ビヨンセの物まねで有名な渡辺直美さん。
吉本在籍のお笑い芸人として人気を博していますね。
Instagramでは約800万人のフォロワーを持つ、日本一のインスタ女王としても有名です。
今回は渡辺直美さんの生い立ち、生き様から見えてくる「チェンジメーカー」としての姿についてお伝えします!
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海外から評価される「インスタ女王」渡辺直美さん
ご存知、インスタ女王、渡辺直美さん。
日本でもおなじみですが、渡辺直美さんのすごいところは、世界水準なところです。
2018年7月、米誌『TIME』が「ネット上で最も影響力のある25人」の1人として、渡辺直美さんを取り上げたことも、記憶に新しいことではないでしょうか。
注目すべきは、選出に至った評価ポイント。
それは、単純な物まねの精密さでもなく、単純なフォロワー数でもありません。
『TIME』誌は「お笑い芸人やデザイナーとしての立場をうまく使い日本人女性に対するステレオタイプ(固定観念)に勇敢に挑んでいる」という視点で選出しています。
そういえば、2018年1月にはハイファッションの最先端を行く雑誌のひとつ「VOGUE」(イギリス版)でも渡辺直美は「日本女性への固定観念を破壊する存在」として絶賛されていました。
「GAP」のモデルに起用された渡辺直美を深堀りした記事では「日本女性に対する固定観念を破壊している」として掲載されています。
すごいですね、日本では「物まね芸人」「お笑い芸人」としての側面が強い渡辺直美さんは、違う側面で海外から評価されています。
なぜ、渡辺直美さんが海外から高い評価を受けているのでしょうか。
少し経歴を追ってみたいと思います。
ネガティブで恥ずかしがり屋だった渡辺直美さん
ご存知の方は多いかもしれませんが、渡辺直美さんは台湾と日本のハーフです。
父親が日本人、母親が台湾人。
台湾で幼少期の頃に両親が離婚しており、母に引き取られて育てられました。
日本の茨城県で育ちますが、日本に住んでいながら日本語も台湾語も中途半端。
帰国子女やハーフの方に多いと言われる、ダブルリミテッド(セミリンガル)、いわゆる、母語が確立できていない状態。
そんな背景もあり、勉強は全くダメだったようです。
本人もこんなコメントを残しています。
「実際、私も学生時代は自分のことをバカだと思っていたんです。日本で育っているし、日本語はわかるんですけど、先生の言っていることが深く理解できなくて、質問と答えがまるで噛み合わなかったり。それを自覚していたし、友達から何言っちゃってるの?って顔されたり。それがトラウマになって勉強を避けるようにもなって──。音楽と体育と図工とかだけ5で、他は全滅みたいな」
外見なども影響し、ネガティブな恥ずかしがり屋な性格で幼少期を過ごしたようで、こんなコメントも残しています。
「自分の意見を殺すタイプでしたね。言ったら怒られるんじゃないか?ダメなんじゃないか?って思っていて、結構まわりの言いなりに近い感じだったなと」
まさに保守的な地域の中、コンプレックスの塊として幼少期を過ごしてきた、とも言えそうです。
生き方を変えた、バイトの経験
茨城県の中学校卒業後、すでに芸人になることを決心していた直美さんは、養成所の授業料を貯めるため、中学卒業した翌日にファミレスの面接に行き、バイトを始めます。
そのバイトで経験できたのが、リーダーとしての仕事。
チームをまとめる立場として、一人一人のやる気を出す方法を学びます。
もともと劣等感の強い渡辺直美さんでしたが、バイトは自分自身が成長できた貴重な体験だったようです。
「自分を高めたいとかじゃなくて、今を良くしたいという気持ちだった。どうしたら仕事がしやすくなるだろうとか。私の場合は、とにかく怒らないで笑うっていうのが基本だったんです。一人ぜんぜん仕事をしない子がいて、彼女には言葉よりも行動で見せるほうが効果あると思ったので、その子よりも早くレジに行く、オーダーを取りに行く。本当は後輩にやらせたほうが仕事を覚えるんですけど、とにかく1カ月間、全部私が先にやったんです。そうしたら、ガラッと変わって『私、目標が見えました。直美さんです。半年後に東京に行ったあとは私に任せてください』と。そのとき思いは人に伝わるんだなと思った。育てるのも大変だし、長年やってる人たちの意見をまとめるのも大変。でも、意見を聞いてほしいならみんなからの信頼・信用が必要だし、みんなの声を聞くことも大事──。要するにチーム戦なんですよね。それに気づかせてくれたのがあのバイト時代でした」
「噂好きで人の悪口を言ってるような子も、なぜこの人はこういうことしちゃうんだろう?と理由を見つけるのが好きというか。その人も本当は変わりたいんだよなってわかると助けたくもなっちゃうし。人を切るってことが好きじゃないんですよね。ダメなところがあっても、即切るとかじゃなく本人と話し合う。そういう子は辞めてくから、そこまでしなくていいって言われるけど、性格が悪くてもやる気があるとしたら、そこを改善させればいい。性格はいいけど、やる気がないなら、これはやる気を出させるようにどうもっていくか。それはそれで大変だったりするんですけど、それが結果、自分のチームのためでもあるし。先輩たちにそうやって私もサポートされてきたと思うんですよね」
すごいですね。
中学校卒業し、ファミレスで働いて学んだ経験。
目の前のこと「今より良くしたい」という気持ち。
そしてチームとしての働き方。
チームの一員として、チームリーダーとしても、成長することが、自らの自信をつけるきっかけとなったのかもしれません。
NSC、そして芸人としての挫折
バイトで貯めた貯金で、親の反対を押し切り、無事吉本興業養成所(NSC)に入ります。
当初、親がNSCに電話をしてきたこともあったそうです。
逆境にも負けず、芸人として突き進みますが、挫折も多数。
最初、望月愛子とのコンビ「わたもち」を組むが解散。
NSC同期のササキりなとのコンビ「フレッシュライム」も解散。
ついにピン芸人としてデビューを果たします。
お笑い芸人も厳しい道。
芸人としてやっていけるのは1000人のうち、数組程度。
苦しい日々が続きました。
転機は2008年。
1月に『新春大売出し!さんまのまんま』(関西テレビ)に今田耕司一押しのお笑い芸人として紹介され出演し、ビヨンセのものまねで2曲を披露。
3月には『笑っていいとも!』(フジテレビ)の14代目いいとも青年隊として、鈴木凛と共に「いいとも少女隊」を結成。
一気に知名度があがります。
ところが、この頃から「一発屋」などとも言われ始め、苦手としていた「大喜利」も悩みの種に。
大きな壁に直面しました。
苦悩から救ってくれた言葉とは?
「一発屋」といわれ、「大喜利」ができない自分に自信を無くしていた渡辺直美さん。
その時、救ってくれたのが、オリエンタルラジオの中田さんでした。
「お前には長所がいっぱいあるだろ。短所は捨てる。短所は見ない。短所を伸ばすよりも、誰もマネができないところまで長所を伸ばす。短所を伸ばしても、やっと普通のレベルになるだけ。同じ努力をするならば、長所を伸ばした方が絶対にいい」
この言葉に目が覚めた渡辺直美さん。
コントやパフォーマンスが得意な自分の武器は「表現力だ」と気付いた直美さんは、表現力が一番学べるのはNYだと思い、2014年にニューヨーク短期留学に行きます。
凄い行動力ですね。
留学はたった3ヶ月でしたが、白紙にできたという意味では良かったのかもしれません。
もともと、ハーフである渡辺直美さんであるがゆえにできること、他の芸人ができないところ、それが「グローバル」ではないでしょうか。
自分自身を見つめた3か月。
視点を広げた3か月。
その後のグローバルな活躍の原動力となった3か月とも言えるのかもしれません。
実際に、ニューヨークから帰ってきて大きく変わった自分をこう表現しています。
「ニューヨークから戻ってきたら、『できないことはできない』ときちんと言おう、と思えるようになった。自分の意見や気持ちを言うことは、わがままでもなんでもないんだ、ってことに気付けたんです。」
「私はもともと、失敗するとずっと引きずるタイプだったんです。でも向こう(ニューヨーク)では、失敗も含めてひとつのショーになっているんです。ライブでの失敗を、お客様が楽しんでいるんですね。だから演者の私も、その失敗も楽しめるようにしないといけない。そう思ったら、失敗も『まっ、いっか!』って思えるようになりました。」
私が私であるのは、私が直美だから。
ニューヨーク帰国後、その後の活躍は冒頭の通り。
女優としてTBSドラマ「カンナさーん!」が大ヒット。
『東京ガールズコレクション(TGC)』でも人気を博し、ファッションやデザイン分野でも大活躍を見せます。
米タイム誌、英「VOGUE」でも取り上げられる人気ぶり。
単なる、おデブタレント、物まね芸人から脱却できたとも言えるかもしれません。
特に人気を支えているのが、男性ではなく、女性。
女性からの支持、そして海外からの支持。
すごいですね、まさに時代の最先端かもしれません。
グローバル化、女性活躍社会。
多くのキーワードが渡辺直美さんの持ち味と重なります。
でも。
何といっても、共感できるのが、嫌味のない社会固定概念打破の発信力。
「渡辺直美」というプラットフォームは、日本のビジネス社会にも影響力があると言えるかもしれません。
「個性」とともに歩む組織が求められている、そんな未来を感じさせます。
弱点は「価値」?!
ビジネス社会では、短所は、欠点です。
組織において弱点は、評価を下げることに直結してしまいます。
でも。
そうじゃない。
単一工としての機能が遠ざかっている日本。
同じ作業を繰り返し、一定の品質を保つことが求められた時代ではないのかもしれません。
ロボットとAIが仕事する時代。
組織の上流は何を重視すべきでしょうか。
短所の多い渡辺直美さん。
生い立ち、性格、見た目など、様々な弱点があるかもしれません。
でも、渡辺直美さんだからこそ、手に入れた世界があるのではないでしょうか。
生まれがハーフ。
勉強ができない。
体型が太っている。
もともと性格がネガティブ。
こんな渡辺直美さんの「短所」があったからこそ、今の渡辺直美さんがいるのかもしれません。
つまり、短所は短所ではなく、「短所は長所」!なのではないでしょうか。
誰も持っていない短所。
短所そのものが「価値」かもしれません。
他人と違うこと、それ自体が、価値であり、生き抜く武器にもなり得ます。
今まで自分がもっていたコンプレックス。
悩んでいた弱点。
もしかしたら、それはあなたの「価値そのもの」かもしれません。
最後に
渡辺直美さんの名言を贈ります。
服で着飾るよりも、美味しいものを沢山食べた方が可愛くなるものよ。
私たちのような体型の人たちと、スレンダーな体型のモデルさんたちと、ともに手を取り合って新しいことに取り組んでいけたら、より多様性のある世界が広がるのではないでしょうか。
海外では日本人の女性はおとなしいと言われがちですが、必ずしもそうではないと思います。日本人女性も他国の女性と変わらずに元気でパワフルだし、前進していく力もあります。東京オリンピック開催に向けて、日本文化が世界に広まると同時に、ステレオタイプな日本人女性のイメージも払拭されたら。
新しい企画やアイデアを出す時は、私も『どうせ言っても無理だろうな』と不安に思うこともあります。でも、そう思ってる時間自体が無駄だなって思うし、意外と言ってみたらすんなりOKだったりすることもある。だから、まずは一歩踏み出してみる。一歩も踏み出さず何もしないで終わるよりも、踏み出したけれど失敗したほうが、今度は違うパターンで攻めてみようと思えるし、後々成長できるんじゃないかな。
ネガティブな部分も全然ありますよ! むしろ、ネガティブな部分がないと、人って這い上がったり前進していけないと思うし。ポジティブにしても、ただ元気出して行こう!みたいなのは好きじゃない(笑)。私はポジティブ=自信だと思っていて、自分が何かの問題を抱えてネガティブになったときに、怖いけどあれができたんだから次はこっちを試してみようっていう思考の変換ができるかどうか──。それでいい結果が出たらまた前進できるし、ダメだったら消去法でやり方を変えていけばいい。立ち止まってるだけじゃ何も起きないし、失敗=挫折じゃないし、同じ失敗を繰り返さなきゃいいだけ。
多様性が重要視されるほど、周りに惑わされず、自分の意見を大事にしたいと思っています。それを押し付けるのではなく、前向きに発信することが大切。私はこれが好き、あなたはこれが好き、お互いに違っていていいよね、というポジティブな理解が広まっていくことを願っています。
やってみなきゃ自分にそれが向いているかどうかもわからない。やってみて、向いてないことがわかって、別の夢ってなっても、それは夢を諦めたことにはならない。なぜなら自分が選択したことだから。やらずに諦めるのは夢破れたってことになるけど、やってみて違うとわかったことは新たな自分の第一歩──。だから失敗したらどうしようってことより、挑戦することに先があるって思ってほしいなって思う。
ほんのちょっとの勇気と怒りが自分の殻を破ったんです。
『肌荒れが気になるからいい化粧水を使ってみよう』『腰が痛い、体調が優れないからダイエットしよう』と自分の気持ちが高まることなら、やってもいいと思うんです。だけど、誰かに言われたり、周りの目を気にしてやっているのなら、やめてほしいな。それよりも、まず自分自身を好きになってほしい。
本当に美しい人って、見た目ではなくて、内面。『自分自身のことを大切にできている人』だと思うんですよね。周りの声なんて、気にしなくてもいいんです。
私は、ありがたいことに自分の好きな表現ができています。でも、自分のやりたいことができなかったり、意見が言えなかったりする人たちも世の中にはたくさんいらっしゃると思います。そんな人たちが一歩踏み出せるように、私自身が”自分らしさ”を発信していくことで、背中を押したい。男女問わず、夢や目標に向かう人たちへ、勇気を与えられる存在になりたいですね。
ダメなところや弱点にばかり目を向けるのではなく、ポジティブな姿勢で自分自身と向き合うことを意識しています。
ありのままの自分を愛するようにみんなに伝えたい。自分が持っているものを大事にして欲しい。
アメリカにいても、日本にいても、私は私。どこにいても”自分らしさ”は変わらない。
短所は見方を変えれば長所にもなり得ます。自分に正直に生きれば、みんなにもハッピーが伝播して、一度しかない人生をより楽しく過ごせるのでは?