私たち人間が何気なくしている「まばたき」。
しかし猫にとってのまばたきは、いろいろな意味があると言われています。
少しネコちゃんのまばたきの意味についてみてみましょう。
愛猫とまばたき我慢ゲームをしてみてください。
ほとんどの方が負けるはずです。
パッと見、猫はまばたきをしないように見えますが、実際には猫もまばたきをしています。
猫の研究では18.5秒に一度まばたきをすると報告されています。
猫もまばたきはするものの、1分に約3回とその回数は少ないです。
また、猫は1回のまばたきのスピードが動物の中でかなり遅いと記述されています。
人間は目が乾いたとき、目に潤いを与えるためまばたきの回数が増えますが、猫の目はまばたきが少なくても乾きにくい構造をしています。
猫のまばたきが少ない理由の仮説として、「第三眼瞼(いさんがんけん)」の存在があげられます。
猫はまぶたの内側に第三眼瞼という白い膜をもっています。
猫の眼が開いているときはほとんど見えません。
第三眼瞼はまばたきをするときに、油分をなじませ渇きを防ぐ役割があるので、まばたきが少なくても目が乾くことはありません。
この第三眼瞼のおかげで、猫は涙の量が人と比べて多いのです。
第三眼瞼の涙腺は涙全体の30~50%を産生しています。
また、目を閉じるたびに第三眼瞼がワイパーのように目を覆います。
その時にゴミを除去し、水分の蒸発を防ぐ油分を目の表面になじませる働きをしてくれるため、目が乾くのを防いでいるんですね。
人間を含むほとんどの霊長類は第三眼瞼が退化し、半月ヒダ(目の内側にあるピンク色の部分)として残っていますが、ほとんど機能は残っていません。
第三眼瞼はまばたきをするときに、油分をなじませ渇きを防ぐ役割があるので、まばたきが少なくても目が乾くことはありません。
私たち人間やチンパンジー、ゴリラを含む霊長類は、他の動物に比べてまばたきが多い部類に入ります。
ウサギやねずみはほとんどまばたきをしませんし、犬は25~30秒に一回、ホッキョクグマは12.3秒に一回、ラクダは7秒に一回と記録されています。
鳥類と両生類は第三眼瞼が発達しており、半透明の膜として残っています。
第三眼瞼を閉じることで眼を保護しますので、まばたきの回数はかなり少ないです。
通常、猫の瞬膜はほとんど隠れていて少ししか見えませんが、まばたきをして目を開けた際に、瞬膜が伸びて見えることがあります。
すぐに隠れるのであれば問題ありませんが、瞬膜が戻らずに出たままになっている場合は、瞬膜の損傷や結膜炎、感染症などの疑いがあります。
また、ストレスによってもこのような症状が出ることがあるので、瞬膜に異常が見られる場合は放置せず、すぐに動物病院を受診してください。
「アイコンタクト」という言葉がありますが、実は猫の瞬きはこのアイコンタクトの意味を持ちます。
アイコンタクトとは、目と目を合わせてお互いの意思を通わせる言葉を介さないコミュニケーション方法を指しますが、猫もアイコンタクトでコミュニケーションを取るとも言われています。
もし、あなたの飼い猫が飼い主であるあなたに対して瞬きをするようであれば、それはアイコンタクトで自分の気持ちを伝えようとしているのかもしれません。
まばたきに隠された猫の気持ちは以下、3つの意味があると言われています。
愛猫から「パチッ、パチッ」としたまばたきを向けられたことがある飼い主さんも多いでしょう。
猫がこちらを見て、まばたきをする姿を見たことがある方も多いと思います。
この行動は人間でいう「あいさつ」と同じ意味で、「わたしには敵意がないですよ」というメッセージです。
もしあなたに仲よくなりたい猫がいるのであれば、ゆっくりまばたきをしてあいさつしてみましょう。
そのとき目を見つめると、ケンカ前のにらみ合いが始まったのかと思い、猫が緊張してしまいます。
あなたに争う意思がないことを伝えるために、目を見るのではなく口元や鼻のあたりなど、少し下のほうを見てあげるとよいでしょう。
そして、中には飼い主さんの前でゆっくりとした瞬きをするのが多い猫もいます。
このゆっくりとした瞬きは「キティキス」(Kitty Kiss)や「スローブリンク」(Slow Blink)などとも呼ばれ、猫が飼い主さんを信頼していて、「大好き」と愛情表現をしている時だと言われています。
飼い主としてすごく嬉しい瞬間ですね。
人間で言うと笑顔と同じ。
つまり、飼い猫があなたに微笑みかけているということなんですね。
この時に、飼い主さんの側からもゆっくりとした瞬きを返してあげると、「わたしも大好きだよ」と伝えることができます。
飼い主さんが猫と同じようなまばたきを返すことで、「リラックスしているよ」「私もあなたのことが大好きだよ」と、思いが伝わりやすくなります。
今度飼い猫からゆっくりとした瞬きを投げかけられたら、試してみてくださいね。
一方、ゆっくりまばたきをする行為が不安や恐怖が引き起こされたときに出るという研究もあるそうです。
顔をそらせたり毛づくろいを始めたり、急に床の匂いを嗅ぎはじめたりする場合は「落ち着かないのでやめてもらえませんか?」といった意味があるとも言われています。
愛情表現と勘違いして猫と頻繁ににらめっこをしていると、ストレスの原因になるかもしれませんのでほどほどにしておきましょう。
わたしたち人間は、猫の返事というと「にゃー」と鳴くイメージがありますよね。
実は猫が鳴いて返事をするのは人間に対してだけと言われています。
猫同士はほとんど鳴き声でコミュニケーションをとりません。
野良猫はたくさん集まっていても静かですよね。
自然界では安易に鳴くと敵や獲物に気付かれるため、まばたきやしっぽの動きなどのボディランゲージで意思の疎通を図っています。
猫に話しかけたり、名前を呼んだりしたときに返事がなかったとしても、猫のほうを見るとこちらに向かってまばたきしていることがあります。
飼い主さんに呼ばれた時や目が合った時などに、返事をするようにまばたきをする猫もいます。
猫は飼い主さんとの関係が親密になればなるほど、犬のような体全体でのリアクションはしなくなります。
愛猫があまり動かずまばたきだけで返事をするということは、飼い主さんに対して愛情と信頼を向けている証拠といえるでしょう。
その姿を見ると、眠いから聞いていないのだろうと感じますが、実は呼びかけに対してまばたきで「聞いているよ」とサインを出しているのです。
まばたきの仕方には個体差がありますので、愛猫が自分にどんな反応を返してくれるのか観察してみるのもおすすめですよ。
不愛想ながらも、猫なりにきちんと返事をしているのが分かるとうれしいですね。
では、逆に猫が瞬きしないような時は一体どんな気持ちなんでしょうか。
瞬きしない猫は、「警戒中」という気持ちがあるようです。
慣れない人をじーっと観察しているときや、聞きなれない音がした方向を見つめているときなど、まばたきをせずに「危険がないか、安全なのか」と考えています。威嚇のときも相手の目をじっと見つめたままです。
街中で野良猫と目が合ったりすると、瞬きしないでじっとこちらを見てくることがありますが、「誰だろう?怖いな。敵かな?」と警戒しているんです。
人間の世界では見つめ合うのはラブラブの恋人たちですが、猫の世界では、見つめ合う=お互いに警戒している、という意味になります。
見つめ合うというより、睨み合っているに近いですね。
ほとんどの動物は「目を見つめる=ケンカを始める合図」です。
猫に敵意がなければ目をそらされますが、猫は「この人は自分に敵意を持っている」と感じ、信頼できない人と判断してしまいます。
猫がかわいいからといって、むやみに目を見つめるのはやめましょう。
なので、猫がこちらをじっと見ている時に瞬きしないで見つめ返してしまうと、猫の警戒心がさらに高まり臨戦態勢に入ってしまうこともあります。
猫と目が合った時には、目をそらすかゆっくりと瞬きをして、敵意がないことを伝えるといいでしょう。
見つめたい気持ちもわかりますが、せっかく愛猫が向けてくれた愛情を台無しにしてしまうのでやめておきましょう。
まばたきに込められた意味を解説しましたが、あまりにもまばたきが多い場合や、片目でウィンクするようにまばたきをしている場合は病気の可能性があります。
早いスピードで頻繁にまばたきする場合は、「結膜炎」や「角膜炎」で目の痛みを訴えている可能性があります。
愛猫の目をよくチェックして、目ヤニが多い、赤く充血して涙があふれている、目の表面が白っぽくなっているなどの症状が出ている場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
まばたき以外にも、猫が愛情表現するときに取る行動は様々ありますよね。
代表的な事例をご紹介いたします。
・しっぽを真っ直ぐに立てる
・体を近づけたり、頭を「スリスリ」したりする
・飼い主さんの顔や手を「ペロペロ」とグルーミングする
・後をついてきて、すぐ近くを歩く
・飼い主さんのお腹や腕、足などを手で「モミモミ」する
・寝転がってお腹を見せる
・反応はそっけないのに、飼い主さんのそばにいる
・捕まえた動物の死骸を飼い主さんに「プレゼント」をする
・飼い主さんの帰宅と同時に玄関までおむかえに行く
などです。
愛猫がこのような行動やしぐさを見せたら、やさしくなでたり一緒に遊んだりしてあげてくださいね。
猫は、相手の仕草を読み取って自分の態度を変えていく、高い認知能力と学習能力を持っています。
ゆっくりとしたまばたきを含んだ『うっとり見つめ』をお互いに交わすことが、やがて飼い主さんと飼い猫のこころのつながりになっていくのかもしれませんね。