猫が前足の肉球で、動物や物を叩く「猫パンチ」。
猫ちゃんが小さな手でする「猫パンチ」ってとても可愛いですよね。
猫パンチはどうやら攻撃する時だけのものではないらしいのです。
猫は、いつ、どのような理由で猫パンチをするのでしょうか?
猫パンチとは、猫が前足のうちどちらかを使って、ボクシングのパンチの様にして叩いてくる行為です。
猫は、片方の前足だけを使って猫パンチすることもありますし、連続でパンチをすることも出来ますし、興奮した時には両方を使ってパンチ、なんて場合もあります。
猫パンチをする時には両足で立つこともあり、猫のすばらしいバランス感覚が見られます。
猫は、手のひら(肉球部分)を内側に向けることが出来ます。
また、指も内側に曲げられますので、爪を出せばぎゅっと対象物に引っ掛けることが出来ます。
このように、猫は前足をうまく使って様々な行動をすることが出来ます。
そのため、相手に対しての行動は、見る、匂いを嗅ぐと行った他に、前足でも行っているのです。
猫パンチは、いつも同じものではなく、状況や猫の気持ちによって違いがあります。
爪のあるなし、スピード、そしてパンチの威力で、猫パンチの意味を知ることができます。
猫パンチには、大きく分けて3つの意味があると考えられます。
①かまって欲しい猫パンチ(遊びやおねだり)
②不快な時の猫パンチ(不快感・不満感)
③攻撃の猫パンチ(本気攻撃)
猫が遊んで欲しかったり、興味を持って欲しかったりする時に、爪を出さないでする猫パンチです。
甘えたり、おねだりしたりする気持ちの意味があります。
おもちゃや飼い主さんの体に、そっと優しく「ポンポン」「チョンチョン」とする猫パンチは、遊んでほしい、かまってほしい気持ちの表れです。
猫同士でじゃれ合うとき、飼い主さんと遊ぶとき、おもちゃで遊ぶとき、動くものに興味を示したときなどの猫パンチは、力が弱く、ほとんどの場合は爪が出ていません。
ただし、遊びがエスカレートして猫が興奮状態になった場合は、力が強くなったり爪を出したりして、相手の動物や飼い主さんにケガをさせてしまうこともあるので、注意が必要です。
この時の猫パンチの威力の程度としては、低いものと言えます。
人が誰かを呼ぶのに「ねぇねぇ」といった感じで肩をたたくように、「トントン」といった程度のやさしい強さでしょう。
パンチというよりは、押さえる、触るといった感じのパンチになることもあります。
飼い主さんにごはんをおねだりしたり、きょうだい猫とじゃれあったりする時にも、この爪を出さずに触れ合う程度の猫パンチをすることがあります。
また、子猫がおもちゃにじゃれる時にも、このような軽いパンチで遊ぶことがあります。
猫は前足が器用で、指を開いたり、手首が内側に展開したりするので、ものを両手で挟んで引き寄せたりすることも出来ます。
力としての威力はありませんが、かわいさの威力は計り知れないものがあります。
爪を出さない程度の猫パンチという意味では、見たことがないものや、初めて会った猫などの相手に対する時に、軽いパンチで安全かどうか確認していることがあります。
このような爪の出さない、威力の弱い猫パンチは、相手に対して、敵対心や強い攻撃の気持ちはないということになります。
猫が触られたくないと思っているときに無理やり抱っこしたり、長い時間体を撫でたりしたときの猫パンチは、イライラした気持ちや不快感を示しています。
この場合、力はやや強く、爪が出ていることもあります。
寝ているところを無理に触ったり撫でたりすると、嫌がって猫パンチをすることもあります。
猫が嫌がるような触り方はやめて、距離を置いて様子を見ましょう。
また、猫の具合が悪く痛みがあるとき、その部位を触ると強めに猫パンチをしてくることもあります。
いつもは触っても平気なのに、急に嫌がって猫パンチをするようになったというときは、猫の体調に変化がないか、ケガをしていないかなどよく観察しましょう。
パンチの威力の程度は、中から強といった感じです。
この時は、爪を出さない時もありますし、猫が興奮したり怒ったりしていれば、爪が出ていることもあります。
具体的には、撫でられて欲しくないところを触られたり、嫌いな相手が近づいてきたりした時に、「やめて欲しい」「こっちに来るな」といった意味でしてくる猫パンチです。
猫には触って欲しくないとされる場所があり、背中やお腹、尻尾の付け根、手足の先など、猫によって個体差もあって様々です。
相手に対する好き嫌いもありますので、猫パンチをすることで、それ以上はしないで、という意思表示をしているのですね。
嫌がっているのに、無理矢理に触ったり追いかけたりすることのない様に気をつけてくださいね。
猫同士で遊んでいるうちに、エスカレートしてパンチが強くなったという状況もあります。
この時の猫同士の猫パンチは、手を出すと怪我をする恐れもありますので、気をつけるようにしましょう。
怪我をしていたり、具合が悪かったりする時に、触ろうとすると嫌がってパンチをしてくることもあります。
飼い主さんは猫の様子をよく見て、猫の体に異常がないか確認するようにしましょう。
猫は本来争いを嫌う動物ですが、喧嘩がエスカレートすると猫パンチで相手に攻撃をすることがあります。
また、鳥やネズミなどの小動物を猫パンチで弱らせて捕らえることは、狩猟動物である猫の本能的な行動です。
遊びがエスカレートして、喧嘩に発展することもあります。
この場合のパンチは、小動物なら倒れてしまうほどの威力があり、爪は出ていることがほとんどです。
飼い猫の場合は飼い主さんに本気の猫パンチをすることはめったにありませんが、もし人間に対して攻撃的な態度をとるのであれば、しつけの面を見直す必要があるかもしれません。
パンチの威力は強く、爪を出しています。
もしひっかかれれば、怪我をする可能性が高いと言えます。
野良猫同士で喧嘩をする時の最終的な状態では、この本気のパンチが繰り出されていることでしょう。
また、獲物を捕まえる時の猫パンチは、容赦ない強い威力のもので、小動物が死んでしまうほど強いものだと想像されます。
そのため、飼われている猫が飼い主さんにこのように攻撃することはめったに見られないでしょう。
動物病院に連れていくためにケージに入れようとしたり、他のペットに恐怖心を感じたりした場合には、思いがけない力で暴れるかも知れません。この時に、身を守るためやパニックのため、強い威力の猫パンチをすることがあります。
また、怪我をして痛みがあったり、触られることで恐怖を感じたりした場合にも、身を守ろうとして猫パンチをしてくることがあります。
動物病院に行った時は、猫キャリーに入れて、待っている間に不用意に猫を触らないように気をつけた方が良いでしょう。
攻撃のための猫パンチの前段階として、威嚇の猫パンチというものもあります。
猫同士の喧嘩の時に、これ以上すると本気になるぞ、といった意味でする猫パンチです。
強さは中からやや強い程度の威力です。
他には、噛み付いて来るような獲物に対して威嚇したり、猫じゃらしなどおもちゃに対しても同じ様に威嚇したりする時に、強めのパンチをすることがあります。
あまり威力が強い猫パンチの場合は、飼い主さんが怪我をする恐れもあります。
以下のようなとき、気をつけることが必要かもしれません。
・猫が嫌がる時には触らない
・遊ぶ時には手を使わない
・怪我や病気の場合には動物病院へ連れていく
などです。
一緒に暮らして、慣れていると思っている飼い猫でも、機嫌が悪かったり、触られたくなかったりする時に触られると、猫パンチをしてくることがあります。
そのような時には、一旦猫との距離を置きましょう。
猫だって、静かにしていたい時や触られたくない時があるのです。
特に、面白がって何度も触ることや、猫パンチされたことで猫を強く叱ったりすると、猫との信頼関係が崩れてしまいます。
猫の気持ちが回復することを待って、そっとしておきましょう。
また、猫が触られて特に嫌がる場所は、脚やしっぽです。
また、肉球をずっと触っていると怒る猫も多くいます。
触る場所や時間、力加減など、飼い猫の好む「ちょうど良い加減」を覚えて、リラックスした状態でスキンシップを楽しみましょう。
猫がじゃれついてきて、猫パンチをすることがあります。
これは遊びの中でのパンチなので、やめさせたり、叱ったりしない方が良いと考えられます。
やめた方が良いのは、手で遊ぶ癖をつけてしまうことです。
これは猫が飼い主さんの手を、遊び相手や獲物のかわりと認識してしまうためです。
飼い主さんの手を獲物がわりにしてしまうと、何もしていなくても手にじゃれついて、猫パンチをしたり、かみついたりしてくるようになってしまいます。
さらに、抱っこしたり撫でたりする時にも猫パンチをしてくるようになる可能性があり、普段の猫との生活にも支障が出てしまいます。
猫と遊んであげる時には、猫じゃらしや紐など、手ではないもので遊んであげるようにしましょう。
猫は「猫パンチ」をすることで、自分の気持ちを伝えています。
飼い主さんはそのサインをきちんと受け取って、しっかりした信頼関係を築いてくださいね。