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【本日のニュース・記事】
■世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念
ヤフーニュース(2020/5/17)
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20210517-00238333/
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・水ビジネスの巨人「ウォーター・バロン」と言われた2社
水ビジネス世界大手仏ヴェオリアが、同業仏スエズを買収することで最終合意したと発表した。
買収総額は約260億ユーロ(約3兆4000億円)。
売上高約370億ユーロの巨大企業が誕生する。
「仏ヴェオリアがスエズ買収で合意 3兆4千億円」(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR150CH0V10C21A5000000/
ここでは水ビジネスの巨人「ウォーター・バロン」と言われた2社の歩みを振り返る。
・日本にも進出しているヴェオリア
ヴェオリアは、仏リヨン市で1853年に創業したジェネラルデゾー社が母体となっている。
フランス共和国の第二帝政時代、ナポレオン三世は都市部の水道システムを運営する民間企業が必要と考え、勅令によって誕生した。
事業は上下水道に止まらない。
1960代以降、廃棄物処理やエネルギーも取り扱い、いわゆるライフライン事業を主体にしている。
1980年代以降、通信・メディア事業、都市交通などにも進出したが、現在は本業に集中する方向だ。
2019年のグループ連結売上高は271億ユーロ(約3兆4200億)で、水部門が41%、廃棄物部門が37%、エネルギー部門22%という比率だ。
日本にも進出しており、西原環境(エンジニアリング)、ジェネッツ(料金徴収・顧客サービス)、フジ地中情報(漏水管理・料金徴収)などを傘下に収め、上水道事業や廃棄物処理の業務を行っている。
2019年度は、69か所の浄水場運転、80か所の下水処理上運転、180自治体の料金徴収、999件の漏水調査受託を行っている。
現在宮城県で進む水道事業のコンセッションにおいても、ヴェオリア・ジェネッツ社は運営候補グループのなかの1社である。
・スエズ運河とも縁あり
スエズは、もともと1880年に創業したリヨネーズ・デソーという企業で、水道と電力を事業の柱にしていた。
フランス国内の建設会社と合併してリヨネーズデゾー・デュメズとなった後、スエズ運河の建設・運営会社であるスエズと合併し、スエズ・リヨネーズデゾーとなった。
その後、グループ内の再編、建設部門の売却などを経て、スエズ・エンバイロメントとなった。
2006年にはイタリアの電力大手エネルから敵対的買収を仕掛けられた。
これに対し、ドビルパン仏首相(当時)は、「フランス企業を守れ」のスローガンを掲げ、スエズ買収を阻止すべく、フランスのガス公社(GDF)との合併を主導した。
国営企業と民間企業の合併ゆえ、労務問題や利益配分、支配権の確立など数多くの難題があり交渉は難航したが、2007年5月に就任したサルコジ大統領(当時)が先頭に立ち、急転直下で合併合意にこぎつけた。
電力事業はGDFに移し、GDF傘下のスエズ・エンバイロメント(水道・廃棄物事業)となった(2016年4月に再度スエズに社名変更)。
2019年度の年間売上げは、連結売上高は180億ユーロ(約2兆2700億円)で、水部門56%、廃棄物部門44%という割合になっている。
日本での事業活動はないが、水道事業のコンセッション等の獲得に向け、2018年12月に前田建設と共同取組を行う覚書を締結している。
・2大水メジャーがフランス企業である理由
両者ともフランス企業だが、偶然ではない。
フランスは自治体の規模が小さく、人口6500万人に対し、自治体数は3万7000ある。
9割の自治体の人口は2000人足らず。そのため自治体は、都市交通、廃棄物の収集や処理、上下水道などの行政サービスを独自に行うことができず、民間企業に任せてきた。
シラク元大統領はパリ市長時代に、市内をセーヌ川で二分し、片方の水道事業をヴェオリアに、もう片方をスエズに任せた。
その結果、両者は水道事業のノウハウを蓄積することができた。
転機が訪れたのは1980年代。
フランスの国内上下水道市場が飽和した。
そこで大統領のトップ外交によって海外進出を図った。
ヴェオリア、スエズは先行者の利を活かし、世界の民営化された水道事業のほとんどを握り、「水メジャー」「ウォーターバロン(水男爵)」などと呼ばれた。
かつては「3大水メジャー」といわれ、英国のテムズウォーターを含んだが、現在同社は国内に特化して事業を行っている。
ヴェオリア、スエズの「2大水メジャー」だったわけだが、今回の買収によりついに世界最大の水メジャーが誕生した。
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■世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念
ヤフーニュース(2020/5/17)
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20210517-00238333/
本日は3つの記事をご紹介いたします。
2つ目の記事はこちらです。
■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も
Business Journal 2019.11.14
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html
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10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げられたのと同時に、「改正水道法」が施行された。
実質的な水道民営化を推進する同法は、その是非をめぐって物議を醸した末、昨年12月に臨時国会で成立していた。
そして、いよいよ施行されたわけだが、世の中の関心が消費増税ばかりに向いていたため、知らなかったという人も多いだろう。
これによって、数年後には水道事業に「コンセッション方式」が導入されるとの見方も出ている。
コンセッション方式とは、公共施設などの「運営権」を民間事業者に売却する仕組みのことだ。
所有権は自治体などの公的機関が持ったままだが、公的機関は売却によって利益を得ることができるほか、経営を民間に任せることで運営のリスクを抱えなくても済むことになる。
表向きは「民間による効率的な運営」や「地方自治体の財政健全化」がうたわれているが、公共性の高い水道事業が民営化されることへの反発も多い。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は、以下のように語る。
「民営化というのは、決してバラ色ではありません。それは、今のJR各社を見ればわかることです。1980年代、赤字に陥っていた国鉄が分割民営化されましたが、JR東日本やJR西日本が儲かる鉄道会社として成功している一方で、JR北海道やJR四国は赤字が続いており、いわば格差が激しくなっています。また、株主構成を見れば、JR東日本の株主の約3分の1は外国資本が占めていますが、JR北海道は実質的に国営のままです。つまり、民営化によって、企業は儲かりそうなところにしか参入しないということです。水は人間の生活にとって必要不可欠なものですから、それが利益重視の民間に抑えられてしまうというのは大きな不安要素です」(荻原氏)
・危惧される水道料金の高騰と質の低下
懸念されるのは、“水メジャー”と呼ばれる国際的な巨大企業による日本の水道インフラの掌握だ。
すでに、フランスのスエズ・エンバイロメントとヴェオリア・ウォーター、イギリスのテムズ・ウォーターなどの名前が取り沙汰されている。
荻原氏は、「大きく問題になるのは料金高騰と品質低下です」と語る。
「世界の事例を見ても、民営化によって料金の高騰や質の低下が起きています。フランスのパリでは25年間で水道料金が約3倍になった結果、再公営化されました。また、南アフリカでは民営化で水道料金が跳ね上がり、支払えない貧困家庭の人々が汚染された川の水を飲むなどして、約25万人がコレラに感染。やはり、再び公営に戻されています。前述したように、民間は都市部などの“おいしいところ”にしか入ってこないでしょう。それは、儲かるところという意味です。そういう地域は人口が多いため、必然的に多くの人が料金高騰などの煽りを受けることになります。一方で、地方はいわば見捨てられ、インフラ維持のために少ない住民が高いコストを負担するという構図が続きそうです。ただでさえ、水道料金は管轄する自治体によって大きな差があるのが実情です。そして、たとえば財政再建中で水道料金も全国トップクラスの北海道夕張市に、わざわざ外資が参入して状況が好転するとは考えにくい。そのため、過疎地をはじめとする地方ではサービスや水質が低下する一方で料金は高くなり、現状の地域格差がさらに広がっていくことが危惧されます」(同)
民営化によって、水道事業に“第2のJR北海道”が生まれかねないというわけだ。
「水はなくてはならないものなので、高くなっても買わざるを得ません。しかも、ミネラルウォーターは軽減税率が適用されるので消費税8%ですが、水道水は10%なのです」(同)
昨年12月の臨時国会では、「70年ぶりの大改革」として漁業権を企業に開放する「改正漁業法」が成立した。
さらに、今年6月の通常国会では「改正国有林野管理経営法」が成立、来年4月に施行される見込みだ。
これは、最長50年間、全国の国有林を大規模に伐採・販売する権利を民間事業者に与えるものである。
「民間に水を売り、海を売り、森林を売り……。さらに、米国との日米貿易協定では日本の農業が脅かされるような内容で合意されました。これから、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか」(同)
安倍晋三首相の通算在任日数は11月20日で計2886日の桂太郎を超え、憲政史上最長を記録する。
長期政権を謳歌する安倍政権は、日本のインフラや産業をどうするつもりなのだろうか。
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■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も
Business Journal 2019.11.14
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html
最後3つ目の記事はこちらです。
■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ
Business Journal 2019.12.08
https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html
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・水メジャーを太らせたのは「水事業の民営化」を煽る国際金融機関
世界には、水メジャーの支配で高騰した水道料金を払えず、あろうことか「天から降ってきた雨水」の取水まで禁じられた人々がいる。
日本が平成に改元してしばらくした頃に、南米・ボリビアの主要都市コチャバンバ市の公営水道民営化で起きた悲劇だ。
同市の水道民営化では、灌漑施設も井戸も雨水も、すべての貯水を水企業アグアス・デル・ツナリ社の管理下に置く契約が交わされていた。
あまりにも理不尽だったため、多くの人々に知れわたった実話である。
ツナリ社は、多国籍巨大建設企業ベクテル社の傘下企業だ。
実は、これまで「水事業の民営化」を煽ってきたのは、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関である。
ハイパーインフレで瀕死のボリビア政府に対して、多国間債務600万ドルの免除を条件に、この理不尽な契約を促したのも世銀だった。
彼らは、経済の自由化や公的機関の民営化を途上国政府への融資条件として課してきたのである。
この30年間は「小規模農家への支援」や「教育・医療」の予算削減まで強要し、結果、多国籍巨大企業の市場はさらに拡大し、世界の貧困と格差が悪化した。
国際金融機関のこうした“前科”が日本の一般常識として広く認知されていないのは、官製情報に依存し巨大資本に抗えない国内マスメディアが国民の知る権利にこたえていないからである。
事実として重要な情報がオーソライズされないまま、今日本人の「水道の水」も巧妙な仕組みで「市場」化されようとしている。
黙認して放置すれば、冗談抜きで、いずれ「清浄な空気」も商品として市場化されるかもしれない。
「市場」は商品・サービスとカネの取引で成り立っている。
カネがなければ取引はできず、人は何も得られない。
公共/公益の概念は、そこに生まれる悲劇の類いを回避するための知恵でもある。
従って、生存の最低条件である「水道の水」まで弱肉強食の市場で扱おうとする発想は、非常識を通り過ぎて、もはや「民営化原理主義」とでも名付けてもいい「文明の退化」だ。
今、日本も世界もその見識を問われている。
・安倍内閣・水メジャー・金融/証券と組んで法改定を仕掛けた面々
「水メジャーによる接待疑惑」で官邸を追われた福田隆之氏が、36歳の若さで内閣官房長官の「公共サービス改革」担当補佐官に抜擢されたのは2016年1月。
もとは野村総合研究所主任研究員や新日本有限責任監査法人のインフラ・PPP支援室室長・エグゼクティブディレクターなどを務めた証券のプロである。
表舞台から姿を消した同氏は現在、「行政官」という官職を持つコンサルタントを務めながら、都内の大学にも籍を置いている。
その大学は東洋大学。
そこでの肩書きは「国際学部客員教授/グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員」(2019年10月22日現在。以下同)。
2名在籍する客員研究員のもう1人は、前述の「水道民営化を煽ってきた世界銀行」で上級インフラファイナンス専門官を務める人物だ。
このグローバル・イノベーション学研究センターを統括するセンター長は、「東洋大学国際学部教授」の竹中平蔵氏である。
著名な人物は「毀誉褒貶あり」と評されることがよくある。
しかし、政府の「官民連携」施策が、実は一般庶民の生活経済を追い込むものであることを直感する人々の多くは、そこから「誉・褒」の2文字を抜いた「毀・貶」で、あの「竹中平蔵」氏を連想しがちだ。
立身出世を絵に描いたような竹中氏の華やかな肩書きは、あまりに多すぎてここには書き切れない。
小泉純一郎内閣で要職を歴任し、郵政担当大臣として「郵政民営化」の道を開いた竹中氏は、日本国民の富をどこかに移動する仕組みづくりに自信を持ったかのようにもみえる。
麻生太郎副総理は表通りで「水道の公設民営」を外資の面々に“報告”したが、竹中氏は裏通りで地道にそれを準備し、実行してきたといえる。
小泉内閣以降も「行政を束ねて采配するノウハウ」に磨きをかけ、派遣大手のパソナ役員を兼務しながら労働法制に手を入れ、ヴェオリアもたじろぐほどの「利益相反」を問われながら、今もマスメディアを黙らせ続けている。
学者としては、大学で学生たちに「金持ちを貧乏人にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない」などと“その道の粋”を教えてきた。規制緩和/撤廃で世界に名を轟かせた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの言葉だ。
教え込まれた学生が政官界に進めば、「自己責任論」で弱肉強食を正当化する新自由主義の施策になんの迷いも抱かず加担し、政治と行政が担うべき本来の役目を蔑ろにするかもしれない。
安倍内閣は規制緩和を御旗として掲げ、水道法改定など数多の法改定と施策を強行してきた。
その権勢を上手に利用して「昇進や第二の人生にまっしぐらの幹部官僚ら」を動かし、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)/PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ:民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の導入を見事に完遂したのが、竹中・福田の両氏である。
両者の「阿吽の呼吸」の痕跡は、政府による数多の議事録を見れば腐るほど目にできる。
・官民連携インフラファンド→民間インフラファンドへの流し込み
2009年に設立された「産業革新機構」は2018年9月、竹中氏も議員として名を連ねる「未来投資会議」によって官民出資の投資ファンド「産業革新投資機構(JIC)」に改組された。
その子会社として新設された「INCJ」には、金融機関からの資金調達で政府保証1兆8000億円がつき、最大2兆円規模の投資能力がある。
同ファンドの出資金は95%が財政投融資の拠出だ。
つまり、「ハイリスク、ハイリターン」というヘッジファンド同様の資産運用を行うリスクマネーの拠出を、国民のカネを預かる政府が担っているということである。
従って、換言すればこういうことだ。
「官民連携インフラファンドに巨額の政府保証をつけさせて莫大な資金調達を可能とし、PFI 法で認められている官民連携インフラファンドから民間インフラファンドへの投資で国民のカネを民間企業に流し込む仕組みづくり」の礎を、すでにここで仕立て終えていた、と。
その仕掛けは、2014年5月19日に官邸4階で開かれた「経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」でもうかがい知ることができる。
竹中氏は「コンセッション制度の利活用を通じた成長戦略の加速」という書類を配布し、幹部官僚の尻を叩いて「官民連携インフラファンド」についても強く打ち出しているからだ。
同会議録から、「コンセッション推進」と「インフラファンド推奨」にかかわる要所を抜粋する。
<……これに応えるために以下の施策を実施する必要がある>
<平成26年4月から向こう3年間」「に実施する案件について」「少なくとも、(筆者注:コンセッション成約を)国土交通省(空港)6件、国土交通省(下水道)6件、国土交通省(有料道路)1件、厚生労働省(水道)6 件とし、これら4分野の目標のうち地方公共団体分に相当する15件」「については、地方制度を所管する総務省もその目標の達成に協力する」「内閣府の数値目標として、上記案件で行われる投資金額の合計」「2~3兆円」「を目標とする>
<株式会社民間資金等活用事業推進機構(官民連携インフラファンド)」「の有するノウハウや地域金融機関との協力関係の活用を図りつつ」「PFI 法上」「官民連携インフラファンドに認められている民間インフラファンドへの投資について、支援基準を踏まえ、取り組みを開始する>
この産業競争力会議は、2年後の2016年9月9日に新設された「未来投資会議」と入れ替わる形で廃止された。
安倍晋三議長・麻生太郎議長代理で開かれた未来投資会議でも、「公的資産と公的サービスの民間開放」が幾度もテーマとされてきた。
・「インフラファンドとリンクしたインフレーションに最適の投資資産が公共料金」
福田氏が補佐官在任中の2017年2月17日、「未来投資会議・構造改革徹底推進会合~第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」(PPP/PFI)の第4回は、竹中会長が中心となって議事が進められていた。
当日のメインゲストは、マッコーリーキャピタル幹部としてアジアのインフラ投資を動かすジョン・ウォーカー氏と、日本におけるマッコーリーキャピタル証券代表の大橋純氏。
既述のように、マッコーリー・グループは3大水メジャーから消えた英テムズ・ウォーターを買収した豪州メガバンクで、非銀行部門に証券業務がある。
従って、マッコーリーキャピタル証券は銀行系証券会社ということになる。
実は、2011年2月に国土交通省航空局が開いた「第3回・空港運営のあり方に関する検討会」でも、マッコーリーキャピタル証券の舟橋信夫副会長(当時)が招かれていた。
菅官房長官の下で竹中氏のパートナーとして動いていた福田氏は、同じ証券マンの先輩である舟橋氏にコンセッション等の指南を受け、事情を知る証券関係者の間では「昵懇の仲」だと見られてきた。
これらの経緯をたどれば、舟橋・福田・竹中の3氏が「PPP/PFIによる国内コンセッション」を起案し、同調する安倍内閣が政府としてこれを実現した構図が透けて見える。
水道コンセッションにインフラファンド市場ができれば、あとはそこに公的資金を流し込むだけだ。
「新PFI法」が施行された2018年10月の下旬、宮城県では県が主催する「上工下水一体官民連携運営事業シンポジウム『水道の未来を考える』」が開かれた。そこに講演者として招かれたなかに、水メジャーのツートップであるヴェオリア・ジャパンとスエズ・アジアの幹部数名がいた。
このなかから「スエズ・アジア アドバイザー」の肩書きで登場したのは、マッコーリーキャピタル証券副会長を辞めた後も福田氏と昵懇だった舟橋氏である。
インフラファンドが生まれたのは、マッコーリー社の母国・オーストラリアだ。
2011年に国交省が開いた前述の会合で、舟橋氏はマッコーリーキャピタル証券副会長として、こんな話をしている。
「マッコーリー・グループがひとつだけ世界一の分野がある。インフラファンドの残高だ」
「なぜインフラか? インフラのような投資資金にとって一番重要なのは、使う期間が随分と先になるため、購買力を喪失するのが一番怖いという点。逆に、インフレーションに一番いい投資資産が公共料金である。公共料金はほとんどがインフレにリンクしている」
「グループのインフラ投資で最大の案件はテムズ・ウォーター。当時、企業価値は1兆8000億円という投資だった」(以上、要約抜粋)
東日本大震災が勃発する約1カ月前の話だ。
「インフラファンドはインフレとリンクしており、インフレに最適の投資資産が公共料金」「水道会社への投資額は1兆8000億円」――日本で、その原資はどこから調達されるか。
改定水道法の行方を透視するためには、日銀・メガバンク等の動向を横目に官民インフラファンドと水道インフラファンドの動きを注視する必要がある。
金融・証券のプロが政府の施策に影響を及ぼせば、巨額の公的資金が裏で流れ始めるからである。
・水道のインフラファンド経由で公的資金が民間企業へと流し込まれる
閑話休題。
既述の通り、2017年10月下旬に「新PFI法の施行」「2大水メジャーのシンポ参加」「福田氏の接待疑惑文書」の3つの動きが重なっている。
水道法改定に対して国民が不安を抱いているにもかかわらず、水面下では巨額「水道マネー」をめぐる利害関係者の暗闘がすでに始まっていたようだ。
民間企業の事業目的は「果てしない営利」である。
平成の世に日本にも上陸したPPP/PFIによる官民連携「水道コンセッション」と「インフラファンド」は、間違いなく莫大な「水道利権」を生み散らかす。
平成に準備されて令和に本格始動する改定水道法には、「自治体がこれまで及び腰だった料金値上げを、法制度間の整合性で容易にする仕掛けがあったこと」、そして「巨額水道マネーを担保に、インフラファンド経由で公的資金を民間企業へと流し込む仕掛け」があること、などを本連載で検証した。
既存のマスメディアに期待できないからには、今後、住民/国民自らが「PPP/PFIに踊り狂う自治体と政官財のカネの動き」を厳しく監視するしかない。
多くの若者が手にしたネットは、そのためにも有効だ。
黙認したり監視を怠ったりすれば、国民の水道資産120兆円は、そのうち利権まみれで真っ黒に濁ってしまうだろう。
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■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ
Business Journal 2019.12.08
https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html
私たちが毎日、口にする水。
お米を炊くとき、料理するとき、歯を磨くとき、お風呂に入るとき、等々・・・。
私たちは蛇口から流れてくる水が安心・安全であると信じて疑いません。
ただ、今、この安心である「日本の水」がリスクにさらされています。
背景にあるのが「水道の民営化」。
特に影響力を高めているのが、フランスの水メジャー「ヴェオリア」です。
圧倒的資金と規模で世界的覇権を握りつつある超巨大企業です。
売上は訳450億ユーロ(約5兆5,000億円)規模、あのスエズ運河の運営会社でもあり、スエズ運河にも深い関わりのある企業です。
すでに日本政府や日本行政にも影響力を有しており、宮城県の水道運営権をも取得しています。
水道水だけではありません。
ヴェオリアは放射性廃棄物処理も手掛けており、将来的に福島原発の汚染水処理も念頭にあると言われています。
福島原発の汚染水処理は日本の大きな課題の一つですが、外資系による処理手段の影響力・コントロールは大きなリスクにもつながる可能性があります。
そもそも日本は水源が豊富でもあり、世界でも稀に見る水資源大国でもあります。
ただ、世界の情勢は違います。
環境変化や人口増加などを背景に、今後世界の4割の人が水不足問題に直面するともいわれ、将来的には「水戦争」も勃発すると言われています。
安心・安全な日本の水。
上下水道の経営権のみならず、森林や水資源地域の土地買収など、外資系企業に「権利」を奪われることは、日本人の健康や生命にも直結する部分ではないでしょうか。
そもそも国営事業の民営化は失敗するケースが多くありました。
例えば「郵政民営化」。
「郵政民営化」では海外企業買収失敗で多額の損失を発生、ゆうりょマネーはリスクの大きい外国債で運営されています。
民営化で撤退した郵便局、不正の増加など郵便サービス低下などの問題も浮上しています。
民営化リスク。
影響力の強い外資系企業等がその「権利」を取得する手段でもあり、外資系企業にその運営主導権すら奪われかねません。
特に水道事業は、金銭的損失にとどまりません。
日本国民の健康と、生命に関わる分野です。
主導権を奪われることは、日本国民にとって「不幸な結果」となる可能性が高まります。
例えば、ワクチン政策がよい例ではないでしょうか。
政府のリーダーシップの遅れで国産ワクチンは大幅な遅れ。
海外ワクチンメーカーの都合で契約、金額や成分など情報開示も不明瞭のまま。
入手時期や入手する量も、詳細は開示されていません。
そして、オリンピックもそうです。
一時期、8割近くの方々が延期か中止を望んだオリンピック。
日本人の過半数以上の反対の中、強行開催。
緊急事態宣言も、何故か、オリンピックのため?とも思える不可思議なタイミング。
ワクチン政策、オリンピック政策などなど、私達日本人の意思が通じない国際政治と、その意向に毅然とノーと言えない日本政府。
まさかの政治民営化?とも思える、笑えない状況ではないでしょうか。
このままでは、水道事業は、ワクチン政策、オリンピック政策、そして郵政民営化と同じような失態を重ねることとなりかねません。
国際政治、国際資本に「日本国家」すら、奪われかねません。
譲れない部分は何か。
言うべき点はどこか。
未来の子どもたちに残すべき「絶対に譲れない部分」はどこなのか。
改めて、政治家や官僚、民間企業、そして、私達日本国民全員が、真剣に考える時がきているのかもしれません。
【参考資料】
■外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託
日本経済新聞 2012年3月13日
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/
■宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初
毎日新聞 2021/7/5
https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c
■水道事業民営化 外資に売却で「高価な水」買わされる危険性
「福田補佐官の出張記録を取り寄せてみたところ、2016年の就任以来、頻繁にフランスなど欧州出張を繰り返して特定の水メジャーと接触」
週刊ポスト 2018.11.06
https://www.news-postseven.com/archives/20181106_795763.html?DETAIL
■日本人は知らない「水道民営化の真実」
・水道料金は上昇、嗤う投資家と株主たち
「多くの日本人は気付いていないが、コンセッションでの水道事業運営を受託するのは外国企業になる可能性が高い」
週刊現代(講談社)2018.08.31
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56865
■水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報
「(日本の)水道はすべて国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものをすべて民営化します」
日刊ゲンダイ(講談社)2018/12/12
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479