広く深い視点で選択する~中曽根政権の5年間で日本経済は失われた~

■「中曽根氏の葬儀に9千万円 政府が閣議決定、予備費から支出」

産経新聞(2020.9.25)
https://www.sankei.com/politics/news/200925/plt2009250013-n1.html

中曽根康弘元首相と言えば、米国との関係重視した「ロンヤス外交」が有名ですね。

それまでの首相と大きく異なり、米国との関係強化をより一層、米国路線にシフトした政権でもあります。

当時はソ連という大国もあり、その脅威もあって日米の利害は一致し、日米両国は今までにないほどの親密ぶりを内外共にアピールしたのをご存じの方も多いのではないでしょうか。

でも、良いことだけではありませんでした。

それは日本経済にとってです。

それまで戦後の高度成長期を誇っていた日本経済は中曽根康弘元首相が締結した「プラザ合意」をもって終了することとなります。

元々米国はドル安によって自国の輸出競争力を高め、貿易赤字を減らすことが目的でした。

各国の外国為替市場の協調介入によりドル高を是正し米国の貿易赤字を削減、中曽根康弘元首相は米国の意向をすべて承諾する決断をしました。

それまで浮き沈みはあるものの、全般的に好調を維持してきた日本経済は、この「プラザ合意」を起点に、ドル高の修正により急速に円高が進行し、好調だった輸出が減少したため、国内景気は低迷することとなります。

これがバブル崩壊のきっかけとなります。

このバブル崩壊以降、日本経済は、現在に至るまで「失われた30年」と言われることとなり、日本経済の本格的な復活は消え失せる結果となりました。

つまり、日本経済を俯瞰的にみると、この中曽根康弘元首相の判断が、その後の日本経済の方向性に大きく影響していることが言えるのではないでしょうか。

中曽根康弘元首相以降、小泉元首相、そして安倍元首相も、米国路線を歩んできました。

ただ、コロナウィルスも日本経済に大きな影を落としている昨今。

米国は「アメリカファースト」を掲げています。

米国のあらゆる外交は「アメリカファースト」であることを忘れてはなりません。

何も考えずに米国に従属することは大きなリスクにもなりかねません。

日本の未来を託すリーダーに対し、表面だけではなく、広く深い視点で選択することが重要ではないでしょうか。

他国の利益に依存することなく、日本経済、そして日本の未来を真摯に考え、行動するリーダーを、私たちは見抜く必要があるのかもしれません。

<参考>【中曽根政権の5年間で日本経済は失われた】

「1982~87年の日本経済において、哲学や大局観が少しでもあったなら、その後のひどい経済の低迷というのは起きなかった」

Newsweek(ニューズウィーク)
冷泉彰彦(2019年12月03日)

中曽根政権の5年間で日本経済は失われた
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