周新聞 2018年10月15日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/9571
■電気代、家計負担一段と 1月の東電自由料金46%増
燃料高・円安で過去最高
日経新聞 2023年1月20日
■「契約お断り」大手電力で相次ぐ受付停止の異常
新電力が相次ぎ撤退、自由化の仕組みが崩壊
東洋経済 2022/04/26 岡田 広行 : 東洋経済 解説部コラムニスト
■電力各社、苦境というけれど 燃料高騰アピール、一方で続く不祥事 東電も値上げ申請
朝日新聞 2023年1月24日
■やっぱり郵政民営化は郵政私物化であり、郵政米営化だった
・『ゆうちょマネー』はどこへ消えたか
「米営化」というのは、ゆうちょマネーを米国の資金繰りに使いたいという米国の思惑だ
日刊ゲンダイ(講談社)2016/05/15
■日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?
~狙われる日本人の金融資産~
(著者:ベンジャミン・フルフォード、発売日:2015年06月、出版社:メディアックス)
「米国は、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる」
「アベノミクスからTTP問題で日本の富を奪う」
ベンジャミンフルフォード『フォーブス』元アジア太平洋局長
・楽天ブックス https://a.r10.to/hD8Oic
■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
「JAバンクは農協と信用農協、農林中央金庫で構成され預金残高は90兆円」
「米国政府と米国金融、保険の多国籍企業、日本政府に対して絶えず圧力をかけている」
Business Journal(2015.09.01)
■アベノミクスのワナ?「規制緩和」「構造改革」は、米国による日本弱体化戦略の一環?
Business Journal 2013.08.08
■GHQによる戦後日本の経済民主化は「経済弱体化」だった
PHPオンライン衆知 2021年04月22日
田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
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