猫のチャームポイントのひとつともいえる「しっぽ」。
猫のしっぽは独特のしなやかな動きをしており、人の目にも美しく映るものです。
人間にはないものなので、可愛らしく感じたりうらやましく感じたりする人もいるでしょう。
実は様々な機能を持っていることをご存知でしたか?
猫にとってしっぽは可愛らしいアクセサリーなどではなく、非常に重要な役割を持っています。
猫のしっぽは、感情表現から日常生活の支えまで、猫の毎日の生活に欠かせない役割を担っています。
そのため、猫のしっぽを知ることは、愛猫とのより深いコミュニケーションをとることにもつながります。
しっぽを理解することで、もっと猫が分かるようになるかも知れませんよ。
今回は、意外と知らない猫のしっぽの秘密を覗いてみましょう。
「猫はしっぽが一番かわいい!」と思っている飼い主さんも多いはず。
猫自身も自分のしっぽが大好きです。
猫を飼っている方なら一度は、猫が自分のしっぽを追いかけているところを見たことがあるのではないでしょうか。
猫は賢い動物なので、やみくもに追いかけているのではなく、追いかけている対象が、自分のしっぽであることをきちんと認識しています。
体の一部であると同時に、遊び道具としても使っているのです。
そもそも猫のしっぽは、尾を支えている18個の尾椎(びつい)と、しっぽを前後や左右に動かすための4個の筋肉、そして、細かい動きをする時に使う8個の筋肉から構成されています。
外から見ると単純な作りに見えますが、実は複雑な構造になっており、様々な機能を持っています。
ちなみに「がまの穂」という植物がありますが、これは英語で「キャットテイル(cattail=猫の尾)」といいます。
もちろん、見た感じが猫のしっぽに似ているからです。
猫のしっぽは様々な形や長さがあり、その種類は8種類以上とも言われています。
猫の種類によって形が違う場合もありますが、同じ種類の猫でも個体によって違うこともあるもの。
猫好きの中には、その独特なフォルムを美しいと感じたり、珍しい形状のしっぽに魅力を感じたりして飼う人もいます。
代表的な猫のしっぽの種類を8種類挙げてみました。
近所の猫でよく見かけるものもありますが、日本では見ることのできないものもあります。
こちらの6種類は長めのしっぽです。
一般的な長いしっぽはこのタイプ。
比較的まっすぐなしっぽ
約25~30センチメートルほどです。
しっぽがカールしていて脇腹の方に垂れ下がっているタイプ
フランクとは英語で脇腹を意味します。
空中でクルッとカールしているタイプ
長めのしっぽが付け根から背中の方へまっすぐ倒れているタイプ
背中に沿って水平に伸びるタイプです。
豚のしっぽのようにスクリュー型にカールしているタイプ
ブタのしっぽにも似ていることからピギー(子豚)テイルとも呼ばれます。
先がねじれたタイプ
この2種類は短いしっぽのタイプです。
ほとんどしっぽがないタイプ
ランピーマンクスはマンクスという種のうちの「ランピー」という亜種のもつ尾のことです。
短いしっぽを持つタイプ
ボブテイルは6~7センチメートルの短いしっぽのことです。
有名な猫種ではアメリカンボブテイル、ジャパニーズボブテイルなど、マイナーな猫種ではクリリアンボブテイル、メコンボブテイルなどがいます。
さらに、短いしっぽのタイプは以下のようにも分類されます。
・キムリック(マンクスと長毛種を掛け合わせた種)
・アメリカンボブテイル(アメリカ原産のボブテイル)
・ジャパニーズボブテイル(日本のボブテイル)
・クリルアイランド・ボブテイル(ロシア原産の突然変異の種)
このように様々なしっぽの種類があり、中には大変珍しいものもあります。
一般的なものも珍しいものも、猫のしっぽにはそれぞれにちゃんと名前がついて分類されています。
猫のしっぽは様々な役割を果たしており、人間にはない能力を身につけたり快適に過ごすのに役立っています。
しっぽのもう一つの重要な役割として、「日常生活の支え」が挙げられます。
日常生活の支えとしての機能は、猫の日々の生活においてなくてはならないものです。
普段猫がしっぽをどのように使っているか注目してみるのも楽しいかもしれません。
猫のしっぽは4つの役割があると言われています。
「感情表現」「バランス」「防寒具」「マーキング」の4つです。
一つ一つ見てみましょう。
猫のしっぽの重要な役割のひとつが、「感情表現の手段」です。
猫のしっぽは気持ちを量るバロメーター。
よく「犬がしっぽを振っている時は嬉しいとき」といいますが、猫も同じようにしっぽから感情を読み取ることができます。
しっぽが表す形や動きから猫の気持ちが分かります。
猫が何を思っているかは、飼い主さんにとっては、知っておいても損はないはず。
ポイントをご紹介しますので、ぜひしっぽの様子に注目してみてください。
嬉しいときや、あまえている時の表現です。
しっぽをピンと立てている時は、遊んであげたり、構ったりしても大丈夫です。
何かを要求する時にもしっぽを立てます。
エサのおねだりの時にも行います。
お腹が空いている、撫でてもらいたい、遊んでもらいたい、などの場合にしっぽを立てることが多いようです。
母猫は子猫のお尻をなめて排便を促したり衛生を保ったりしますが、そのとき子猫は「しっぽをピーン」と立てて母猫に身を任せます。
つまり大人になった猫が「しっぽピーン」という行動を取ってすりよってきたとき、その猫の心理は子猫時代にタイムスリップしていると考えられるのです。
また、しっぽの先を少し前向きにしていたら、飼い主さんに挨拶してくれているようです。
驚き・恐怖を感じた時や、相手に対して威嚇する時、臨戦態勢時の表現です。
怒りや驚き、恐怖の表れであり、攻撃態勢になっているサイン。
体中の毛を逆立たせることもあり、こうすることで体を大きく見せようとしています。
全身の毛やしっぽの毛を逆立てるということは、外敵に対して自分を大きく見せようとする「ハッタリ行為」です。
ですからしっぽをふくらませていわゆる「タヌキしっぽ」を作っている猫は、相手を攻撃しようと威嚇しているか、怖さを隠すために怒ったふりをして相手を退散させようとしていると考えられます。
この時に構うと咬まれたり引っかかれたりすることがあります。
足の間にしっぽを入れて隠すようにした時も恐怖を感じている状態です。
身体を小さく見せることで、服従・敗北を示しています。
相手の怒りにこれ以上油を注がないよう、負けを認めてしまうときなどです。
見たことの無い奇妙な物体や動物に出会って恐怖心を感じているときや、オス猫がけんかに負けたときなどに見られます
負けを認めることで相手に「もう攻撃しないでほしい」という感情を伝えようとしています。
喧嘩に負けた猫や恐怖心を感じている猫等に見られます。
しっぽがダラリと下がっている時は元気のないサイン。
怒られた時などにも起こりますが、体調不良の可能性もあります。
体調が悪い時や、落ち込んでいる時の表現です。
もしも猫がしっぽをダランと下げていたら、静かに見守ってあげましょう。
機嫌がよい時や、安心している時の表現です。
機嫌の良い時のしっぽの振り方は,大きくゆっくりです。
また、全身もリラックスしたような姿勢になっているため、イライラとは区別できるでしょう。
非常にリラックスして、気分がよい時といえます。
名前を呼んだにもかかわらず、2~3度軽くしっぽを振っただけで動こうとしないときは、「聞こえてるよ・・でも今は動きたくないんだ」といった意味合いを持ちます。
ちょうど母猫が子猫をいなす感じに近いでしょう。
動きたくない時や、面倒くささを感じている時に、呼びかけは聞こえているということを示しています。
面倒くさがりながらも、しっぽを数回振ることで飼い主さんに返事をしています。
バランスを保つためにしっぽを使います。
猫は人間には思いもよらないような場所を移動したり飛び乗ったりできます。
高い塀の上や幅の狭い柵の上などを平気で歩いたり走ったりしています。
こうした動きを可能にするバランスの良さはしっぽがあればこそ。
猫はしっぽを使ってバランスをとっています。
猫のしっぽの役割としてはまず、動いているときの体のバランスを保つという点が挙げられます。
バランスを崩しそうな時には、しっぽを素早く振ることにより骨盤の位置を調整します。
こうすることで不安定な場所でもバランスを崩すことなく、素早い移動が可能になっています。
そのため、しっぽの短い猫はどちらかというと幼い頃に高い所へ登ったりするのが苦手です。
ただし、成長とともにしっぽの短さをカバーするために後ろ足が発達してバランスを取れるようになります。
猫のしっぽはバランスを取る他、暖を取るためにも使われることがあります。
しっぽをカラダに巻いて温かくして過ごしている姿を見た人は多いのではないでしょうか?
猫は身体を温める時にもしっぽを使います。
猫は寒さが苦手です。
寒い時に猫は体を丸め、マフラーのようにしっぽを使うことで寒さを和らげています。
気温が15度を下回ると、猫は体を丸くして眠りますが 、そのときしっぽで顔を隠すような姿勢をとります。
これは人間でいうと、ちょうど「マフラー」を首に巻いている状態といえるでしょう。
このように、ふかふかのしっぽは状況によって防寒具としての側面も持っています。
マーキングをする時、猫はしっぽをこすりつけることでにおいを付けます。
猫のしっぽは臭いを対象物にこすりつけ、自分の縄張りや所有権を主張するマーキングにも用いられます。
猫は「臭腺」という、においを発する器官を持っていて、臭腺はしっぽにもあるため、マーキングの際はしっぽを利用することも多いようです。
猫の体には至るところに臭腺(しゅうせん) と呼ばれる、自分固有の臭いを発する器官があり、額の両側、唇の両側、顎の下、肉球、肛門、そしてしっぽなどに存在しています。
猫がしっぽを巻きつけている光景をたまに見かけますが、こうすることでしっぽから発せられる自分のにおいを対象物に残しているものと考えられます。
猫のしっぽは、そのかわいさ故についつい触ってみたくなってしまいがちです。
しかし、猫のしっぽは脊髄と直結しているため、猫が痛みを感じやすい部分。
猫のしっぽは色々な役割を果たしており、猫にとって重要な器官の一つ。
かわいいからといって引っ張ったり思い切り触ったりしてしまうと、痛がるだけでなく、内臓や後ろ足に障害が出てしまうこともあります。
とてもデリケートな部分なので、触るのは控えておきましょう。
しっぽにはたくさんの種類があって、猫の美しさや愛らしさを引き立てるものですが、デリケートで大切な部分でもあるので優しく見守ってあげたいものです。
それにしても、ネコちゃんのしっぽは、いつ見ても癒されますね!