『防衛費膨張予算総額114兆円』米国ミサイル400発購入~「中国脅威論」は煽るために利用される?!ヒトラー参謀「我々は攻撃されかかっているのだと煽れば戦争勃発は簡単だ」~
■防衛費膨張予算、3月中に成立 衆院通過、総額114兆円
東京新聞 2023年2月28日(共同通信)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/233735
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2023年度予算案は28日の衆院本会議で、与党などの賛成多数により可決され、衆院を通過した。
憲法の衆院優越規定に基づき、3月中の成立が確定した。
一般会計の歳出総額は114兆円超、そのうち防衛費は約6兆8千億円で、いずれも過去最大。防衛費は22年度当初の1・26倍に膨張した。
野党は防衛費増額に伴う増税方針に反対しており、少子化対策などと併せて参院審議でも追及する方針だ。
立憲民主党の泉健太代表は、衆院通過を受け「上積みされた防衛費の内訳は不明で、子ども予算は中身が何も決まっていない。国民の不安が倍増する予算だ」と国会内で記者団に述べた。
23年度予算案は、新型コロナウイルスの感染拡大や物価高、ウクライナ危機に備え、22年度と同じ5兆円の予備費を計上。高齢化に伴い、社会保障費も過去最大の約36兆8千億円となった。
採決では、立民のほか、日本維新の会、共産党、れいわ新選組などが反対した。
昨年、異例の賛成に回った国民民主党も反対した。
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防衛費膨張予算、3月中に成立 衆院通過、総額114兆円
東京新聞 2023年2月28日(共同通信)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/233735
■トマホーク購入400発予定、首相が提示 米国製ミサイル
日本経済新聞 2023年2月27日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2745K0X20C23A2000000/
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岸田文雄首相は27日、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」について日本が400発の購入を計画していると明かした。
政府は2023年度に契約を締結し26、27両年度に海上自衛隊のイージス艦へ配備を目指す。
相手のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」の行使手段にする。
首相は27日の衆院予算委員会で、購入数は「400発を予定している」と話した。
浜田靖一防衛相は「最大で400発の取得を可能とする方向で米側と調整中」と語った。
これに先立つ衆院予算委の理事会でも、与党が野党側に政府の取得数量を示した。
野党側が公表を求めていた。
政府は従来、自衛隊の継戦能力が明らかになるため明言を避けていた。
首相が22日の衆院予算委で立憲民主党の泉健太代表の質問へ「関心が高いので改めて検討したい」と答え、公表範囲を広げる考えに転換した。
トマホークは米政府が同盟国などに装備品を有償で提供する「対外有償軍事援助(FMS)」に基づいて調達する。
米政府が売却する可能性がある数量を米議会に提示するため、日本政府も購入を探る最大数を説明するように対応を改めた。
政府は国会で審議中の23年度予算案にトマホークの取得経費として契約ベースで2113億円を計上した。
キャニスターと呼ぶミサイルの収納容器など関連費用を含む。
トマホーク1発あたりの単価は明示しなかった。
21年に米海軍への納入が始まった最新型を買う。
艦艇から発射し、射程は1600キロメートル以上になる。
地上目標に向かって低空で精密に誘導し、打撃できる。首相は性能に関し「(相手からの)迎撃を回避する飛翔(ひしょう)も可能だ」と強調する。
政府は22年末に決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書で反撃能力の保有を打ち出した。
相手のミサイルを迎え撃つだけでなく、相手の軍事目標に反撃する能力を持ち相手に攻撃を思いとどまらせる。
この手段として長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の整備を急ぐ。
27年度までの5年間に契約ベースで5兆円をあてる。
トマホークは早期の配備を見込める長射程弾になる。
これまで相手の侵攻を食い止めるために用いる自衛隊のミサイルの射程は最大で百数十キロメートルほどだった。
射程を1000キロメートル超にのばす「12式地対艦誘導弾」能力向上型などの国産弾も26年度から部隊に順次装備するが、量産体制がどの程度整うかは見通しづらい。
トマホークを即戦力として活用し台湾有事などに備える。
米政府は英国やオーストラリアにトマホークの供与を認めている。
日本にもかつて自衛隊への導入論があったが実現していなかった。
岸田政権は防衛力の抜本的な強化を提唱し、日米で協力して迎撃・反撃を一体的に運用する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」への移行を決めた。
これに伴い、自衛隊がトマホークを使うための日米間の調整も進展した。
政府は反撃能力を日本が直接攻撃を受けた武力攻撃事態だけでなく、存立危機事態下でも発動できると解説する。
日本と密接な関係にある他国への武力攻撃によって日本の存立が脅かされるといった事態だと判断すれば、集団的自衛権で反撃できる。
首相は27日の衆院予算委でこのイメージを問われ「具体的な例を示すことは難しい」と答弁した。
「安全保障という課題の性格上、適切ではない」と言明した。
3文書を巡る22年の与党協議では、朝鮮半島有事で日本海に展開した米軍艦艇がミサイル攻撃を受けた事例があがっていた。
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トマホーク購入400発予定、首相が提示 米国製ミサイル
日本経済新聞 2023年2月27日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2745K0X20C23A2000000/
■出生数初「80万人割れ」の衝撃…ミサイル400発購入に「人の命を奪う予算先行か」と国民怒り
日刊ゲンダイ:2023/02/28
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319389
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・やはり衝撃的な数値だ。
厚生労働省が28日に公表した2022年の人口動態統計の速報値によると、年間出生数は79万9728人で、前年と比べ4万3169人(5.1%)減少し、1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込み、過去最少となった。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した将来推計人口では、出生数が80万人を下回るのは30年と見込んでいたから、予想を大幅に上回る「異次元のペース」で少子化が進んでいるとみられる。
人口は国力に直結するだけに「待ったなし」の対策が必要。「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田文雄首相のリーダーシップに期待したいところだが、最近の国会答弁を聞いていると、「異次元」どころか取り組む姿勢がどんどん後退しているかのようだ。
例えば27日の衆議院予算委員会。立憲民主党の長妻昭政調会長は、岸田首相が国会で子ども予算を「倍増する」という趣旨の発言の真意について質問。
「予算の倍増に期待している人は多く、祈るような気持ちで国会審議を聞いている人もいる。倍増というのはGDP=国内総生産比で倍にするのか、絶対金額を倍にするのか、どちらなのか」とただすと、岸田首相は「最初からGDP比いくらだとか今の予算と比較でどうかとか、数字ありきではない」などと答弁したことから議場は紛糾。
「意味不明だ」「支離滅裂だ」などとヤジが飛び交った。
・本当に「数字ありきではない」なのか
岸田首相といえば、昨年「数字ありきではない」末に防衛費の大幅増を打ち出した際、「内容、予算、財源を一体で決める」「必要なものを積み上げる」と繰り返していたにもかかわらず、唐突に2027年度にGDP(国内総生産)比で2%まで増やすよう指示するなど、「結局は数字ありきではないか」などと批判の声が上がった。
このため、SNSなどでも、岸田首相が子ども予算の倍増について「数字ありきではない」と答弁したことに怒りの投稿が相次いだ。
《防衛費はパッと決めて、少子化予算はグダグダっておかしくない》
《少子化対策よりミサイルが大事なのね。でも、人口が減って撃つ人がいなくなったら意味なくない》
《なぜ人の命のための予算ではなく、人の命を奪う予算を先行させるのか》
岸田政権は米国製巡航ミサイル「トマホーク」を400発購入することを公表したが、その分の予算があれば一体、どれだけの少子化対策に使えるのだろうか。
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出生数初「80万人割れ」の衝撃…ミサイル400発購入に「人の命を奪う予算先行か」と国民怒り
日刊ゲンダイ:2023/02/28
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319389
■田原総一朗「『新しい戦前』が現実となるか、安全保障の重大な分岐点だ」
AERA dot. (アエラドット) 2023/03/01〈週刊朝日〉
https://dot.asahi.com/wa/2023022800015.html
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現在、「新しい戦前」という言葉が、多くの日本国民の間で危機感を持って語られている。
昨年、あるテレビ番組内での黒柳徹子さんとタモリさんとのやりとりで飛び出した言葉のようだ。
「戦前」という言葉で私が思い出すのは、1937年の日中戦争から、41年の真珠湾攻撃で始まる太平洋戦争までの4年間のことだ。
アジアは歴史的に欧米の植民地獲得競争の標的となってきた。
東南アジアにおいては、タイ以外はすべて植民地にされた。
植民地にされるということは、強国の占領下となり、国家の主体性というものがなくなるということだ。
当然ながら日本もその標的にされた。
日本としてはもちろん植民地にされたくない。
そのためには、欧米列強に対抗できる軍事強国にならねばならない。
そして、軍部の力が突出した。
制御できる国を持とうと図り、軍部が南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業だと称して、中国側の兵営などを攻撃した。
これが満州事変である。
その後、錦州を攻撃したことで日本は国際連盟から脱退せざるを得なくなった。
問題は、さらにその後の日中戦争である。
中国との戦争については、満州事変を推進した大川周明や石原莞爾らも強く反対した。
日中戦争など始めれば、世界最大の強国である米国と戦わざるを得なくなる。
勝ち目はまったくない。
当時の近衛文麿首相も日中戦争には反対の立場で、近衛の部下たちの多くも反対した。
だが、首相である近衛があからさまに反対とは言えず、何とか早急に終わらせたいと願った。
そこで広田弘毅外相とドイツの中国大使トラウトマン、そして蒋介石による三者会談をできるだけ早く行いたいと考えた。
当初、蒋介石は三者会談を完全に無視していたのだが、日本軍に上海を制圧されて考え方を変え、三者会談に応じる決意をした。
ただ、その返答を待つ間に日本軍は中国の南京を占領した。
強硬論に傾いた軍部は自信過剰になり、蒋介石に戦費など賠償金を出せと要求した。
蒋介石が賠償金など出すはずがないし、近衛首相もそんなことは考えていなかっただろう。
一刻も早く三者会談をしたかったはずだ。
しかし、36年に起きた二・二六事件が決断に影響したのだろう。
気が弱い近衛首相は、軍部の要求を否定すると殺害される恐れがあると考えたか、「国民政府を対手とせず」などと言って、まったく展望のない日中戦争を押し広げてしまったのである。
こうして、日本はまったく勝ち目のない太平洋戦争を行わざるを得なくなった。
そして敗戦する。
だから、こうしたいきさつを知る世代の政治家たちは、日本が主体的な安全保障を考えること自体が危険だと捉え、安全保障を根幹から米国に委ねることにしてきた。
だが今、米国の経済が悪化し、オバマ、トランプ両大統領などがパックス・アメリカーナ、世界の警察の役割の放棄を表明した。
そこで日本に協力せよと要請してきたのである。
それに応じないと日米同盟が持続できない、と。
日本はどうすべきなのか。
重大な分岐点である。
日米同盟を持続しながら、平和国家という主体性を守れるのか。
※週刊朝日 2023年3月10日号
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田原総一朗「『新しい戦前』が現実となるか、安全保障の重大な分岐点だ」
AERA dot. (アエラドット) 2023/03/01〈週刊朝日〉
https://dot.asahi.com/wa/2023022800015.html
■防衛費倍増に必要な「5兆円」教育や医療に向ければ何ができる?
東京新聞 2022年6月3日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/181138
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自民党は国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に防衛費の大幅増を政府に提言し、岸田文雄首相も「相当な増額」を表明した。
2022年度の防衛費はGDP比1%程度の約5兆4000億円で、2%以上への増額には5兆円規模の予算が必要となる。
自民党は、厳しさを増す安全保障環境の下、国民を守るために防衛費の増額が必要と説明するが、5兆円の予算を教育や年金、医療など暮らしのために振り向ければ、どのようなことができるのか、考えてみた。(村上一樹)
「コロナで国民の生活は萎縮し、物価高で生活苦に沈む年金生活者やワーキングプアはあふれている」「防衛装備より環境問題や貧困・格差問題に充てるべきだ」。
政府や自民党が防衛費の大幅増を打ち出して以降、本紙には読者から切実な訴えが寄せられている。
一方、自民党の安倍晋三元首相は2日の派閥会合で、GDP比2%以上への防衛費増額を経済財政運営の指針「骨太の方針」に明記するよう求め、「国家意思を示すべきだ」と訴えた。
・教育…児童手当の所得制限撤廃も大学、給食無償化も
5兆円とはどんな規模で、何ができるか。
教育施策に使う場合、立憲民主党の試算によると、大学授業料の無償化は年1兆8000億円で実現。
家庭の経済事情で進学を断念せざるを得ない若者の支援につながる。
さらに、児童手当の拡充にも充てられる。
支給対象を現在の中学3年までから、高校3年までに延長した上で、親の所得制限を撤廃して一律で1人1万5000円を支払う場合、年1兆円で賄えると立民は試算する。
小・中学校の給食無償化は、末松信介文部科学相の国会答弁によると、年間4386億円で実現する。
大学無償化、児童手当の拡充、給食無償化の三つを組み合わせても3兆円台で収まる。
・年金…全員に月1万円上乗せ
食料品や電気・ガスなどの急激な値上がりに苦しむ年金生活者のために使うとすれば、4051万人の年金受給権者全員に対し、月1万円、年12万円を上乗せして支給することができる計算となる。
物価高対策では、立民や国民民主党、共産党が消費税の減税を求めている。
5兆円あれば、税率を10%から8%へと引き下げる2%分の財源になる。
食料品などの負担が大きい低所得層ほど減税の効果は大きい。
・医療…自己負担ほぼゼロに
医療に使う場合はどうか。厚生労働省の資料によると、19年度の医療費のうち、国民の自己負担額は5兆1837億円。
5兆円は、自己負担をほぼゼロにできる規模だ。
共産の志位和夫委員長は5月の記者会見で、医療費の規模に触れ、「軍事費2倍というのは生易しい額ではない。仮に(5兆円の確保を)医療費負担にかぶせるとしたら、現役世代は3割負担が6割になる。国民の暮らしをつぶすという点でも反対だ」と批判した。
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防衛費倍増に必要な「5兆円」教育や医療に向ければ何ができる? 自民提言受け考えた
東京新聞 2022年6月3日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/181138
■「自民党に殺される」がトレンド入り 年金引き下げ、国保料は増額、新税&消費増税の「負担地獄」に国民の悲鳴
FLASH:2022.11.04
https://smart-flash.jp/sociopolitics/208280
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10月に入ってから、Twitterでは《#自民党に投票するからこうなる》というハッシュタグが複数回、トレンド入りした。
そして、11月に入ってからトレンド入りしたのは、《#自民党に殺される》というハッシュタグだ。
そのひとつには、こうある。
《岸田政権、自民党公明党が最近やってる事。マジで殺されるとか大袈裟じゃ無いから 年金支給料金引き下げ 年金65歳まで支払い 国民健康保険2万円増額 道路使用税の新設 消費税増税の検討》
「殺される」材料を、ひとつずつ見てみよう。
・年金支給料金引き下げ
2022年4月から、年金支給額が前年度比0.4%減となった。
引き下げは2年連続で、過去10年では、2014年(0.7%減)に次ぐ引き下げ幅。
・年金65歳まで支払い
10月25日、厚生労働省は社会保障審議会・年金部会で、年金制度改革の議論を開始。
現在、20歳から59歳まで40年間となっている保険料の納付期間を5年延長し、20歳から64歳までの45年間にする案が検討されている。
国民年金の保険料は、月額1万6590円(2022年度)。
延長される5年間で、約100万円の負担増となる。
2025年に法改正する方針だ。
・国民健康保険2万円増額
10月28日、厚生労働省は、自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の保険料について、年間上限額を今より2万円引き上げ87万円に、介護保険と合わせた年間の上限額を104万円とする方針を、社会保障審議会・医療保険部会に提案。
大きな異論はなく、2023年度から適用される見通しだ。
保険料の上限額の引き上げは、3万円引き上げた2022年度に続いて、2年連続。
・道路使用税の創設 消費税増税の検討
10月26日、政府税制調査会(首相の諮問機関)は、消費税や自動車税について議論した。
委員からは「未来永劫、日本が消費税率を10%のままで財政が持つとはとても思えない」「消費税を住民の負担感覚なく引き上げていくことが重要」といった意見が出た。
自動車関連の税収については、委員から「走行距離に応じた課税も考える必要がある」「道路利用税のような考えはあっていい」との意見が出た。
ほかにも、10月20日に開催された、防衛力の抜本的な強化を検討するための有識者会議では「国を守るのは国全体の課題であるので、防衛費の増額には幅広い税目による国民負担が必要なことを明確にして、国民の理解を得るべき」など、増税を含め、国民に負担を求めるべきだという意見が相次いだ。
一方で、法人税増税には慎重な意見も見られた。
岸田政権で続々と出てくる「負担増」案に、国民がいよいよ「悲鳴」を上げている。
( SmartFLASH )
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「自民党に殺される」がトレンド入り 年金引き下げ、国保料は増額、新税&消費増税の「負担地獄」に国民の悲鳴
FLASH:2022.11.04
https://smart-flash.jp/sociopolitics/208280
■専門家も失笑、安倍政権が煽る「中国脅威論」は嘘と詐術だらけ!
excite.ニュース 2015年07月24日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1319/
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安倍政権は、参議院での安保法制審議を控えたこのタイミングで、なんとも姑息な手段を使ってきた。
東シナ海のガス田開発で中国が新たに12基のプラットホームを新設していると発表したことだ。
ご丁寧にも航空写真まで公表した。
狙いはズバリ、危機感を煽ることだ。
安保関連法案に対する国民の理解は一向に進んでいない。
安倍晋三首相自身がニコ生や民放に生出演して説明すればするほど、法案の矛盾が露呈するというありさまだ。
そこで手っ取り早く賛成派を増やすには”中国の脅威”を宣伝するしかないと考えたのだ。
実際、発表したのは外務省だが、23日付の朝日新聞に、「官房長官から宿題を出されたので回答せざるを得ない」という外務省幹部の匿名コメントが紹介されていた。
発表は、官邸の仕掛けだったというわけだ。
案の定、ツイッターでは「共産党はこれでも安保法案反対というのか」「憲法9条信者はどうするつもりだ!」といった書き込みで盛り上がった。
ヒゲの隊長こと衆議員議員の佐藤正久氏が〈この2年の間に倍増どころか4倍に急増。軍事利用化を止めないと〉とツイートすれば、東国原英夫氏も〈中国の一方的なガス田開発が明らかになった。レーダー設置等、明らかに軍拡の一環だろう〉と、煽りまくる。
元航空幕僚長の田母神俊雄氏も〈安保法制に反対している野党の先生方はどのようにして我が国の国益を守ろうとしているのか〉と、水を得た魚のようなハシャギようだ。
菅義偉官房長官は会見で、公表に踏み切った理由を「中国による一方的な現状変更に対する内外の関心が高まったから」と説明した。
だが、”関心の高まる”きっかけは、右派ジャーナリストの櫻井よしこ氏が産経新聞のコラム「美しき勁き国へ」(7月6日)で、中国が12基のプラットホームを新設したと書いたことだ。
その櫻井氏は、菅官房長官の発表を受けた23日付の産経新聞1面に、今度は〈軍事利用なら沖縄が射程内〉という大きな見出しのついた囲み記事を寄せている。
最初に櫻井氏が産経に記事を書き、それを理由に政府が航空写真などを公表し、それを受けて櫻井氏が産経で中国の軍事的脅威を宣伝する。
マッチポンプもいいところだろう。
その記事の中身を読むとさらに驚く。〈一群のプラットホーム上にレーダーや水中音波探知機(ソナー)、弾道ミサイル発射措置などが備われば、(中略)沖縄、南西諸島すべてがその射程内に入ることが明確である〉。
“弾道ミサイル発射装置”とは、いくらなんでも飛躍のし過ぎというものだ。
頭を冷やしてよく考えてみて欲しい。
確かに中国のこうした行為は日中関係にとって好ましくないし、政治的に挑発している部分はあるだろう。
ただ、国際的に見ても違法行為ではないし、軍事的な脅威とはほとんど関係がない。
まず、中国がプラットホームを建設しているのは「日中中間線」の西側に限られているということだ。
東シナ海での排他的経済水域(EEZ)の分割線は日中で主張が異なり、定まっていない。
「中間線」は日本が主張しているラインである(中国は大陸棚先端の沖縄トラフまでを主張している)。
つまり、中国は日本側の主張を受け入れ、自国のEEZ内で活動しているに過ぎない。
中国が中国のEEZ内で行っている”経済行為”を批判する理屈は、残念ながらない。
領有権争いのある南シナ海で中国が岩礁を埋め立てていることとは、本質的に違うのだ。
それをあたかも同列に扱っているのは安倍政権のプロパガンダにほかならない。
次に軍事的脅威が増えるというのも、無理がある。
脅威論は、中谷元防衛相が国会で「プラットホームにレーダーを配備する可能性があり、東シナ海における中国の監視、警戒能力が向上し、自衛隊の活動がこれまでより把握される可能性がある」と答弁したことが根拠になっている。
だがこれは、とても軍事専門家のものとは思えない発言だ。
というのも、レーダーやソナーはすでに装備され、日常的に使用されているからだ。
海上自衛隊出身の軍事ライター・文谷数重氏は「東洋経済オンライン」(7月23日/「日本は、中国ガス田開発に対抗できない」)で次のように指摘している。
「レーダーやソナーは、すでに軍艦や航空機で使用されている。中間線日本側でも、琉球列島間の公海部分でも、レーダーやソナーを付けた中国軍艦や航空機は自由に行動している。逆に海自も大陸側で同様に行動している」
つまり、レーダーやソナーがプラットホームに取り付けられても、今あるものが固定化されるだけのことなのだ(意味がないのでやらないと思うが)。
また、文谷氏はこうも指摘している。
「そもそも、レーダーやソナーは大した脅威でもない。レーダーでは基本的に水平線までしか探知できない。艦船を監視できる範囲は50キロメートル程度の距離が限界である。また、ソナーにしても機械騒音等から、理想とは程遠い配置場所である。実際、米海軍SOSUS等の固定式ソナーについても、単独で静寂な海底に設置されている。そしてなにより、戦時には容易に破壊できる。この点で、あまり脅威にはならない」
しかも、中谷氏の答弁を見ればわかる通り、中国側の動きはについては「配備する可能性がある」「把握される可能性がある」と、”あるかもしれないこと”を語っているに過ぎない。
ましてや櫻井氏の”弾道ミサイル発射装置”に至っては妄想というほかはない。
弾道ミサイルで日本を攻撃しようと思ったら中国本土からでも十分届く。
わざわざあんな脆弱な海上の建造物に基地をつくることはあり得ない。
当然、こんなことは軍事の専門家である防衛官僚はみんな知っている。
21日の閣議で平成27年版の防衛白書が了承されたが、当初案では東シナ海での中国のガス田開発に関しては「施設建設や探査を行っている」との表現にとどまっていた。
ところが、自民党国防部会で「表現が弱すぎる」「このままでは了承できない」とヤリ玉にあげられ、急遽、〈(中国が)新たな海洋プラットホームの建設作業などを進めている〉〈一方的な開発〉などの文言が付け加えられ、中国の脅威を強める記述になったことで、ようやく承認をとりつけた。
小さい脅威を大きく見せつけ、法案を成立させようという魂胆が丸見えだ。
新聞はどこも書いていないが、そもそも、あのガス田のプラットホームが軍事的脅威になるから、それに備えるために安保法制の整備を急げというのは論理的に破綻している。
海上自衛隊はもう10年以上前からガス田周辺を重要な監視対象にしている。
毎日、哨戒機を飛ばし、低空で写真撮影をするなど、嫌がらせに近い威嚇行為も行っている。
そして、万一不穏な動きがあれば、すぐにでも対応できる態勢を整えている。
これが専守防衛の真髄だ。
ところが、一連の安保法案が通って、安倍首相が勝手に約束してきた新しい日米ガイドラインの運用が始まるとどうなるか。
まず、最低でも自衛隊が南シナ海の監視任務の一部もしくは全部を任されることになるだろう。
自衛隊はかつてはソ連の原子力潜水艦に備えるために110機の哨戒機を運用していたが、現在は73機(2014年時点)にまで減らしている。
冷戦終結によって「日本周辺の潜在脅威は減った」という、防衛テクノクラートの冷静な判断があるからだ(安倍政権の主張と真逆である)。
そうしたなかで、米軍の下請けとして南シナ海の監視を担うことになると、肝心のガス田周辺の警戒が手薄になるのは明白だ。
アメリカの下請けをするため、日本の防衛が手薄になっていいのかという議論である。
ヒトラーの参謀だったヘルマン・ゲーリングのあのあまりに有名な言葉を思い出してほしい。
「戦争を望まない国民を政治指導者が望むようにするのは簡単です。国民に向かって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては愛国心が欠けていると非難すればよいのです」。
安倍政権は、まさにこれを実践しているようにも見える。
いずれにせよ、こんな稚拙で幼稚な詐術に、騙されてはいけないのだ。(野尻民夫)
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専門家も失笑、安倍政権が煽る「中国脅威論」は嘘と詐術だらけ! ガス田開発も日本の主張する境界線外で軍事と無関係
excite.ニュース 2015年07月24日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1319/
■“米国追従の対中包囲は自滅の道”アジアを戦場にさせぬ外交を
長周新聞 2023年3月2日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25964
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ウクライナとロシアとの軍事衝突が始まって1年が経過するなか、日本を含むアジアでは台湾問題を焦点にした米中の緊張が煽られている。
とくに、米政府の要求に従って平和主義の国是を覆す「敵基地攻撃能力」の保持や安保関連3文書改定などを矢継ぎ早に閣議決定してきた岸田政府は、「台湾有事」を想定した異次元の軍備拡大や戦時体制づくりを急ピッチで進めている。
現在、全国各地の街頭で遊説活動を続けているれいわ新選組代表の山本太郎参議院議員は、この日米合作の戦争シナリオがもたらす危険性について警鐘を鳴らすとともに、アジアを含む世界各国の動きについて伝え、有権者の力でアジアと日本の戦場化を食い止める必要性を訴えている。
2月18日、甲府市でおこなわれた山本氏の街頭演説から、安全保障問題に関する部分を紹介する。
・欧米の兵器消費地となったウクライナ
現在、アジアで米国と中国の緊張が高まるなかで、国防について関心をもたれている方も多いと思うので、その問題について話したい。
みなさんもご存じの通り、戦争とは商売だ。
戦争経済が生まれ、圧倒的な金もうけのチャンスが転がり込む。
今ウクライナで戦争をやっているが、ロシアが侵略したことに対して最大限の言葉をもって非難することは当然だが、このウクライナとロシアの戦争を利用しながら軍需産業がさらに肥大化していっている。
彼らにとってこの戦争はまさに金もうけのチャンスなのだ。
欧米の軍事企業は現在、笑いが止まらない状況にある。
遡れば9・11同時多発テロの後から米軍事企業の株は上がり続けている【グラフ参照】。
たとえばロッキード・マーチン(世界最大の米兵器メーカー・戦闘機などの航空機等)の株価は、9・11テロ事件後から上がり続け、リーマン・ショックで一旦下がるものの、その後は中東でISIS(イスラム国)が台頭したことで上がり、北朝鮮情勢が緊迫するだけでも株価が上がる。
現在ウクライナの戦争に至るまで、とにかく右肩上がりだ。
同じく米軍需企業のレイセオン・テクノロジーズ(ミサイル、軍用機、航空宇宙機器等)、ノースロップ・グラマン(ミサイル、軍用機、軍艦等)、ゼネラル・ダイナミクス(軍用機、航空宇宙等)も右肩上がりを続けている。
こうした軍産複合体について、ベルギーの研究者ルック・マンペイ氏の解説を交えて考えたい。
「90年代初めから2000年頭まで、軍需産業に市場の関心はゼロだった。だが2001年から突如株価は急騰し、たとえば90年度の100㌦の投資が、現在400㌦止まりの他産業に比べ、軍需産業では2000㌦に高騰した。つまりアメリカの防衛産業は防衛政策とは無縁の金融市場の論理で動くようになってしまったのだ。今や市場が同産業幹部、米国政府に政策を強制しかねない状況になった」(ルック・マンペイ氏)
では、これがウクライナ戦争でどうなったか?
昨年ウクライナで緊張が高まったとき、すでにロッキードやレイセオン、L3テクノロジーズなど米国の8大防衛関連企業が、ウクライナへの支援を強化し、紛争の長期化に備えることを目的とした(ペンタゴンの)機密会議に招待された。
これは昨年5月、英『フィナンシャル・タイムズ』が報じている。
すぐに米政府はウクライナ支援強化を発表し、武器貸与法を復活させ、これからどんどんウクライナに武器供与をしていくことを決める。
そこで利益を上げた軍需産業のなかで、とくに目立つのがレイセオンだ。
レイセオンは、ウクライナに大量に供与された携行ミサイル「ジャベリン」「スティンガー」の生産元だ。
昨年5月、米陸軍はウクライナに約1400基のスティンガー対空ミサイルを供与した後、すぐに新たな6億2400万㌦の契約をレイセオンに発注。
このような大量の兵器の受注、発注がくり返されている。
そこで注目すべきは、現・米国防長官のロイド・オースティンは、元米陸軍人であり、退役後の2016~20年までレイセオンの取締役に就任していたことだ。
21年からはバイデン政権におけるペンタゴン(国防総省)のトップに登り詰めた。
これを「回転ドア人事」という。
民間企業と官公庁との間で、まるで店の入口でぐるぐる回る扉のように流動的に人材が出入りする官民の人事システムのことだ。
ある企業・業界内部の人間を政府内に送り込み、企業・業界の利益を最大化させるような政策決定に関与させるわけだ。
たとえば今、日本政府が「防衛増税だ」「軍備増強をする」といっているが、その目玉は、トマホークだ。さしずめ米国から500発買うという。
このトマホークを製造しているのもレイセオンだ。
これまでアメリカから買わせていただく兵器の多くが中古品であったり、もうアメリカでは使わないようなものを買わされているが、このトマホークをこれから買わせていただく話になっている。
そこで、米シンクタンク「アメリカ経済政策研究センター(CEPR)」――ノーベル経済学賞を受賞したロバート・ソロー、ジョセフ・スティグリッツなども関与する経済学者らを中心に構成――が、「回転ドア・プロジェクト」を立ち上げた。
米国内で回転ドア人事がどのようにおこなわれているかを精査するためだ。
つまり軍産複合体の研究だ。
米国の軍産複合体とはどのようなもので、現在それがどのように動いているのかについて、彼らの報告書から以下紹介する。
軍産複合体とは、「アメリカの外交政策と軍事体制に既得権を持つ武器製造業者、防衛請負業者、民間軍事会社、シンクタンク、支援団体、ロビイストの一団を指す。防衛産業は基本的に国防総省の民営化部門として機能しており、多くの防衛関連業者が、政府の膨れあがった年間7000億㌦の防衛予算に大きく依存しているからだ」。
「その代表格が、ロッキード・マーチン、ボーイング、ゼネラル・ダイナミクス、レイセオン、ノースロップ・グラマン、ユナイテッド・テクノロジーズなどだ。これらのグループは、新アメリカ安全保障センター(CNAS)、新アメリカ財団、戦略国際問題研究所(CSIS)、外交問題評議会、ブルッキングス、ヘリテージなど、シンクタンクのネットワークに資金を提供することになる」。
「これらの軍産複合体は、米国の国防費を世界でもっとも高く維持することに既得権を持ち、国内政策の優先事項から必要な連邦資金を奪っている。国防企業や彼らが支援するシンクタンクは、外交的な代替案よりもタカ派的で軍事的な介入を推し進めることによって、アメリカの外交政策の方向性に大きな影響を及ぼしている」。
「国防産業から資金提供を受けているシンクタンクは、日常的に軍拡を求め、アメリカの海外軍事介入を知的正当化する理由を作り出している」。
つまり、さまざま政府に対して提言したり、誘導していくことをずっと続けていくということだ。
「これらの団体は、国際関係の問題を反射的に軍事力で解決し、米国が他国の内政に干渉する権利があることを前提とする将来の政府高官を育成することによって、我が国の外交政策を傾けている。彼らは2020年だけでも、防衛産業界のロビー活動を合わせて1億㌦以上の支出で支援されている」。
利権が渦巻いているのが政治だ。日本の中でもそうだが、アメリカは規模が違う。世界一の軍隊だから、とんでもない費用を奪い合うということで国の政策を歪めていく。
海外で何か問題が起きれば、すぐに「軍事介入だ!」という風にどんどんおしていくのが軍産複合体の役割なのだ。
・「二者択一を迫るな」 アジア各国は緊張緩和を要求
現在、戦争が続いているウクライナが酷い状況になっているが、「次はアジア(米中対立)だ。日本も危ない」と煽られている。
だが、ここで日本が米国の尻馬に乗れば、それはもっと危険なことになる。
冷静に対処しなければならない局面だ。
なぜなら、アジアのなかでこの戦争に乗り気になっているのは米国と日本だけ。
韓国はちょっと引きながらも一緒のチームにいるという状態だ。
アジアの多くの国々は「それはヤバいからやめてくれ」といっている。
それが外交だ。
交渉し、メッセージを伝えなければいけない。
アジアの多くの国が米中対立にどう対応しているのかを見てみたい。
アジア、東南アジア(ASEAN)諸国の対応は、「Don’t make us choose(私たちに選ばせるな)」だ。
米国につくか、中国につくかを私たちに選ばせるなということだ。
「競争や対立をしている時期ではない」(インドネシア=ジョコ大統領)
「我々はロシアや中国ともビジネスがしたいので関与したくない」(マレーシア=マハティール元首相)
「どんな陣営に入っても中国との協力は不可欠だ」(韓国=ユ・ミョンヒ外交部経済大使)
「我々は米中の競い合いに巻き込まれたくない」(インドネシア=ルノト外相)
「アジア諸国は米中のいずれか一つを選ぶという選択を迫られることを望んでいない」(シンガポール=リ・シェンロン首相)
「我々が心配しているのは、(米国の)保証がないことではない。我々が求めても欲してもいない戦争に巻き込まれることだ」(フィリピン=ロレンザーナ国防相)
「(中国の海洋進出にインドや米国が警戒を強めていることについて)いかなる軍事対立にも巻き込まれたくない」(スリランカ=ディネシュ・グナワルダ首相)
「大国も私たちの自己決定権を取り上げることはできない。大国が、私たちの尊厳に敬意を払うことに期待する」(マレーシア=ヒシャムディン国防相)
「東南アジア諸国連合(ASEAN)は誰とも対立しない」(タイ=プラユット首相)
ASEAN外相会議(2020年)も「ASEANは、地域の平和と安定を脅かす争いにとらわれたくはない」と米中双方に自制を求めるメッセージを発信している。
そして、オーストラリアでも「ワシントンと北京のどちらか一方につくつもりはない」(スコット・モリソン元首相)、「中国封じ込め論は中国の否定的な反応を加速させるだけだ。決して支持しない」(ラッド元首相)、「オーストラリアのような中堅国に(米中の)二者択一を迫るようなことをするな」(クリストファー・パイン元国防相)と反応している。
このように各国が反応するのは当たり前だ。
いまや世界のものづくりにおけるサプライチェーンを見ても、一国だけで成り立つような国はない。
サプライチェーンとは、原材料を調達して加工し、それが最終的に商品やサービスが消費者の手元に届くまでの工程のことだが、その多くを海外に頼っている国がほとんどだ。
その状態で、米中の緊張で台湾有事が起き、日本が最前線になった場合にどうなるかといえば、どの国にとっても大打撃だ。
だから「やめろ」「勘弁しろ」「巻き込むな」といっている。
そのアジアで、米国の尻馬に乗って「頑張れ、頑張れ」「武器もたくさん買わせてもらいます」という動きをしているのは日本だけだ。
まさに属国、植民地なのだ。
コロナ禍で体験した通り、日本はマスクすら自国で作れなかった国だ。
要するに、国内の不景気が30年も続き、製造業が海外にどんどん移っていった。
国内産業を空洞化させ、日本の製造力が落ちていく原因を作ってしまったのだ。
現代におけるモノの生産と供給は、世界中の人と工場を、網の目のように張りめぐらされた物流によって、それを互いに繋げることで成り立っている。
例えば、アップル社のiPhoneは、製品企画を米アップル社がおこない、製品を組み上げるための半導体などの部品は主に日本と韓国、米国の企業がおこなう。
そして部品を集めて組み立てる役割を担うのは台湾と中国の企業だ。
このようにグローバル企業は、一つ一つの工程で、精度と納期、費用の最適化を図るため、生産拠点を世界中にもっている。
新型コロナ・パンデミックは、世界の生産設備や物流拠点といった「密」になる場所を直撃し、方々でグローバルな供給網を寸断させた。
台湾での半導体生産が遅れると、日本の自動車メーカーは顧客への納品を大幅に遅らせざるを得なくなった。
車だけでなくクーラーも給湯器も同じように入ってこなくなった。
上海の港湾施設が麻痺すると、深?(しんせん)で作った部品が輸出できなくなり、欧州でスマートフォンが品薄になる。
カナダの食肉工場がライン数を大幅に減らしたことで、中国では豚肉が過去に例がないほどの品薄になった。
世界中が工場になっているなかで、コロナが来ればマスクさえ手に入らない。
それどころか今は輸入品が高くなり、みなさんの家計や事業経営を直撃している。
だから、やるべきことは国内で生産できるものを極限まで増やしていくことだ。
だからアジアで緊張を高めることをアジア各国は反発している。
「今は対立している場合ではない」「俺たちのアジアで何をする気だ」ということを、米国にも中国にもいわなければいけない。それが外交だ。
日本がやるべきことは、米国の尻馬に乗ることでも、緊張を高めることでもなく、アジア諸国と連帯しながら米中いずれに対しても自制を求める姿勢にならなければならない。
にもかかわらず今、日本だけが思い切り対立の背中を押そうとしている。
・攻撃を呼び込む危険 消えてない旧敵国条項
一番まずいのは、日本の動きが「敵国条項」に抵触することだ。
敵国条項は、国連憲章に書かれているもので、第二次世界大戦の敗戦国となった日本だけでなくドイツ、イタリアなど7カ国はいまだに「旧敵国」とされている。
そして戦後、戦勝国で決めたことを旧敵国が覆すことはできず、これら旧敵国が不穏な動きをすれば、国連の安保理の許可なく強制行動(武力行使など)ができるというルールになっている。
「こんな条項はもはや死文化した」という論調もあるが、それは大きな間違いだ。
削除されず残っている。
しかも逆にコロナ禍が始まるよりずっと前に、常任理事国であるロシア、中国からも“条項はまだ生きている”と釘を刺されている。
この条項を国連憲章から削除してもらうためには、国連安保理に賛同してもらわなければいけない。
そのための外交は何もやっていない。
岸田首相になっても中国との首脳会談すらやっていない。
外遊に行くのはただの海外旅行で、カネをバラ撒きに行くから歓迎されているだけの話だ。
第二次安倍政権以降、北朝鮮が飛ばしたミサイルは95回、核実験は4回、その間に日本が北朝鮮と直接なにかやりとりをしたか?
何もしてない。どんな形で対処したかといえば、「けしからん」といった後、中国経由で抗議しているだけだ。
それは外交と呼べるものではない。
米中が緊張を高めれば、当然それは日本に飛び火してくる。
たとえば中国側が、米艦船もしくはグアムなどを攻撃したら、日本は同盟国として集団的自衛権を行使し、攻撃されたのはグアムなのに、日本が直接中国を攻撃しなければならない状況が生まれる。
中国側からすれば、日本を攻撃していないのに攻撃を受けるわけだから先制攻撃となり、「日本側から始めた戦争」という話になる。
絶対にやってはいけないことだ。
たとえ中国と日本が揉めたとしても、米国は主体的にはかかわらない。
なぜか? 「オフショア・バランシング」――漁夫の利を得るように太平洋の向こう側から武器だけ送り、日本を最前線に立たせ、自分は要所要所でなにかしら関与するだけにとどめるというのが米国の戦略だ。
現在のウクライナを見ればわかることだ。
・背後で戦争煽る米国 日本はいかに振舞うべきか
現在の米国の軍事戦略である「オフショア・バランシング」とは、状況によって直接的なバランシング(米国自体の軍備・抑止力強化)と、バック・パッシング(同盟国に責任を押しつける、責任転嫁)を使い分ける戦略だ。
米国の政治学者ミアシャイマーの指摘を日本安全保障戦略研究所は次の様に解説している。
基本的にオフショア・バランシングにおいては、アメリカは台頭する大国(中国)を、他国(同盟国)が率先して阻止するように仕向け、必要な場合のみアメリカがみずから介入する戦略だ。
本質的には、この目的は、可能な限りオフショア(遠方)のままでいることであるが、時折オンショア(近接)でバランシングをおこなう必要性も認識している。
ただし、「その場合は、アメリカはその同盟国にできる限り困難な仕事をやらせ、自国の軍はできるだけ早く移動させるべきである」としている。
「彼らの主張通りにアメリカがオフショア・バランシングを上手く機能させることができれば、争いを避けて自国の国力を蓄えつつ、大国同士をつぶし合わせて、高みの見物を決め込み、他国が弱体化することによって、自国の国力を相対的に高めることが可能」――このような考えにもとづく戦略だ。
「米中緊張」が、いつの間にか日本と中国の戦いになり、遠方から眺めながら武器だけ供与し、たまに必要な時は顔を出したりしながらも踏み込みはしない――それは現在のウクライナそのものだ。
まさに米中の緊張に日本が巻き込まれていく可能性とは、このような状態のことだ。
このような米国の喧嘩の仕方、金もうけの仕方、軍産複合体に餌を撒く方法を、絶対に日本で、アジアでやらせてはならない。
米国にとってのメリットは、「消費する資源と犠牲者を減らす:米国が防衛にコミットする領域を制限し、他国に彼らの役割を果たすよう強いることによって、ワシントンが防衛のために使用する資源を減らし、本国でのより大きな投資と消費を可能にする。そして、危険な状況に晒される米国人が少なくなる」というものだ。
そのかわりに徹底的に荒らされるのはアジアであり、アジアの人々だ。
たまったものではない。
これを防ぐための一つの方法として、「ボーキング」(米学者ウォルトが分類)というものがある。
ボーキングとは尻込み戦略という意味で、ある国家が米国の力を制限する、より受動的な方法であり、米国が何かを要求したら、それを拒否するだけというものだ。
「あー、なるほどっすねぇ」と相づちを打ちながらも、それをやらないというのが一番効果的な方法だ。
揉めごとを深めないということだ。
米国ほど強力な国でもすべての国にいいなりになるよう強制することはできない。
また、一部の国が渋れば渋るほど、他の国も同様に渋りやすくなる。
たとえばトルコは、イラク戦争で自国領土の使用を拒否した。イラクに近いが、米軍に滑走路、基地を使わせなかった。
なぜならイラク戦争後に米軍が撤退しても、基地を使わせた結果として多くの人が死ねば責任を問われ、トルコとイラクとの間でいさかいが続くことになるからだ。
「尻込み」は時に露骨ではあるが、米国の要求を形式的に受け入れつつ、その実現にはできるだけ手を付けないという微妙なアプローチをとるのがボーキングだ。
日本政府にもそのような手法をとった過去がある。
日本は、ベトナム戦争や朝鮮戦争で「軍備増強しろ」といわれてきたが、当時の吉田茂首相は「もし自分がやったことに功績があるとすれば、それはダレス米国務長官の再軍備要請を断り、再軍備に使うカネを経済復興など国の復興に使ったことである」と後にのべたという。
憲法9条を盾にとったわけだ。
ところが現在、ジャパンハンドラー(日本を飼い馴らした人物)といわれる人間たちが「憲法9条が邪魔だ」といい続けている。
その一人、アーミテージ元米国務副長官は「必ず憲法9条がバリケードのように道を塞ぐ」「憲法9条は日米同盟にとって妨げにもなってきた。変えるのは歓迎だ」と公言している。
最高法規である憲法に明記してあれば、米国の不条理な要求を断ることもできるのだが、2015年に自民党政府は、憲法を飛びこえて集団的自衛権(同盟国が攻撃を受けたら参戦する)の行使を可能にした。
建国から300年もたたず、その間ずっと戦争をし続けている米国という宗主国から押しつけられる要求から自分たちを守る唯一の盾を放棄したうえで、さらにお手伝いできるようなことを今進めてしまっている。
これはやってはならない。
・翼賛化する国会 止める力を持つ有権者
それは私が中国という国に対して特別に愛情があるからではなく、日本の国益を第一に考えるのならば、なによりも重要なのが経済だ。
米中対立(戦争)によってたった二カ月間、中国からの輸入物資(原材料、部品、食料、衣料)の8割が入ってこなくなっただけで、日本のGDPは53兆円をこえる損失をこうむる。
ミサイルや銃で撃たれなくても、モノが作れなくなり、生活が窮乏し、お金が社会に回らなくなることで多くの人が死ぬのだ。
一部の者たち=軍産複合体が金もうけするために、みなさんのお金を使ってトマホークみたいなものを買わされるのだ。
それより大事なことが目の前にある。
7人に1人の子どもが貧困で、みんな地盤沈下して30年以上人生が奪われているような状態だ。
世界の先進国で唯一、30年経済が衰退し続け、賃金は下がりっぱなしで人間の尊厳も守れないような状態になっているのに、一体何を守るというのか。
国を守るとは何か?
あなたを守ることだ。
その最大の安全保障さえも30年間反故にしてきた者たちが、この数年の間に大きく前に進み、タカ派よろしく「上等だ。やってくるならやってやる!」という態度になっているが、そんなことはできない。
敵国条項をみても、そんなことをやれば日本が先にやられるという理由をみずから作ってしまう。
これを今止められるのは国会ではない。国会は数の力ではっきりしている。
圧倒的少数派が野党だ。
私たちは体を張ってでも止めようと思うが、それは力で押し切られる。
ならばどうやって止めるかといえば、この国に生きるあなたの力だ。
この国の最高権力者はあなただ。
選挙の時に4割もの人が票を捨ててしまう。
権力者の4割が自分の権力を放棄したら残り3割程度の人たちでトップがとれてしまう。
政治とはコントロールできるものであり、コントロールしなければいけないものだ。
票を捨てた4割の人たちとそれ以外の人たちが力を持てばひっくり返る。
あなたが諦めて喜ぶのは、この国のみんなから収奪し、この荒廃を作り出した者たちだ。
あなたには力があることを気付かせたくない人たちでもある。
カネを持った資本家も政治家の一部も、戦争では死なないし、この国に万が一のことがあれば海外に逃げることもできる。
でもみなさんはそんなことできない。
この国で生きていかなければいけないのならば、この国を変えるしかない。
それは決してハードルが高いことではない。
横に繋がるだけだ。
この国をひっくり返す先頭に立たせてほしいという思いで旗揚げしたのが、れいわ新選組だ。
景気がいい、面白くて自由な社会を作りたい。
それをみんなの力でやれるのなら、この最後のゲームにかけたい。
ぜひ一緒にやってほしい。
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“米国追従の対中包囲は自滅の道” れいわ新選組・山本太郎の訴え 戦争経済で肥大化する軍産複合体 アジアを戦場にさせぬ外交を
長周新聞 2023年3月2日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25964
■防衛費“倍増”で10兆円も?懸念の声が【報道特集】
TBS NEWS 2022/06/26
■「財源すべて持っていかれる」 防衛増税、使途に子育て支援求める声
朝日新聞 2022年12月13日
https://www.asahi.com/articles/ASQDF62Q5QDFUTFK002.html
■防衛費増額で「増税」検討、物価高に追い討ちかける岸田政権が強行のヤバすぎる「ステルス改憲」の罠!ひそかに進められていた“戦争ができる国づくり”
週刊女性 2023年1月31日号
https://www.jprime.jp/articles/-/26521?display=b
■「敵基地攻撃能力」「防衛費増額」に私が反対する三つの理由
日本を「世界第3位の軍事大国」にしてはならない
「敵基地攻撃は憲法違反そのものだ」
論座(朝日新聞) 2022年12月26日 田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻
https://webronza.asahi.com/national/articles/2022122300004.html
■石垣「ミサイル基地不要」
沖縄タイムズ 2023年2月27日
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1110131
■防衛費増税で支持率急落の岸田政権がアメリカから「大絶賛」されている皮肉
マネーポスト(小学館)2022.12.22
https://www.moneypost.jp/978589
■日本人から徴税してアメリカから兵器を買う 岸田首相が理解を求める防衛増税の矛盾
マネーポスト(小学館)2023.01.01
https://www.moneypost.jp/981764/3/
■武器買わされ戦場にされる選択 岸田政府の防衛費43兆円と大増税 米軍需産業のカモにされる日本
Business Journal 2022年12月22日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25321
■民放各社は米国に乗っ取られているのか
「民放各社大株主に米国系の投資ファンドが名を連ねている」
・外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%
「テレビ朝日が12.7%、TBSは13.34%」
日刊ゲンダイ(講談社)2015/11/09
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168954
■報道自由度、日本は4つ下げ71位に 国境なき記者団
日本経済新聞 2022年5月3日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF031WY0T00C22A5000000/
■沖縄の伝統まで「中国脅威論」を煽るために利用されるこの現実
「その手の話を煽っている人々は”怖い中国”を強調し、だから米軍基地が必要なのだと訴える。具体体には辺野古問題を政府の思惑どおりに進めるために、持ち出されているに過ぎないと思いますよ」
週刊現代 2018.11.03
https://gendai.media/articles/-/58256?imp=0
■なぜ今「台湾有事」が煽られるのか―作られる危機と加速する戦争シナリオ 岡田充・共同通信客員論説委員の講演より
長周新聞 2022年10月10日
https://www.chosyu-journal.jp/heiwa/24670
■「台湾有事は日本有事」の思い込みは危うい~米中パワーゲームの駒になるな
論座(朝日新聞) 2022年09月23日 藤原秀人
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2022092200002.html
■現実味を帯びてきた、日本が米中「代理戦争」に利用される日
まぐまぐニュース 2016.04.21
https://www.mag2.com/p/news/178858
■集団的自衛権、黒幕の米国が考えていること
日米安保体制はますます米国の思うまま
東洋経済オンライン 2014/07/01 高橋 浩祐
https://toyokeizai.net/articles/-/41323
■「台湾有事の時、メインで戦うのは日本」アーミテージ発言で露見した米国の“本当の計画”をジェームズ斉藤が解説!
TOCANA 2022.07.05
https://tocana.jp/2022/07/post_237799_entry.html
■ナチス・ドイツのナンバー2、ヘルマン・ゲーリング『民主主義の下でも戦争を始めるのは簡単だ。自分たちが外国から攻撃を受けていると言い立てるだけでいい。平和を求める者たちについては、彼らは愛国心がなく国家を危険にさらす連中だと非難すれば済む』
もう一度「平和」の話を(神奈川新聞 | 2017年10月29日)
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-21044.html
■日本人は「狂ったアメリカ」を知らなすぎる
東洋経済オンライン 2019/01/18 塩野誠
https://toyokeizai.net/articles/-/260849
■【憲法改正目的の本丸は独裁“緊急事態条項”!】 ドイツ・ヒトラーはナチス政権崩壊するまで12年間も「緊急事態条項」は解除されなかった!
独裁招いた「緊急事態」 ナチスドイツの教訓 緊急事態条項 神奈川新聞 | 2016年5月4日
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-75275.html
『ナチスの「手口」と緊急事態条項』 2017/10/03 集英社新書
■中国を挑発「アジア人同士」を戦わせる ―「台湾有事」煽る米大統領の狙い―
「米国が台湾海峡で軍事的に中国を挑発し、台湾へ武力行使させる。米国はウクライナ同様、米軍を投入しない「代理戦争」をし、日本の参戦でアジア人同士を戦わせる。」
独立言論フォーラム 2022.07.05 岡田充
https://isfweb.org/post-5140/
■「3S政策」の生みの親、日本に原爆投下を命令したトルーマン米大統領の恐ろしさ!「猿(日本人)をバカに変えて我々が飼い続ける」
https://yuruneto.com/truman/
■フィリピン ドゥテルテ大統領 アメリカが戦争をさせている
https://www.tiktok.com/@dorami607/video/7359067507774328080