イギリスのビクトリア女王も愛した王家の犬「ポメラニアン」~ポメラニアンの歴史・特徴・性格・飼い方のコツ・かかりやすい病気について~

ワンちゃん

好奇心のおもむくままにチョコマカ動くふわふわな犬、ポメラニアン。

なんといっても、まりのような真ん丸でふわふわな外観が世界の人々を魅了してやみません。

その愛くるしく優雅な姿で、古くはイギリスのビクトリア王朝の貴族たちを和ませてきたといわれています。

日本では昭和の時代から不動の人気を保っています。

 

 

ポメラニアンの歴史

 

 

ポメラニアンは、ドイツとポーランドの国境にまたがるポメラニア地方に土着していた、ジャーマン・スピッツやサモエドが元祖とされています。

古くはソリ犬や番犬として活躍し、1800年代はまだかなり大型だったようです。

当時はまだ中型犬以上のサイズで、毛色はほとんどが白色だったそうです。

“ポム”と呼ばれることも多いこの犬種は、当初からちょっとした番犬にもなる愛玩犬として繁殖されてきました。

 

その後、18世紀になってイギリス国内に持ち込まれ、ヨーロッパの王族・貴族に愛好されて飼われるようになりました。

当時のポメラニアンは体重10kg程度とも伝えられており、小型犬としてはまだまだ大きなサイズだったようです。

19世紀後半、愛犬家で知られたイギリスのビクトリア女王もポメラニアンを大変可愛がっていました。

自身の死の床にまで最愛のポメラニアンを呼び寄せて、息を引き取ったと伝えられています。

 

ビクトリア女王は、愛するポメラニアンをドッグショーに出展し、自ら繁殖も手掛け、中型サイズだったポメラニアンを、5kg程度まで小さく作り上げました。

イギリスに持ち込まれて小型化される前のポメラニアンは、ホワイトとブラックのみの毛色でしたが、ビクトリア女王の犬舎にはレッドの毛色が存在したそうです。

これによりポメラニアンの魅力が世界的に知られ、人気の高まりと共に小型化が進み、毛色のバリエーションが増えることになりました。

1892年にアメリカでポメラニアンが品種として確立し、国際畜犬連盟に登録されましたが、1900年まではどのグループに属するか公式に分類されていませんでした。

 

しかし、そり犬など使役犬として働くジャーマン・スピッツを祖先とすることや、繊細な性格から番犬の役割を果たすこともあり、改めてスピッツのグループ(第5グループ)に分類されました。

 

 

 

 

ポメラニアンの特徴

ジャーマン・スピッツは原産国であるドイツでは、サイズごとに5種類があります。

大きなサイズから順に、ウルフ・スピッツ、ジャイアント・スピッツ、ミディアム・スピッツ、ミニチュア・スピッツ、トイ・スピッツとなっていて、最小のトイ・スピッツがポメラニアンに該当します。

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ドイツではポメラニアンと呼ぶ人はおらず、非常に小さいことを意味するツベルク・スピッツと呼ばれているそうです。

ドイツ以外で人気が高まったのち、原産地のポメラニア地方の名を取ってポメラニアンと呼ばれ、アメリカなどで愛玩犬として親しまれるようになったとか。

 

大型や中型のジャーマン・スピッツは、もとはそり犬や家畜小屋の番犬として活躍していました。

スピッツとは「尖っている」というラテン語に用来していて、尖ったマズルやピンと立った耳が特徴です。

まりのような真ん丸な姿は、吹雪の抵抗を受けにくいから。

背中まで掲げるフサフサのしっぽは、眠る際に顔をうずめて鼻から冷気を吸わないようにするため。

 

ポメラニアンの姿には、先祖から受け継ぐ身を守るための術が詰まっているのです。


ポメラニアンは、ふわふわとした豊かなダブルコートと、よく動く尖った耳を持つフォクシー・ヘッドが特徴的です。

小さな頭に丸い大きな目、手足も小さく、尻尾は背中に向けて巻いており、独特の豪華な毛吹きが素敵です。

 

顔の周りや胸元の毛は長く、尻尾の飾り毛は扇のように広がっています。

体型はスクエアで、ふわふわの尾が背上に巻き上がっています。

頸まわりの豊かなカラー(ラフ)が、ドイツ北方の雪にも負けないこの犬種の全体像を完成させています。

頭部は丸みを帯び、特徴的な鼻先を持ちます。

ポメラニアンは多種多様な美しい毛色をしています。

毛色は、ブラックや、ブラウン、チョコレートブラウン、明るいオレンジ、クリーム、オレンジ・セーブル、ホワイト(白)などの単色のほかに、グラデーションの美しいオレンジ・セーブル、ウルフ・セーブル、ビーバーなどの毛色も。

 

パーティーカラーやブラック&タンなど、二色以上の混色の犬もいます。

もっとも典型的な色は深いレッドですが、ブラックからホワイト、セーブル、チョコレートまでさまざまな色合いが認められています。

体重は1.8~2.3kg、体高は18~22cmが理想の体型とされていますが、もともとは中型犬であったため、小型犬としてはサイズがやや大きくなってしまう個体もあるようです。

ポメラニアンは真の“トイ”犬の体重は約1~3kgです。通常、7~10ヵ月で成犬サイズに達します。

 

 

 

 

ポメラニアンの性格

 

ポメラニアンは一般的に、人間が大好きで他犬にもフレンドリー。

活発で良く動き、遊びも大好きです。

そり犬であった先祖の気質を引き継いだ、気の強い子も時々います。

自分が小さいことには気づいてないようで、大型犬に向かっていったり、吠えて威嚇することがあります。


ポメラニアンは繊細な面があるため、人間に過度に依存したり、吠えることがあります。

飼主への愛着が強く、強いきずなを構築したがります。

 

しかし、これは飼主と離れると落ち着きがなくなる分離不安等を抱きやすくなることにもつながります。

用心深く、よい番犬になることが多いのですが、吠えやすい傾向があります。

子供との相性もよいですが、子供には、小さいポメラニアンは華奢であることを教える必要があるでしょう。

好奇心旺盛で甘え上手な性格、多頭飼育もそれほど難しくありません。

 

多くの小型犬同様に、神経質だったり、臆病だったりという評価を受けることも多いです。

飼い主さんが穏やかに対応することで、ポメラニアンの穏やかな面を伸ばしましょう。

 

 

 

 

 

ポメラニアンの飼い方、育て方

 

 

そり犬として寒い地方で働いていたスピッツ族を祖先に持つ、ポメラニアン。

小型犬とはいえ、実はパワーにあふれています。

そのため、毎日の散歩は必須。

本来は吹雪から体を守れるような硬いトップコートを備えているので、多少の雨に濡れても平気ですが、雨の日の散歩にはレインコートを着せたり、悪天候の日は散歩には出ず室内で遊んであげてもよいでしょう。

 

夏の散歩では、保冷剤を仕込めるバンダナや、クール素材のウェアを着用させるなどひと工夫が必要です。

室内でも、冷感タイプのドッグベッドやアルミマットを用意したりと、愛ポメが快適に過ごせるようにしてあげましょう。

いずれにしても、活発で運動欲求が高い犬種なので、心身ともに満足させてあげたいものです。

繊細な性格から、玄関のチャイムなどに反応したり、留守番をさせられたりすると吠えることがあります。

 

人が大好きなだけに、甘やかしすぎると分離不安症になってしまうことがありますので、子犬の頃からしっかりとしつけ、我慢を教えるようにしましょう。

日々の生活が充実して満たされていれば、欲求不満を解消しようとして生じる過剰な吠えなど、いわゆる問題行動と呼ばれる行動が起こらないはず。

さらに、ポメラニアンはブラッシングが欠かせない犬種です。

ブラッシングの際にブラシの選択を間違うと、毛を抜きすぎて非常にボリューム感のないポメラニアンになってしましますのでブラシの選択は大切です。

 

人に触られることが多いので、子犬のうちから体のどこを触られても大丈夫なように練習しておくことをおすすめします。

おやつをかじらせながら、手先、耳、しっぽ、口まわりなどを触ってみましょう。

抵抗せずにリラックスできたら、たっぷりとほめてあげてください。

歯磨きをするには、仰向け抱っこの姿勢が行いやすいかもしれません。

 

おやつを上手に使いながら、飼い主さんの膝の上での仰向け抱っこもマスターを。

飼い主さんのとのスキンシップが好きになれば、愛ポメの犬生はぐっと楽しくなるに違いありません。


ポメラニアンの中には、生まれつき少し臆病な性格の子もいるようです。

もし愛ポメがシャイなタイプだと思うようであれば、ぜひ、クレートなどの愛ポメだけのハウスを用意してあげてください。

 

犬は本来は洞穴のような巣穴で暮らしていた動物です。

頭上をはじめ、まわりをすっぽりと包み込んでくれるような場所に入ると安心できるという本能を備えています。

ドッグベッドやサークルではなく、頭上と側面が覆われたクレートやドーム型ベッドに入ることで、犬が安心して留守番できたり、安眠できるケースが多々。

サークル内にクレートやかまくら型のベッドを入れてもOKです。

 

子犬のうちから、クレート内でごはんを食べさせたり、知育玩具を入れて遊ばせていれば、愛ポメはきっとクレートが好きになってくれるでしょう。

中には太りやすい個体もいるので、体重管理には注意しましょう。

 

よく気がつき、体の小さなポメラニアンは、高齢者のペットとしても最適です。

 

 

 

 

 

ポメラニアンの気をつけたい病気

 

 

もともと中型犬であったポメラニアンは、小型化の過程で骨格が小さくなったことにより、膝蓋骨脱臼を起こしやすくなったと言われています。

ポメラニアンの脚の骨は、ダックスフンドや小型のテリア犬種に比べれて細め。

抱っこの状態から落下して骨折をして病院に運ばれるポメラニアンが、少なくありません。

ソファやイス、階段からの落下にも注意が必要です。

 

脱臼の程度はさまざまあり、抱っこした後に床におろすと急に片足を引きずるようになることもあります。

ソファや人間用のベッドには犬用ステップを補助的に設定したり、床にマットや座布団を敷くなどして骨折対策をしておけば安心です。


関節で起きる異常としてはほかに、レッグペルテス、肘関節形成不全があります。

治療には早期発見が大切ですので、歩き方がおかしいと感じたら早めに受診するようにしましょう。

ポメラニアン独特の皮膚病として、偽クッシング症候群という病気があります。

脱毛が起き、毛の抜けた部分が黒く色素沈着します。

原因は不明な点が多く、遺伝性の疾患と推定されているようです。

また、口腔環境が非常に悪くなりやすい犬種です。

 

毎日の歯磨きは必須で、その上で半年に1度程度、動物歯科に通じた獣医師による歯科検診を受けることをオススメします。

7歳くらいからのシニア期以降、ポメラニアンには呼吸器のトラブルが見られるようになる例があります。

興奮したときや暑い環境で「ガーガー」、「ゼーゼー」という咳に似た音を喉から出すのが、気管虚脱。

重症例では、呼吸器の治療経験が豊富な動物病院での外科手術が選択肢のひとつにもなるでしょう。

 

気管虚脱を発症や悪化させないためには、もし愛ポメが散歩で引っ張るタイプであれば首輪よりもハーネスが適しています。

夏には、生活環境が暑くなりすぎないように注意しましょう。

愛ポメを興奮させすぎないようにも、してあげたいものです。

ポメラニアンがかかやすい呼吸器疾患にはほかに、気管支軟化症も挙げられます。

 

こちらは乾燥すると痰が出にくくなって「エエエーッ」という咳をするようになります。

もし愛ポメが咳をするようになったら、早期に動物病院を受診すると同時に、環境の整え方を獣医師に聞いて実践してあげましょう。

呼吸器トラブルも膝蓋骨脱臼も、肥満が大敵。

シニア期だけでなく、食事や運動の管理を子犬期から適切に行って、健康な愛ポメとの毎日を一緒に楽しく過ごしてくださいね!

 

 

 

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