人間が猫を飼っていた、という記録が確認出来るのが、紀元前2400年代~2300年代のエジプト第5王朝の遺物だそうです。
ネズミやヘビ(猛毒を持つコブラなど)などの害獣駆除の為に、猫が家畜化され始めたと考えられています。
紀元前2000~1500年ごろから、「魔法の短剣」(magic knives)といわれる象牙でできた小刀に猫が描かれ始め、この頃から猫がトーテミズムの対象とした扱われるようになったと考えられます。
この短剣は、事故、病気、難産、悪夢、毒蛇、毒さそりなどの災厄から身を守ってくれるお守り的な装飾品でした。
新王朝時代(紀元前1540~1196)になると、猫は女神ハトホルの化身の一つとみなされるようになり、「Nebethetepet」という名を与えられて神格化されるようになりました。
また同時に、王族の間ではペットとしても寵愛されていたようです。
例えば、第18王朝6代目のファラオ・トトメス3世(BC1479~1425)の時代に活躍した建築家「Puimre」は、「Nedjem」(意味:かわい子ちゃん or 星)という名の猫を飼っており、これは「人類史上で最初に登場する猫の名前」としてギネスブックにも載っています。
第22王朝時代のエジプト人にとって、バステト神の化身である猫がいかに大きな存在であったかは、中心都市とてして栄えた「ペルバステト」という都市名からもうかがえます。
この都市は後にギリシア語に転換されて「ブバスティス」と呼ばれるようになりますが、元々は古代エジプト語で「バステトの館」を意味する言葉です。
つまり「猫の館」と言い換えてもよいでしょう。
さらに7代目の王に至っては、自身のことを「ペマウ」、すなわち「猫の王」と呼ぶようにまでなっています。
日本では人が猫を飼うようになって、まだ歴史が浅いようです。
猫が登場する最古の文献が平安時代の「日本霊異記」という書物だそうです。
平安時代は794年~1185年ですから、エジプトで猫を飼うようになって、かなり経ってから猫との歴史が始まったのかもしれませんね。
コメント