猫がスキンシップの際に飼い主さんの指を軽く噛んでくる「甘噛み」。
猫を飼っていると、じゃれつくように手や指を甘噛みする行動が見られるときがあります。
その姿はとてもかわいいものですが、猫のしたいまま噛み放題にさせておくと、いつしか問題行動にエスカレート……ということになりかねません。
猫が甘噛みする5つの理由!
飼い主さんが戸惑う猫の行動として、甘噛みがあります。
スキンシップの際に飼い主さんの指を軽く噛んだりするのは、母猫に甘えるような気持ちからくる行動で、愛情表現の一つといえます。
しかし、甘噛みがエスカレートして「噛み癖」になってしまわないように早めに対処しましょう。
猫が甘噛みをする理由として、以下が挙げられます。
猫が甘噛みする理由1:愛情表現
スキンシップとしての猫の甘噛みは、親子や兄弟間でよく見られる行動です。
飼い猫の場合でも、母親のように自分を世話する飼い主への愛情表現として、甘噛みをすることがあります。
飼い主に気持ちいいところを撫でられた猫が、お返しに甘噛みするといった行動も、猫なりの愛情表現です。
また、お腹が空いているときや遊んで欲しいときにも、飼い主を軽く噛んで甘えてみせることがあります。
子猫が甘噛みするのは、母猫に甘える愛情表現のひとつでもあります。
おっぱいを吸う「吸い付き行動」の延長として甘噛みが現れることがあります。
離乳が早すぎると、このような甘噛みが増える傾向が見られます。
愛情表現とはいえ、あまり強く噛みすぎる場合には「痛い!」と声を出して力加減を教えましょう。
甘えたいときや遊んでほしいときなど、親子間や兄弟間で甘噛みをする光景は珍しくありません。
そして、そのような気持ちから、飼い主さんに対しても甘噛みをすることあるといわれています。
飼い主さんに撫でられて気持ちよくなり、お返しのつもりで甘噛みすることも。
日頃の遊びが足らず、ストレスが溜まっている可能性もあります。
相手をしてほしいという気持ちから、飼い主さんの手を噛むことがあります。
意識的に遊ぶ時間を増やしたり、かまってあげたりすることで、精神的に安定し、甘噛みの回数も減っていきます。
猫が甘噛みする理由2:狩猟本能
理由の二つ目は、狩猟本能による捕食行動です。
猫はもともと狩猟本能が色濃く残っている動物です。
しかし飼い猫の場合は、外で獲物を狙ったり、捕食したりする必要がありません。
よって狩りの代わりにエネルギーを発散すべく、人間の手足が動く様子に反応してじゃれついたり、甘噛みしたりすることがあります。
猫の反応が面白いからといって手足を甘噛みさせていると、「飼い主の手足=遊んでもいいおもちゃ」と認識し、嚙み癖がついてしてしまう恐れがあります。
動く人間の足などに噛みついてくるようなときは、本来は狩りに使うはずだったエネルギーが有り余っている状態です。
猫じゃらしやおもちゃを使って遊ぶなど、上手に発散させてあげましょう。
遊びたい盛りの子猫は、狩猟本能を発揮して、とにかく何にでもじゃれつきます。
かわいいのでつい手や指でかまってしまいがちですが、素手にじゃれつくのに慣れてしまうと、「人間の手はおもちゃだから噛んでもいい」と認識するようになってしまいます。
遊ぶときは素手ではなく、おもちゃを使うようにします。
猫同士でじゃれているときには、子猫は「もっと遊ぼうよ!」という挑発のために甘噛みをしてきます。
強く噛みすぎると兄弟猫や母猫から怒られるので、徐々に力加減を覚えていくようになるのです。
でも、早いうちに母猫や兄弟猫から放されて育った猫の場合、飼い主が代わりに力加減を教えなくてはなりません。
手足に強く噛みついてきたときには、少し大げさなくらい「痛い!」と声を出してみましょう。
強く噛みすぎてしまったと理解して、力加減を学んでいくようになります。
噛みつかれたとき、手を引っ込めるのは逆効果です。
猫の狩猟本能をかき立ててしまいます。
キバが食い込んでしまうのでケガにもつながります。
噛みつかれたときは手を引っ込めるのではなく、逆に猫の口の中に押し込むようにします。
そうすると猫自身も苦しいので噛むのをやめてくれます。
「噛むと苦しいことが起きる」と覚えれば、噛み癖は次第に減っていきます。
ただし、あまり口の奥まで突っ込んで、猫にケガをさせないように気をつけましょう。
猫が甘噛みする理由3:歯がムズムズする
猫の甘噛みは生後2~3ヶ月頃から見られるようになります。
これは、ちょうど新しい歯が生えてくる時期です。
歯茎がむずがゆくなって、身近なものをガジガジと噛んで歯固めをしようとします。
猫は生後2週間ほどで乳歯が生えてきます。
乳歯は6週間前後で生えそろいますが、成長するにつれて1本、2本と抜け落ち、代わりに永久歯が生えてくるようになります。
永久歯への生え変わりは、早い場合で生後3カ月から始まります。
そして生後6~7カ月にかけて生えそろいます。
永久歯への生え変わりの時期になると、子猫は歯や歯茎がムズムズ痒いのが気になり、何かを噛みたくて仕方ない状態になります。
子猫の成長には欠かせない時期となりますので、飼い主の手指の代わりに噛んでもよいおもちゃを与えるようにしましょう。
順調な成長のしるしですが、飼い主の手で歯固めされるのは困りもの。
この場合は、噛んでも問題のないおもちゃを与えるようにしましょう。
猫が甘噛みする理由4:発情期のオスの本能
発情期のオスも甘噛みをします。
これは、メス猫の首を噛んで抑えようとする「ネックグリップ」と呼ばれる行動で、オス猫の本能です。
オス猫は交尾の際に、メス猫の首を噛んで動きを止めようとする「ネックグリップ」と呼ばれる行動を取ります。
「ネックグリップ」とは、交尾のときにオス猫がメス猫の首を軽く噛んで動きを止める行動のこと。
発情期になると、メス猫以外にも飼い主さんの手や家具などに噛み付くこともあります。
これは本能的な行動なので止めさせることはできませんが、去勢手術をすればほとんど見られなくなります。
いずれの場合も、甘噛みをやめさせたいからといって厳しく叱ったり、叩いたりすることは絶対に止めましょう。
噛まれたら無視をしたり、その場を離れたりなどして、「噛んでも飼い主の気を引くことができない」「噛むと遊びが急に終わる」と教えましょう。
また猫が嫌がる音を立てるなどして、「噛むといやなことが起こる」と意識づける方法も有効です。
去勢したオス猫でも、飼い主さんと遊んでいるときなどに気持ちが高ぶると、そのような意味合いで甘噛みしてしまうことがあるようです。
猫が甘噛みする理由5:やめてほしい
撫でている最中の甘噛みでも、撫で方や触られている場所に不満があって噛む場合もあります。
これは「嫌だ、やめてほしい」といった気持ちを表す攻撃行動にあたるもので、愛情表現とは別モノです。
どこを撫でられるのが好きかは個体差があり、また猫の気分や体調によって変わるものでもあります。
猫がストレスを感じているサインとして甘噛みをするときは、一旦撫でるのをやめて様子を見るようにしましょう。
甘噛みは愛情表現だけでなく、不満を表すときにも現れる行為です。
なでられて喜んでいた猫が急に噛みついてくるのはよくあること。
これは、愛撫誘発性攻撃行動(Petting-induced aggression)と呼ばれています。
「なでる時間が長すぎる」「なで方が気に入らない」「さわられたくない場所をなでられた」と感じたときに、突然甘噛みをします。
なでているうちに耳をふせて「イカ耳」になっていたり、瞳孔が開いてきたりしたらイライラのサイン。
気まぐれな猫に合わせるのは大変ですが、なでているときに噛まれないようにするには猫の気分を察するしかなさそうです。
猫に甘噛みをやめさせる方法はある?効果的なしつけ方とは?
遊び時間を増やす
1日に数回、10分程度遊んであげるようにしてみてください。
長時間遊ぶよりも、遊ぶ回数を増やしてあげたほうが猫は満足しやすい傾向があります。
そうすることで狩猟本能が満たされ、甘噛みも減るでしょう。
噛んでもよいおもちゃを与える
生後3~7カ月頃までの永久歯への生え変わり期は、歯が痒くどうしても甘噛みせずにはいられない時期です。
飼い主の手指を噛むことが癖にならないよう、代わりに猫用のおもちゃを与えて噛ませるようにしましょう。
無視する
叱ると本能を刺激してしまい、かえって攻撃的になることがあります。
また、かまって欲しいアピールの場合は、甘噛みされて飼い主さんが叱ったとしても「相手をしてくれた!」と勘違いしてしまうことも。
無視してもエスカレートするようなら、その場から離れて興奮を抑えるようにしましょう。
別の部屋に移動するのも効果的です。
猫に「噛んだら飼い主さんがいなくなり、遊んでもらえなくなる」と学ばせることができるでしょう。
噛まれても手を引かない
噛まれた指を猫の口の中に軽く押し込む方法です。
興奮状態の猫に強い力で噛みつかれたときでも、手を引かずにそのまま口の奥の中に入れるように、軽く押し込みます。
手を引いてしまうと狩りごっこをしている猫は「獲物が逃げる」という感覚になりヒートアップする可能性があるためです。
軽く押し込むことで、猫が我に返り離してくれたら成功です。
この方法は力加減を間違えると痛みを伴うこともあるため、やる際は注意が必要です。
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