【株価と実体経済が連動しない】大恐慌並みの景気悪化なのに、なぜ「株価上昇」なのか?~国際金融資本が動かす株価指数~


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■大恐慌並みの景気悪化なのに「株価上昇」のなぜ

~株価と実体経済が連動しなくなってきた~

東洋経済(The New York Times:ニューヨークダイムズ)2020/05/13

https://toyokeizai.net/articles/-/349929

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巨大テック企業が動かす株価指数

「ウォール街は普通の人々が生きる世界とはほとんど関係がなく、その傾向は一段と強まっている」と、ロンドンを拠点とするリベラム・キャピタルの市場アナリスト、ヨアヒム・クレメント氏は言う。

それでも市場は集団の想像力を支配し続けている。

政治家から企業経営者、個人投資家にいたるまで、アメリカ人は長い間、半ば歴史的な理由から株価とアメリカ経済を同列視してきた。

市場の頂点は明るい日が続くことを示唆し、谷は暗い見通しを示唆する。

しかし、現在の経済の落ち込みは、市場の論理と現実世界との間に一貫したつながりがあるという幻想を打ち砕く可能性がある。

株価と実体経済が乖離する理由の1つは、株式市場の構造、つまりS&P500を構成する大企業が国内の小型零細企業などとはまったく異なる状況下で事業を展開しているという現実にある。

S&P500を構成する大企業は高収益であり、多額の現金を保有し、債券市場から定期的に資金調達できる立場にある。

また、こうした大企業は典型的なアメリカの同族会社よりもはるかに国際的だ(S&P500企業の海外売上高比率は約40%に達する)。

オハイオ州立大学のルネ・ストゥルツ教授(金融論)によれば、2015年時点で20人以上の従業員を抱えるアメリカ企業は約60万社あったが、うち上場していたのは3600社、つまり1%未満だった。

同教授は上場企業の構成変化を研究している。

大企業は財務が強く景気後退にも耐えられる可能性が高いため、株価も経済崩壊の影響を受けにくい。

実際、S&P500のような株価指数は、大型優良銘柄の組み入れ比率が高い。

ここ数週間、こうした優良銘柄の株価はアメリカの経済見通しとは逆方向に動いただけでなく、市場全体とは違う動きを見せた。

5社の時価総額はS&Pの2割に

マイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、フェイスブックという5大上場企業の株価は今年も上昇を続けており、投資家は、コロナ後にはこれら巨大企業の支配力がさらに強まるとみている。

ゴールドマン・サックスの分析によると、これら5社の株価が4月末までに約10%上昇する一方で、S&P500の残り495社の株価は13%下落した。

マイクロソフト、アマゾン、アップルの時価総額は1兆ドルを超えるが、これら大型株の時価総額は現在、S&P500全体の5分の1と、その割合は過去30年で最も高くなっている。

「S&P500は好調だが、株高を牽引しているのは一握りの企業で、こうした企業群はコロナが逆風になるどころか、むしろ追い風になっている。実に紛らわしい状況だ」とストゥルツ教授は話す。

市場心理も、必ずしも幅広い層のアメリカ人の感情を反映しているわけではない。

米国では半数以上の世帯が株式や投資信託を保有しているが、証券口座の圧倒的多数は比較的小規模だ。

むしろ株式の保有は、景気後退の痛みを最も感じにくい富裕層に大きく偏っている。

「中産階級の株式保有率はかなり低い」と、ニューヨーク大学の経済学者で、アメリカの世帯純資産を研究するエド・ウルフ教授は話す。

教授によれば、「株式市場の変動は、中産階級の世帯純資産にはあまり影響を与えない」。

事実、アメリカでは個人所有の株式の大部分が、ごく一握りの富裕層の手にある。

FRBが発表した最新のデータをウルフ教授が分析した結果、上位10%の富裕層が時価ベースで世帯所有の株式の約84%を保有していた。

上位1%が所有する株式の割合は40%に上る。

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大恐慌並みの景気悪化なのに「株価上昇」のなぜ

~株価と実体経済が連動しなくなってきた~

東洋経済(The New York Times:ニューヨークダイムズ)2020/05/13

https://toyokeizai.net/articles/-/349929

本日は3つの記事をご紹介いたします。

2つ目はこちらです。

■富裕層がさらに裕福に

コロナで拡大する経済格差

フォーブスジャパン(2020/09/05)

https://forbesjapan.com/articles/detail/36844

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グーグルやアップル、アマゾン、マイクロソフト、ズーム、フェイスブック、ネットフリックスなど一部の巨大ネット企業の事業は悪影響を受けなかった一方で、「必須ではない」とみなされた事業は営業停止や大幅な規模縮小を余儀なくされた。

その影響として、数千万人の米国人が失業手当を申請し、JCペニーやハーツ、ニーマン・マーカス、ピアワン、ブルックス・ブラザーズ、Jクルーなどの大企業が破産保護を申請した。

「勝ち組」企業の最高経営責任者(CEO)や役員、大株主がさらに大金を手にした一方、大半の家庭は経済難を乗り切るための3カ月分の蓄えすらない。

家賃や住宅ローンの支払いができず、立ち退きの危機に直面している人もいると報じられている。

失業中の数百万人の米国人が職探しする中で、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOの純資産は7月20日、130億ドル(約1兆3800億円)増加した。

ブルームバーグによると、これは個人純資産額の1日での増加幅として史上最高記録だ。

英紙ガーディアンによると、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、ウォーレン・バゲット、ラリー・エリソンの富豪5人は、新型ウイルスが猛威を振るった3月18日から6月17日の間に、保有資産を合計1017億ドル(約10兆8000億円)増加させた。

テスラ共同創業者のイーロン・マスクの保有資産額は今年3倍以上に膨れ上がり、その額は現在890億ドル(約9兆4600億円)余りだ。

英ロイター通信によると、マスクは7月、テスラ株の上昇を受け、史上最大の21億ドル(約2200億円)相当の報酬を手にする権利を得た。

これは5月以降2回目の巨額報酬だ。

富を得て億万長者になることは素晴らしいことであり、まさにアメリカ的な生き方だ。

米国は、ゼロから這い上がったり、他の国から移住してきたりして大きな成功を収められる数少ない国の一つだ。

ベゾスやマスク、グーグルやアップルの創業者といったテック業界の大物らは、消費者の利益になるサービスや商品を提供し、私たちの生活をより楽にしてくれている。

問題なのは資産そのものではない。

少人数が多大な富や権力、政治的コネ、支配権を握っている一方で、多くの人がギリギリのところで生活を送っていることだ。

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■富裕層がさらに裕福に
コロナで拡大する経済格差
フォーブスジャパン(2020/09/05)
https://forbesjapan.com/articles/detail/36844

そして最後の3つ目の記事はこちらです。

■コロナと資本主義 配分のゆがみ正す機会に

毎日新聞(2020年5月4日)

https://mainichi.jp/articles/20200504/ddm/005/070/026000c

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格差の是正も喫緊の課題だ。

コロナ禍で経済の停滞が長期化すれば、中小零細企業や非正規雇用の労働者が受ける打撃は大きい。

貧困層が増えれば消費が低迷し、経済の基盤が弱まる。

一方で、人の往来やモノの流通が減り、デジタルの活用がますます進むだろう。

巨大IT企業の寡占が強まり、一部の企業や富裕層に富が集中する傾向に拍車がかかりかねない。

そうなれば、デジタル化から置き去りにされた企業や人々の「分け前」はさらに減る。

経営者は、利益の配分について熟考する時だ。

コロナ禍でも、医療や小売り、物流が社会を支えている。

こうした現場で働く人が安心して暮らせる経済こそ必要だ。

中間層が厚みを増せば、社会も安定する。

米フォード・モーターを創業し、大量生産で資本主義に革新をもたらしたヘンリー・フォードは、1世紀前の著書で「資本の最高の使い方は、利益を増やすことではなく、利益を増やして生活の向上に役立てることだ」と記した。

投資家には、短期の利益だけでなく、企業の社会的役割などを十分に考慮してもらいたい。

問われる政府の役割

政府の役割も問われよう。

所得の再分配機能や、社会保障などのセーフティーネットが十分かどうかの検証が必要だ。

産業構造の変化に対応した人材の育成や、労働市場の構築も急がねばならない。

確かに今は、政府が前面に出て、企業や家庭を支える局面だ。

しかし、国が経済を丸抱えする国家資本主義の様相を強めれば、副作用も大きい。

リーマン・ショック後の世界は、政府・中央銀行の金融緩和や財政出動への依存を強め、金余りが次のバブルを生み出しかねない危うさを抱えていた。

現に中国は、巨額の財政出動でいち早く景気回復を成し遂げたが、過剰投資を招いて結果的に成長を鈍化させた。

過剰な政策で無理やり底上げするような経済は、持続可能とは言えない。

国の借金が臨界点を超えれば、長期金利が上昇して経済を動揺させる。

一方で政府は、国境を超えて活動する巨大IT企業に対しては、課税も十分にできない状態だ。

グローバル資本は、データの使い方や資金の取引に関する政府の介入を嫌いつつ、政府の資金に頼って市場を安定化させている。

公正さを欠いているのではないか。

世界経済は、感染症だけでなく、地震や異常気象など多くの不確実性に囲まれている。

政府や企業は資本主義のゆがみを正し、経済の持続性を高める方向にかじを切る必要がある。

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コロナと資本主義 配分のゆがみ正す機会に
毎日新聞(2020年5月4日)
https://mainichi.jp/articles/20200504/ddm/005/070/026000c

コロナショック。

一番大きな被害を受けているのが、貧困層。

多くの方がコロナ以降の所得が減少しているのではないでしょうか。

このような世界金融恐慌にも近い状況の中、不思議なのが世界各地の「金融市場」です。

アメリカの株式市場もそうですし、日本の株式市場も、企業業績悪化が相次ぐ中、なぜか株価が上昇しています。

なぜ、実経済と、金融市場が連動しないのでしょうか。

その大きな理由の一つが、米英を中心とした国際金融資本だと言われています。

例えば、巨大IT企業、そしてその経営者たち。

マイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、フェイスブック、そして最近ではズーム、ネットフリックスなどの企業も「コロナ渦」で業績を伸ばし、経営陣の資産を増やしています。

テスラ共同創業者のイーロン・マスクは、「コロナ鍋」でアマゾン創業者ジェフ・ベゾフを抜いて世界一の富豪にもなっています。

世界富豪第3位は、マイクロソフト創業者で、コロナワクチン開発でも大きな影響力を持つビル・ゲイツ氏です。

そして、ファイザーやアストラゼネカなど、ワクチン開発を行っているビッグファーマ(多国籍巨大製薬企業)。

さらに、ウォーレンバフェットのような世界経済に影響力を持つ投資家たちや多国籍石油資本など。

このようなごく一部の「超富裕層」「巨大多国籍企業」が、今や世界の国際金融において、非常に大きな影響力を持っていると言われています。

米英を中心とした国際金融資本は、ウォール街や旧来大手証券会社・大手銀行、各ファンドを巻き込みながら、各国の政府への強力なロビー活動も実施していると言われています。

もちろん、日本の政治・経済にも多大な影響力がある、とも言われています。

世界を取り巻くコロナ不況の中、不可思議な証券市場の動き。

実経済から離れ、ある意味、一部の超富裕層による「思惑」で左右されるというリスクも考えられるのではないでしょうか。

米国株式市場の動きは、日本の株式市場にも大きな影響があります。

株式市場だけではありません。

アメリカ国債の動向は、それを支えている日本の各資本・資産にも、多大な影響があるはずです。

需要と供給が自然に調節されると考えた「見えざる手」。

アダム・スミスの『国富論』に現れる、その言葉は、今やすでに、その機能はない、と言える時代なのかもしれません。

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