猫の鳴き声というと、可愛らしい「ニャー」をイメージされる方が多いと思います。
猫と暮らしている人であれば、多くの人が疑問に思うのが鳴く理由です。
声色や仕草などで、ある程度何が言いたいのかわかるという人もいるでしょうが、何を伝えたいのか正確に理解するのは至難の業。
猫が伝えたいことがわかればいいのに…と思うのは飼い主共通の思いでしょう。
鳴き声はたくさんの種類があり、鳴き方の違いで、そのときの気持ちを表しているようです。
猫は、トーンや強度を変えることにより60種類もの鳴き声を出せると言われています。
一般的にメスよりオスの方がたくさん鳴く傾向があると言われていますが、鳴く回数・頻度については個体差があり、それぞれの猫の個性が出るようです。
普段から人間と生活をしている猫は、飼い主さんに要求を伝える手段や意思疎通のために鳴いているようです。
その中でも飼い猫が鳴く大きな理由のひとつは、親しい相手へのおねだりです。
ごはん時に鳴きながらご家族について回るのは、「ごはんをちょうだい!」と言っているのでしょう。
他にも甘えたい場合や遊んでほしい場合など、相手に対して何かをしてほしいから鳴くのです。
これは猫がご家族を親しい存在だ、安心できる存在だと認識しているので、問題はありません。
反対に野生の猫は、自分の居場所を外敵に察知される可能性を避けるために無駄には鳴きません。
猫同士の意思疎通は身体を使って表現するのが一般的です。
例えば、猫同士で鼻をくっつけたり、まばたきをゆっくりしたりしあっているのは、相手に敵意がない事を表現しているのです。
猫が鳴く状況・場面は、大きく分けて3つあります。
①「甘えている、要求を伝える」
②「不安・恐怖を感じている・威嚇している」
③「ケンカしている・発情している」
以上、3種に大きく分類することができます。
①「甘えている、要求を伝える」は前述のように、飼い主さんへの甘えている場合が多いケースです。
高い声で要求、甘えを示していると言えます。
独特な「クルル」という鳴き声になることもあります。
子猫は親猫を呼ぶ時に「クルル」と鳴いて呼び寄せることが多いようです。
②「不安・恐怖を感じている・威嚇している」は、最初の段階では低い声の場合が多いです。
喉の奥から低いうなり声を発している時は、警戒信号です。
知らない人が急に近づいてきたりすると、低い声で威嚇したりします。
さらに、近づいた場合、牙をむき出しにしながら、「シャー」や「シュー」と蛇のような音を出すときもあります。
これは「こっちに来るな!」という意思表示。
相手を怖がらせようと脅しています。
興奮状態で、いつでも相手に飛びかかれるよう準備も整っているので、むやみに触れないように注意しましょう。
怒っているだけではなく、実は怖がりな猫もこうした態度を取ることが多いです。
③「ケンカしている・発情している」は、多くの方が聞いたことがあると思います。
猫はケンカの時や発情期、追いつめられると恐怖の鳴き声を上げますが、これは一種の警戒サイレンのような役割を果たすようです。
猫同士のケンカでも「ギャァオォォォ~~ン」と、大きく叫ぶように何度も鳴く時は、恐怖、パニックの時です。
ケンカをしている猫同士は、町内に響き渡るような大きな鳴き声を上げます。
「ンギャー」と叫んだり、一度溜めてから「ミャーオー!」と鳴くなど、びっくりするほど大きな鳴き声が聞こえたら、何かしら非常事態が起こっている時です。
猫の悲鳴ととらえてもいいでしょう。
たとえば、敵に襲われて怖くてパニック状態になっているときや、しっぽを踏まれてしまった、ケージに挟まったなど、突然の痛みやケガにみまわれてしまったときなどによく聞かれます。
猫がこのような鳴き声をあげているときは、けがをしていないか、危険なものはないかなど猫や周囲を注意してみてあげましょう。
発情期の場合、鳴き声は雄・雌ともにかなり音量が大きく、夜中に猫たちの愛の語らいに、たたき起こされたという経験をお持ちの方も多いでしょう。
主に春先、深夜から朝方にかけて、発情しているときには、大きな声で「ニャーオ」や「ナーオ」と鳴きます。
雄猫は発情期になると攻撃的になったり、落ち着きがなくなる、しきりとマーキングを行うなど、さまざまな兆候がありますが、そのひとつが独特な鳴き声です。
発情した雌猫の鳴き声に反応していると考えられ、人間の赤ちゃんが泣いているような声で、遠くまで響くように大きく鳴くのが特徴です。
雌猫の場合も、雄猫と同じく、人間の赤ん坊のような鳴き声をあげますが、雄猫よりも若干低い鳴き声になる傾向があります。
このような鳴き方は避妊・去勢手術をしていない猫が大半です。
発情期の鳴き声対策は難しいものですが、子をとる予定がない飼い猫であれば、避妊・去勢手術を行うこともひとつの手です。
飼い主に忠実な犬と違い、猫の大きな特徴はその気まぐれさ、気ままさにありますよね。
甘えたい時は甘えるし、構って欲しくない時は嫌がるし、自分の気持ちにとても正直なのです。
決して思い通りにはならないのに、ときどき甘えてきてはまた去っていく……私たちはそうして、いつも猫にもてあそばれるのです。
お出かけして帰ってくると、普段ちっとも近寄ってこないのに、なぜか「ニャーン」と玄関までお出迎え。
いつもこっちから近づくと去っていくのに、パソコンを使っていると、なぜか「ニャーン」とキーボードに乗ってくる。
風呂上がりに寝転がってスマホを見ていると、「ニャーン」と鳴いて背中に乗ってフミフミ。
そんなツンデレなネコちゃんに、私たち人間は惹かれてしまうものなのかもしれませんね。