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【本日のニュース・記事】
■日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?
ヤフーニュース(2018/12/24)遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)
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◆日本の半導体産業を徹底して潰したアメリカ:常に「ナンバー1」を求めて
1980年代半ば、日本の半導体は世界を席巻し全盛期にあった。
技術力だけでなく、売上高においてもアメリカを抜いてトップに躍り出、世界シェアの50%を超えたこともある。
特にDRAM(Dynamic Random Access Memory)(ディーラム)は日本の得意分野で、廉価でもあった。
それに対してアメリカは通商法301条に基づく提訴や反ダンピング訴訟などを起こして、70年代末から日本の半導体産業政策を批判し続けてきた。
「日本半導体のアメリカ進出は、アメリカのハイテク産業あるいは防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の問題がある」というのが、アメリカの対日批判の論拠の一つであった。
日米安保条約で結ばれた「同盟国」であるはずの日本に対してさえ、「アメリカにとっての防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の問題がある」として、激しい批判を繰り広げたのである。
こうして1986年7月に結ばれたのが「日米半導体協定」(第一次協定)だ。
「日本政府は日本国内のユーザーに対して外国製(実際上は米国製)半導体の活用を奨励すること」など、アメリカに有利になる内容が盛り込まれ、日本を徹底して監視した。
1987年4月になると、当時のレーガン大統領は「日本の第三国向け輸出のダンピング」および「日本市場でのアメリカ製半導体のシェアが拡大していない」ことを理由として、日本のパソコンやカラーテレビなどのハイテク製品に高関税(100%)をかけて圧力を強めた。
1991年7月に第一次協定が満期になると、アメリカは同年8月に第二次「日米半導体協定」を強要して、日本国内で生産する半導体規格をアメリカの規格に合わせることや日本市場でのアメリカ半導体のシェアを20%まで引き上げることを要求した。
1997年7月に第二次協定が満期になる頃には、日本の半導体の勢いが完全に失われたのを確認すると、ようやく日米半導体協定の失効を認めたのである。
(中略)
◆見るも無残な日本半導体の現状
アメリカの半導体市場調査会社IC Insightsの統計によれば、2017年の世界半導体メーカー売上高トップ10の第一位を飾っているのはサムスン電子で、あのインテルを追い抜いている。
2018年ではサムスン電子の前年比成長率は26%であるのに対し、インテルは14%と、インテルとの差を広げている。
日本は1社(東芝)が辛うじて滑り込んでいるありさまだ。
ファブレス半導体メーカーに至っては、日本勢は1社もトップ10に入っていない。
同じくIC Insightsが2018年初頭に発表した統計によると、2017年のファブレス半導体メーカー世界トップ10は、アメリカ6社、中国2社、シンガポールと台湾各1社となっており、日本の半導体メーカーの姿はないのである。
消えてしまった。
ファブレス半導体トップ10の第7位はHuaweiのハイシリコン社だが、Huaweiでさえ、ハイテク製品企業の研究開発部門を本社から切り離し、半導体の研究開発だけに特化できる会社としてハイシリコン社を立ち上げている。
日本は、これができなかった。
総合電機が半導体事業を抱え込んだまま沈んでいき、分社化する決断と経営の臨機応変さが欠けていた。
そして韓国が虎視眈々と東芝を狙っていた、あの「狡猾さ」というか「窃盗まがいの逞しさ」に気づかず、日本の当時の通産省が主導した半導体先端テクノロジーズ(Selete、セリート)に日本国内の10社以外に、なんとサムスン電子だけを加盟させて11社にし、サムスンの独走を許してしまったのである。
中国の半導体の動向に関しては新刊『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』で詳述したが、アメリカは同盟国である日本に対してさえ、アメリカを追い抜くようなことを絶対に許さず、「アメリカにとっての防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の問題がある」として日本半導体を潰してしまった。ましてや最大のライバル国(敵国?)である中国に対してなど、どんな手段でも取り、いかなる容赦もしないだろう。
言論弾圧をする一党支配体制の国を潰すのは歓迎する。
ただ、日本はアメリカの同盟国だったからこそ、抵抗できずに潰されてしまったが、中国の場合はそうはいかない。
致命傷でも負わない限り、徹底して抵抗し続け、逆に強大化していく可能性(危険性?)を大いに孕んでいる。
それは「中国製造2025」を完遂させるための中国の執念や人材の集め方などをご覧いただければ、ご理解頂けるものと信じる。
今やっかいなのは、日本が、中国のハイテク製品メーカーに日本半導体を使ってもらおうと、政府丸抱えで必死だということだ。
特に半導体製造装置に関しては日本はまだ優位に立っており、中国の日本への視線は熱い。
・さて、いま日本はいかなる立ち位置で、どこにいるのか――。
東芝の経営体制や韓国側のモラルが問題なのか、日本全体の産業政策が間違っていたのか。
あるいはアメリカには何を言われようとも、何をされようとも、日本は文句が言えない立場にあるのか?
東芝の元半導体技術者のモラルも問われないわけにはいかないだろうが、少なくとも東芝と当時の通産省(のちの経産省)などの脇が甘かったことだけは確かだ。
サムスンとの経緯を踏まえながら、ともかく日本の国益をこれ以上は損なわないよう、日本国民は強い自覚を持たなければならないし、日本政府には熟考をお願いしたいと思う。
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■日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?
ヤフーニュース(2018/12/24)遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20181224-00108787/
本日は3つの記事をご紹介いたします。
2つ目の記事はこちらです。
■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
Business Journal(2015.09.01)
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JAバンクは、農協と信用農協、農林中央金庫で構成され、預金残高は90兆円を超え、みずほ銀行を超え国内2位である。
また、農協共済は資産52兆円、保有契約高289兆円で国内3位となっている。
これだけの規模でありながら組織形態は協同組合で、法人税も軽減税率が適用される。
また、株式会社でないため、株式保有による経営介入もできないし、買収もできない。
これに対して、民間企業との競争条件の同一性を要求しているのが、米国政府と米国金融、保険の多国籍企業である。
在日米国商工会議所は、米国政府の通商代表部(USTR)や米国商工会議所とも連携している、著名な米国多国籍企業で構成員される商工団体である。
意見書をまとめ、日本政府に対して絶えず圧力をかけている。
今回の農協改革にも、意見書で次のような見解を明らかにしている。
「J Aグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資するかたちで組織改革を行うべき」
「JAグループの金融事業は、金融庁の規制を受けないことによって利益を得ている」
「JAグループの金融事業と、日本において事業を行っているほかの金融機関との間に規制面での平等な競争環境を確立し、JAグループの顧客が金融庁規制下にある会社の顧客と同じ水準の保護を受けるために、JAグループの金融事業を金融庁規制下にある金融機関と同等の規制下に置くよう要請する」
さらに、JA共済についても「日本政府は国際通商上の日本の責務に従い、共済を外資系保険会社と同等の規制下に置くべきである」との意見書を発表している。
この在日米商工会議所の意見書は、株式会社と同等の規制、すなわち農協の信用、共済事業を株式会社へ転換することを要求しているのであり、それにこたえようとしたのが、今回の農協法などの一部改正なのである。
・米韓FTAで韓国農協も株式会社化
農協の株式会社化は、すでに韓国で先行して実施されているが、それも米国政府の要求を受けてのものであった。
2007年6月に調印し、12年3月に発効した米韓FTA(自由貿易協定)で、米国政府は金融サービスにおいて金融機関の規制の同等性を要求し、韓国政府もそれを受け入れたのである。
これによって、農協の株式会社化への道筋ができたのである。
韓国政府は11年3月に新農協法を国会で成立させ、これにより韓国農協中央会の金融共済業務は分離され、持株会社の下で農協銀行、農協生命保険、農協損害保険にそれぞれ株式会社化されたのである。
さらに、経済部門も同様に株式会社化された。
この韓国農協の株式会社化は、日本の農協の株式会社化の先行事例になるのであろうが、日本の農協は、金融部門の預金量や共済の保有契約高も韓国農協をはるかに上回り、世界有数の規模を持っているだけに、その株式会社化の衝撃度は極めて大きい。
今、米国の穀物多国籍企業は、全農の株式会社化で全農の子会社である全農グレインを傘下に収めることを狙っているともいわれている。
全農グレインは、米国ルイジアナ州ニューオーリンズに世界最大の穀物船積み施設を保有しており、そこでは遺伝子組み換え(GM)作物を分別管理している。
GM小麦の導入を目指している米国にとって、GM作物を混入しないように管理している全農グレインは不愉快な存在でしかなく、全農をまずは株式会社化して、その後に全農グレインを買収するというシナリオは十分にあり得る。
いずれにせよ今後、農協、全農、経済連の株式会社化がどう進展するのか、注視していく必要がある。
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■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
Business Journal(2015.09.01)
https://biz-journal.jp/2015/09/post_11338.html
最後、3つ目の記事はこちらです。
■東芝は米国にハメられた。原発買収で起きていた不可解なやり口
まぐまぐニュース(2017.06.16)
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東芝はアメリカにはめられた
今、東芝が大変なことになっていますね。
約7000億円もの損失を計上し、半導体事業などの売却を検討し、上場廃止などの声も上がっています。
下手をすれば、倒産するんじゃないかとさえ、言われています。
東芝というのは、日本を代表する家電メーカーであり、原子力事業でも国内で最大規模を誇っていました。
その巨大企業が、なぜこんな窮地に陥っているのでしょうか?
新聞や週刊誌などでは、東芝の隠蔽体質などが原因視されています。
確かに、東芝は、近年、粉飾決算などを行っており、決して問題のない会社ではありませんでした。
しかし、東芝の行っていた粉飾決算は、東芝を破滅させてしまうほどの大ごとではありませんでした。
今、東芝が窮地に陥っているのは、約7000億円にも及ぶ損失を記録してしまったからです。
この7000億円の赤字の大半は、実はたった一つの取引から生じているのです。
その一つの取引というのは、アメリカのS&W社の買収です。
東芝は、2015年の暮に、原発の建設会社だったS&W社を買収しました。
東芝が直接買収するのではなく、東芝の子会社となっていたアメリカのWH社が買収するという形になっていましたが。
このS&W社が、1年後に約7000億円の赤字を出すのです。
たった1年で7000億円もの赤字がなぜ生じたのでしょうか?
東芝は、なぜそれに気づかなかったのでしょうか?
そこには、日米の原子力政策を巡る、虚々実々の駆け引きが隠されているのです。
簡単に言えば、東芝はアメリカにはめられたということです。
なぜ東芝はアメリカの原子力事業に参入したのか?
ことの発端は、2006年のことです。
この年、東芝は、アメリカの原子炉メーカーのWH社を買収しました。
なぜ買収したかというと、東芝はアメリカの原子力事業に参入したかったからです。
当時、アメリカは、原子力発電に再び脚光が浴びせられ、「原子力ルネッサンス」というような状況にありました。
アメリカは、1979年のスリーマイル島の事故以来、30年間、新規の原発建設を認めていませんでした。
が、環境問題の世論の高まりや、電力コスト高などの影響を受けて、原発回帰の機運が生まれてきたのです。
東芝は、この話に飛びついたのです。
東芝が、WHを買収したのは、この「包括エネルギー法」成立の翌年のことなのです。
順調なWH社
WH社は、アメリカでは最大級の原子炉メーカーでした。
既存のアメリカの原子炉の多くは、WH社によるものであり、そのメンテナンスだけで莫大な収益を上げていました。
WH社は、アメリカの原子力政策にも精通しており、原子力発電を規制していた「アメリカ原子力規制委員会(NRC)」ともツーカーの仲だとされていました。
そのためか、東芝の買収後、WH社は、次々にアメリカの新規の原子力発電所建設を受注しました。
2008年4月、WHは、アメリカ・サザン電力の子会社であるジョージア電力(ジョージア州)と、2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結しました。
さらに2008年5月には、WHはアメリカ・スキャナ電力の子会社であるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス・カンパニー(SCE&G)と2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結しました。
また中国でも2007年に4基の建設を受注していました。
ここまでは東芝の目論見通りだったといえます。
しかし、この事業計画は順調には進みませんでした。
ご存知のように、2011年に東日本大震災が起きてしまったからです。
福島第一原発の事故により、WHの原発建設の着工は大幅に遅れました。
サザン電力、スキャナ電力のいずれの原発も、2011年に着工の予定でした。
しかし、アメリカ原子力規制委員会(NRC)の承認がなかなか下りなかったのです。
もともとアメリカでは、2001年の同時多発テロの影響で、飛行機が激突しても耐えられるような厳しい設計基準がありました。
それに加えて、福島第一原発の事故を踏まえ、巨大な自然災害にも耐えられるような安全性が求められるようになったのです。
そのため、NRCの承認が下りたのは、ようやく2012年のことなのです。
そして、着工されたのは2013年です。
もちろん設計の変更や工期遅延により、莫大な追加費用が発生しました。
この費用負担を巡って発注元の電力会社や建設請負をしている会社「S&W」と訴訟騒ぎとなり、着工はさらに遅れることになりました。
電力会社がS&Wの買収を要請した
このとき電力会社側が、ある提案をしてきます。
スキャナ電力など、アメリカの電力会社側が、東芝(WH)にS&Wの買収をすることを求めてきたのです。
電力会社側の言い分としては、「建設側の企業が入り組んだ状態となっているので、建設工事が進めにくい」ということでした。メーカーと建設業者が一体となって工事を進めることで、今後のスケジュールをスムーズに進めてほしい、というのです。
この言い分は、一見まっとうに聞こえますが、よくよく検討すると非常に不自然なのです。
原子力発電所の建設に、いくつもの企業が参加するというのは当然のことであり、一グループだけで建設をすべて請け負うのはそれほど多くありません。
だから建設側に「一体化しろ」と要求するのはおかしな話です。
しかし電力会社側は、「東芝(WH)がS&Wを買収し一体化すれば、契約金額や工事期間の見直しに応じる」とも言ってきたのです。
東芝はその甘言にまんまと引っかかってしまったようなのです。
固定価格オプション
東芝(WH)は、S&W社を買収することに合意し、それとともに、電力会社と今後の建設費などの見直しの契約もしました。
その見直し契約には、固定価格オプションという取り決めがされていました。
固定価格オプションというのは、スキャナ電力は、工事費に5億500万ドル(約564億円)を上乗せし、2年程度、工事期間を延長する契約変更に応じますが、その後の超過コストはすべてWHが負担するというものです。
WHが負担するということは、つまりは実質的に親会社の東芝が負担するということです。
超過コストがあまり発生しなければ、東芝にうまみがあります。
でも、超過コストが発生すれば、東芝は際限なく負担を強いられることになります。
では、超過コストはあったのでしょうかなかったのでしょうか?
ご存知のような、約7000億円という莫大な超過コストがあったのです。
しかも、それは、S&Wの買収時点で、すでに発生していたのです。
東芝は、S&Wが抱えていた超過コストについて、知らなかったものと思われます。
なぜなら、7000億円もの超過コストがあるのがわかっていれば、買収などしないでしょうし、固定価格オプションなども結ばないはずです。
なぜ東芝は、S&Wが超過コストを抱えていることに気付かなかったのでしょうか?
それはアメリカ側の官民が結託した隠蔽工作があったからだと考えられます。
巧みに隠蔽された巨額の超過コスト
S&Wは、もともとはアメリカの建設会社大手のショー・グループが所有していました。
東芝は、このショー・グループからS&Wを買収したのです。
買収する際、S&Wの持ち主であるショー・グループは、S&Wには10億ドル以上の運転資金があることを約束していました。
10億ドルの運転資金があるということは、10億円の黒字があるということです。
東芝は、それを信じてS&Wを買収したわけです。
そして、アメリカの監査法人なども、ちゃんとそれを証明しているのです。
なのに、なぜS&Wは超過コストを抱えていたのでしょうか?
実は、S&Wは、東芝(WH)から買収される時点では、「会計上の超過コスト」は発生していなかったものと思われます。
S&Wの損金が発生するのは、電力会社が固定価格オプションを発動してからなのです。
前述したように、スキャナ電力は、東芝がS&Wを買収した時点で、固定価格オプションという契約を結びました。
しかし、この固定価格オプションは、しばらく発動されませんでした。
発動するかどうかは電力会社に委ねられていたのです。
つまり固定価格オプションは、まだS&Wの買収時点では「有効」にはなっていなかったのです。
S&Wは、買収された時点で、潜在的に70億ドル程度の損失を抱えていましたが、固定価格オプションが発動されていないので、この損失は、帳簿上はまだ損失という扱いにはなっていなかったのです。
S&Wの原発建設による追加費用は、当初はS&Wにとっては売上として計上されていたはずです。
S&Wは、建設業者であり、建設工事が伸びたり、追加工事が発生すればその分、売上が増えることになります。
だから、工事の遅延代金や追加工事の代金は、当然、売上に計上されていたはずです。
この追加代金は、電力会社が払うかも知れないし、WHが払うかもしれない。
が、いずれにしろ、S&Wにとっては、追加工事は「売上」であり、損失ではなかったのです。
が、東芝が買収してから半年後、スキャナ電力は固定価格オプションを発動しました。
これにより、追加工事の費用のほとんどがWHにつけられることになります。WHにつけられるということは、つまりは東芝につけられるということです。
この時点で、S&Wは東芝に7000億円の損失をもたらしたのです。
だから、売り主のショー・グループとしては、「売却する時点では、70億ドルの損失はなかった」と強弁できないこともないのです。
こうしてみると、アメリカの電力会社とショー・グループは、一体となって東芝をはめたとしか見えないような構図です。
丸儲けしたアメリカの電力会社
東芝が窮地に陥ったのは、S&Wという大赤字会社を騙されて買収させられたからであり、S&Wが大赤字になったのは、固定価格オプションを結ばされてしまったからです。
通常、新しい原発の建設は費用超過がつきものなので、その負担は電力会社と受注企業が分担するのが通例となっています。
しかし、サウスカロライナのスキャナ電力の場合、超過コストをほとんど負担していません。
スキャナ電力と東芝(WH)が、当初結んでいた原発建設契約の総額は約76億ドルでした。
固定価格オプションによって追加費用を支払っても、総額は約77億ドルです。
数十億の追加コストが発生しているのに、スキャナ電力の負担はほとんど増えていないのです。
東芝は、アメリカ側の巧妙な策に引っ掛かってとんでもないババを引かされてしまったのです。
しかも、さらに腹立たしいことがあります。
アメリカ側のスキャナ電力は、原発建設の超過コストを、ちゃっかりを電気料金の中に組み入れているのです。
つまり、スキャナ電力は、住民から超過コスト代をせしめていながら、超過コストの負担は一切していないのです。
スキャナ電力のあるサウスカロライナでは、電力料金は、総括原価方式という価格設定方法が採られています。
アメリカでは、州によって電力料金の決め方が違っており、大まかに言って「総括原価方式」「電力自由化」の二つの地域がありますが、サウスカロライナは、「総括原価方式」を採っているのです。
総括原価方式というのは、電力をつくるためにかかったコストに、一定の利潤をプラスして決められるものです。
当然のことながら、発電所の建設費も、この原価に含まれることになります。
東芝(WH)に原発建設を発注しているスキャナ電力は、2009年以降、電気料金を9回も値上げをし、18%増となっています。
これは、原発建設の費用がかさんだために、電気料金に転嫁するという建前になっています。
が、前述したように、スキャナ電力は、当初の原発の建設の契約額から、ほとんど上乗せはしていません。
つまりは、スキャナ電力は、丸儲けしたということなのです。
2005年から始まったアメリカの新原子力発電事業は、2010年のシェール革命によるガス発電の大躍進と、2011年の福島第一原発の事故により、大きく後退しました。
そして、建設中の原発は、巨大なコスト超過により、大きな損失を蒙りました。
現在、その損失を、全部、東芝一人が背負わされてしまったという構図になっています。
東芝が破綻しかかっているのは、それが本当の原因なのです。
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■東芝は米国にハメられた。原発買収で起きていた不可解なやり口
まぐまぐニュース(2017.06.16)
https://www.mag2.com/p/news/253234
コロナ過で大きく力をつけているのが「外資系ファンド」だと言われています。
特に米英系の投資ファンドは雪だるま式に資金を増やし、すでに一国をも買収するほどの力をつけているとも言われています。
資本主義では、証券市場で企業を買収することが可能です。
資金力がある組織が、あらゆる上場企業の株式を購入でき、その企業を買収することも可能です。
つまり「乗っ取り」されることができる仕組みが、株式公開している企業の宿命とも言えます。
コロナ過で、膨大な資金力を増幅した外資系ファンド。
今や、多くの日本企業をも、飲み込むことも可能で、大きなリスクを抱えています。
すでに、日産自動車、ソニーもほぼ外資系に変貌。
外資系ファンドが多くの株式を所有することで、人事面にも大きな影響を持ち、50%以上の株式を保有することで実質支配されてしまいます。
メーカーだけではありません。
例えば、製薬企業も大きなリスクを抱えます。
外資系ファンドが日本製薬企業の支配を強めてしまうことで、外資系巨大製薬企業の「思惑」で日本企業の経営判断を促すというリスクも考えられます。
ワクチン開発や製薬方針、製薬技術など、日本人の健康や生命にまで影響が及ぼしかねません。
さらに、半導体も大きなリスクです。
「産業のコメ」と言われている半導体は、家電・自動車・スマホなど私たちの生活になくてはならない「製品の生命線」です。
半導体を自国で作ることができなければ、海外輸入に頼らざるを得ません。
コロナ過の現在、供給リスクは、日本の製造業の大きな生命線でもあります。
この半導体日本企業も、乗っ取りの対象となりかねません。
今や製造業、特に自動車産業に大きく頼っている日本。
まさに、一本足の日本経済の状況下、日本崩壊にもつながっていきます。
そして「買収されるリスク」だけではありません。
「買収するリスク」も昨今急増しています。
特に、大きな金額での米英企業の買収で、大きな損失が出ているケースが増加しています。
他国政府筋からの紹介などで成立する大型買収ですが、なぜか、その後大きな法改正などで多額の損失を計上、買収したその企業を手放さなければならない事態に至ってしまっています。
その数千億円の損失で日本経済にも影響を与えているのですが、なぜか日本政府はサポートなしの無関心。
多くの企業が「謎の大損失」を被り、企業弱体化の道を辿っています。
私たちが働いている、その企業は、大丈夫でしょうか。
多国籍企業、そして外資系ファンドが暗躍する日本経済。
他国の、外資系の大きな力で、日本企業の組織意思決定が「国益」ではない方向に動いていないでしょうか。
日本経済が弱体化している昨今。
何も考えずに、ただ傍観しているだけでは、日本企業の存続、日本経済の存続、そして「日本」の存続が危ぶまれます。
“私たちの職場”、そして“日本そのもの”が、あらぬ方向に進んでいくのかもしれません。
最後に、2つの記事をご紹介いたします。
ご参照ください。
■ソニーや三井不動産も実質外資 乗っ取られた日本企業35社
「アベノミクスは円安や官製相場によって株高をつくり出しましたが、その副作用で日本の優良企業は海外ハゲタカの餌食になっているのです」
日刊ゲンダイ(2017/08/04)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/210737
■日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?
~狙われる日本人の金融資産~
「アメリカは日本の金融資産に狙いをつけ、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる」
「アベノミクスからTTP問題で日本の富を奪う」
ベンジャミンフルフォード(2016年)
https://books.rakuten.co.jp/rb/13255294/
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