人生には無駄なことも損なこともありません。すべての経験があなたの中に積み重なっていくんです。


春は出発の季節。

多くの人が新しい道へ歩みだす季節です。

でも、なかには、少しの時間、足踏みした方もいらっしゃるかもしれません。

無駄な時間、そう考える方もいらっしゃるかもしれません。

今回は無駄な時間とは、どんなものなのか、無駄の意味についてお伝えします!



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Contents

受験浪人

浪人。

浪人とは、戸籍に登録された地を離れて他国を流浪している者のことを意味します。

現在では、主に志望校受験のため、次回受験期までの受験浪人としてよく使われています。

私もその一人でした。

高校卒業後、一年浪人した経験があります。

当時は受験失敗でまさに絶望を味わいました。

高校受験は、第一志望に入れたこともあり、大学受験が初めての大きな挫折。

まさに人生の挫折、当時はそう思っていました。

浪人して初めて感じたこと。

それが親への感謝でした。

浪人して初めて、両親が多くの苦難や人生の荒波を、自分の分までかぶって育ててくれていたという感謝を知りました。

大きな挫折から両親への感謝を感じた一年でした。

でも、振り返ってみると、本当に貴重な一年だと、今では思っています。

浪人時代に出会った友人は今でも大切な人たち。

高校時代、大学時代、社会人になってからの友人に、加えて浪人時代の友人。

浪人時代の友人は、苦しい時期に支えあったこともあり、お互い固い絆で結ばれているようにも感じます。

現役合格の方と違って「1枠」得したのかな、そんな印象です。

だから、もし、電車に乗り遅れた、そう感じた方がいたら、気にしなくてもいい、そう声をかけたいと思います。

そもそも、その電車だけが「人生という旅」の唯一の手段ではありません。

新幹線やリニアカーもありますし、船旅もあれば、自動車、飛行機という存在もありますし、もしかしたら、スペースシャトルという選択肢もあるかもしれません。

そもそも目的地を改めて考える貴重な時間となるかもしれません。

もし、浪人した方がいらっしゃいましたら、浪人は無駄ではなく、逆にメリットでもある、そうお伝えしたいと思います。

ハンドルの遊び

「ハンドルの遊び」はご存知でしょうか。

どのような機械でも、部品と部品との間には目に見えない隙間があります。

このように部品が、ある程度、動きうる余裕のことを「遊び」と呼んでいます。

特に自動車運転。

車を運転する人なら誰でも解るように、もしハンドルに多少の余裕「遊び」がなければ、非常に危険な運転となってしまいます。

例えばですが、少しハンドルに触れただけで車は急な方向転換をしてしまいます。

ブレーキもそうですね、「遊び」がなければ、少し触れただけで急ブレーキ。

些細な動作が急ハンドルや急ブレーキに直結し、多大なストレスを継続的に強いてしまいます。

「遊び」があることで、逆に安心と安全のドライブを実現させているのですね。

これは自動車運転だけではないのかもしれません。

身体はもともと歪んでいる?

考えてみれば、人間の体も左右対称ではないですよね。

きっちりと左右対称ではありません。

心臓は左に寄っていますし、すべての臓器が左右対称にあるものでもないですよね。

人間は肉体の基本的構造からして、そもそも不均衡なのかもしれません。

右利きの人もいれば、左利きの人もいますし、視力も左右で違います。

肩こりでは、右の肩が凝る人もいれば、左肩が凝る方もいます。

以前、私は顔面神経麻痺を経験したのですが、その際、右と左の顔が全く異なる表情となってしまいました。

顔面神経は右と左の神経で別々の神経が通っているのですね。

顔の表情も完璧に左右が対象だと言い切れる方は少ないのではないでしょうか。

つまり、人間の体は、そもそも「いい加減」なのです。

「いい加減」とは、「いい加減なヤツだなぁ」とか「アイツはホントに適当だな」と少し悪い意味で使われます。

でも、人間の体は、ある意味「良い加減」にできている。

人間の体だけではないですよね。

あらゆる動物や生き物、そして木や植物、山や川などの自然物、世の中にあるものの大半は「良い加減」でできているのかもしれません。

人生の1/3

以前、お会いしたベンチャー企業経営者の中に、非常にストイックな方がいました。

1年間で仕事を休んだのはお正月の1月1日のみ。

365日中、364日仕事。

そのストイックさに驚いたこともありました。

そういえば、私も以前、睡眠時間がもったいない、と思っていたことがあります。

仮に一日8時間を睡眠又は睡眠に関する付随時間と仮定した場合「一日の1/3を損している」と考えていました。

人生の1/3がもったいない!

では、寝ないでおこう!と考え、睡眠時間を削ってみました。

ところが、今度は一日中ぼーっつとして眠くなり、遊びも仕事も中途半端。

つまり、睡眠時間の1/3を活かそうとして、逆に、日中の2/3を無駄にしてしまっていたのです。

改めて気付いた、最適な睡眠時間の重要性。

何事も、表裏一体、表と裏は密接に関係していると改めて理解できたことを思い出します。

息が詰まる職場

昨今、あらゆる職場でメンタル不調者が増加していると言われています。

イギリス政府が日本語の「過労死」をそのまま、国際語「KAROSHI」として使用したというニュースもありました。

過多の残業からうつを発症する方も増えているそうです。

大企業もそうですが、ベンチャー企業や中小企業でも、数十人の規模の企業でも1~2人くらいいるそうです。

また、メンタル不調者が増加している業種も様々です。

一日中パソコン操作している方、プログラマーなどの方もそうですが、実際に体を動かしている業務をしている方などにも、メンタル不調者が増加しているそうです。

メンタル不調者の方の特徴として、一般的に、非常にまじめな方が発症しやすいと言われています。

一切妥協しない方、すべて何事も100%きっちりこなさないといけないと考えている方などです。

個人個人のパーソナルな問題だけではありません。

完璧主義などが職場で徹底されていると、当然職場も「隙間」がありません。

一切の妥協のない、まさに「息もできない」空間となってしまっているオフィスも見かけます。

結果、メンタル不調者の増加につながっている、そんな可能性もあるのかもしれません。

個人そして組織、いずれにおいても多少の「遊び」が、逆に事業成長にプラスに働くこともあるのではないでしょうか。

特に創造力を必要としている事業において、自由な発想が最大限発揮できる環境、最も重要かもしれません。

「ONとOFF」

以前、読んだ本に、ソニー元会長の出井伸之氏著者「ONとOFF」(2002年発刊)があります。

以下、その「ONとOFF」の内容を一部抜粋します。

~~~~~

日本では、会社だけ生きがいだったり、あるいは趣味の世界がない人がまだまだ多いのでは、と思います。

与えられた仕事のみを忠実に追行するだけで、新たな可能性をもとめてほかの仕事にも積極的に関わっていこう、という姿勢が感じられない。

しかし、これからの時代、会社の仕事とは関係なく、外の世界とコミュニケートする趣味が最も必要だと思えてなりません。

いわば「OFF」の世界です。

インターネットの発達から専門家と素人の差は限りなく縮まっています。

つまり、「OFF」の世界を持つか持たないかということで、知識の差がどんどん広がってしまうのです。

これからの「knowledge Society」では、仕事のみならず生活すべての局面で、知識の根源となる「興味」のあるなしが決定的な意味を持ってくる。

未知のものに素直に感動する気持ち、「センス・オブ・ワンダー」を持っているかということにもつながってくると思います。

また、「OFFの世界」や趣味を持つ人はビジネス以外の話も面白く、幅広い視点をもっていますから、会社でも人が寄ってきますし発想力も豊かです。

「OFF」での蓄積が、いつの間にか会社の仕事(「ON」の世界)にも還流して「良い循環」が生み出されてゆく。

~~~~~

出井氏が仰る通り、特にソニーという事業領域にとっても、非常に重要な視点かもしれません。

仕事人間だけでは生き残れない時代に入った、と言えるのではないでしょうか。

遊びを通じて「人の感情を理解」したり、「新しい価値観」と出会ったり、そして「新しい自分」を発見できたりするのかもしれません。

人生には無駄なことも損なこともない

逆もまた真なり。

「ON」があるから、「OFF」も楽しめる。

雨があるから、晴れが気持ちいい。

闇があるから、明るさに感謝できる。

「ON」も「OFF」も、表裏一体。

いずれも、私たちの貴重な人生の時間なのかもしれません。

最後に

最後に名言を贈ります。

遊び心――私がよく例にあげるのは車のハンドルの遊びの部分のこと。運転する時、ハンドルに遊びがあるから正常に走れるわけで、人の場合も、こういう遊びの部分があってはじめていい仕事ができるはずです。
伊奈輝三(INAX元会長)

真剣な時間があれば、その反動として遊びほうける時が必要である。遊びは仕事の影である。
米長邦雄(元日本将棋連盟会長)

狭い視野で目的だけの日々を繰り返すだけでは、喜びは見出せない。無駄なことに心を豊かにすることも多い。大きく価値観が変わっていく時代では大きな視野で目的以外のことも、大いに人生の中で役に立つこともある。
竹村健一

「いろいろ」ってのは、いいもんです。「いろいろ」を発見できるのも、たのしいです。「いろいろ」があるおかげで、あれこれめんどくさくなることもおおいんですけれどね。ぼくは、人間の社会は、めんどくさくても「いろいろ」のほうに進むんだと想像しています。
糸井重里

おもしろいと思うこと、全部やってみたらいいんだよ。いっぱい出てくるよ、きっと。世界はあの山の向こうのずっと果てまでつながっている。どんどんどんどん進んでいったらいいよ。海を渡って、空を飛んで。
梨木香歩

学生がよく、この授業はなんの役にたつかと言うが、七割まではムダである。しかし、この七割をばかににしてはいけない。
森毅

人生には無駄なことも損なこともありません。すべての経験があなたの中に積み重なっていくんです。
斎藤茂太

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