プードルの原種は、スタンダード・プードルです。
昔は鳥などの狩りで撃ち取った獲物を回収する役目を果たし、昔から人間と共生していました。
使役犬として荷車を引き、カモ狩りなどをする水猟犬として従事していました。
発祥は中央アジア北部またはロシア。
西洋を横断し、他犬種との交配を繰り返しながら広がり、最終的にドイツからフランスへ広まったそうです。
16世紀頃には、スタンダード・プードルよりも小さいミニチュア・プードルが誕生しました。
そして、18世紀頃に小型化したトイ・プードルが誕生し、フランスの上流階級の愛玩犬として人気を博すようになりました。
この時のプードルはスタンダード・プードルでしたが、ここから小型化するための品種改良が進められていきます。
プードルの語源は鳥猟犬として活躍していた頃の名残で「水がバシャバシャと跳ねる」という意味のドイツ語から来ています。
カモ狩りにも使われていたプードルの水の抵抗をなくしてあげようとして被毛を刈ったことが、現在のプードルのカットにまで発展することになったというのだから面白いですね。
国際畜犬連盟(FCI)では、スタンダード・プードル(中型犬45~60cm)、ミディアム・プードル(柴犬サイズ35~45cm)、ミニチュア・プードル(トイよりやや大きい28~35cm)、トイ・プードル(28~32cm)の四種が公認されています。
非公認でタイニー・プードル(23cm程度)、ティーカップ・プードル(23cm以下)の二種があり、全六種が全て同じ犬種「プードル」に分類されています。
トイ・プードルは中頭種の部類に属しています。
程良く丸みのある頭の形に、クリクリっとしたアーモンド型の目が特徴です。
耳は目の高さとほぼ同じ高さにあり、肉厚で長く幅広くなっています。
被毛に覆われて垂れているのもかわいいですね。
体躯は引き締まっており、脚はまっすぐ生え、細身ながらもやや筋肉質なのが特徴です。
祖先は鳥猟犬だったスタンダード・プードルですので、活発に動き回るのが大好きな犬種です。
プードルと言えば可愛らしい巻き毛が特徴です。
シングルコートでクルクルとカールした被毛が密集しています。
毛色はレッド、ホワイト、ブラック、シルバー、ブラウン、アプリコットなど10色以上の毛色があります。
かつてはシルバー色の人気がとても高く、その後はブラックの人気がずっと高かったそうです。
現在ではテディベアカットというスタイルが大流行しているため、それに似合う茶系のトイ・プードルに人気が集中しています。
トリミングが必須のため様々なカットの種類があり、おしゃれが楽しめます。
プードルは好奇心が強く聡明で運動神経が良いのが特徴です。
人懐っこく温厚なので、とても飼いやすい犬種であると言えます。
家族に対しても、他の人や他の犬に対しても上手に接することのでき、多頭飼いをしているケースも多く見られる犬種です。
また、利口でしつけがしやすいのでマンションや集合住宅での飼育にも向いています。
性格的には、明るくて意欲満々ですが、少々神経質な面も持ち合わせています。
知能が高い犬種なので、一度嫌な思いをするとそれをいつまでも覚えていて拒否するようになったり、先回りをして考えて尻込みをしてしまったりするトイ・プードルも少なくありません。
苦手なものをなるべく作らないように、子犬の頃からおやつを使って焦らずコツコツと社会化に取り組めば、トイ・プードルの良さを伸ばしてあげられるでしょう。
理解力が高いので、トイレをはじめ、あらゆるしつけやトレーニングを行ってもどんどん吸収していきます。
そういう意味でも、犬と暮らすのが初めてであったり、赤ちゃんがいる家庭でも飼いやすい犬種であるのは間違いありません。
番犬というよりも、群れで行動するタイプの猟犬をルーツに持つので、トイ・プードルも独りでいるのは比較的苦手。
どうしても、飼い主さんへの依存心が高くなりがちです。
留守番が長くない家庭のほうが、向いているかもしれません。
トイプードルは、こまめなボディケアを要します。
トイプードルは抜け毛が少ない代わりに、どこまでも毛が伸びるシングルコートなので被毛のケアは大切です。
カールしているトイプードルの被毛は換毛期がなく、抜けにくい構造をしています。
カールした巻き毛は手入れを怠ると毛玉ができてしまいます。
ただの毛玉と油断していると、皮膚疾患を招くこともあるので要注意です。
毎日お散歩から帰ったタイミングなどにブラッシングして毛のもつれをほぐしてあげましょう。
ゴミなどが付着しやすいので週2~3回はブラッシングをして、1~2ヵ月に1度はトリミングをすると良いでしょう。
トリミングの際には、様々なカットスタイルがあるので、お好みのスタイルにすることができます。
活発で体力があるので、運動不足やストレスが原因でケージを荒らしてしまうこともあります。
十分な散歩時間や遊びの時間を確保しましょう。
プードルは、世界で2番目に賢い犬種と言われています。
ボーダーコリーに次いで知能が高いという研究結果もあり、訓練性にも優れています。
そのため一般的には飼いやすく育てやすい犬種といえます。子犬期に行うトイレトレーニングをはじめとした基本的なしつけの飲み込みも早く、易々とやってのけることも多いでしょう。
しつけしやすく飼いやすい反面、間違った方向にもいきやすいので注意が必要です。
人間に慣れるための社会化トレーニング、トイレトレーニング、「オテ」や「マテ」などの行動をコントロールするトレーニングをした方が良いでしょう。
従順な性格のため、飼い主に対して威嚇したり噛んだりといった悩みも、各犬種のなかでは少ないほうです。
ただ、頭が良いために、相手を見て上手に立ち回るということもあります。
トイプードルがワガママを通したいと吠えているのを見て、飼い主が望みを聞いてあげていると、吠えグセがついてしまうこともあるので、子犬のうちからダメなことはダメという分別を付けて接するようにしましょう。
クッシング症候群という副腎に関わる内分泌由来の疾患が好発するとされています。
脳下垂体の過形成や腫瘍、副腎皮質にできた腫瘍によって、コルチゾールと呼ばれる副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることが原因で起こり、水をたくさん飲むようになったり、尿の回数や量が増えたり、たくさん食べるのに痩せていく、左右対称の脱毛、お腹が膨らむなど、さまざまな症状が起こります。
症状は、多飲多尿、脱毛、疲れやすいなどで、診断には血液検査が必要です。
異変を感じたら検査を受けた方が良いでしょう。
また骨折や関節炎にもなりやすく、賢さや運動能力を活かして、ドッグスポーツを楽しむプードルが増えてきていますが、手足が細い割に体はがっちりしているため、高いところからのジャンプなどをすると怪我につながりやすいので気をつけましょう。
トイプードルの耳は、外側だけではなく内側の奥まで、柔らかな毛がびっしりと生えています。
そのため耳垢が出にくい構造で鼓膜付近に汚れがたまりやすくなっています。
耳のなかの汚れを放っておくと外耳炎などを引き起こしやすくなります。
また、シャンプーの後の乾燥が甘いと、細菌やカビが増殖してしまうこともあります。
家庭での掃除は難しいという方も、獣医師やグルーマーといった専門家に相談しながら、定期的なケアを心がけてください。
毎日の散歩でアスファルトを歩くことやフローリングの薬剤などの影響によって、硬化・角質化が進みます。
硬くなった肉球は滑りやすく、トイプードルの注意したい関節トラブルや転倒による骨折の原因になってしまうことも考えられます。
そこでお散歩の前後にはマッサージしながら肉球クリームを塗ってあげるなどのデイリーケアを心がけてあげましょう。
また、足の裏の毛が伸びて肉球にかかってしまっていると足元が滑る原因になるので、定期的にチェックしてハサミやバリカンでカットしてあげてください。
トイプードルは骨が細く、あまり筋肉質ではありません。
そのため、脱臼や骨折といったトラブルが比較的多い犬種です。
歩くのを嫌がったり、動きがぎこちない時は骨折や脱臼の可能性も。
高いところから飛び降りたり、滑りやすい床材の上で走らせたりすると骨折や脱臼の原因になることもあるので気を付けてください。