猫と一言でいっても、様々な種類の毛色や柄がありますが、皆さんが一度は必ず見たことがある猫は、キジトラではないでしょうか。
一見、何の変哲もない雑種猫に思えるかもしれませんが、何を隠そうキジトラは猫のルーツと言われているのです。
まさに、ねこの中のねこ!
今回はキジトラ猫についてお伝えします!
キジトラはこげ茶色ベースの被毛に、黒の縞模様が入っています。
名前の由来は、鳥のキジに似ていることからそう呼ばれるようになりました。
鳥のキジ(メス)とネコ科の動物の虎が混ざったような模様をしています。
柄の名称になるわけですが、日本ではキジトラ、英語だとブラウンマッカレルタビーです。
「マッカレル」とは魚のサバ、と言う意味で、確かにサバの縞模様に似ています。
額に「M」のような柄が入り、頰から目尻にかけては「クレオパトラライン」と呼ばれる何とも優雅な直線が入っている事が多いです。
顔や胴体、そしてしっぽの先まで茶色のベースに黒い縞模様が入っているキジトラですが、口元だけ白いのも特徴です。
色素の薄い白猫は肉球がピンク色をしていたりしますが、キジトラはメラニン色素が多いので、肉球は茶色か黒が多く、目はゴールド系の色が多いようです。
キジトラに限らず生後20日位までの子猫は、「キトンブルー」と言ってブルーの目をしていますが、成長と共に変化していきます。
キジトラの鼻の色は、くすんだピンク色が一般的のようです。
子猫の頃は黒いのに、成長と共に色が変わる事もあるようです。
被毛に白が混じったキジシロでは、鼻がピンク色になる事も。
全身に柄がある子は、黒い肉球をしている事がほとんどです。
キジシロではピンクの肉球、もしくは黒とピンクの混合の場合があります。
キジトラの毛色・模様はすべてのイエネコの原型で「野生型」と呼ばれており、猫にとっての保護色(外敵から身を守ったり獲物を待ち伏せるために周囲から目立たなくする体色や模様のこと)となる毛柄です。
見るからに、元祖!ねこ!なので、トラ柄模様の猫好きさんにはたまりませんね。
サバトラは灰色地に縞模様、茶トラは茶色地に縞模様が入っています。
キジトラから派生して、黒猫や白猫、サバトラや茶トラ、サビ猫やハチワレなどが誕生しました。
猫には猫種としての名称だけでなく、「キジトラ」や「サバトラ」「ハチワレ」のように模様の呼び名があります。
こちらはかなり細かく分けられており、キジトラに白い色が混ざっていると「キジシロ」なんて呼んだりもします。
猫は私たちにとって非常に身近な存在ですが、猫が日本にやってきたのは1300年前の奈良時代まで遡ります。
当時、中国からは貴重な文献や書物が日本へ輸入されていたのですが、そうした大事な書物を食べてしまうネズミを駆除する目的で、猫も一緒に輸入されたのです。
当時の猫はペットと言うよりも、人の生活に利益をもたらす益獣(動物)として活躍していたのですね。
この時代に輸入された猫というのが、リビアヤマネコであるといわれています。
リビアヤマネコの柄はキジトラしかありませんでしたが、後にキジトラ猫のバリエーションは増えていき、キジトラ、キジトラ白、黒×白、キジトラ黒などが誕生します。
現代の日本においてキジトラ模様の猫が多いのは、こうした経緯があったのです。
私たちの身近にいる猫は正式にはイエネコと呼ばれますが、大昔、野生の猫として暮らしていたイエネコの祖先にはキジトラ柄の個体しかいませんでした。
つまり、キジトラはすべての猫(イエネコ)のルーツとなる毛色・模様なのです。
その理由のひとつとして、現存するヤマネコやイエネコのDNAを解析して行われたある調査によると、イエネコの祖先はアフリカ北部や中近東などに生息しているヤマネコの亜種「リビアヤマネコ」である可能性が高いと考えられ、リビアヤマネコやその仲間であるヤマネコもまた、キジトラと同じような柄をしています。
一方、古代エジプトでは、猫が宗教的な儀式や習慣によりミイラ化して埋葬されており、紀元前4千年ほど前に埋葬された猫のミイラを調査したところ、いずれもイエネコの祖先であるリビアヤマネコと同じような模様をしたヤマネコであったことが判明。
こうしたことから、大昔の猫はほとんどキジトラ柄であったと考えられています。
最初は警戒心強く、中々近づいて来ませんが、一度心を許すと豹変!?デレデレとした甘えん坊猫になります。
猫のルーツとも言えるキジトラ柄の猫は、もともと野生で暮らしていたことから、現在でも性格的にその時の名残を思わせる行動が多いと言われています。
野生性を色濃く残しているとされており、猫の中でも比較的、警戒心が強いと言われています。
その警戒心の強さからか、電話やチャイムの音にびっくりしたり、見知らぬ人には自分から近づかなかったりと、少々臆病な一面もあります。
更に、抱っこがあまり好きではなかったり、過度なスキンシップは好まない場合もあるようです。
例えば縄張り意識が強く、飼い主以外の人間に対しては用心深くて警戒心が強いといった傾向が見られるほか、運動能力が高くて遊び方もワイルドであるといった具合です。
その一方で、飼い主など心を許した人にはとても甘えん坊で、無防備になってしまうとも言われますが、それはキジトラに限った性格ではないような気がしますよね。
野性的な行動が見られやすい反面、仲良くなった時の落差が魅力的な性格であると言えそうです。
同じキジトラでも性格は様々です。
祖先であるリビアヤマネコと遺伝子の構造が近いこともあり、野性的な性格をしていると言われるキジトラですが、個体によって性格の違いはあっても、野生の名残からかやんちゃで元気いっぱいの子が多いようです。
逆を言えば、白は野生では目立ち過ぎてしまって敵にも狙われやすいので、白い色味の入った猫は、人に飼われるようになってから増えていったと言われており、白い色味が多い程「非野性的」な性格をしているようです。
キジトラに限らず、猫は大変綺麗好きで賢い生き物です。
猫を飼う前に、まずは猫を知りましょう。
すでに猫を飼っている友人に質問したり、自分で調べたりする事は助けになります。
飼いやすいかどうかは、飼い主さん自身の努力にかかっています。
猫は散歩の必要もなく、比較的飼いやすい生き物と言えますが、相手は生き物で、家族になるのです。
かわいいから、ただ飼ってみたいから、流行っているから、など、その時だけの感情で安易な選択をせず、よく考えて決定しましょう。
キジトラは、警戒心が強い子やシャイな子が多い傾向にあるようです。
成猫からお家に迎え入れる際には、飼い主さんの方からしつこくベタベタせずに、猫の方から心を許して寄ってくるまで気長に待ってみましょう。
兄弟や親子の場合以外、多頭飼いをする時は対面時に注意するようにして下さい。
キジトラは野生の名残から警戒心が強く、単独行動を好みますので、他の猫に対しても人間と同様に警戒してしまう場合があります。時には攻撃的になる事も…。
神経質な一面もあり、他の猫達がいる環境では落ち着いて食事も出来ないという場合もありますので、ストレスを溜めさせない為にも、多頭飼いする際には慎重に対面させてあげて下さいね。
現代では、病気や怪我の予防の面から、キジトラに限らず猫は完全室内飼いをすることが好ましいです。
しかし、キジトラは野生の血が強いため運動量も多く、室内の限られたスペースでは運動不足でストレスが溜まってしまう可能性があります。
ストレスを感じると大きな声で鳴く子も少なくないようです。
キジトラを自宅で飼う場合には、ハンター精神をくすぐるような玩具や遊び、そしてキャットタワーを用意してあげるといいでしょう。
メスは「おてんば」、オスは「やんちゃ」、そんなワイルドな一面を持つキジトラがワイルドに遊べるような空間を作ってあげて下さいね!
先住猫がいる場合にはゆっくりと焦らず、慣らしていきましょう。
初めはキジトラを隔離しておき、先住猫が興味を持ち出したら会わせるようにすると良いでしょう。
猫のために必ずしも高い買い物をする必要はありません。
段ボールや、ケーキの箱の紐、ビニール袋や新聞紙を丸めたものなど、家にあるものを使っておもちゃを作ったり、一緒に遊ぶことが出来ます。
家具の配置を階段式になるよう工夫してキャットウォークの代わりにしにしたり、高いタンスの上に肌触りの良い小さなクッションやブランケットを置いたら、そこは猫にとってはお気に入りスペースになるかもしれませんよ。