中小企業を取り巻く環境は変化しています。
大企業と比べても資金力など体力差もあります。
取り巻く環境や競合する中、中小企業にとって、業務の効率化、生産性などでカバーする必要もあります。
今回は中小企業白書2017年から見えてくる中小企業の次なる一手についてお伝えします。
Contents
「中小企業白書」は、中小企業基本法第十一条に基づく年次報告書(法定白書)のことです。
政府が毎年国会に提出することが義務付けられている報告書のことで、正式名称は「中小企業の動向及び政府が中小企業に関して講じた施策に関する報告」です。
内容は最近の中小企業の動向、課題、中小企業施策などから構成されています。
中小企業基本法の制定以降、2017年版で54回目の年次報告となり、中小企業庁調査室より、平成29年4月に発表されています。
この「中小企業白書」でわかるのが、日本の中小企業(ベンチャー企業も含め)の現状、そしてその課題です。
中小企業白書は毎年作成され、公表されています。
毎年、中小企業の現状が変化しますので、その結果から少しづつテーマは変更されています。
そのため、年次毎の目次をチェックするだけでも、日本全国の中小企業やベンチャー企業の状況が把握できるのです。
以下、2013年~2017年版中小企業白書の目次です。
第1部 2012年度の中小企業の動向
2012年度の中小企業の動向
第2部 自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者
第1章 起業・創業
第2章 新事業展開
第3章 次世代への引継ぎ(事業承継)新事業展開
第4章 情報技術の活用
第1部 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向
2013年度の中小企業・小規模事業者の動向
第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化
第1章 我が国の中長期的な構造変化
第2章 地域の抱える課題と地域活性化
第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来
第1章 「小規模事業者」の構造分析-需要開拓こそ最重要課題
第2章 起業・創業-新たな担い手の創出
第3章 事業承継・廃業-次世代へのバトンタッチ
第4章 海外展開-成功と失敗の要因を探る
第5章 新しい潮流-課題克服の新しい可能性
第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方
第1章 中小企業・小規模事業者支援の現状と今後の在り方
第2章 中小企業・小規模事業者施策の認知度、活用状況、評価
第3章 コネクターハブ企業と地域産業構造分析システム
第1部 平成26年度(2014年度)の中小企業・小規模事業者の動向
第1章:我が国経済の動向
第2章:中小企業・小規模事業者の動向
第3章:中小企業・小規模事業者を取り巻く環境
第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍
第1章:中小企業・小規模事業者のイノベーションと販路開拓
第2章:中小企業・小規模事業者における人材の確保・育成
第3部 「地域」を考える―自らの変化と特性に向き合う
第1章:地域活性化への具体的取組
第2章:経済・社会構造の変化を踏まえた地域の対応
第1部 平成27年度(2015年度)の中小企業の動向
第1章:我が国経済の動向
第2章:中小企業の動向
第3章:中小企業の生産性分析
第2部 中小企業の稼ぐ力
第1章:中小企業の稼ぐ力の決定要因
第2章:中小企業におけるITの利活用
第3章:中小企業における海外需要の取り込み
第4章:稼ぐ力を支えるリスクマネジメント
第5章:中小企業の成長を支える金融
第6章:中小企業の稼ぐ力を決定づける経営力
第1部 平成28年度(2016年度)の中小企業の動向
第1章:中小企業の現状
第2章:中小企業のライフサイクルと生産性
第3章:中小企業の雇用環境と人手不足の現状
第2部 中小企業のライフサイクル
第1章:起業・創業
第2章:事業の承継
第3章:新事業展開の促進
第4章:人材不足の克服
いかがでしょうか。
それぞれの年度のテーマが少しづつ異なっているのが分かると思います。
日本の中小企業やベンチャー企業を取り囲む環境も変化していますし、その結果、抱える課題も変化しているのが理解できます。
例えばですが、2013年度版中小企業白書では「起業・創業」「新事業展開」「事業承継」「情報技術の活用」などのキーワードがみられます。
2014年版では「地域」「起業・創業」「事業継承」「海外展開」、2015年版では「イノベーション」(技術革新)「人材確保」などですし、2016年度版では「生産性」「IT化」「海外」「リスクマネジメント」などがみられます。
最新版2017年版では「人手不足」「起業・創業」「事業継承」「新事業展開」というキーワードがみられます。
その中で目立つキーワードに、「起業・創業」「新事業展開」のキーワードが継続してあるのがわかります。
「起業・創業」、そして「新事業展開」は、日本の中小企業における大きな、そして継続的な課題なんですね。
つまり、新しいことを生み出すこと、これが大きな課題となっています。
2017年版中小企業白書に以下の項目がありました。
日本の開業率と廃業率についてです。
日本の開業率は5%前後、欧米先進諸国と比べて一貫して低い数値です。
ベンチャー大国アメリカは当然ですが、イギリスは14.3%、フランスも12.4%と、欧米諸国は13%前後の数値であり、日本の開業率の低さが顕著になっています。
そして特記すべきデータをもう一つ。
起業無関心者の割合の推移です。
日本は起業に無関心の層が77.3%にまで達していますが、欧米諸国は30~40%です。
つまり、日本人は起業、創業に無関心であることが大きな問題となっているのです。
ベンチャー企業が育ちにくい風土を構造的に抱えていることが浮き彫りとなっています。
欧米諸国は開業率の上昇について、国を挙げて様々な施策を実施しています。
例えばですが、イギリスでは英国ビジネス銀行(British Business Bank)では、2012年より 「スタートアップローン(創業2年以内のメンタリング支援付き融資)」を提供、初年度から6,500件のローンによっ て総額39.2百万ポンドが融資されています。
起業促進のための取組は教育分野においても実施されており、2014年には、5~11歳の子どもに5ポンドを支給し、1か月間、事業を経営させる取組が行われました。
つまり、子供のころから事業経営とは、事業運営とは何か、仮体験してもらう施策を実施しているのです。
また、教師の事業運営等のノウハウ不足を補うため、一般事業会社からの教師向けトレーニングも実施されています。
さらに、事業経営の成績やキャリア教育の記録を証明する「エンタープライズ・パスポート」を発行する取組も行われ、起業に対する知識やノウハウ、そしてその興味関心を高める施策を実施しているのです。
フランスでは、2009年1月から施行された「個人事業主制度」により、簡易な申請のみで起業が可能となり、また創業間もない企業への税制優遇措置や、副業による起業推進策も実施され、開業率上昇につながっています。
企業30年説というものがあります。
企業の需要は30年と言われ、例え一世を風靡した企業も30年もたないと言われています。
この数値は上場企業においても、ある程度当てはまるものと言われ、統計上、株式市場においても30年で一巡するという平均値があるともいわれています。
つまり、次々に新しい事業、産業を生み出すことができない会社はいずれ淘汰されてしまうのです。
世の中は常に変化しており、人が求めるものやサービスも常に変化しています。
それは戦後からの日本人の消費性向からも理解できます。
日本は戦後、高度成長期を迎え、総中流社会を実現させました。
モノ不足もあって、多くの消費者は皆と同じモノやサービスを求め、一つの商品やサービスが大ヒットします。
「だっこちゃん」ブームや「ファミコン」ブーム、TVでは「ドリフターズ」や「ピンクレディ」など、大晦日には家族そろって「NHK紅白歌合戦」を見る。
皆同じような価値観で同じような消費性向が見られました。
しかし、豊かになった日本はモノに溢れ、インターネットの発達から情報が溢れます。
特にインターネットからは個人個人が世界中の新しい価値観を享受できるようになります。
結果、一つの商品が爆発的大ヒットを続けられるということが非常に少なくなってきたと言われます。
つまり、売れるモノやサービスも「多様化」「短期化」してきたと言えます。
生き残る企業は、この一般個人、一般社会のニーズ、ウォンツの変化にしっかりと対応できる企業でした。
これは、日本だけの話ではありません。
「携帯電話」の多くは「iPhone」に切り替わりました。
「Twitter」や「Facebook」などのSNSは世界中の人たちに利用されています。
新しいことを生み出し、世の中に価値を生み出すこと。
今後の日本にとって重要なテーマではないでしょうか。
中小企業白書から見えてくる課題、それは日本のチャレンジ精神の欠如。
新しいことに挑戦することは、大きなハードルがあります。
失敗するかもしれません。
でも、世の中は変化し続けています。
新しいことにチャレンジすることは、未来を切り開くことです。
新しいことに挑戦する方へ、元気の出る名言を贈ります!
人生が終わってしまうことを恐れてはいけません。人生がいつまでも始まらない事が怖いのです。
グレース・ハンセン
できないって誰が決めた、なれないって誰が決めた、やってもないのに誰が決めた。あなたの人生は、あなたが決める。あなたらしく生きてこそ人生。
きむ/詩人
この世に生を受けたこと、それ自体が最大のチャンスではないか!
アイルトン・セナ
人生はキミ自身が決意し、貫くしかないんだよ
岡本太郎
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