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株式会社ギフティ創業者、太田睦:4つの事業の柱とは?

 

4つの事業の柱とは?

 

 

太田睦/株式会社ギフティ

 

 

事業の柱は大きく4つ。

まず1つ目が個人向けの「giftee(ギフティ)」です。
会員登録した個人が個人に贈るもので、全国の店舗で引換可能なギフトを業界最多の200種以上そろえています。

2つ目が法人向けの「giftee for Business」です。
企業がキャンペーンやアンケートなどの集客を目的とする販促活動を行う際、その謝礼として従来のカードタイプのギフト券などに代わり、オンラインでeギフトを贈ることができるソリューションになります。

3つ目が「eGift System」です。
eギフトの生成および生成したeギフトを自社サイト上で販売・流通できるシステムを提供するもので、eギフト発行企業となる、主に飲食店や小売店といった法人向けサービスになります。

4つ目が「Welcome! STAMP」です。
プレミアム商品券などの各種地域通貨を電子化し流通させる、自治体向けの国内初のソリューションになります。

 

 

 

 

 

 

太田睦(ギフティ創業者)とは?

 

 

 

太田睦。

1984年生まれ。

 

2007年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、アクセンチュア株式会社に入社。

SEとして官公庁プロジェクトのシステム開発に従事した後、2010年8月に株式会社ギフティを創業し、代表取締役に就任。

 

日頃の「小さなありがとう」の気持ちと一緒に、オンライン上で簡単にギフトを贈ることができるカジュアルギフトサービス「giftee」を運営。

2019年9月東証マザーズに新規上場。

 

 

 

 

 

 

 

太田睦(ギフティ創業者)の「コトバ」

 

 

 

 

SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)を卒業する際、未経験でもエンジニア採用を行っていたのがアクセンチュアでした。ただ、近いうちに起業したいとの思いはずっと持っていましたので、「3年以内に起業します」と正直に話したのですが、採用されました。アクセンチュアで働き出した頃は、日本でもmixi、FacebookSNSの全盛期。SNSを通じてリアルな贈り物をするというアイデアは心の底に温めていたところ、韓国でこうしたサービスが「ギフティコンやギフティショー」と呼ばれて既に隆盛になっていると聞き、「これはいける」と思い、社内で仲間を探して起業に踏み切ったのです。2009年秋のことでした。

 

 

 

 

 

 

Webで人とつながれる時代になり、SNSでさまざまなメッセージが送れるようにはなりましたが、もう一歩進んだ「感謝の気持ち」を表せないかと思ったのがきっかけです。実際に会うほどではないけど、コーヒー1杯でもいいので、相手に手触り感のあるぬくもりを届けたいと長い間思っていて、それを形にしたのがgifteeです。

 

 

 

 

 

 

創業事業であるカジュアルギフトサービス「giftee」は、「友人の誕生日なのに忙しくて直接お祝いができない…。でもサプライズで何かお祝いをしたい」という発想から生まれました。お祝いのメッセージだけでは想いが伝わりづらいので、もう少し踏み込んだコミュニケーションを取りたいという時に、「コーヒー1杯でもいいから、SNSでプレゼントを贈れたらいいな」と思いついたのがきっかけです。

 

 

 

 

 

gifteeでは、例えば送り側がカフェやコンビニなどで使える500円の商品券を相手に贈ると、贈られた側はその店で500円分の商品などと引き換えられるという仕組みです。リアルな紙の商品券ではなく、電子で贈りますので、住所が分からなくても問題ありません。始めた当初は「数百円のプレゼントをもらって相手は嬉しいのだろうか」とのご意見もいただきましたが、確かに結婚記念日なんかで数百円のプレゼントでは、期待値が高いだけに夫婦の危機になりかねませんが、言葉だけで感謝を伝えて済むようなシーンで、期待値がないところでちょっとしたプレゼントが届く形になりますので、十分に喜ばれることがわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

最初はWeb版だけでしたが、2011年秋にはiOSとAndroidアプリに対応しました。当初はプレゼントを贈ったり、受け取れたりできるのは都内にある一部のカフェ店などに限られ、それほど多くはありませんでしたが、翌年にはファミリーマートさんの店舗で「スパイシーチキン」という商品を受け取れるクーポンを無料で贈れるキャンペーンを行ったこともあり、多くの人に知っていただく機会となりました。

 

 

 

 

 

 

「eGift System」の拡大は一筋縄では行きませんでした。最大の問題点は「消込」(店舗でeGiftを利用済みにすること)の実現方法。クライアント企業様のPOSシステムと連携ができれば理想的ですが、それにはリードタイムもコストも大きく掛かってしまいます。それを解決するべく「gifteeスタンプ」という、スマホの画面に物理的に「押す」だけで消込ができる電子スタンプを導入しました。

 

 

 

 

 

 

コンテンツ(eギフト商品)の充実と流通(eギフト利用企業)の拡大は事業の両輪です。良いコンテンツがなければ流通は増えませんし、流通先がないとコンテンツの開発は難しい。それらは鶏と卵ですが、この循環がうまく回り出したことが事業成長の要因だと考えています。

 

 

 

 

 

 

法人向けサービスは、企業の困りごとを起点に生み出されました。eギフト発行企業・利用企業の『こういうことができないの?』といった声に耳を傾ける中でニーズに気づき、事業化していきました。目の前にある課題に応えていくうちに、eギフトのプラットフォームにたどり着いたんです。創業時のCtoC(個人間)のビジネスにこだわらず、オープンマインドでいたことが成長につながったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

法人向けのニーズがあるとわかった時に、それにどれくらいのリソースを割くのか、サブ事業なのか柱の1つに位置付けるのか、難しい判断を迫られました。eギフトの文化を根付かせたいという思いは現在も変わっていませんが、それを実現するためのアプローチはいろいろあります。eギフトを浸透させるには、まずはeギフトの認知を高めて、ユーザーに一度使ってもらうことが大事。eギフトを導入する企業が増えれば、自然とeギフトを目にする人も増えます。法人向けサービスに力を注ぐことは、一見遠回りのようで実は近道だと気づいたんです。

 

 

 

 

 

 

 

たとえば「商品券を1万人にプレゼント」みたいな販促キャンペーンを行う場合、紙の商品券ですと送料だけでも莫大なお金がかかってしまいます。gifteeの仕組みを使えば電子で贈るだけですので、コストが大幅に削減できるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

eギフトを贈ってもらった人は受け取りに行きますから、eギフトはそれまで行ったことがないお店や地域を訪ねるきっかけを生み出します。私たちがやっているのは、今までつながっていなかったものをつなげること。ただ現状は、そのつながりが点になっているので、今後は線にしていきたい。つまり、初来店の動機付けだけでなく、2回、3回とリピーターになってもらえる仕掛けとして、eギフトを活用していきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

今はスマホ中心のサービスですが、これから新たなデバイスやテクノロジーが登場してもeギフトは残ります。音声認識でeギフトを贈ることはできると思いますし、将来は脳波を読み取って、贈りたいと思ったら届くような世界が実現しても面白い(笑)。時代に合わせて、eギフトのサービスを進化させていきます。

 

 

 

 

 

 

 

プラットフォーム拡大と海外展開にある。全国的に店舗を出店し、数百円で魅力的な商材を持つ第一群と、店舗数は限定的だが地域で魅力がある第二群の両方を広げていきたい。これまでは第一群に注力してきた。未導入の企業であってもコミュニケーションが取れており、先方のタイミングや当社の提案力向上により拡大できると見ている。地方では、トヨタやカーディーラーと協業していると、全国展開する発行企業の商品よりも、その地域の名産品にeギフトを使いたいという要望があるため、利用企業から寄せられる情報をもとに地域の発行企業の開拓が容易になると考える。利用企業拡大のために、eギフトの用途の開発と既存サービスの業界内他社への拡大、他業界への顧客開拓を進める。海外展開については、2018年10月にマレーシアに進出した。飲食や流通・小売のブランドが多く、通信環境も日本並み、かつ英語圏で、順調に推移している。寿司やタピオカミルクティー、ドーナツチェーンの3ブランドが導入している。

 

 

 

 

 

 

 

中長期スタンスで取り組みを進めているのが4本目の事業の柱、電子地域通貨事業です。長崎県内の離島市町で発行されていたプレミアム商品券「しまとく通貨」の電子化を皮切りに、地域活性化に向けたキャッシュレス決済の仕組み化を複数の自治体でサポートしています。今後は、19年9月にローンチした、ふるさと納税の返礼品などとして特定の地域で利用可能な電子商品券「e街ギフト」などの展開等も通し地方創生にも貢献していきたいと考えています。

 

 

 

 

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