日本は国内市場が大きく、外に出ていくモチベーションが湧きにくいのが問題だと思っています。
ただ、世界の市場は日本と比べて桁違いに大きい。
絶対に出ていくべきです。
誰かが成功すれば「私もできるんじゃないか」と、後に続く人が増える。
そういう流れを、メルカリで作りたい。
山田進太郎。
「メルカリ」会長CEO(最高経営責任者)。
愛知県出身。
早稲田大学教育学部卒業。
大学生時代に楽天オークション立ち上げに参加。
ウノウを設立。
映画情報サイト「映画生活」、写真共有サービス「フォト蔵」を立ち上げる。
ウノウをジンガに売却。
世界一周旅行などを経てコウゾウ(のちのメルカリ)を創業。
とにかく世界を相手にできるサービスを作りたくて、写真共有サイトなど10以上のサービスを作りましたが、ほとんどうまくいかなかったですね。ただ、資金調達の環境がよかったり、作ったサービスを売却できたり、幸運が重なって何とか生き延びていました。
海外展開をアメリカから始めたのは、アメリカが世界の縮図だからです。アメリカの多様な人種の中で受け入れられるサービスをつくれば、世界のどこででも通用します。実際、フェイスブックやグーグルなど、世界中で使われているインターネットサービスはほとんどアメリカ発。アメリカは市場の競争が激しく、人件費も高くて大変ですが、アメリカで成功しなければ世界はないと考えています。
日本人も、すでに日常的にフェイスブックやGメールを使っています。それらを問題なく使っているのだから、日本のユーザーのために日本っぽくする必要はない。そこは間違えてはいけないと思います。
日本からだと、自分たちは世界に向けたつもりでも、どうしても日本っぽいサービスになってしまうんです。僕たちもアメリカに行ってはじめて、何がユニバーサルなサービスなのかがわかりました。たとえば、文字に頼った説明はダメですね。日本では商品にいろいろ注意書きがついているのが普通ですが、アメリカだと文字の説明がなくても一目で「これはやっちゃいけない」とわかるデザインにしないといけない。
起業にしても、日本ではリスクを過大に捉えすぎだと思います。失敗しても、今や誰も責めません。私自身、スタートアップを支援していますが、投資家は失敗を「ナイスチャレンジ」と評価します。
勉強にスポーツ、同級生はとにかく優秀なやつばかり。大企業に入って出世する、医者になって成功するといった未来は早々に諦めた。そして、自分なりの「山」を探し、そこで頂点に立つことにした。