HEROZ創業者、林隆弘:IPO時に創業者の株式を売出ししなかった理由とは?

HEROZ創業者、林隆弘:IPO時に創業者の株式を売出ししなかった理由とは?

IPO時に創業者の株式を売出ししなかった理由とは?

林隆弘/HEROZ創業者

 

IPO時には創業者は売り出しをしていません。

世俗的な成功を求めるために起業したのではなく、社会にインパクトを与えたい、世界を驚かすサービスを創出したいという想いで起業したわけですから。

「IPOで生活が変わりましたか」っていうことをよく聞かれるんですけど、生活レベルだけで言うとなんにも変わっていません。

 

 

林隆弘とは?

 

1976年、静岡県生まれ。

1999年に早稲田大学卒業。

 

日本電気株式会社(NEC)に技術開発職として入社し、IT戦略部や経営企画部に在籍。

後、日本電気株式会社(NEC)に入社、IT戦略部、経営企画部に在籍。

 

2009年4月に共に早稲田大学卒でNECに入社した同期高橋知裕と共にHEROZ株式会社設立。

2018年4月東証マザーズに上場。

 

※将棋のアマチュア一般棋戦等での全国優勝は7回経験。

 

 

厳選!林隆弘の珠玉名言

 

 

囲碁や将棋の世界では、すでに人間よりもAIの方が圧倒的に強くなっています。なので、AI同士を将棋で対局させると、我々からすると“普通はありえない”ような手を指すことがあります。しかも1秒間で何千何万という手を検討しながら、365日24時間学習し続けるので、どうしてそういう手を打ったのか、ますます人間には理解できないレベルになっています。囲碁や将棋の世界で見てきたそうした景色が、他の領域でも今後起こるだろうなと思っています。

 

 

状況が変わったのは大学を卒業する前年にMicrosoftからWindows 98がリリースされたこと。「これは世界が変わるかもしれない」と直感し、起業するならITの潮流に乗らなければ話にならない、と思いました。でも、ITの知識や経験は自分に全然ありません。それを身につけるためにNECに就職しました。

 

 

「経営者になりたい」と公言したのは小学校6年生のとき。文集で「将来は社長になる」と書きました。世の中で1番になるってなんだろうと考えて、「だったら社長だろう」と思ったんですね。親族には会社経営者もいたので、社長という言葉はわりと身近だったことが影響していたのかもしれません。

 

 

「勤め上げよう」なんていう気持ちはまったくなくて、採用面接で「10年後はなにをしていますか」という定番の質問をされたとき、「10年後は起業しているので会社を辞めてます」と答えたくらい(笑)。こんな生意気なことを言ってのける大学生を採用したNECって、度量のある会社だなと尊敬しています。

 

 

AIが急速に進化を遂げたのは、ここ2年ぐらい。膨大な電力消費を伴うがハード環境が整い、学習するデータがそろってきたことが要因だ。

 

 

当初はモバイル向けコンテンツなどの開発を手がけていましたが、私が将棋愛好者で、周囲に将棋好きのエンジニアが多かったことから将棋のAI技術に興味を持ち、12年に将棋アプリ『将棋ウォーズ』をリリースしました。

 

 

完全情報ゲームの分野では、AIがすでに人間を凌駕しました。次に来るのは〝不完全情報ゲーム〞。その分野で培ったAI技術のほうが、むしろ実社会の応用範囲が広いのではないかと思っています。

 

 

ブロックチェーンや量子コンピューティングなど、少し前なら考えられなかったテクノロジーが出てきていて、我々の想像を超えてきているという過渡期な状況だと思います。今のテクノロジーってものすごく破壊的なんです。量子コンピューティングによって今までの暗号が簡単に解読される懸念があるので、暗号の概念を考え直す必要が出てきていますが、こうしたさりげなく出てきたようなテクノロジーが、実はものすごい破壊力を持っているんですよね。

 

 

「数字をつくれ」みたいな発想にはできる限りしたくないです。HEROZの売上とは僕たちが社会に与えた“インパクトのお釣り”なんです。どれだけ儲かるビジネスであっても、長期的に社会に与えるインパクトが強くないことはしたくないですね。

 

 

会社のバリューとして「驚きを心に、何事も楽しむ」という言葉を掲げています。楽しさって大事だと思うんですよ。HEROZのメンバーには仕事を楽しんでもらいたい。ですから、エンジニアチームでは、まとめ役の開発部長がひとりいるほかは、あとは全員できる限りフラット。プロジェクトごとにリーダーが生まれる組織形態にしています。自由に意見を出し合い、自分がもてるチカラを十分に発揮して、楽しく仕事をしてもらう。

 

 

ビジネスは、「何をするかではなく、誰とするか」が大事ですから。

 

 

僕は『あれ?みんなそんなに働きたいんだっけ』と不思議に感じています(笑) もっとAIを活用して、楽できるところは楽した方がいいと思っています。10年後、20年後は、今の我々が想像していなかった仕事がメインストリームになっているんじゃないでしょうか。

 

 

そうですね。つらい、キツいなどのやりたくない仕事は、AIに任せられるのであれば任せた方がいいと思います。実は、HEROZでも将棋ウォーズの運営等でAIに24時間365日監視をしてもらい効率化を図っています。自分がもっと好きなことをやれる、という世の中にしていく方がいいのではないでしょうか。特に、今後の日本は人口が減っていくので、“自動化”をうまく活用しないと、社会が回らなくなってしまいます。コンビニなどはすでに取り組みが盛んに行われていますが、我々の生活圏において、どんどん無人化が進んでいくのだろうと思っています。

 

 

親から言われ続けてきたことがあります。それが「何でもいいから1番になれるものを探しなさい」です。

 

 

人間が考えられることってたかが知れているんです。わかりやすいのでIQでお話しすると、普通の人はIQ100くらいで、IQ130を超えると天才なんて言われたりします。でもAIは、2045年頃には、IQが1万くらいになっているかもしれない。そう考えると、人間って本当に狭い世界でしか生きていませんよね。

 

 

“人間として”の納得感や倫理観というのは、科学の進歩において、常に表裏一体となっています。『AIは敵だ!』と不安ばかり煽るのではなく、AIが味方になるように、建設的な議論が今後も必要になってくると思います。

 

 

自分自身は何に向いているのか?どんな分野だったら1番を目指せるのか?そんなことばかり考えて、悩んだ時期もありました。今は、自分が好きなことや面白いと感じることに常に前向きにチャレンジすることで、1番を目指せるんじゃないかと感じています。

 

 

僕たちが“実践”ではなく“実戦”にこだわるのは、勝負は実戦で勝たないと意味がないと考えているから。競争力とは、コスト面や品質、デリバリーを鑑みると見えてくる。そこで評価される技術者集団でありたい。

 

 

“AIが未来を創る”とは、あらゆることの民主化を実現することにもつながる可能性がある。そういう世界を拓き、新たな市場を生み出して、社会に価値を還元していく。独自性と独創性をもって一点の曇りもなく邁進していきたい

 

 



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