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戦後最大のミステリーといわれる「3億円事件」。
1968年12月10日、現場は府中刑務所の前の道路。
刑務所の北側に面している、堀沿いの「学園通り」でした。
被害額は現在の価値で20億円に相当するともいわれます。
事件は1968年12月10日午前9時22分頃に発生。
東京都府中市の路上で、現金約３億円が輸送車ごと偽の白バイ警官に持ち去られました。
東芝府中工場で働く従業員のボーナス2億9,434万1,500円を運搬していた日本信託銀行国分寺支店の現金輸送車（ニッサンセドリック）が、東京都府中市の府中刑務所の塀沿いの通りで、“白バイ”に乗って現れた男に停車を命じられます。
制服姿で白いヘルメットをかぶった男は「支店長宅が爆破された。この車にも爆弾が仕掛けてあるかもしれない」と言い、運転手ら4人を車から降ろした後、輸送車の下に潜り込むと、「ダイナマイトだ。逃げろ」と叫びます。
車の下から煙が上がり、4人が避難すると、男は輸送車を乗っ取って逃走。
約1.3km北の武蔵国分寺跡の土地に隠しておいたトヨタカローラ（盗難車）に約3億円の入った三つのジュラルミンケースを積み替え、走り去りました。
輸送車の下から出た煙は、発炎筒によるものでした。
カローラは約4か月後、さらに北東に約5キロ離れた小金井市本町の団地の駐車場で発見されます。
ジュラルミンケースは車内に残されていましたが、現金は消えていました。
この車は事件直後に乗り捨てられていたことが、その後の捜査でわかったそうです。
白バイ警官を装った男の言葉を、輸送車の銀行員らが信じたのは布石があったからだと言われています。
事件の4日前、この支店に「300万円を女子事務員に持たせろ。言うことを聞かないと爆破する」という脅迫状が届いていたそうです。
一方で、奪われたボーナスは、翌日には無事、工場の従業員たちに支給されました。
銀行の損失は保険で賄われ、保険会社も別の保険会社と再保険を結び、さらにその保険会社が海外の保険会社と再保険契約を交わしていました。
結局、被害額は海外の損保が負担したため、発生当初は“国内では誰も損をしなかった事件”とも呼ばれました。
当時の3億円は、現在の価値では20億円に相当するともいわれます。
「3億円事件」現金強奪現場は府中刑務所北側の通り「学園通り」で発生しました。
JR武蔵野線の線路と北府中駅をはさんで広大な東芝府中事業所（以下、東芝府中）が広がり、府中刑務所に向かい合っている立地でした。
それまで現金輸送車が走っていた国分寺街道は通りも広く、道路の東西に住宅や学校が広がっています。
そこから学園通りを走るとすぐに東芝府中の構内に入ってしまうため、目撃される心配や交通量が少なく、現金輸送車を停めやすい場所として計算の上でこの場所を選んだのではと言われています。
刑務所の向かいには都立府中高校があり、そこに歩道橋があるのですが、その手前で犯行が行われました。
歩道橋横あたりにあった刑務所の壁の上の監視塔の刑務官も目撃したそうですが、現在は監視塔は撤去されたそうです。