■日本のTPP交渉はコメで負け、自動車で負けた
安倍首相は自国民よりアメリカを重視?
東洋経済 2015/10/03 安積明子
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日本を含む環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加した12カ国は10月5日、「交渉が『大筋合意』に達した」とする声明を発表。
これを受けて6日午前10時、安倍晋三首相は会見で「かつてない規模の人口8億人、世界経済の4割近くを占める広大な経済圏。その中心に日本が参加する。TPPはまさに『国家百年の計』だ」と胸を張った。
ところが、そもそもTPP交渉に前向きに取り組んでいた民主党は、この合意に強い反対の声をあげている。
いまだ多くの国民の間に”民主党アレルギー”があるものの、今回、彼らの主張は、筋の通ったものにみえる。
歓迎論も多いが、大筋合意には問題が多いのだ。
・「ウソつかない、TPP断固反対、ブレない」
10月8日に開かれた野党・民主党のTPPに関する関係部門合同会議。
『大筋合意』の内容について、内閣官房TPP政府対策本部をはじめ関係省庁が説明に出向いた。
だが多くの議員はそれには全く納得していない。
「安倍首相は自民党総裁として2012年の衆院選で『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない』というスローガンを挙げ、参加に断固反対と言って戦った。なのに勝ったら3カ月後にはもう参加を表明。『聖域を確保する』と言い、その聖域とは国民の死活問題だとしながらも、結果的には農家を廃業に追い込んでいる」。
最初に手を挙げたのは黒岩宇洋衆院議員だ。
自民党が2012年の衆院選で使用したポスターのコピーを掲げ、地元の養豚農家の窮状を訴えた。
「アメリカのルールに従うというのなら、そのルール通りに協定書を早く出してくれ。条文の翻訳はいつ出してくれるのか」。
官僚たちにこのように注文を付けたのは篠原孝衆院議員。
元農水官僚でTPP反対派の最右翼として知られている。
民主党は野田政権時にTPPに参加する方針を表明している。
しかし、この度の「大筋合意」の内容に対しては、党内で反対の声が渦巻いている。
7日の会見で枝野幸男幹事長は、「製造業でメリットがとれていないのに、農業で譲歩してしまった」と政府を厳しく批判した。
「今回の『大筋合意』なるものは、とうてい国益にかなっているとは思えない」民主党の玉木雄一郎衆院議員がこう述べている。衆院農水委員会理事を務める玉木氏は、10月1日にはアトランタに立ち寄り、会合の様子を観察してきた。「この時、日本の代表団はとてもヒマそうにしていた。すでに“闘い”を放棄しているように見えた。守るべきところを守らず、攻めるべきところは攻め切れていない」。
確かにその内容を見ると、「完全な敗北」といっていい。
たとえば日本の農業にとって最も守るべきとされるコメについては、既存のWTO枠77万トンに加え、新たにアメリカから5万トン(13年目以降は7万トン)、オーストラリアから0.6万トン(13年目以降は0.84万トン)を輸入することになっている。
「いまは日本の食用米が余っている。農家に1アールあたり10万5000円の補助金を出して、わざわざエサ米を作らせている状況だ。これ以上外国から食用米を輸入すれば、備蓄バランスが大きく崩れ、最終的にはコメを安価に大量放出しなくてはならず、その差額は税で埋めることになる。これではかつての食糧管理制度に逆戻りになってしまう」(玉木氏)
さらに豚肉の関税が実質ゼロになることで、養豚業者の経営が苦しくなり、廃業も増えると見込まれる。
エサ米を一番消費するのは豚なので、そうなればエサ米も売れなくなる。
日本の主食たる米に、「悪夢の循環」が生じることになるのだ。
・自動車にとっても厳しい
また「日本の主要な産業である自動車にとっても、非常に厳しい状況になる」と玉木氏は述べる。
とりわけネックとなっているのは関税をゼロにする条件である「原産地規定」だ。自動車の場合は、どのくらいの部品を域内調達するかということを意味する。「日本の自動車の部品の多くは、コストの安い中国やタイ、インドネシアといったTPPの域外から調達しており、域内調達は40%くらいだろう。一方でNAFTAの域内調達割合は62.5%で、極めて高い。最終的に55%で合意したが、日本はかなりの部分をTPP域内に移さなければならなくなる。攻めるべきところで攻め込まれている」(玉木氏)
自動車産業のために、もっと強く日本の要望を主張するべきだった。
一方で、国益を守ろうと最後まで戦っていたのが、ニュージーランドやマレーシア、チリなどの国だという。
「ニュージーランドは乳製品と医薬品で、チリは医薬品部門で大国のアメリカ相手に最後まで粘っていた」(玉木氏)
とりわけバイオ医薬品の保存データ期間を5年以下にすることを主張していたチリは、日本政府代表の甘利明経済財政担当大臣が「大筋合意の発表は整った」と楽観視して記者団に発表した後でも、粘りに粘っていた。
ペルーも同じだ。
そして12年の期間を主張したアメリカから、8年の期間を勝ちとっている。
「このように、小国が頑張っていた。私はこのTPPの交渉の最後は、アメリカと日本の対決にしてほしかった。なのに、甘利大臣はまるで議事進行係のようで、闘う当事者にはとうてい見えなかった」(玉木氏)
確かに甘利大臣は「大筋合意」を急ぐあまり、乳製品を巡って対立していたニュージーランドとアメリカに話し合うように「強い申し入れ」をしていたのだ。
果たして「大筋合意」はどのようなメリットを日本国民にもたらすのか。
民主党政権時の試算によれば、10年間に3.2兆円という数字が出ている。
しかしその前提が大きく変わった以上、もう一度計算をやり直すべきではないか。
・自国民よりアメリカを重視?
「大筋合意」の衝撃は、日本の農政の構造にも大きな変化を与えそうだ。
10月6日付けの日本農業新聞の1面トップに、「『聖域』大開放」の大きな見出しが躍った。農村に地盤を持ち、来年改選を迎える自民党の参院議員からは、「これでは選挙は戦えない」との悲鳴が聞こえている。
「大筋合意」に関しては、野党は秋の臨時国会での審議を求めているが、これには与党は消極的で、11月9日から11日までの閉会中審査のみを提案している。
これはゆゆしき国会軽視、日本国民軽視だと玉木氏は主張する。
「こんな重大な案件が、衆参でたった3日間の審議なんて信じられない。そもそもまだ条文すら出されていないし、内容についてもきちんとした説明がない。また安倍首相は4月に訪米した際、連邦議会上下両院で演説したが、この時にTPPをなしとげることを表明している。これはあの安保法制と全く同じ構図だ。安倍首相は自国民よりアメリカを重視しているのか」
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日本のTPP交渉はコメで負け、自動車で負けた
安倍首相は自国民よりアメリカを重視?
東洋経済 2015/10/03 安積明子
https://toyokeizai.net/articles/-/87681
■「日米貿易協定は日本の大勝利」と豪語する安倍政権のフェイク
週プレNEWS 2019/11/29
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日米貿易協定が19日、衆議院本会議で可決された。
参議院が30日以内に議決しない場合、野党の反対で参院で議決できなくても、条約は衆院の議決がそのまま国会議決となるため、12月には承認となり、来年1月にも新しい日米貿易協定が発効するだろう。
だが、この条約は日米史に残る日本の大敗北である。
それを明らかにしたのが11月17日付の朝日新聞朝刊1面の記事だ。
これまで政府は協定が発効すれば対米輸出(アメリカへの輸出)の際に日本がアメリカに納める関税額は2128億円減るが、対米輸入(アメリカからの輸入)にアメリカが日本に納める際に減る関税額は1030億円なので、差し引きでは「倍くらいの日本の勝ち越しになる」(渋谷和久内閣官房政策調整統括官)と大宣伝してきた。
だが、これはとんでもないフェイクだ。
この政府試算では、対米輸出における乗用車や自動車部品(どちらも主に税率2.5%)の関税撤廃分が含まれている。
しかし、日米合意文には「自動車関連の関税撤廃はさらに交渉する」とあるだけで、その撤廃は確約されていないのだ。
朝日の試算では、自動車関税撤廃がなければ、日本がアメリカに支払う関税の削減額は260億円。
これは対米輸入の削減額である1030億円の4分の1にすぎない。
前出の政策調整統括官の言葉に倣えば、「4倍くらいの日本の負け越し」である。
にもかかわらず、安倍首相は「トランプ大統領とはウィンウィンの良い交渉ができた」と国民に説明し、胸を張っているのだ。
しかも問題は、この貿易協定には”第2ラウンド”があることだ。
今回の合意は農産品や工業製品など、主に物品の関税に関するものが中心で、為替条項やサービス貿易などは第2ラウンドの協議に先送りされている。
実は、アメリカ側が自動車関税撤廃を堂々と拒否することができることはほとんど報じられていない。
その根拠は、昨年の日米共同声明だ。
声明の第5項には「交渉結果がアメリカの自動車産業の製造および雇用の増加を目指すものであること」というアメリカの立場を日本政府は「尊重する」という一文がある。
関税撤廃は、アメリカの自動車産業の製造および雇用にマイナスだから、この合意文を盾にすれば、アメリカは簡単に日本の要求を拒否できるのだ。
しかし、それでは安倍政権のこれまでの説明が大ウソだったとバレてしまう。
その失態を隠すには、泣きついてでもアメリカに関税撤廃交渉をしているふりをしてもらうしかない。
もちろん、その代償は高い。
日本は第2ラウンドの協議において、サービス貿易分野での新たな妥協を強いられるはずだ。
しかも、そこで日本が譲歩しなければ、またぞろ「自動車への25%追加関税」をかけるぞと脅されるだろう。
そうなれば日本譲歩の可能性はさらに高まる。
これとは別に、アメリカは新たに在日米軍への思いやり予算の4倍増を要求している。
トランプ政権のゆすりとたかりに終わりはない。
本来ならば、対米追加関税リストをぶち上げて対抗するくらいのことをやるべきなのだが、トランプ盲従の安倍政権には無理な注文だ。
日米交渉は日本の大敗北で終わるだろう。
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「日米貿易協定は日本の大勝利」と豪語する安倍政権のフェイク
週プレNEWS 2019/11/29
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2019/11/29/110214/
■極秘のはずのTPP交渉内容が米議員に全面公開! 日本はまた「不平等条約」に泣くのか
2015年4月20日 週プレNEWS
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交渉に参加している国12ヵ国に課された「厳しい守秘義務」によって、具体的な中身は一切明らかにされないまま水面下で交渉が続くTPP(環太平洋パートナーシップ)協定。
メディアはもちろん、その内容に直接関連する業界団体関係者や各国の国会議員にすら「極秘」なのだが、ところが今アメリカでは国会議員に対してTPP交渉の内容が全面的に開示され、議員なら誰でも文書を閲覧できるようになっているという。
「極秘」とされているはずの交渉内容が、なぜアメリカの議員にだけ「全面開示」で、日本の議員には公開されないのか?
そのウラ事情を探った。
・交渉内容を開示してオバマが得たいもの
3月18日、アメリカ通商代表部(以下、USTR)のマイケル・フロマン代表がTPPの交渉内容を自国の国会議員に対して全面開示する方針を明らかにした。
USTRのホームページによれば、アメリカの国会議員は交渉に関するすべての文書はもちろん、今後アメリカが提案する内容についてもチェックできるようになるのだという。
これまで「秘密交渉」が原則といわれていたTPP。
なぜ、アメリカは議会への情報開示に踏み切ったのか?
「USTRの狙いは、議会が貿易交渉の権限を大統領に委ねるTPA(大統領貿易促進権限)の取得です。情報開示に踏み切り、議会からTPAの同意を得たいのです。TPP早期妥結を図りたいアメリカ政府がそれだけ追い詰められているともいえます」
そう語るのはTPP交渉をウオッチし続けているアジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子(しょうこ)事務局長だ。
「アメリカの議員はこれまで自分に関係のある分野に限定して、交渉内容の要約を見ることしか許されませんでした。それもUSTRの部屋に招き入れられ、持ち出し禁止の条件をつけられていました。それでも、何も知らされていない日本の国会議員に比べればマシだったわけですが、今回はアメリカの全議員がTPP交渉に関する文書を全面的に閲覧できるというのですから私も驚きました。TPP交渉は今、オバマ大統領が議会からTPAを取得できていないために暗礁に乗り上げています。秘密交渉に不満を持つ議会に対して情報を開示し、TPA取得のための突破口にしたいというのがUSTRの本音でしょう」(内田氏)
なるほど、開示に踏み切ったアメリカ政府の事情はわかった。
でも、なぜアメリカだけが自国の都合で開示できたのか? 内田氏が続ける。
「そもそもTPPが秘密交渉になったのはアメリカの強い意向があったからです。その結果、各国には厳しい守秘義務が課されてきました。しかも、その守秘義務契約の中身も秘密ですから一体どこまでが秘密なのかすら外部からはわからない…。私もてっきり『交渉官は自国の国会議員にも交渉内容を明かしてはならない』と契約に明記してあると思っていたのですが、実際にはそうした規定はされていなかったということなのでしょうか。ただし、それならば日本の国会議員にも開示されなければおかしい、という疑問が出てくることになります」
実際、3月30日の参議院予算委員会では社民党の福島瑞穂(みずほ)議員が甘利明(あまり・あきら)TPP担当大臣を追及。
大臣は次のように答弁している。
「アメリカ政府も条約上の守秘義務を他国にきつく言っているところでありますから、すべて公表しますということが本当にそのまま通るとはなかなか額面どおり理解できない」
しかし、USTRはホームページ上で「TPP交渉の文書を全面開示する」と発表している。
もしこれで「額面どおりに」に全面開示しなかったらアメリカ議会が黙っちゃいないだろう。
さらに甘利大臣は「当然、アメリカと日本の秘密保持義務のかかり方も違ってくると思いますから」とも発言。コレって…。
「もしかすると、アメリカと日本ではTPPの守秘義務契約が違ったのではと私は考えています」(内田氏)
つまり、TPP交渉の前提条件である「守秘義務」の部分で、日米間では不平等な契約が交わされていた可能性が否定できないのだ。
ちなみに内田氏によれば、日本とアメリカでは貿易交渉の権限に関して異なる部分があるという。
合衆国憲法においては本来、権限は議会にある。
一方、日本は交渉の権限を持つのは政府なのだ。
しかし、たとえ日米間で権限の持ち主が違っていたとしても、一方の国の議員だけ交渉内容を見られ、もう一方ではまったく見られない、そんな環境で進む交渉が果たしてマトモな交渉と呼べるだろうか?
日本政府はまずアメリカと同条件での開示をすべきだ。
・日本から収奪できる自信と目算がある
ところで、アメリカではオバマとUSTRのシナリオとは逆に、交渉の中身を知った議会から「TPP反対」の声が上がり、オバマが熱望するTPA取得の障害になる、という心配はないのだろうか?
「その可能性はありますが、USTRはここで一気に勝負に出たのだと思います。アメリカの描くシナリオは、今回の情報開示で議会からTPAの承認を得て、一気に日米交渉を妥結させること。後はその勢いで年内の包括合意にもっていけると考えているのでしょう。もちろん、まだ意見の対立があるマレーシアやカナダなどいくつかの国が最終的にTPPからの離脱を決断する可能性もありますが、日本さえ巻き込めれば、それでも構わないというのがアメリカの本音のはず。現実問題として、TPP交渉に参加している国で貿易額が突出しているのは日米です。アメリカにとっては、日本の市場からいかに自分たちの利益を引き出せるかが何よりも重要なのです。議会に交渉内容を開示し『日本の市場からこれだけの利益をアメリカに引っ張ってこられる』と示すことができれば、最終的には議会もTPPに賛成するだろう…という目算がフロマン代表にはあるのではないでしょうか」(内田氏)。
仮にこの目算が成り立つなら秘密のベールに包まれた日米TPP交渉の中身が、現実には誰の目にも明らかに「アメリカ有利」になっているとしか思えない。
虎視眈々(こしたんたん)と「日本市場」の収奪を狙うアメリカと、守秘義務の壁に阻まれ目隠しされた日本の国会議員。
幕末の開国時と同じように、TPPという黒船来襲で日本はまた「不平等条約」に泣くコトになるのだろうか?
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極秘のはずのTPP交渉内容が米議員に全面公開! 日本はまた「不平等条約」に泣くのか
2015年4月20日 週プレNEWS
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2015/04/20/46654/
■「日米貿易協定の交渉は日本の全面敗北」のワケ
ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」2019-11-20 森永卓郎
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・日米貿易協定承認案が衆議院で可決
日本とアメリカの新たな貿易協定の承認案が、衆議院本会議で与党などの賛成多数で可決した。
日本は環太平洋連携協定の水準の範囲内で農産物市場を開放し、アメリカは自動車・同部品を除く工業品関税を撤廃、削減するというもの。
政府与党は2020年1月の発効を目指す。
垣花)日米貿易協定承認ということですが。
森永)これはあまり話題になっていませんが、日米貿易協定の交渉は、日本の全面敗北に終わりました。
垣花)敗北と言っていいですか?
森永)はい、完敗です。TPPにアメリカが入って、12ヵ国でつくっていました。そこで日本は牛肉や豚肉、ワイン、チーズの関税を下げますと。その代わりアメリカも日本から輸入する自動車の関税を、先になりますが、完全撤退しますということで取引しました。
垣花)これがTPPであれば、ですね。
森永)ところが、TPPからトランプ大統領が勝手に抜けてしまった。もう1度交渉して何が起こったかと言うと、日本は農産物をアメリカと同じように関税を下げますと。しかしアメリカは、自動車に関しては一切撤廃しない。
垣花)関税の撤廃は継続協議になったと、強く押し出していますよね。
・自動車の関税撤廃する気は1ミリもないトランプ大統領
森永)継続協議にしないといけません。WTOの精神は自由貿易なので「継続協議」はしますが、トランプ大統領は撤廃する気は1ミリもありません。
垣花)総理の説明では、撤廃が前提なのでご安心くださいというものですよね。
森永)日本はそう言いますが、トランプ大統領には一切ありません。
垣花)トランプ大統領はそんなつもりはない?
森永)ありません。日本から輸出するときは、乗用車が2.5%とあまり高くないのですが、ライトトラックと言われるランドクルーザーのような車には、25%も関税をかけています。これを撤廃する気はまったくありません。アメリカは田舎が多いので、ライトトラックが大きなマーケットを占めています。車販売のベスト10の半分くらいがライトトラックです。日本のライトトラックは優秀なので、入れないために関税を課しているのです。それをなくすという約束だったのに、トランプ大統領はなくす約束をとらずに降りてしまいました。そして、貿易協定に署名しないと日本の自動車に数量規制をかける、制裁関税をかけると言って、圧力をかけて来たのです。その圧力に屈して、日本だけが関税を下げるということになったのです。
垣花)森永さんの見立てだと、日米貿易協定は完敗以外の何ものでもないと。あまり問題になっていないのはなぜですか?
森永)トランプ大統領がやるのだからしょうがないと、みんなが思い始めてしまっているのではないでしょうか。
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「日米貿易協定の交渉は日本の全面敗北」のワケ
ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」2019-11-20 森永卓郎
https://news.1242.com/article/189905
■日米貿易協定は「4倍の負け越し」の不平等条約だ
安倍首相の「双方にとってウィンウィンとなる協定」を独自試算で否定する!
論座(朝日新聞)2019年11月22日 大日向寛文
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農水相「もっと自動車を取らせろ」「もっと自動車の関税引き下げをとらせろ」
日米貿易交渉が佳境を迎えた8月、吉川貴盛農水相(当時)は、農水省の交渉担当者にげきを飛ばした。
トランプ大統領の公約通り米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して、日本に求めてきた二国間交渉。
当初は農家に「TPPを上回る関税引き下げをのまされる」との懸念が広がったが、この頃までに、関税引き下げはおおむねTPPと同じかそれ以下にとどめる内容で固まっていた。
農水省からすれば「御の字」だ。にも関わらず、吉川氏が危機感をあらわにしたのには訳がある。
日本にとって農業が「守り」の交渉ならば、「攻め」の交渉になるのが自動車関連。その自動車関連で、「TPP協定でも『取った』と言い切れなかった関税撤廃が、全くとれなくなる交渉結果」(交渉関係者)になっていたからだ。
議論を整理してみよう。
TPPでは自動車部品の関税(主に2.5%)こそ大部分の品目で即時撤廃の約束をとりつけたが、肝心な乗用車の関税(2.5%)の段階的な引き下げが始まるのは15年目。撤廃されるのは25年目だった。
「こんなに先だと、その間に事情が変わって、再交渉で約束が反故にされるのが目に見えていた」(交渉関係者)
だが、10月に署名された日米貿易協定では、自動車関税の撤廃は風前の灯火になった。乗用車も自動車部品も、米国側の協定の付属書には「関税撤廃に関してさらに交渉する」としか書き込まれなかった。撤廃時期は触れていない。
「『農産品は譲りすぎだ』との批判がわき起こるのは目に見えている」
吉川氏ら農水省幹部は、こんな心配に包まれた。
日本政府の説明は、全く違った。
交渉トップを務めた茂木敏充外相は「関税撤廃は協定に明記されている」と繰り返し発言してきた。
協定では「付属書の規定に従って、市場アクセスを改善する」とも書かれている。
付属書の「関税撤廃に関してさらに交渉する」と合わせて読めば、関税を撤廃することは約束されている、という理屈だ。
しかし、関税撤廃が単なる交渉事項ならば、実施されなくても、「規定に従った市場アクセスの改善」をサボタージュしたとは言えないはずだ。
交渉に直接携わっていないある中央省庁幹部に聞いてみた。答えはこうだった。
「典型的な合意できない場合の外交文書の書き方ですよ。両国が違う説明ができる玉虫色の文言で合意したふりをするが、その文言では相手を拘束できず、意味をなさない」
私は、高尚な文言の解釈は意味がないと思っている。
米国の関税決定は米国の国家主権だ。自動車関税を引き下げる権限が日本政府にない以上、日本政府がどう説明するかは関係ない。
本質は、米政府がこの条文を「自動車関税撤廃を約束した」と認識しているかに尽きる。
ところが、米国は、協定の説明でこの点に触れていないのだ。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は9月下旬の協定の最終合意直後、記者団に「(協定に)乗用車や自動車部品は含めなかった」と話した。
その後も、「米国は関税撤廃をする約束をした」と言っていない。
こんな状況でもし米国政府が「協定に書いてあるとおり自動車関税を撤廃する」と言い出したら、米国民は「聞いていない」と反発するのは必至だ。
そもそもトランプ政権がいつまで続くとも限らない。
口頭でどんなやりとりがあったかはわからないが、文書で明記されていないことを、未来の大統領が「約束」と認識し、履行すると考えるのはかなり無理があると思う。
・都合が悪いデータは隠したまま
政府の様々な試算はみな、自動車関税の撤廃が実現したことを織り込んで計算している。
例えば、日米両国の関税削減額だ。
・日本が米国に輸出する際の削減額 2128億円
・米国が日本に輸出する際の削減額 1030億円
これをもとに、内閣官房の渋谷和久・政策調整統括官は、「倍ぐらいの(日本の)勝ち越しだ」と説明する。
安倍晋三首相も「双方にとってウィンウィンとなる協定となった」と成果を強調してきた。
野党は国会審議で「自動車関税撤廃は約束されていない」として、自動車を除く関税削減額の公表を求めてきたが、政府は拒み続けてきた。
理屈は「撤廃することになっているので交渉結果に反する」。
11月19日に衆院で協定の承認案を可決し、参院審議が始まった。
日本は戦後、自由貿易を進めるブレトン=ウッズ体制のもとで成長してきた。
私は相互に関税を引き下げる貿易協定は、大いに進めるべきだと考える。
ただ、政府が不都合なデータを国民に隠したまま、国会が承認するのは、正しい政策決定のプロセスとは言えないのではないか――。
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日米貿易協定は「4倍の負け越し」の不平等条約だ
安倍首相の「双方にとってウィンウィンとなる協定」を独自試算で否定する!
論座 2019年11月22日 大日向寛文
https://webronza.asahi.com/business/articles/2019112100008.html
■日本破滅への不平等条約だった!? 誰でもわかる! TPPのココがおかしい
Business Journal 2016.10.19
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・遺伝子組み換え食品のターゲットは日本市場だ
三宅洋平(以下、三宅) 今日はTPP協定についての対談ということでよろしくお願いします。
山田さんは、既に苫米地(英人)さんと素晴らしい対談をされていますが、TPPをめぐっては最近、協定文書や説明文書にたくさんの誤訳や表記ミスが見つかりましたね。
山田正彦(以下、山田) TPP協定文書は全部で6,300ページありますが、日本政府が翻訳しているのは1,800ページだけなんです。
今回見つかった間違いも、あくまでもその1,800ページの中だけでなんですね。
もともと、奇妙なことに、TPP協定文書には日本語の正文がないんですよ。
三宅 正文というのは、正式な条約文ということですか。
山田 ええ。このTPP協定というのは、多国間との契約ですが、そうした場合は通常、それぞれの言語で正本と副本を作成するんですね。
それで、正本はお互いに交換し、副本は参考資料として自分たちで控えておくんです。
ところが、今回のTPP協定に関しては、日本語だけが正文になっていないんです。
三宅 他の言語は正文になっているんですか?
山田 英語、フランス語、スペイン語にはなっています。
にもかかわらず、なぜ日本語だけ正文になっていないのかと関係者を問いただしたら、「政府が求めなかったから」というんです。
三宅 それはいつの政府ですか?
山田 現政権です。これは結構な問題で、日本語の正文がないと、結局、英語での解釈になってしまいます。
三宅 ということは、不平等条約ですね。
山田 そうです。
たとえば、農産物の関税撤廃については、英語で「撤廃」となっているところが、日本語では「関税措置」となっている。
「措置」と「撤廃」では全然違うでしょう?
そんな状態にもかかわらず国民に対しては、「農産物の重要5品目に関しては(関税撤廃から)守られた」と説明しているんですよ。
もし、TPP協定が日本語での正文になれば、政府は国民に本当のことを説明しなければいけなくなる。
そうすると国会審議がもたないし、国民も怒るでしょう。
実際、TPP交渉資料も全部黒塗りです。
三宅 ひどい話ですね。
TPP関連法案をめぐっては、もう今国会で承認されるかどうかという段階にまできているにもかかわらず、まだ多くの人に周知されているとは言えないし、かくいう僕も、あまりにも動き出すのが遅くなってしまったな、という思いです。
山田 ただ、今、大統領選を戦っているトランプ氏もヒラリー氏も、それぞれTPPには反対しているでしょう?
僕は、アメリカは批准しないのではないかと見ています。
TPP協定では、今年2月4日に署名式が行われましたが、この署名式から2年以内、つまり2018年2月3日までに参加12カ国のうち、6カ国、GDP85%以上の国の批准ができなければ発効できないことになっているんです。
三宅 ということは、日本とアメリカが入っていなければダメなんですね。
山田 そうです。
日本だけが入っていても、アメリカが批准できなければダメなんです。
日本では、自民党が、アメリカ大統領選が始まる前に強行採決すると言って野党の反発を買いましたが、今回判明した誤訳をはじめ、問題点がどんどん出てきています。
野党の中には、「最初の10日間に暴れるだけ暴れれば、審議時間切れになりますよ」と話している人もいます。
三宅 時間切れですか。
山田 前国会でも、与党はTPP承認案と国内対策の関連法案を提出しましたが、交渉過程について、中身を塗りつぶした黒塗り資料しか示せず、結局、継続審議になりました。
今国会でも、野党が10日間頑張れば、実質審議ができなくなる可能性が高いんですね。
それに、ここへきて、国民にもTPPに関する問題点が徐々に浸透してきていますから、安保法案の時のように、国会の外で反対運動が盛り上がれば、廃案にできます。
世論が変われば、国会も変わるでしょう。
三宅 ただ、そこまで国民が動くか、ハードルは高いですよね。
戦争法案の場合は、分かりやすいじゃないですか。
「戦争はイヤだ」って。
山田 たしかに、TPP協定に関しては、単に農業だけの問題だと誤解している人が多すぎます。
私は、「これは農業の問題じゃないんだ、国の形が変わる問題なんだ」と訴えてきました。
「日本の独立が失われる問題なんだ」と。
実際、これまでの通商条約とはまったく違う――条文を全部書き換えないといけないんですよ。
三宅 日本の法律のほうを、条約に合わせて変えなきゃいけない、と?
山田 そうです。
韓国は、 アメリカとFTA(米韓自由貿易協定)を結びましたが、もう条文を200本くらい書き換えていて、地産地消の学校給食もできなくなっています。
三宅 地産地消の学校給食を? なぜですか?
山田 「韓国版TPP」とも言われているFTAに沿えば、地産地消の学校給食は協定違反なんです。
というのも、FTAにもTPPにも、「ISD条項」と呼ばれる紛争解決制度が組み込まれていて、もし各自治体が、地産地消の学校給食を続けて、アメリカの企業が学校給食市場を獲得できない場合、このISD条項を使って韓国政府に損害賠償を求める可能性が出てくるんです。
協定では、平等な入札が約束されていますから、それに違反している、と。
ですから、FTA批准後の韓国の地方自治体では、「学校給食においては地元食材を優先的に使う」といった条例が次々と改正されているんです。
実際、米韓FTA におけるアメリカの狙いは、韓国の学校給食だったのでしょう。
・遺伝子組み換え食品のターゲットは日本市場だ
山田 現在の日本では、遺伝子組み換え食品は原則的に輸入禁止となっていますが、TPPが批准されれば、アメリカは日本に遺伝子組み換え食品の輸入を求めてくると言われています。
ただでさえ、「食の安全」については不安が多いのに、今回のTPP協定が恐ろしいのは、「各国の遺伝子組み換え食品の安全性の評価に関しては、利害関係人としての意見を聞き、それを考慮しなければならない」(第8章7条)と書かれていることです。
三宅 「利害関係人」というのは、例えば、モンサント社などの巨大バイオ企業のことですね。
山田 そうです。農薬の安全基準に関してはアメリカが一番ゆるいんですが、TPPでは、そこを基準にしてしまおうというんですね。
そもそも、このTPPを推進しているのは、多国籍企業なんです。
米カーギルやファイザー、モンサント……。そういう企業が農薬を作って、その売り込み先は日本市場と言われています。
三宅 日本なんですか。
山田 以前、アメリカを訪問した時に、全米小麦協会長から「これからは、小麦も遺伝子組み換え種子に切り替える」「アメリカでも遺伝子組み換え小麦に関しては抵抗がある。
だから、これはいわゆる日本がターゲットだ」とハッキリ言われました。
日本に輸出して日本に食べてもらうんだってね。
かつては、アメリカでも、「小麦だけは遺伝子組み換えはやらない」と言っていました。
アメリカの政府高官に、「では、なぜ大豆とトウモロコシではやったんだ?」と聞いたら、「あれは家畜が食べるものだから」と答えていたわけです。
ところが、その後、小麦でも開発に着手し、すでに遺伝子組み換え種子の稲がモンサントと住友化学の間で開発されています。
それはいつまでも青々としていて枯れないんだけど、気持ち悪いですよね?
そうした遺伝子組み換え食品に関して、TPP協定ではどう扱われているかといえば、第2章第27条で「未承認の遺伝子組み換え作物の紛争処理手続きを設ける」と書かれている。
さらに、未承認の遺伝子組み換え商品が入ってきた場合でも、早期に承認しなければならない、ということが書かれているんです。
三宅 そもそもTPP協定は遺伝子組み換え食品を推進していますし、アメリカ政府も、「遺伝子組み換え食品が身体に悪いということは科学的には立証されていないし、むしろ世界の人口増加に対応できる素晴らしい技術だ」という趣旨の見解を発表していますよね。
そうなると、日本政府がそうした考えを踏襲していく可能性は高いでしょうね。
今は、店で売られている豆腐の食品ラベルに「遺伝子組み換え食品ではありません」と表示されていますが、今後、それもなくなってしまうでしょう。
山田 そうです。
事実、アメリカでは、「ダーク法案(暗黒法。アメリカ人の知る権利を奪う法。DARK:The Deny Americans The Right to Know)」と呼ばれる、遺伝子組み換え表示をしてはいけないという法案が可決されそうになっています。
いずれは、日本もそうなってしまう危険があります。
三宅 国産かどうかさえも、表示しなくてOKになってしまうんですよね。
山田 ええ。TPP協定の条文を精査していくと、「表示をしてはならない」と読めますからね。
将来的には商品名などの単純表示しかできなくなるのではないという不安を覚えました。
カリフォルニアで、組み換え遺伝子を持ったブロッコリーを見たことがありますが、2週間経っても青々としているんです。
おそらく沖縄で作ったものであれば、3日間で黄色くなってしまうでしょう。
三宅 僕自身は日本人として、味噌や醤油、納豆、豆腐といった大豆食品の自給率が100%ではないという現状でさえ、なんとかならないものかと思ってしまうんですが、それとは程遠い世界になってしまうんですもんね。
遺伝子組み換えだろうが、産地がどこだろうが、「大豆は大豆でしょ」という、まるでモノクロの世界に……。
今、僕は沖縄・那覇の北部に住んでいるんですが、以前、山田さんに来て頂いた時、山田さんが畑のオクラを生のまま齧って食べたんですよね(笑)。
山田 あれ、オクラだったかな(笑)。
三宅 あそこは、広大な畑が広がっていて、野花が咲いていて、蜂がブンブン飛び回っていて。
そうしたら山田さんが、「ここに巣箱を置いたら、蜂蜜がとれるよ」って。
それを聞いたときに、さすが元農林水産大臣だな、と思いました(笑)。
僕、いつか養蜂をやってみたいと思っているんです。
実際、僕の世代では、慣行農法ではなく、オーガニックやナチュラルな農法で生計をたてたいといって、新しい「農」にチャレンジしている人が結構いるんです。
特に、震災、原発事故以降、生き方を探し始めた人たちがね。
ただ、そうした人たちが心配しているのが、もしTPPが批准されたら、家庭菜園のような小規模農家はどうなるんだろう、ということです。
実際、アメリカでも家庭菜園禁止法がすんでのところで可決されそうになりましたよね。
これまでは、政治運動には関わらず――農業って忙しいですし、田んぼを着々とやったりしていたほうがいいと思っていた人たちも、これは政治的にも止めなければ、TPPが批准されてしまったら、小規模農業ができなくなってしまうんじゃないかと危機感を抱いている。
遺伝子組み換え食物が持ち込まれてしまったら、オーガニックの食物も影響を受けてしまうんではないか――そういう不安を抱いている人は少なくありません。
山田 このままではそうなってしまうでしょうね。
農業の将来についてですが、たとえば今、ベトナムでコシヒカリを10万トン作っていて、それを5キロ50円で売っているんです。
5キロ50円ですよ。
それが日本に入ってきたら、日本の農業は太刀打ちできなくなる。
しかも、向こうは三毛作なんです。
20年も経てば、みんな稲作をやめてしまうでしょうし、消費者も安いほうを食べるようになってしまうでしょう。
三宅 みんなが安い外国産の米を食べるのが普通になれば、それに疑問を持つ人もいなくなるでしょうしね。
山田 そうです。ここ20年間で、魚屋さんや駄菓子屋さん、酒屋さんといった個人経営の小さなお店がどんどんなくなってしまいましたが、それも、大店法が廃止されてからです。
本来、農業や漁業というのは、アメリカのような企業型ではなく、ヨーロッパのように家族型でなければならないと思うんですね。
それで、農水大臣時代は、農家に対して直接、戸別所得補償制度を実現しました。
これによって、たった1年で所得が17%上がったことになる。
本当は、そうすれば、農業も漁業も日本の第一次産業は生き残ることができるんです。
・農業だけじゃない!公共事業は外資に、そして著作権法違反で恣意的逮捕が可能に!?
山田 しかしこのままいくと、日本から稲作文化が、祭りが、田舎が消えていってしまいます。
田舎に残されている学校なんかも消えていく。
僕の田舎でもずいぶん小学校が消えていきましたが、アメリカでは公立の小中学校が4年間で4,000校も閉鎖しているんです。
三宅 4,000校も?
山田 それで民間の株式会社に委託したんです。
それによって30万人の教職員のクビが切られましたが、それでどうなったかといえば、残されたのは荒れた公立学校で、子どもたちは授業を受けられる状態ではないんです。
だから、田舎の採算のとれない学校は閉鎖され、金のあるところは私立化されていく。
カネを持っていないと教育を受けられなくなっているんです。
同じようなことがほかでも起こっていくでしょう。
たとえば、今、沖縄の水道事業はどこがやっています?
三宅 市の水道局ですよね?
山田 今はそうです。
ところが、TPPに批准すれば、それも民営化され、株式会社化されてしまいます。
実際、今から3年前に、当時、副総理だった麻生太郎さんがCSIS(米戦略国際問題研究所)の講演で、「日本の水道事業はすべて民営化する」と発言しています。
マスコミは1社しか報じていませんが。
三宅 マイケル・グリーン(CSIS上級副所長、当時)さんも同席していた講演ですよね?
僕もYouTubeで見ました。
麻生さんが、「これは日本のためにやっているんだ」という顔でおっしゃっていたんで、根本的に分かっていないんじゃないか、CSISの人たちに何か吹きこまれてるんじゃないかと思ってしまいました(苦笑)。
山田 水事業で一番有名なのは米ベクテル社ですが、ボリビアで水道事業を買い取って――。
三宅 あぁ、民営化によって、暴動が起きたり武装蜂起が起きたりしていますよね。
山田 ええ。ベクテル社がそれまでの水道料金より3倍も値上げをしたものだから、仕方なくバケツで雨水を確保しようとしたら、同社が「雨水もうちの会社の権利だ」と言い出して、遂に暴動が起きたんです。
日本でも松山市の上水道事業(の設備保守)をフランスの企業が獲得しています。
三宅 ヴェオリア社ですね。
山田 そうです。どんどん水道料金が上がっていますよね。
三宅 水道事業のような重要なインフラ事業を簡単に海外企業に渡すなんて……。
日頃「国防」云々などと言っている人たちにしては、脇が甘すぎますよね。
山田 那覇でも、私の故郷の五島列島でもそうですが、地方というのは、公共事業を地元の土建企業や設備会社に任せて、それで活性化を図ってきた。
地方の活性化事業条例はじめ、いろいろやってきましたが、TPPが批准されたら、それもできなくなってしまいます。
公共事業であっても、地元企業と外資とを平等に入札させなければいけませんから。
三宅 漁業もそうですよね。
これまでは、地元沿岸に優先的に漁業権があったのに、無茶苦茶ですね。
安倍さんは、日本の農業の輸出額を1兆円に増やす、と言っていますが、どうなんでしょう?
山田 あれは全くのまやかしです。
というのも、日本の生鮮農産物の輸出額は350億円なんです。
あとは、ポカリスエットなんかのような清涼飲料水で、それを合わせて1兆円だと言っているんです。
三宅 つまり、加工品も合わせての1兆円だと。
山田 そうです。いくら日本の農産物の品質が良くても、食品表示ができなければ売れるわけがありません。
三宅 農産物は、やっぱり地産地消したほうが、身体にも良いだろうし、地元経済の活性化にもつながります。
本来は推奨されるべきことなのに、そうしたシンプルな政治の役割が機能しなくなってしまいますね。
山田 もうひとつ、三宅さんはミュージシャンとしていろんなところで歌ったりみんなに語ったりしていますよね。
僕もあちこちで講演しますが、その際、いろんな人の意見を聞いて、シェアして、時には資料のコピーをとったりする。
そのコピーを参考資料として配ることもありますが、これも、書いた人の承諾がなければ、電磁的一時的記録として、著作権法に抵触してしまうようになるんです。
しかも、従来の親告罪から非親告罪になる。
これは大変なことです。
三宅 著作権者が訴えなくても、例えば警察が「これは著作権法違反だ」といって逮捕・立件することができるようになるんですね。
山田 そうです。君だって、いろんな人のものをコピーをとって拡散したりすれば、逮捕されることになる。
特に、反政府的な言動をしている人は、私もそうですが(苦笑)、気をつけないといけない。
三宅 反政府的な言動をしている人(苦笑)。
山田 しかも、非常に怖いのは、条文の中に、刑罰については拘禁刑と罰金刑を併科する、罰金については高額にすること、とあるんです。
今、日本での著作権法違反裁判では、だいたい慰謝料としては20~30万円前後が相場ですが、アメリカでは、何千万~億単位と高額です。
TPP協定では、将来の利益も損害として換算しろと書いてありますから、そうすると、例えば、本を執筆する時でも、下手に他人の文章を引用したりできなくなります。
そうしたら、完全に言論の自由、表現の自由はなくなってしまいます。
そうすると、これまでのように、君も僕も勝手なことは言えなくなります(笑)。
三宅 じゃあ、これからは黙ろうかな(笑)。
それにしても、TPPで実現される世界というのは、ちょっと想像を絶するものですね。
これまでは、“制約があって全体主義的な社会≒社会主義や共産主義”であって、それと対照的なのが、自由のある資本主義・商業主義だったと思うんですが、TPPの世界では、超大企業とそれに繋がるメガバンクだけが恩恵を受ける、商業的な全体主義が実現されてしまう。
山田 戦後の日本では、独占禁止法が、ひとつの企業だけに富が集中しないように機能してきましたが、(TPPは)その憲法の条項にも反する内容なんです。
まさにそういう意味では、1%の富――ウォール街やアメリカの金融資本――が世界を丸呑みしようとしていて、99%の人――それはアメリカ国民も我々日本国民もですが――は身ぐるみを剥がされてしまう。
三宅 財産だって、マイナンバー制度でしっかり管理されていますしね。
山田 メディアが真実を報じなくなってだいぶ経ちますけれど、今はまだ、少なくともネットには自由がありますよね。
ところが、今度のTPPの第18章80条には、「締約国の政府はコンピューターソフトウェアの不正な使用を防止する為に政府の許諾した方法によるものとして適当な法律、規則を定める」(要約)とある。
つまり、ネットも、政府の意に反してはできなくなり、ネットでの言論もすべて監視・管理されてしまうんです。
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日本破滅への不平等条約だった!? 誰でもわかる! TPPのココがおかしい
Business Journal 2016.10.19
https://biz-journal.jp/2016/10/post_16939.html
■米軍幹部と日本の官僚が進路決める「日米合同委員会」の存在
SAPIO 2015.03.16 NEWSポストセブン
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東京都港区南麻布。
都内屈指の閑静な高級住宅地も、そこだけは異空間が広がる。
入り口には屈強なガードマンが立ち、脇には「100%、IDチェック」と書かれた案内書きがある。
米軍施設の「ニューサンノーホテル」である。
在日米軍関係者は、「ここは赤坂の米国大使館以上に、米国にとって重要な施設。表向きは来日した米軍関係者の宿泊施設ですが、米海軍情報部やCIAの拠点が置かれていて、日米のインテリジェンスの集積地です」と説明する。
日本のメディアどころか、政治家も立ち入れない。
そんな場所で、日本の高級官僚と在日米軍関係者は、定期的に会合を重ねていた。
それが日米合同委員会後述するが1960年に締結された日米地位協定をどう運用するかを協議する実務者会議だ。
そこでは、日本の安全保障の根幹に直接かかわる問題から、米軍基地と周辺住民の諍いまで協議される。
前者は在日米軍基地の移転・縮小、米海兵隊の新型輸送機オスプレイの配備といった問題、後者は基地内のゴミ処理、航空機の騒音問題などだ。
かつては、米兵の犯罪並びにその処遇も、開かれた法廷ではなく、密室の話し合いによって、解決がなされたこともあった。
日米合同委の組織は、米国側は在日米軍司令部副司令官、在日米大使館公使など、日本側は外務省北米局長を代表として法務省大臣官房長、防衛省地方協力局長といった面子だ。
日本側の代表者及び代表代理は、将来的に事務次官を狙えるポストにある。
そんな高級官僚が、在日米軍や米大使館の有力者と密議を交わすことから、日米合同委は「影の政府」との異名もつく。
ただし、彼らが一堂に会するわけではない。
同委員会は、基地問題、刑事、環境など35の分科会や部会に分かれ、担当ごとに参加者が決まる。
実際に出席したことのある官僚が明かしてくれた。
「日米の責任者(担当者)が最低一人、書記および通訳などの職員が最低二人は出席する。対話は基本的には日本語で行なわれますが、日本側も英語の話せる通訳を連れているため、微妙なニュアンスで日米の解釈が異なるという事態は生じない」
関係者らの話をまとめると、毎月2回ほど開かれ、開催場所は米国と日本で持ち回りとなる。
米国ならニューサンノーホテル、日本の場合は外務省を中心に、分科会や部会ごとに代表者の所属する官庁内で開催されているという。
だが、会合の中身は一切明かされない。
合意の一部は外務省、防衛省のホームページに公表されているが、それも簡潔に記されているだけだ。
同委員会を所管する外務省北米局に日米合同委の詳細を問い合わせても、「回答できるのは、既に公表しているものだけ」の一点ばりで、防衛省広報課に問い合わせても、「外務省が所管なので、外務省に聞いてください」という堂々巡りだった。
元琉球新報論説委員で、在日米軍基地問題に詳しい沖縄国際大学大学院教授・前泊博盛氏は語る。
「日米合同委に合意内容を公表する義務はない。日米双方の合意がない限り公表しない取り決め(※注2)になっているからです。
基本的に軍事関係の取り決めなので米軍側は、情報を出したくない。
また、米軍に有利に推移した合意内容を表に出して、日本人の神経を逆なでしたくないという思いもある。
日本側としても、米国との交渉に負けた、との誹りを避けるために、できるだけ隠密に事を収めたい」
必然的に日米合同委は「密約の温床」になってしまう。
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米軍幹部と日本の官僚が進路決める「日米合同委員会」の存在
SAPIO 2015.03.16 NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20150316_307594.html?DETAIL
■【news23】本当に“平等な”協定? 日米貿易協定承認
TBS NEWS 2019/12/05
■【日米合同委員会の深い闇】西部邁
2019/06/10 TOKYO MXテレビ 西部ゼミナール
■『知ってはいけない──隠された日本支配の構造』矢部宏治著
講談社BOOK倶楽部
■年次改革要望書…アーミテージレポート… 属国は何を押しつけられてきたか
長周新聞 2018年10月15日
■「日本経済は植民地化される」
~TPPに隠されたアメリカの卑劣な手口~
・悪魔のTPP、アメリカの真の狙いは何か
・そして、日本の富は略奪される
ダイヤモンドオンライン 2014.2.3 菊池英博:日本金融財政研究所所長
■GHQによる戦後日本の経済民主化は「経済弱体化」だった
PHPオンライン衆知 ?2021年04月22日
田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
■アベノミクスのワナ?「規制緩和」「構造改革」は、米国による日本弱体化戦略の一環?
Business Journal ? 2013.08.08
■日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?
~狙われる日本人の金融資産~
(著者:ベンジャミン・フルフォード、発売日:2015年06月、出版社:メディアックス)
「米国は、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる」
「アベノミクスからTTP問題で日本の富を奪う」
ベンジャミンフルフォード『フォーブス』元アジア太平洋局長
・楽天ブックス https://a.r10.to/hD8Oic
■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
「JAバンクは農協と信用農協、農林中央金庫で構成され預金残高は90兆円」
「米国政府と米国金融、保険の多国籍企業、日本政府に対して絶えず圧力をかけている」
Business Journal(2015.09.01)
https://biz-journal.jp/2015/09/post_11338.html
■起承転結で学ぶ、日本経済のバブル崩壊から異次元緩和までの歴史
・日本経済が破滅に向かう転機となった「プラザ合意」
東条雅彦 | マネーボイス
■日本経済を“丸ごと刈り取った”ユダヤの陰謀とは??
バブル経済崩壊、その巧妙な手口
exciteニュース 2016年11月8日
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