長くて立派な口ひげと、愛嬌たっぷりの眉毛がチャームポイントのミニチュア・シュナウザー。
思慮深い老人を思わせる風貌ですが、明るく好奇心旺盛で、遊ぶのが大好きな親しみやすい性格です。
また、番犬として活躍していた歴史をもち、とても勇敢で力強く、飼い主さんに従順です。
ミニチュア・シュナウザーの歴史
「シュナウザー」とはドイツ語で「ヒゲ」という意味。
シュナウザーにはジャイアント・スタンダード・ミニチュアと3種類があります。
すべての元になったのはスタンダードシュナウザーで、これを小型化したのがミニチュアシュナウザーです。
スタンダードシュナウザーは14世紀ごろのドイツで作出され、ネズミ駆除や輸送時の家畜の誘導、小さな荷車を引くなど、使役犬として様々な働きを見せました。
スタンダードシュナウザーはその賢さと警戒心の強さ、主人に対する忠実さを買われて、第一次世界大戦ではドイツの軍犬として情報伝達の役割を与えられほどの優秀さでした。
ミニチュアシュナウザーは、スタンダードシュナウザーとアーフェン・ピンシャーを交配して、ドイツのフランクフルトで作出されたとされています。
その後、アメリカにわたってから一層の改良が進み、小型化のためにプードルほかいくつかの犬種も交配されて、現在のミニチュアシュナウザーの形に固定化されました。
このいきさつからアメリカでは長い間、常に人気ランキングの上位に入っていた犬種でした。
原産国ドイツのケネルクラブでミニチュアシュナウザーが成立したのは1899年でしたが、アメリカンケネルクラブでは1933年までスタンダードシュナウザーと同じ犬種として扱われていました。
この頃にはサイズもほぼ固定化されていたようです。
アメリカでも多くの著名人やハリウッドスターにも愛されたミニチュアシュナウザーは、ブルース・リーの愛犬であったことでも知られています。
ミニチュアシュナウザーは、ドイツで生まれてアメリカで育った犬種とも言えましょう。
日本に入ってきたのは戦後、アメリカ軍人が連れていたのが最初と推測されていますが、当時の日本ではトリミング技術が発達していなかったため、家庭犬としては普及に至らなかったようです。
家庭犬として本格的に迎えられるようになったのは高度成長期の1960年くらいになってからでしたが、2000年頃には人気が上昇し、現在では毎年のようにJKCの登録犬種ランキングの上位に入っています。
ミニチュア・シュナウザーの特徴
3つのサイズがあり、それぞれが犬種として公認。
ミニチュア・シュナウザーの体高は30〜35cm。体重はオスメスともに約4〜8kgです。
ちなみに、スタンダード・シュナイザーは体高45〜50cm、体重14〜20kg。
ジャイアント・シュナウザーは体高60〜70cm、体重35〜45kgと、ミニチュア・シュナウザーの倍の体高があります。
プードルやダックスフンドが一つの犬種の中にミニチュアやスタンダードがあるのに対して、シュナウザーは、サイズ別にそれぞれFCI(国際畜犬連盟)の犬種番号を持っています。
一般に大型の犬種を小型化するとマズルが短く細くなり、頭が丸くなるなどの変化が起こりますが、ミニチュア・シュナウザーはスタンダードサイズのほぼ完全な縮小版と言える姿をしています。
真横から見た姿はほぼ正方形であり、俊敏で軽快な動きを可能にしています。
被毛は厳しい気候や自然環境にも耐えうるダブルコートで、季節による換毛がなく伸び続けます。
ミニチュア・シュナウザーの被毛は、固く密着したダブルコートでワイヤーのようにざらざらのトップコートと柔らかいアンダーコートを持っています。
長い口ひげがチャームポイントで、眉毛も長くなります。
日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、被毛の色を、ブラックのアンダーコートで漆黒、ソルト&ペッパー(シルバー)、ブラック&シルバー、ホワイトのアンダーコートで純白の4色を標準としています。
・ブラック(オーバーコートもアンダーコートも黒)
・ホワイト(オーバーコートもアンダーコートも白)
・ソルト&ペッパー(アンダーコートはグレー)
・ブラック&シルバー(アンダーコートは黒)
これらの他にブラック&タン、ブラック&ホワイト、ホワイト&ブラック、レバーやウイートンなど茶色系の個体も存在しますが、いずれも非公認カラーで、ショーでは重大な欠点となり繁殖不適合と見なされます。
ミニチュア・シュナウザーをはじめ、小動物を狩る他のテリア種は眉毛に口髭を生やした品種が占めています。
猫は爪でネズミを引っ掛けて抑え込みますが、テリアたちは噛みついて振り回す方法をとります。
くわえ方が悪いと反撃を受けることもあるので眉毛や口髭は目、鼻、舌などを守るプロテクターとして役に立つと考えて良いでしょう。
ミニチュアシュナウザーの性格
明るく活発で遊ぶのが大好き。
また、とても親しみやすく、家族に愛情深くて従順なので、よい家庭犬になります。
ほかの犬とも仲よくできます。
多くの小型犬と同様に高い声でよく吠える性質があります。
都市部で飼育するにあたっては、吠えをコントロールできるように子犬の頃からしっかりとしつけることが大切です。
聡明ながらも、好奇心旺盛で遊び好きな性格です。
その一方で警戒心が強く、頑固な面もありますが、家族に対しては愛情深い犬種です。
正しくしつけられたミニチュアシュナウザーであれば、子どもの相手もできるでしょう。
警戒心があるため無駄吠えをすることがありますが、人によく従うため、十分な訓練によるコントロールは可能です。
「ミニチュアシュナウザーは聡明ながらも、好奇心旺盛で遊び好きな性格です。
その一方で警戒心が強い面もありますが、家族に対しては愛情深い犬種です。
好奇心が旺盛な一方、周囲に気を配り、臆病で繊細な面を持ち合わせています。
不安を感じると吠えたりうなったりすることも。
不安を感じさせないためにも、飼い主は常に平常心で接するようにしてあげるといいでしょう。
もちろん運動不足もストレスの原因です。1日2回、30分ずつのお散歩を行ってあげましょう。
ミニチュア・シュナウザーの飼い方、育て方
活発でよく動き、勇敢で警戒心が強く、番犬には最適です。
ときには攻撃的になってしまう子もいますが、従順で飼い主への忠誠心も強いので適切にしつければ吠え癖などの悪癖がつきにくいとされています。
飼い主にまとわりつくような甘え方はしませんが、飼い主を独占しようとする傾向も。
散歩のときは飼い主の前を歩かせない、散歩でさまざまな犬や人とふれ合うようにする、無駄吠えをしても反応しない、といった日常生活を通じて主従関係を築いていくといいでしょう。
かつて農場や牧場でも活躍していた歴史をもち、小さくてもタフで活発です。
毎⽇朝⼣30分程度の散歩を⽋かさないようにし、ときにはドッグランなどで思い切り⾛らせてエネルギーを発散させましょう。
また、ボール投げやゲーム性のある遊びも大好きなので、たくさん遊んであげて。散歩に出られない天候の悪い日などは、おやつを使って新しい遊びのトレーニングをして頭を使わせましょう。
噛ませるタイプのガムやおもちゃなどを与えて発散させるのもよいでしょう。
ミニチュア・シュナウザーは勇敢な番犬気質で、刺激への反応性が高く、吠えやすい性質をもっています。
都市部で飼育するにあたっては、飼い主さんの指示に従って吠えをコントロールし、落ち着かせられるよう、しっかりトレーニングすることが大切。
一度吠え癖がつくと直すのが難しいので、子犬の頃から正しくしつけを行いましょう。
専門家のアドバイスを受けるのも一案です。
また食いしん坊なので、誤食には充分な注意が必要です。
人の食事や食べ物のニオイがついたビニールや串などを誤食すると、中毒を起こしたり、消化管で詰まって命にかかわる危険もあります。
犬の届くところに置かないように注意しましょう。
また、しっかりしつけが済むまでは、留守をするときなどはサークルやケージに入れるなどしてトラブル予防を。
噛むと命にかかわる電気のコード類や噛み傷をつけられたくない家具などには、噛み防止用の塗布剤を塗っておくことも有効です。
さらに、犬が生活する環境中には、つねに噛んでよいおもちゃを用意しておくことも大切です。
ミニチュア・シュナウザーは、剛毛のダブルコート。
下毛は密集し、上毛は硬い毛質です。
抜け毛は少ないですが、毛玉予防のため、毎日ブラッシングしましょう。
また汚れやすい口ひげは、散歩後、食後、水を飲んだあとなど、こまめに拭いて清潔に保ちましょう。
さらに、ミニチュア・シュナウザーのような口が小さい小型犬は口内環境も悪くなりがち。
毎日、歯ブラシを使ってやさしく歯磨きをすることを子犬の頃から習慣化しましょう。
ミニチュア・シュナウザーの気をつけたい病気
ミニチュア・シュナウザーは基本的に健康で頑丈な犬種です。
遺伝的、系統的に出やすい目の疾患等はありますが、好発するほどでもありません。
ただ、ミニチュアシュナウザーは眼病にかかりやすいことで知られています。
高齢になるとかかりやすい白内障ですが、ミニチュアシュナウザーの場合は若年性となるケースがあります。
また、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウムによる尿結石ができやすい傾向があります。
尿石は尿管に詰まると手術が必要となる場合があります。
定期健康診断の時は尿検査もしてもらうようにしましょう。
子犬を求める際にはブリーダーさんから血縁にあたる犬たちの状況を聞いておくと健康管理の参考になります。
体質によるところもありますが、耳の感染症、皮膚アレルギー、糖尿病に罹患することがあります。
これらは普段の健康管理で防ぐことは充分可能です。
病気の予防は普段の観察がものを言います。スキンシップを兼ねて、全身くまなく異常がないかチェックをしておきましょう。
便や尿の状態も常に見ておき、少しでも気になることがあれば早めに受診されることをお勧めします。
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