わんちゃんが泣いている人をなぐさめた!~犬が泣いている人を放って置けないって本当?~

ワンちゃん

悲しいことがあって飼い主さんが泣いているとき、愛犬がそっと寄り添って涙をなめてくれたという経験はありませんか?

また赤ちゃんが泣いていると近寄ってあやそうとする犬の話を聞いたり、目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

 

犬は人の喜怒哀楽がわかる動物だとする人は多いですよね。

「喜」「楽」「寂」「悲」…といった感情を共有できることに特別なつながりを感じることがありますよね。

 

これこそが、犬と人との絆をつくり上げる上で、根幹にあるものなのかもしれません。

 

今回は悲しくて泣いている人を、犬がそばに来て励ましてくれるという、そのワンちゃんの心理についてお伝えいたします。

 

 

 

 

ある「あくび」の研究結果

 

わんちゃんが飼い主を助けたり、慰めたりするといった話はよく聞きます。

泣いていると愛犬が涙をなめた!という話だったり、実際、落ち込んでいると蕎麦に来てくれることも多いですよね。

 

このワンちゃんが人の感情に反応するのかどうかにおける「あくび」の研究がありました。

人間やいくつかの霊長類で観察されているあくびの伝染が、同情や共感の証と考えられているため、相手に対して共感するかどうか検証する方法では「あくびの伝染」という現象がよく利用されています。

犬の場合、「『本当のあくびをする人』と『あくびのマネをする人』を接触させました。

すると、本当のあくびをしているときに伝染が起こりましたが、ただ単に口を開けてあくびのマネをしているときにこの現象は起こらなかったという研究結果があります。

 

また、犬に対して人間があくびをする時の声だけを聞かせ、伝染が起こるかどうかを調査した結果についても、あくびの伝染は起こり、さらに親しい人間のあくびの声を聞いた時の方がより頻繁に起こったことから、同情心が関わっている可能性が示唆された、という研究結果もあるそうです。

 

これら研究から、犬にも共感する能力があるのではないか?と考えられているそうです。

ただ、このような行動は、無意識に他者のしぐさや癖、振る舞いを模倣してしまうカメレオン効果で、共感をしているのとは違うのでは?という考え方もあり、研究の世界でもはっきりとは答えが出ていないようです。

 

 

 

 

ウィーン大学によるわんちゃんの感情反応研究

 

他にもワンちゃんの人への感情反応に関する研究もあります。

 

ウィーン(獣医)大学とオーストリアのクレバー・ドッグ・ラボでは、53組の飼い主と犬(メス犬33頭、オス犬20頭)の協力を得て、感情的な音源と非感情的な音源を犬に聞かせ、それらに対して犬がどう反応し、行動するかを観察したそうです。

感情的な音源には、「人の笑い声」(=ポジティブ感情)や「泣き声」(=ネガティブ感情)、「犬が遊んでいる時の吠え声」(=ポジティブ感情)、「不安や孤独でクンクン鳴く声」(=ネガティブ感情)などが含まれ、非感情的な音源には雨や風の音、女性の感情に左右されない一般的な話し声、鳥の鳴き声、クリケットの音などが含まれました。

 

それらを分析したところ、犬は非感情的な音源よりも感情的な音源に対してより多く反応したそうです。

さらに、ポジティブな感情音源よりもネガティブな感情音源のほうにより反応したという結果でした。

 

特に、他の犬のクンクン鳴く声や、人の泣き声といったネガティブな感情音源に対して多くの反応があったそうです。

 

 

 

 

さらに、ロンドン大学による研究結果でも!

 

 

最近発表された実験においても「犬は私達人間の感じる痛みを理解している」ような結果が出たそうです。

実験からは飼い主ではない人が泣いている時でも、犬は励まそうとすることがわかったといいます。

 

実験はロンドン大学の研究者デボラさんと同僚ジェニファーさんらにより行われました。

実験に参加したのは雑種やラブラドール・レトリーバーなど犬種の違う18匹の犬達。

犬のそれぞれの自宅で飼い主と犬と面識のないジェニファーさんが「話しをする」「鼻歌を(大きな声で)歌う」「泣いている真似」を順番にしてみせるというものでした。

この実験によると18匹中15匹が飼い主、又はジェニファーさんが泣き真似をして見せた時に近寄ってきたそうです。

 

この研究結果から、ジェニファーさんは「泣いている人が家族か他人かに関わらず犬は近寄っていっている。飼い主の要求からではなく、”人の感情”に反応して励まそうとする行動をとっているようだ」と語っています。

 

実験で一番若い犬は8ヶ月になるイエロー・ラブラドール・レトリーバーで自分の尻尾を追うのに夢中だったのにも関わらず、人が泣いているのに気付くと走って側に行き肩に手を置いたそうです。

 

 

 

 

ネガティブな感情に反応する、本当の理由とは?

 

このように、ワンちゃんはネガティブな感情に反応することが分かってきました。

ある説によると、このような他の個体のネガティブな感情に共感するという行動は、群れ動物が野生で生きていた「生存の法則」と捉えている研究者もいるそうです。

 

野生での生存競争では、危険や不安を早く察知し、それを共有して、自分たちの命を守るという観点において、本能として必然的に備わったもの、と考える研究者もいるそうです。

 

 

 

 

わたしたちを「分かってくれる」大切なパートナー

 

ワンちゃんの本能による能力だとしても、やっぱり犬が泣いている人を慰めるような行動をする理由は、人の感情を読み取っているからだと言えそうです。

慰められたこと、犬を飼っていた方なら一度や二度の経験はあるのではないでしょうか。

 

犬はずっと昔から人間と暮らしてきました。

人間が生活を共にする、共存関係にある最古の動物という説もあります。

その習性や太古の記憶、遺伝子が「人の気持ちを察する」という行動にあらわれているのではないでしょうか。

飼い主以外の知らない人に対しても心配したり慰めたりする行動をとることから「餌をもらえる」などといった下心のある行動ではないのかもしれません。

 

犬は言葉を話すことができません。

その代わり、嬉しいときや楽しいときはしっぽを大きく振って喜びを表現してくれたり、飼い主が悲しんでいるときはそっと寄り添ってくれたりします。

わたしたち飼い主のことを常に考え、行動してくれる愛犬に感謝して、もっと一緒にたくさんの楽しいことや嬉しいことを共有しながら過ごしていけると良いですよね。

犬と人間はずっと昔から心と心が通いあうパートナーでした。

 

お互いを、大切に思う気持ち。

これからもずっとそんな素敵な関係でいたいですね。

 

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