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【本日のニュース・記事】
■ガソリン補助金は「正しい」のか?
週刊ダイヤモンド 2022.3.16 小嶌正稔:桃山学院大学経営学部教授、東北大博士(経済学)
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・拡充策の追加予算措置は3500億円 原油上昇が続けば際限なく補助金投入
3月10日、「燃料油価格激変緩和補助金」の制度が変更・拡大された。
政府はレギュラーガソリンの全国平均が1リットル170円になるように、リッター当たり上限5円の補助金を出す措置を実施してきたが、世界的な原油高騰を受け、上限を25円に引き上げた。
この補助金の仕組みを端的に言うと、給付先はENEOSや出光興産、コスモ石油などの石油元売りであって、給付を前提に卸価格を抑え、結果として小売価格が抑制されるというスキームだ。
こうした民間企業の卸価格に公的な介入が行われることに、産業界の一部や筆者のような専門家は驚いている。
その理由は、市場のメカニズムを壊すことへの危惧があるからだ。
コロナ禍にウクライナ問題も加わって、さまざまなモノが値上がりする中で、ガソリンが値上がりしないのは有り難いし、何か問題でもあるの?と思う読者も多いかもしれない。
市場メカニズムとは、価格が上がれば、消費者は節約するので需要が減り、結果的に価格が下がる、という仕組みだ。
補助金で価格を抑えれば、目先の負担は軽くなるが、需要によって価格が調整されなくなることから価格は高止まりする。
それは結果的に消費者のメリットにならないし、別の形(税金)で消費者の負担増につながる。
この拡充策の追加予算措置は3500億円であるが、仮に原油価格の上昇が続けば、際限なく補助金(税金)の投入が続くことになる。
ガソリンをはじめとする石油製品は、全国で幅広く使われているのだから、税金で補助金を出すことに不公平はないという意見もある。
しかし調査データを見ると、そうともいえないのではないか。
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ガソリン補助金は「正しい」のか?市場メカニズムを壊す公的介入の意義とは
週刊ダイヤモンド 2022.3.16 小嶌正稔:桃山学院大学経営学部教授、東北大博士(経済学)
https://diamond.jp/articles/-/299153
本日は3つの記事をご紹介いたします。
2つ目の記事はこちらです。
■田中角栄が挑んだ資源立国 – J-Stage
前野雅弥 (日経新聞 シニアエディター) (2018)
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もう少し角栄が首相を続けていたなら,角栄は何を成していただろうか。
それは間違いなく資源外交だった。
角栄は中国との国交正常化を成したあと,すぐさま資源問題に着手した。
角栄にはもともと日本にとって資源問題は極めて重要な問題との認識が強かった。
首相に就任した時から側近に「このまま日本が資源を海外に牛耳られているのは問題だ。
特に石油をメジャー(国際石油資本)に押さえられた現状ではダメだ。
こういうことこそ,政治のトップが前面に立って突破口を開いていかなければならない」。
こう話していたのだった。
ここで筆者が思い出すのが 1990 年代の後半,筆者はエネルギー記者クラブの配属となった時のこと。
エネルギー記者クラブの主な守備範囲は電力・ガス業界と石油業界なのだが,ここで奇妙な日本語を耳にする。
「石油元売り会社」という日本語だ。
日本には「石油会社」はない。
あるのは「石油元売り会社」だけだというのだ。
石油会社というのは探鉱,掘削など石油開発と石油精製をあわせて行うというのが必要条件。
日本の場合,石油開発はほとんど行っておらず,手がけているのは石油精製と販売だけ。
精製する大本の原油はその大半をメジャーに掘り出してもらい日本に回してもらっている。
だから「石油元売り会社」というのが正確なのだというわけだ。
分かったような分からないような話だが,いずれにしても日本のエネルギー調達が完全に海外に押さえられてしまっているという事実だけはよくわかる。
角栄はこれを危惧した。第2次世界大戦で中国に出兵した時,「ガソリンがないから」という理由で車に乗せてもらえず歩いたというエピソードを披露しているが,エネルギーがないということがいかに惨めなことなのか,角栄は身に染みて感じていた政治家だった。
だから,角栄は日中国交正常化を成し遂げた後,さほど時間を置かずに資源外交に乗り出した。
1973年9月のことだ。
フランスを皮切りに英国,ドイツ,ロシアと角栄にしては珍しい長期の外遊だったが,そこで角栄は徹底的に日本のエネルギー調達ルートの多角化に道筋をつけようと奮闘した。
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田中角栄が挑んだ資源立国 – J-Stage
前野雅弥 (日経新聞 シニアエディター) (2018)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesjb/60/11/60_656/_pdf/-char/ja
最後3つ目の記事はこちらです。
■「その油、米国が回してくれるのか」(田中角栄のふろしき)小長秘書官の証言
日経新聞 2018年4月30日
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フランスを皮切りに英国、西ドイツと欧州からスタートした2週間あまりの資源外交。
ソ連でのブレジネフ会談をもって、ひとまず幕を閉じた。
期待が大きかった北方領土返還で決定的な言質を引き出せなかったとはいえ、日本とソ連の間で領土問題が懸案として存在することを認めさせたのは間違いなく角栄の剛腕だった。
そして何より肝心の資源の共同開発では欧州の国々との間で大筋で合意を取り付けることができた。
角栄自身、「いくばくか」と抑制を利かせながら「実りある旅だった」と資源外交を評価した。
万事、自分のことには控えめな角栄にしては珍しいことだったが、確かに中東一極集中、石油に依存しきった日本のエネルギー調達体制に警鐘を鳴らした意味は大きかった。
ただ、皮肉なことに角栄が鳴らした警鐘の有意性はすぐに証明されることになる。
まるで角栄がソ連から東に向かうのに歩調を合わせたかのようにイスラエル軍は戦線を東に拡大、ゴラン高原で一部、1967年の休戦ラインを突破したのだ。
第4次中東戦争が激しさを増し、日本の石油調達に黄色信号がともった。
こうなると角栄は再び激務の中に放り込まれる。
「郷に入れば郷に従えとはいうけれど……」。
資源外交中、欧州の長い食事に辟易(へきえき)としていた角栄だったが今度は食事をとる時間もなくなった。
裏を返せばそれだけ日本は緊迫していた。
決定的だったのは10月17日。
石油輸出国機構(OPEC)加盟のサウジアラビア、イランなどペルシャ湾岸6カ国が原油の「公示価格」を21%引き上げることを決める。
ウィーンでメジャー(国際石油資本)と引き上げ交渉に臨んでいたが中東戦争を背景に値上げを強行したのだった。
危機は石油の価格だけにとどまらなかった。
「中東戦争に石油を武器に」と唱えるアラブ石油輸出国機構(OAPEC)がその閣僚会議で、イスラエル支援国に対する制裁を打ち出したのだ。
親アラブの「友好国」にはこれまで通り石油を供給するが、イスラエル支援する「反アラブ」、またはその中間でも「非友好国」と判断し石油の供給を絞り込む措置を決めたのだった。
この決定で日本は凍りついた。
政界、官界はもちろん経済界は混乱を極めた。
日本はどっちだ。
友好国に入れば、間一髪で命脈を保つ。
しかし、仮に反アラブと見なされれば……。
日本経済は間違いなく致命的なダメージを受ける。
反アラブか友好国か、それとも非友好なのか。
情勢を見極めようと角栄もあらゆるルートから情報収集を試みる。が、簡単ではなかった。
1973年7月に角栄が設立した資源エネルギー庁はフル稼働、世界情勢を刻々と伝えてきたが、それだけでは十分ではなかった。
時間とともに事態は悪化の一途をたどる。
10月末、エクソンなど国際石油資本(メジャー)が日本に対して原油の供給量の削減を通告してきたころには、一部地域はパニックといっていい状況に陥っていた。
銀座のネオンは消え、スーパーマーケットにはトイレットペーパーを求め長蛇の列ができた。
「このままだと日本はまずい」。
ヒリヒリするような角栄の緊張感が秘書官の小長啓一に伝わってきた。
そんな時だ。
中東からの帰途、米国務長官、キッシンジャーが日本にやってくる。
11月15日。
午前11時から行われた角栄との会談ではまさに「息が詰まるようなギリギリのやり取り」だった。
「国務長官ご就任おめでとうございます」。
和やかだったのは冒頭だけ。
キッシンジャーはすぐに切り込んできた。
「米国と一緒にイスラエルの味方をしてくれとまでは言わない。ただ、アラブの友好国となりアラブの味方をするのはやめて欲しい」
しかし、角栄がひるむことはなかった。
そしてピシャリ。
「日本は石油資源の99%を輸入、その80%を中東から輸入している。もし輸入がストップしたらそれを米国が肩代わりをしてくれますか」――。
キッシンジャーが一瞬黙る。
すかさず角栄が「そうでしょう」。
そのうえで畳みかけた。
「アラブにある程度、歩み寄った対応をせざるを得ない、日本の立場を説明するためアラブ主要国に特使を派遣する準備を進めている」。
日本はこれまで通り同盟国である米国との友好関係を維持しながら、石油資源については独自の外交を展開せざるを得ないことを毅然として説明したのだった。
11月22日。
角栄の言葉は現実のものとなる。
閣議で石油危機を打開するため中東政策を転換することを了承したのだ。
武力による領土の獲得や占領を許さないこと、1967年戦争の全占領地からイスラエルが兵力を撤退させることなどを官房長官、二階堂進の談話としてアラブ支持を明確に発表したのだった。
12月10日、今度は副総理の三木武夫を中東八カ国に差し向けた。
いわゆる「油乞い外交」。
経済協力という切り札も切ったが、何よりも「国際紛争の武力による解決を容認しないというのが日本外交の基本的態度」という姿勢が中東諸国の共感を呼んだ。
そして運命の12月25日、クリスマス。
ついに朗報が舞い込む。
OAPECが日本を「友好国」と認めたのだった。
日本に必要量の石油が供給されることが決まり危機は去った。
ここでもまた角栄の舞台回しが国難を救ったのだった。
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「その油、米国が回してくれるのか」(田中角栄のふろしき)小長秘書官の証言
日経新聞 2018年4月30日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29918350X20C18A4X12000/
ガソリン価格問題。
円安も背景に、割高な状況が続いています。
ご存じ、円安のデメリット。
円安の場合、今まで買えた石油価格分の量が買えなくなってしまうのが円安です。
円安で海外からの石油の購買力は落ち、割高なガソリン代に転換していきます。
円安はガソリンだけではなく、食料品や生活必需品、その他輸入や各種メーカーの部品調達に至るまで非常に多くのデメリットがあります。
昨今、次々と生活必需品も値上がりニュースが後を絶ちません。
そして、円安デメリットは輸入ばかりではありません。
円安が進行すればするほど、日本の動産や不動産に至るまで、海外資本に買いたたかれてしまう危険性すら拡大していきます。
動産でいえば、例えば株式。
日本企業も割安となり、私たちが働いている企業や職場に至るまで、海外資本に買収されてしまうリスクは高まります。
そして、日本の不動産、土地などの買収。
円安になればなるほど海外資本は、安価な日本の土地が購入しやすくなります。
今、不動産としてだけではなく、「証券化」して外資資本が東京や大阪などの一等地を買収する形態が増加しています。
不動産を「証券化」することで一括で高額な土地を買収する負担を分散させ、徐々にその比率を高めていくことも可能です。
また、投資ファンドが証券化不動産を購入することで、本来買い占めている投資家の名が表面化しづらく、本来の買収元を見えづらくして買収を進めやすくなるという背景もあります。
動産・不動産買収リスクだけではありません。
その他、アニメやゲーム、エンタメなどの著作権や版権なども安易に海外資本が買収するというリスクが増加していきます。
さらに、日本人の賃金がさらに割安となれば、外資資本が日本人を安価に労働させることができる、というリスクまで生じかねません。
悪い円安。
今や、日本のメーカーの多くは海外の現地生産体制を進めている背景から、円安メリットはかなり薄くなっているのが実情です。
円安の悪影響として最も表面化しているのが、やはり冒頭のガソリン価格問題ではないでしょうか。
もともと石油は、資源が少ない日本の旧来からの大きな課題の一つです。
日本に届く石油のほぼすべては、米英中心に形成している石油メジャー経由で日本に輸入されています。
石油メジャー(エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェル、BP社、シェブロン等)は、世界各地の巨大石油油田の多くを管理コントロールしていると言われています。
過去、日本が大東亜戦争に突入していったのも、石油メジャーから石油の輸入を停止させられたことも一因だと言われています。
戦後においても、2度の石油ショックが日本に多くの悪影響を与えています。
産業のみならず、国民の生活にまで多くの苦難をもたらしました。
第二次世界大戦、そして石油ショック。
石油・エネルギー問題は、過去のみならず、今も大きな課題ではないでしょうか。
昨今、コロナ渦による経済不況下。
日本は、資源問題に過去、非常に多くの辛酸を嘗める経験があったという事実を、改めて鑑みる時期かもしれません。
そして、多くの政治家が、資源問題やエネルギー問題と戦ってきた歴史があります。
私たちは、その過去の歩みを忘れてはならないのではないでしょうか。
なぜ、日本は戦争に突入していったのか。
なぜ、2度の石油ショックは起きたのか。
なぜ、石油と戦争が大きな関わりがあったのか。
ただ、単なるガソリンの出費が増えるなあ、と呑気に考えてしまうのは危険かもしれません。
私たちの生活と、国際政治は密接につながっています。
外圧に対する日本の政治家の対応如何では、日本国民の財産や健康、生命に至るまでリスクを負いかねません。
過去を知る。
歴史に学ぶ。
日本の国益と私たちの生活、そして、私たちの子どもたちの未来のために、今、私達にできることは何なのでしょうか。
《参考》
■『田中角栄の資源戦争』
アメリカの傘下を離れ、世界の資源国と直接交渉する大胆な「資源外交」
アメリカや欧州の覇権、石油メジャーやウラン・カルテルの壁を突き破ろうとした角栄
著者:山岡淳一郎
出版社:草思社
発売日:2013年04月02日
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■【冤罪 田中角栄とロッキード事件の真相】米国の敏腕弁護士は言った「この事件には陰謀が絡まっている。底が深すぎるし、奇々怪々だ」
産経新聞 2016/7/25
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