「猫は犬より記憶力が悪い」そう思っている方、多いのかもしれません。
一般的には犬が頭がよいとされていますよね。
確かに、猫にしつけや芸を仕込むことは難しいですし猫にはあまり記憶力がいいイメージはありませんよね?
ことわざでも「猫は三年の恩を三日で忘れる」というイメージもありますし。
でも猫も負けてはいません。
場合によっては犬よりも記憶力がいいと言う研究結果も出ています。
「長期記憶」と「短期記憶」とは?
ひとまとめに「記憶」といいますが、一般的に、その持続時間の長さから「長期記憶」「短期記憶」と分けられます。
短期記憶とは、一時的に覚える必要がある記憶に関するものです。
分かりやすい例でいうと、「誰かに電話をかけるときに一時的に番号を覚えなければならない」というシーン。
こんなときの記憶は、短期記憶能力を使います。
電話をかけてしまえば覚える必要がないので、すぐに忘れてしまうかと思います。
また、買い物に行ったときに、レジで表示された支払い金額を頭に入れつつ財布からお金を出すのも短期記憶の分類です。
お金を支払ってしまえば、記憶した金額は不要なものなので、すぐに忘れてしまうでしょう。
これが「短期記憶」です。
一方、長期記憶とは、短期的な記憶を反復することで頭に定着していく記憶です。
長期的に記憶できるものは、簡単には忘れないように何かに連想づけて「記憶」になります。
猫にとって「怖い!」「嫌だ!」と瞬間的に感じることは、長期的に記憶しています。
この長期記憶は、「苦手・不安・恐怖」といった気持ちに、そのときの状況を思い出させる何かがプラスされています。例えば、以下のような状況です。
・シャンプーが苦手な猫は、蛇口から水が流れる音を聞いただけで「嫌なことが起こる」と思い出す
・爪切りで痛い思いをした経験がある猫なら、爪きりを見ただけで逃げ出す
・動物病院が苦手な猫は、病院に入ったときのニオイで拒否反応を示す
「嫌な思いをした」と思い出させる視覚的あるいは聴覚的な何かが結びつくのです。
犬と違って猫は集団行動をしない動物です。
野生時代には、「自分の身は自分で守る」のが当然だったので、危険を避けるために、このような記憶力が培われていったのではないでしょうか。
これは、危険な出来事に遭遇したときに「二度とこのような目に遭いたくない」という気持ちが本能的に植え込まれるからです。
つまり、猫が生きていくうえでリスクを回避するために、当然の機能として備わっている記憶なのです。
猫は10分以上の短期記憶力が高い
猫は短期記憶に関しては優れた力を発揮すると言われています。
2007年の行われた猫の記憶力をはかる実験では、猫は10分以上の短期記憶を記憶していると証明されました。
実験の方法がこちら。
エサを入れた箱だけにランプを点灯し「このなかにエサが入っている」ということを初めに分からせます。
そして、「いつまで覚えていられるか?」を犬と猫に実験したところ、猫は16時間後にも覚えていられたのだそうです。
実は、犬は5分を過ぎると忘れてしまった結果に終わりました。
猫の記憶力が驚くほど優れていたことが分かります。
ねこは、やっぱり、好きかどうか
しかし同様な実験を「食べもの」の代わりに「おもちゃ」を使って行ったところ、なんと結果は10秒未満だったそうです。
猫ってご飯に対しては異常な本能を見せますよね。
このそれぞれの結果から分かることは、猫が本能的に興味が深い「食べもの」で実験すれば結果は良好だけれど、興味がないもので試せば記憶は持続しないということです。
人間も必要なものは積極的に記憶をキープしますが、興味がないものはなかなか思い出せないので似ているところがあるのかもしれませんね。
自分のお家に帰る帰省本能からみる記憶力
世界中で猫が遠くの知らない場所から、長い道のりを経てお家に帰ってきたという例はいくつも報告されています。
猫でも奇跡に近い本能を発揮して、長い距離や時間をかけてお家に戻ってくるというケースは、世界でも数多く報告されています。
しかし、一方でほとんどの猫が一度迷子になったらお家に返ってくることはできないというのが通常です。
実際、猫による記憶力に関する研究は犬や鳥と比べて、とても遅れています。
というのも、猫のきまぐれな性質は極めて研究に向いておらず、どんな実験をしてもデータがバラバラになることが多いからです。
そのためはっきりとわかってはいませんが、猫にも犬や鳥と同じような体内時計や磁気感知、方向細胞といったものがあるかもしれないと言われています。
体内時計は太陽の位置から今いる自分の位置を感知し、どこか遠くに行っても、太陽の位置から元の場所へ戻ることができる機能です。
磁気感知は体の中に天然の磁石を持っており、どこにいても方角が分かるようになっています。
そして方向細胞はとても便利な機能で、1つの細胞が1つの方向を記憶し、行きたい方向の方へ頭を向ければ、ぴん!と察知できる能力です。
猫は大きくなっても兄弟猫や母猫のことを覚えている?
猫の記憶力は興味のあること、ないことによって違いがでるのですがここで疑問。
兄弟猫や母猫のことって大きくなっても覚えているのでしょうか?
答えはNOだと言われています。
残念ながら猫には血縁関係という概念はないそうです。
幼い頃に離ればなれになってしまった兄弟猫、母猫のことを覚えていることはないでしょう。
ただ長い間共に過ごしていた場合は話が別です。
猫の幼い頃の記憶力は生後4ヶ月~半年ごろからあると考えられています。
この期間からしばらく共に過ごしていた兄弟猫、母猫、同居猫はもちろん他のペットや飼い主様のことはもちろん覚えています。
ただ人間と同じように猫も昔の記憶力は薄れていきます。
人間より寿命の短い猫は余計に年月が経つと忘れてしまいます。
ネコは飼い主を忘れる?忘れない?
猫は飼い主さんのことはどれくらいの期間覚えているのでしょうか。
一般的には2年程度は記憶していると考えられています。
「猫は三年で恩を忘れる」ということわざがありるように、3年以上経過すると飼い主さんのことを忘れることもあるようです。
3年以内でも、忘れられることもあるそうです。
猫が飼い主さんを忘れるのは、信頼関係に問題があったときや、飼い主さんと離れた後の生活が快適だったときなどです。
これは人間同士でも同じですよね。
猫という生き物は気まぐれで、敏感な生き物です。
飼い主さんのことを覚えていても、反応してくれないこともあります。
また、警戒心が強いなど猫の性格によっても反応は異なるでしょう。
3日間飼い主さんと会わなかっただけで、よそよそしくなってしまう猫もいます。
久しぶりの飼い主との再会で忘れたように猫が「シャーッ」と威嚇したり、隠れてしまうことがあるかもしれません。
「声は知っているけど、知らない匂いする」と感じていることもあるようです。
でも、声をかけたり、一緒にいたころにしていた遊びをしたりすると、飼い主さんを思い出して心を開いてくれるかもしれません。
やっぱり、そんなところも、かわいいですよね!
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