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アサヒビール元会長、樋口廣太郎:「仕事十訓」と「管理職十訓」

「仕事十訓」と「管理職十訓」

樋口廣太郎アサヒビール元会長

 

 

仕事十訓

 

基本に忠実であれ。基本とは、困難に直面したとき、志を高く持ち初心を貫くこと、常に他人に対する思いやりの心を忘れないこと。

 

②口先や頭の中で商売をするな。心で商売をせよ

 

③生きた金を使え。死に金を使うな

 

約束は守れ。守れないことは約束するな。

 

⑤できることと、できないことをはっきりさせ、YES、NOを明確にせよ。

 

期限のつかない仕事は「仕事」ではない。

 

他人の悪口は言うな。他人の悪口が始まったら耳休みせよ。

 

⑧毎日の仕事をこなしていくとき、いま何をすることが一番大事かということを常に考えよ。

 

⑨最後までやりぬけるか否かは、最後の一歩をどう克服するかにかかっている。それは集中力をどれだけ発揮できるかによって決まる。

 

二人で同じ仕事をするな。お互いに相手がやってくれると思うから「抜け」ができる。一人であれば緊張感が高まり、集中力が生まれてよい仕事ができる。

 

 

管理職十訓

 

①組織を活性化しようと思ったら、その職場で困っていることを一つずつつぶしていけばよい。人間は本来努力して浮かび上がろうとしているのだから、頭の上でつかえているものを取り除いてやれば自ずと浮上するものだ。

 

②職位とは、仕事のための呼称であり、役割分担を明確にするためにあるものだと考えれば、管理職とは何かがキチンと出てくる。

 

先例がない、だからやるのが管理職ではないか。

 

④部下の管理は易しい。むしろ上級者を管理することに意を用いるべきである。

 

リーダーシップとは、部下を管理することではない。発想を豊かに持ち、部下の能力を存分に描き出すことである。

 

⑥YESは部下だけで返事をしてもよいが、NOの返事を顧客に出すときは、上司として知っていなければならない。

 

人間を個人として認めれば、若い社員が喜んで働ける環境が自らできてくる。

 

若い人は、我々自身の鏡であり、若い人がもし動かないならば、それは我々が悪いからだと思わなければければならない。

 

⑨若い人の話を聞くには、喜んで批判を受ける雅量が必要である。

 

⑩結局職場とは、人間としての切磋琢磨の場であり、錬成のための道場である。

 

 

 

樋口廣太郎とは?

 

 

樋口廣太郎。アサヒビール社長・会長。
京都出身。

 

京都市立第二商業学校(のちの京都市立西陣商業高等学校、廃校)、彦根経済専門学校(現・滋賀大学経済学部)を経て野村證券に就職。
その後、野村銀行(後の大和銀行、現・りそな銀行)に転職するも、1946年(昭和21年)に京都大学経済学部に再入学。

 

同大学卒業後、1949年(昭和24年)4月に住友銀行(現・三井住友銀行)に入行。
代表取締役副頭取まで昇進したが、住友銀行業務部時代の上司で、前任の東京支店長でもあった、8年先輩の村井勉前社長に招かれ、1986年(昭和61年)、アサヒビール(現:アサヒグループホールディングス)の社長に就任。1987年(昭和62年)、アサヒスーパードライを発売して大ヒットさせる。

 

2012年(平成24年)9月、急性心不全にて死去。

 

主な著書『樋口廣太郎 わが経営と人生―私の履歴書―』(2003年・日本経済新聞社)、『挑めばチャンス逃げればピンチ』(2003年・PHP研究所)、『つきあい好きが道を開く』(2000年・日本経済新聞社)、『前例がない。だからやる!』(2002年・講談社)、『才能論』(2000年・講談社)、『人材論』(2002年・講談社)、『だいじょうぶ必ず流れは変わる』(2000年・講談社)

 

 

厳選!樋口廣太郎の珠玉名言

 

 

私が就任した当時のアサヒビールは「夕日ビール」とまで酷評されるありさまで、シェアもかつては36%強あったものが、「ナイアガラの滝のように」9.6%まで落ちていました。私が来る前の15年間、赤字になってはいなかったのですが、この間ずっと資産の売り食いで何とか食いつないでいたんですが、その額は毎年30から40億円にもなっていました。

 

 

チャンスは貯金できない。

 

 

SLのようにトップが引っ張るのはもう無理ではないでしょうか。みんなに気持ち良く楽しく仕事をしてもらうためには、引っ張るのは良くないということです。ひところの企業の経営は、社長が引っ張らなければならない、あるいはトップのマネジメントが必要という過酷な時代でした。これからの経営は全車両、つまりあらゆるセクション、あらゆる部、あらゆる工場、あらゆる配送センターなどに、発言権のある徹底的な権限を与え、それぞれがその地域、環境に応じて最善と思われるものをやるようでなければ成り立たないと思います。

 

 

ミドルは自己燃焼できる人材でないとダメだ。心のダイナモを燃やせ。

 

 

私の持論の一つに「メーカー大根役者論」というのがあります。メーカーというのは役者でなくてはならない、役者でも、二枚目でわがままが通るような役者ではなく、大根役者でなくてはならない、というわけです。監督はお客様です。演出は流通のみなさん、小売店さんです。こういう味、こういう商品があればいいということを言ってもらい、いただいた役柄を忠実にやるのがメーカーです。そういう感覚でお客様の求めておられるものを敏感にキャッチし、それを演じる、こういった姿勢にならなければいけないということです。

 

 

琵琶湖は地勢が低く周囲の山から水が流れてくる。人間も姿勢を低くして、礼儀正しく、謙虚にやっていれば情報は入ってくる。

 

 

企業のトップに必要な条件とはなんでしょう。決断力は言うまでもありませんが、私は明るく元気で謙虚であることがとても大事だと思っています。知性も大切ですが、それが過ぎると、ついひけらかして周りを暗くさせてしまうし、問題の細かいところまで見えすぎて迷いが多くなったりします。自分のことを頭がいいと思っている人は自戒すべきですね。

 

 

前例がない、だからやる。

 

 

 

 


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