犬の鼻って、いつも濡れていますよね?
一体なんででしょうか。
実は、この濡れているかどうか、ワンちゃんにとってとても重要なんですね。
今回はなぜ、ワンちゃんの鼻が濡れているか、その秘密に迫りたいと思います!
そもそも犬の鼻ってどんな鼻の種類があるのでしょうか。
一口に「犬の鼻」と言っても、バグやブルドックのような鼻ペチャの犬種もいれば、ボルゾイや、グレイハウンドのように細い顔の形の犬もいますよね。
鼻先から目頭をマズルと言い、このマズルの長さと、頭蓋骨の長さ(目頭から耳元までの長さ)を比較して、犬の鼻の形は、3つのタイプに区分されます。
「長頭型」マズルと頭蓋骨の長さが同じ、あるいは、マズルが頭蓋骨の長さよりも長い犬種です。
ボルゾイ、グレイハウンド、シェパードなどがこのタイプ。
ニオイを感知する機能を持っている器官が大きいため、特に嗅覚が優れていると言われています。
「中頭型」マズルと頭蓋骨の長さが中等程度の犬種。
ビーグル、柴犬、コーギーなどがこのタイプ。
「短頭型」いわゆる「鼻ペチャ犬」、バグ、ボストンテリア、シーズーなどがこのタイプです。
さて、これからが本題です。
犬の鼻はいったいなんで濡れているのでしょうか。
それは、「ニオイを確実に捉えるため」です。
鼻が湿っている方が、「鼻鏡」の中に水分が行きとどいてニオイの分子をたくさん吸着することが出来ます。
鼻を湿らせている成分は、なんと涙と汗!
犬の鼻は、人間と同じように鼻の奥で、目の奥で涙腺(涙を分泌する器官)と繋がっています。
犬は、人間のように感情で涙を流すことはありませんが、目の中に異物が入ったら、その異物を洗い流したり、目の表面の粘膜を保護するための水分として涙を分泌しています。
その分泌された涙が、鼻の穴へと流れ出て、鼻の奥にある外側鼻腺(がいそくびせん)からも出ている分泌物と混ざり合った粘液で、犬の体温調節などに必要な粘液で、人間でいえば汗のようなモノです。
すなわち、犬の鼻を濡らしている成分は、人間でいう「鼻水」ではありません。
濡れている部分、犬の鼻の表面の皮膚は硬く、目を凝らして見ると小さな溝がたくさんあります。
この溝のある部分を「鼻鏡(びきょう)」と言います。
この「鼻鏡」こそ、人間よりもはるかに優れた犬の嗅覚を生みだす特別な器官です。
溝の中に蓄えた水分が、ニオイの分子を吸着して嗅覚の感覚を高めます。
また、この「鼻鏡」は温度センサーのような役割も果たしていて、犬は、鼻を湿らせている水分の左右の渇き方の違いを感知し、風がどちらから吹いているかを即座に判断します。
かつて、野生の犬は獲物のニオイを察知しニオイを頼りに獲物を追い、捕食して生きていました。そのために、嗅覚が研ぎ澄まされて進化したのでしょうね。
さらに、鼻から分泌される水分の量は体温が高くなるほど増えることから、人間の汗のように熱を下げるような役割があるのではないかと考えられています。
つまり、体温を下げている、という効用もあると言われています。
では、その濡れている成分な何なのでしょうか。
それが、「分泌液」なんですね!
犬の鼻には外側鼻腺(がいそくびせん)という分泌腺があります。
また人間と同じように涙を分泌する涙腺とも繋がっているため、これら2つの腺から出る液体によって犬の鼻は濡れた状態になります。
鼻から呼吸したときの息に、これらの液体による湿度が加わることで鼻が濡れ、運動などで体温が高くなると分泌量が40倍近く増えると言われています。
犬種や大きさにもよりますが、涙腺や外側鼻腺の分泌液は1日におよそ400〜500mlほど出されると言われています。
それでも乾いてしまう場合は、自分で鼻を舐めることで保湿しています。
でも、犬の鼻は常に濡れているわけではなく、1日のうちに濡れたり乾いたりを何度も繰り返します。
そういえば、寝ているときは乾いていますよね?
これは、眠っている時は臭いを嗅ぐ必要がありませんので、分泌液が出ないのです。
しかし、気を付けなければならないのが、起きているときに鼻が乾いているときです。
体調が悪いとき、分泌液ができくくなっている時があるんですね。
例えば、まず、寝起きでもないのにずっと愛犬の鼻が乾いているなら、食欲があるかどうか、下痢をしていないか、オシッコの色、元気があるかどうかなどをよく観察して下さい。
また、水分が不足することでも犬の鼻は乾きます。
気温が高い日や、下痢や嘔吐などを引き起こしているときに鼻が乾いていると脱水症状におちいっている可能性もあります。
さらに、何らかの強いストレスを感じていると鼻が乾く場合があります。
最悪のケースとしては、ウイルス疾患(犬ジステンパーなど)や皮膚炎、アレルギー(アレルギー性皮膚炎等)などの自己免疫疾患が原因となっていることもあります。
犬ジステンパーを発症すると鼻先がカサカサと乾燥することがあります。
元気がない、食欲が低下している、熱がある、咳やくしゃみが出る、目ヤニが増えたなどの症状が見られた場合は犬ジステンパーを発症している可能性があるので注意が必要です。
重症化すると体が麻痺したり失神を起こして死に至ることもある危険な病気なので、ワクチン接種による予防や早期発見に努めましょう。
何かに集中して遊んでいるとき、鼻が乾くことがありますが、元気な場合、特に問題はないでしょう。
鼻の穴から鼻水が出ている場合、こちらも要注意です。
通常、健康な時は鼻の穴から水が垂れることは多くはありません。
くしゃみや鼻水が一緒に出る場合、犬の鼻炎についても疑われます。
犬の鼻炎とは、人の場合と同じで鼻腔内の粘膜に炎症が起きることをいいます。
鼻炎になることで鼻水やくしゃみが頻繁に出るようになり、悪化すると膿や鼻血が混じったり、鼻が詰まって呼吸困難になることもあります。
原因はウイルス、細菌、真菌、アレルギー、寄生虫、腫瘍などさまざまで、治療には原因に応じて投薬治療をおこなうことが一般的です。
粘り気のある鼻水で鼻が濡れている際は副鼻腔炎を発症しているでしょう。ドロッとした鼻水の他に、鼻血が出る、くしゃみが出る、鼻すじが腫れるなどの症状が出た場合は副鼻腔炎を疑いましょう。
悪化すると鼻がつまってしまうことで呼吸困難を引き起こす場合もあるので、早期に治療を行いましょう。
粘り気のある鼻水が出ている場合、「副鼻腔炎」の可能性もあります。
副鼻腔炎とは犬の鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こる病気です。
主に鼻炎が悪化することで発症し、粘り気のある鼻水、くしゃみ、食欲不振などの症状を引き起こし、悪化することで鼻がつまり呼吸困難になることもあります。
治療には投薬治療やネブライザーによる吸引治療などがあり、症状が重い場合は鼻にチューブを挿して洗浄治療をおこなうこともあります。
以上です。
いかがでしたでしょうか。
ワンちゃんの鼻が濡れているのは、ニオイをしっかりと抑えるためなんですね。
でも、鼻の状態で、健康バロメーターにもなるってすごいですね!