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【本日のニュース・記事】
■憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~
週刊現代(講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53252?page=5
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自民党の衆院選大勝を受けて、安倍晋三首相は今後、日米同盟の強化を図りながら、北朝鮮の脅威に立ち向かっていくという。
だが、ちょっと待ってほしい。
その勇ましい強硬路線は、本当に日本のためになるのか?
結局、アメリカの都合のいいように利用されるだけではないのか?
アメリカが日本を支配する構造を解き明かしたベストセラー『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏と田原総一朗氏が、徹底議論。
戦後、日本がずっとアメリカの「いいなり」であったことの理由や北朝鮮ミサイル危機の行方、さらには、日本がアメリカに核兵器を持たされる可能性について、意見を交わした。
まず、田原氏が着目したのは、在日米軍の特権が認められた、不当ともいえる日米地位協定だった――。
・日米間で結ばれた密約
田原: 最初の最初から、おうかがいしたいんですが、そもそも矢部さんが日米地位協定に関心をお持ちになった理由は何ですか?
矢部: きっかけは、2010年に鳩山由紀夫政権が「何か、わけのわからない力」によって退陣したことです。問題は沖縄の米軍基地にあるらしいというので、私は沖縄の基地すべてを撮影する書籍の企画を立て、写真家と二人で沖縄に撮影に行ったのです。ここがスタートですね。
田原: なるほど。鳩山首相が辞任せざるを得なくなったと。それは一般的に、普天間の移設先を辺野古ではなく「最低でも県外」と言ったことに起因していて、鳩山さんはどうも徳之島をその候補として考えていたらしいけど、その徳之島がダメになった。
それで結局、アメリカと交渉して辺野古を認めざるを得なくなり、沖縄を裏切るかたちで鳩山さんは首相を辞任したわけですが、矢部さんが沖縄を訪れて最初に「これは大変なことだ」と思ったのは、どういう点でした?
矢部: 沖縄では、米軍機が民家の上を低空飛行していたことですね。ものすごい低空飛行をしていますから。
田原: アメリカ国内ではもちろん、沖縄でも米軍の宿舎の上を米軍機は低空飛行しない。ところが、日本人の民家の上は平気で飛んでいる。
矢部: その区別がわかったのは撮影後、かなり経ってからなんですけれど、要するにアメリカ人の人権は守られているのに、日本人の人権に関しては一切ケアされていません。
それはなぜかというと、日本には航空法特例法というものがあり、米軍機は安全基準を守らなくても飛行できることになっている。ですから、米軍住宅の上は飛ばないけれど、日本人の住宅の上はいくら低く飛んでもいいという、ものすごくグロテスクな状況が起こっているのです。
田原: 今回矢部さんの出した本の8ページには、たとえば「アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる」と書いてある。
しかも、「日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない」ということが、なんと外務省が1983年12月につくった高級官僚向けの極秘マニュアルに記されている、と。
これ、どういうことなんですか? まあ占領下ならともかく、なんで戦後40年近く経った1983年の段階で、こんなことが通用したの?
矢部: それが今日、本当に説明したかった点なんです。1952年にできた日米行政協定が改定されて1960年に日米地位協定となったのですが、この地位協定をよく読むと、アメリカは日本国内の基地と区域の使用を許可されると書いてある。
さらに米軍は日本国内の米軍基地や区域に出入りし、その基地と基地や、それらと日本の港や飛行場との間も自由に移動できるという特権についても、記されています。
田原: だけど、これについてはね、1951年に締結された最初の吉田安保はこのとおりだったんですよね。でも、1960年に改定された岸安保では、事前に日本政府と相談をしてOKを得なきゃダメだっていうふうになったのでは?
矢部: そこで出てくるのが、改定のウラで結ばれていた密約なんです。日本国内における米軍基地の使用と米軍の法的地位は、行政協定にかわる地位協定によって規律されると。
田原: そうすると、地位協定はできたけれども、実は52年の行政協定がそのまま続く。
矢部: そうです。それで、この密約ですね、在日米軍の基地権は、地位協定の改定された文言の下で、行政協定の時代と変わることなく続くと。
田原: これは、岸信介は知っているわけ?
矢部: もちろん知っています。
田原: 知っていて密約を結んだ。
矢部: その通りです。
田原: 岸が仮に裏があることを承知でやらざるを得なかったとしてね、現在までそれが続いているというのは、その後の総理大臣はどうしているんですか?
矢部: だから、みんな知らないんです、そうした密約を。
田原: なんで知らないんだろう?
矢部: 引き継ぎがないんです、一言でいうと。
田原: 「ない」っていったって……。
矢部: 僕もそれはびっくりしたんですけど。
田原: 官僚も言わないの?
矢部: 官僚も知らないです。なぜかというと、これは、元外務省国際情報局長の孫崎享さんがおっしゃっているんですけど、外務省でしかるべきポストに就いたとしても、ちゃんとした情報がもらえるのは、その地位にいる3年間ぐらいだけだと。その前後のことは、よくわからないというふうに証言しています。
田原: なんで調べようとしないの?
矢部: 密約について日本の外務省には、政権が変わったら引き継がなくていいという悪しき伝統があるんです。
田原: でも、守ってるんでしょう?
矢部: もちろん米軍側に文書があるから、守らざるを得ない。だからこっちは否定するけど、いざとなったら力で押し切ってくれてかまわないという「暗黙の了解」があるわけです。
・東京のど真ん中で秘密会議
田原: 話は飛ぶけど、日米合同委員会っていうのがあるんですね。これ、僕は矢部さんの本で初めて知ったんだけど。できたのは……。
矢部: 1952年ですね。日本のエリート官僚と在日米軍の幹部が月に2度ほど、都内の米軍施設(南麻布にあるニューサンノー米軍センター)と外務省で行っている秘密の会議です。
ここで決まったことは国会に報告する義務も外部に公表する必要もなく、何でも実行できる。つまり、合同委員会は、日本の国会よりも憲法よりも上位の存在なのです。
田原: 合同委員会の日本側のトップが外務省の北米局長で、ほかに法務省大臣官房長や防衛省地方協力局長などがいる。一方、アメリカ側のトップは在日米軍司令部の副司令官で、メンバーのほとんどが軍人ですね。1952年にできて、まだ続いているんでしょう?
矢部: 65年間続いているんです。1600回ぐらい。
田原: 続いていることを、総理大臣は知らないわけ?
矢部: 鳩山さんは、合同委員会の存在そのものを知らなかったとおっしゃっています。
田原: 鳩山は民主党だからね。たとえば、中曾根(康弘)や小泉(純一郎)も知らなかったのかな?
矢部: あることは知っていたかもしれませんが、その実態については、知らなかったかもしれません。議事録がほとんどオープンになっていませんから。
田原: そういえば以前、石原慎太郎が横田基地の返還と日米での共同使用を訴えていたことがあった。結局うまくいかなかったけど、なんでダメだったんだろう?
矢部: 外務省がまったく協力してくれなかったと石原さんは記者会見で言っていましたけど、合同委員会の実態を見ると、外務省が交渉してどうこうなるっていう話ではないんですよね。要するに、合同委員会で米軍側が決めたら、日本側はそれを聞き入れるしかないという関係なんですよ。
田原: 実は、森本(敏)さん(元防衛大臣)に、矢部さんの本に合同委員会のことが書いてあるよと伝えたところ、彼は知っていたんです。「自分も合同委員会に出たことある」と。そこで、「なんでこんなもの変えないんだ」と尋ねると、森本さんは「それを変えようという意見がどこからも出てこないんだ」と言っていた。
矢部: 合同委員会には本会議の他に、30以上の分科委員会があるんですが、森本さんは自衛隊から外務省北米局日米安保課に出向していた時期があるから、そのころ出ていたのかもしれませんね。
ちなみに合同委員会のアメリカ側のメンバーには、一人だけ外交官がいます。それはアメリカの大使館の公使で、つまりアメリカ大使館のナンバー2なのですが、これまでの何人かはものすごく批判しています、その体制を。
なぜかと言うと、それは当たり前の話で、本来、日本政府と交渉して、決まったことを軍部に伝えるのが自分たち外交官の仕事なのに、頭越しに軍が全部決めちゃっている。これはおかしいと、ものすごく怒っているんです。
田原: 一番の問題はね、なんで日本側がね、日米地位協定にしても日米合同委員会にしても、それをやめようと言わないのかと。言ってみりゃこれは、日本はまだアメリカに占領されているようなものですよ。独立したのに。
でも、いまの体制を続けたほうが得だと思っているのかな、実は。アメリカの従属国になっていることで、安全なんだと。そのために自衛隊も戦う必要もないし。現に72年間、戦死者は1人も出なかったと。平和だったと。それで、経済は自由にやってりゃいいと。
矢部: とくに冷戦時代は、軍事的にも守ってもらえるし、経済的にも優遇してもらえるし、日本にもすごくメリットがあったんですよね。だから変えられなかったんだと私も思います。
・「核の傘」に意味はあるのか
田原: 歴代総理大臣はこれまで、憲法九条を盾に、アメリカの戦争には巻き込まれないようにしてきた。たとえば佐藤(栄作)内閣のときに、アメリカが「ベトナムに来いよ、自衛隊、一緒に戦おう」と。佐藤はそれに対して、「もちろん一緒に戦いたい。ところが、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、行くに行けないじゃないか」と返している。
小泉のときも、ブッシュから「一緒にイラクへ来て戦ってくれ」と求められたので、「行くには行くけれども、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、水汲みにしか行けない」と言って水汲みに行ったの。
その一方で、山崎拓から「憲法改正しよう」と持ちかけられた小泉は2005年、舛添(要一)とか与謝野(馨)、船田(元)らに「新憲法草案」をつくらせるじゃない。
これは2012年の「日本国憲法改正草案」よりよっぽどいいと僕は思っているんだけど、山拓が「さあ、草案をつくったんだから憲法改正を打ち出そう」と小泉に言っても、小泉は「いや、郵政民営化が先だ」と。頭に来た山拓が僕に電話を掛けてきたんです。「小泉の野郎に逃げられた」と。小泉もやっぱり、憲法改正しないで、従属したほうが得だと思ったの。
矢部: 今年8月の内閣改造で沖縄及び北方担当大臣になった江崎鉄磨さんも、就任直後に地位協定を見直すべきだって発言したあと、すぐに引っ込めましたよね。
田原: 日本は「核の傘」の下でアメリカに守ってもらっている。だから、今年7月、国連で採択された核兵器禁止条約に日本は反対したし、条約の交渉会議にも出なかった。アメリカの従属国のままのほうが、安全だと思っているのかな。
矢部: いままではそうでしたけど、今回、北朝鮮のミサイル問題を見てもわかるとおり、核の傘なんて何の意味もありませんし、かえって危険だという状況はありますよね。
田原: もしね、北朝鮮が核を持てば、韓国も核を持とうとするでしょう、当然。日本も持とうとするんじゃない?
矢部: うーん。持とうとするというか……。
田原: 日本が核を持つのに、一番反対したのはアメリカなんだよ。僕はキッシンジャーに、そのことを何度か聞いたことがある。絶対反対だと。
矢部: ところが、いまはむしろ、持たされる可能性が高い。
田原: トランプがそう言ってるじゃない、大統領選挙のとき。
矢部: ですよね。1970年代にヨーロッパで起きたことですが、中距離核ミサイルを持たされて、ソ連とヨーロッパが撃ち合いの状況をつくられてしまった。でもアメリカはその外側にいて、自分たちは絶対安全と。そういう体制が今後、日本・韓国と中国・北朝鮮の間でつくられてしまう可能性があります。
あと、今日はもう一つ、田原さんにどうしてもお話ししておきたいことがあるんです。安倍首相が2015年に安保関連法を成立させて、集団的自衛権の行使が認められるようになりましたよね。もう、あれで自衛隊は海外へ行けるわけですから、米軍側の次の課題っていうのは憲法改正とかじゃなくて、違うフェーズに移っているということを、いま調べているんです。具体的には全自衛隊基地の共同使用なのですが。
田原: どういうこと?
矢部: 要するに、すべての自衛隊基地を米軍と自衛隊が一緒に使って、米軍の指揮の下で共同演習をやるようになるということです。たとえば静岡県にある富士の演習場というのは、もともと旧日本軍の基地で、戦後、米軍基地として使われていました。それが1968年、自衛隊に返還されたのですが、その際、年間270日は米軍が優先的に使うという密約が結ばれていたのです。
田原: いまでもその密約は続いているの?
矢部: ええ。年間270日ですから、日本に返還されたと言ってたら、事実上、米軍基地のままだったわけです。
田原: 本当は米軍基地じゃないんでしょう? 残ってるわけか、少し。
矢部: ちょっとだけ残っているんですよね。全部米軍基地だったのを少しだけ残して、いちおう日本に返したのですが、密約で270日間は自分たちが使うと。そうすれば、基地を管理する経費がかからないし、米軍基地じゃなくて自衛隊基地のほうが周辺住民の反対運動も少ないので、はるかに都合がいいんです。
下手したらね、たとえば辺野古ができたあと、普天間を日本に返して自衛隊の基地にする、でも米軍が優先的に使いますよ、ということだってあり得るわけです。ですからこれから日本では、米軍基地の返還が進み、表向きは自衛隊基地なのにその実態は米軍基地、というかたちがどんどん増えていくかもしれません。
どのような政権枠組みになるにせよ、今後厳しく注視していく必要があります。
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■憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~
週刊現代(講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53252?page=5
本日は2つの記事を紹介いたします。
2つ目の記事はこちらです。
■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念
Business Journal 2014.12.13
https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html
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衆院選投票日が今週末14日に迫っているが、国民の関心は薄く、報道機関の世論調査でも「関心がある」と答えているのは全体の6割でしかない。
年代別でみると、70代以上が最も関心が高く8割に迫る水準だが、20代は4割強でしかなく、実際に投票に行くかどうかとなると世代間の差はさらに広がる可能性が高い。
このことは、70代以上の意思が国民の意思になり、若年層の利益と高齢者の利益が相反しても、国政には高齢者の利益しか反映されないことを意味する。
そんな若年層が投票日までに目を通しておくべきだと考えられるのが、『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(合同出版)である。
著者は司法試験予備校伊藤塾の塾長であり、憲法研究をライフワークと位置づけている護憲派の伊藤真弁護士と、改憲論者で「コバセツ」の愛称で知られる小林節慶応義塾大学法学部教授。
2人の対談形式になっており、実際に読む部分は137ページしかない薄い本で文字も大きい。
内容も平易な上に衝撃的で、決して眠くなるような内容ではない。
2~3時間で読めるので、特に20~50代の方にはぜひとも読んでほしい。
なぜ20~50代なのか。
それは安倍晋三首相という政治家の悲願実現の暁には、最も被害を被る層だからなのだが、詳細は後述する。
同書は昨年7月に刊行されたもので、自民党がまだ野党だった2012年4月に発表した、同党の、というよりは安倍首相が考えた憲法改正草案を批判した本である。
ポイントは、改憲論者の小林氏ですら徹底的に批判しているという点だ。
『NEWS 23』(TBS系)キャスターで毎日新聞政治部特別編集委員の岸井成格氏も、テレビ番組でこの改憲案を「あまりにも幼稚な内容で、いくら野党になったからといって、こんな無分別なものをつくるとは、とあきれ、政治部の記者は相手にしなかった。だがそれがいけなかった。即座に徹底的に批判すべきだった」と語っている。
筆者は経済専門の記者で、社会部系でも政治部系でもなく、人権に関する報道を熱心にやってきたわけでもない。
従ってこの憲法改正案の内容をほとんど知らなかったのだが、同書を読んで仰天した。安倍首相は、改憲こそが最終目標であり、集団的自衛権容認は何がなんでも実現したいという悲願を持ち、それが国家にとって最善の道だと信じて疑わない政治家なのだということがわかる。
強い信念を持って正しいと信じて突き進む政治家ほど怖いものはない。
2年間の政権運営で、自分の信念は国民受けが悪いこともすでに承知している。
受けがいい経済政策を隠れ蓑にしながら票をかき集めないと、自分の信念は実現できない。
自民党総裁選が来年9月では、それまで安倍人気は持たない。だから今なのだ。
・権力者を縛る憲法があってこその立憲主義
同書で小林氏と伊藤氏の2人ともが一致して批判しているポイントは、憲法96条と99条に関する改正案。
両条文に共通するのは、「安倍首相は憲法を憲法とは別のシロモノに変え、立憲主義を捨てたがっている」という点だ。
「国民を縛るのは法律。その法律のつくり手である権力者を縛るためのものが憲法」であり、「法の上に憲法があるのが立憲主義」だと記憶している人は少なく、両氏はそれこそが問題であり、日本国民は「立憲主義とは何か」を理解していないと指摘する。
憲法は英語で「constitution」であり、権力をカサに着て国民の人権を不当に侵害するような法律を、権力者につくらせないためのものだ。
そもそも権力者を縛ることを目的にしているのだから、主語は基本的に権力者でなければならない。
よって、国民については権利を盛り込むことはあっても義務を盛り込む余地はない。
ちなみに義務教育のくだりは「教育を受ける権利」を意味する。
現行憲法では、99条で「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」としているのに、改憲案ではわざわざ102条を新説し、国民に対し憲法を守れとしている。
国民の義務を謳った新設条文はほかにもあり、「家族は互いに助け合わなければならない」として、本来憲法が踏み込むべきではない道徳に踏み込んでいたりする。
96条で憲法改正に必要な衆議院、参議院での賛成数を3分の2と定めているが、これも過半数に緩和するとしている。
だが、これでは憲法が一般の法律程度の賛成多数で変えられるようになってしまい、それでは憲法は憲法でなくなる。
一般の法律は定足数が総議員数の3分の1で、その過半数の賛成で成立する。
これと同じレベルにするということは、権力者である安倍首相が自らを縛る規律を大幅に緩めようとしているわけで、これは間違いなく立憲主義の否定になる。
天皇の権限を大幅に増やす条文が新設されていることについても、小林氏は「政治利用が行われ得ない様にすべき」と批判的だ。
公務員による拷問や残虐な刑罰を禁じた36条では、「絶対にこれを禁ずる」から「絶対に」だけが削除されている。
明確に「国防軍」という条文も新設されている。
とにかく全体的に、戦前の家父長制度を基本とし、国家の利益が個人の利益に優先する明治憲法への回帰を志向しているとしか思えない細かい「改正」箇所が随所に登場するのである。
・現実味帯びる徴兵制
当然、集団的自衛権を容認する前提で必要な改正も盛り込まれている。
今回の選挙の争点である経済政策、原発再稼働容認の有無、集団的自衛権容認の有無は、3点がセットである。
経済政策には賛成でも残り2つには反対という人が自民党に投票すれば、もれなく反対である残り2つにも賛成したことになってしまう。
自民党内に反対派が事実上おらず、政権与党内に誰も安倍首相を牽制できる政治家がいないからだ。
集団的自衛権について、安倍首相は海外の紛争地域での邦人保護など、耳当たりの良い事例だけを引き合いに出して説明しているが、要するに国民が国家から「海外へ行って人殺しをしてこい」と命じられることなのだ。
人間の約95%は人殺しをすると心を病むということが、科学的に立証されている。ボタン一つで人殺しができる現代でも、心を病む兵士は後を絶たない。
それでは海外へ行って人殺しをしろと国から命令されるのは一体誰か。多くの人は自衛隊員と答えるはずだ。
それでは「自衛隊員にあなたは志願しますか」「あなたの子供を自衛隊員にしますか」という質問をされたらどう答えるのだろうか。
自衛隊員には、任期がない隊員と、任期がある隊員がいる。防衛白書によれば、任期がない隊員は14年3月末時点で20万5333人、任期がある隊員は2万379人いる。
「曹」「准尉」「将」といった幹部クラスの人数は18万4983人と、5年前に比べると1230人増えている。
定員に対する充足率も96.8%と高水準だ。
だが、最下層の「士」は4万729人と、5年前に比べて4783人、率にして1割減っている。
この「士」は任期付きの隊員が半数を占め、その任期付きの隊員に限っていえば、2割も減っている。
「士」全体としての定員に対する充足率も72.6%と低水準だ。
集団的自衛権の容認が実現すれば、おそらく自衛官への志願者は激減するだろう。
ただでさえ18歳以下の人口は減少の一途を辿っている。
必要な頭数が揃わなくなれば、にわかに徴兵制度が現実味を帯びてくる。
実際に海外から派遣要請が来たときに、「頭数が揃わないので派遣できません」などと言えるわけがない。
・まったく戦争を経験していない世代
なぜ20~50代に本書を読んでほしいのかといえば、徴兵の対象になるのは、まさにこの年齢層だからだ。
今、小学校4年生の子供も10年たてば成人である。
だがこの層には選挙権はない。
30~40代は自分のことに加え、自分の子供の将来も考える必要がある。
太平洋戦争当時、応召の対象になった年齢は当初は20~40歳だったが、1943年に下は19歳に引き下げられ、上は45歳に引き上げられた。
翌44年に下は17歳に再度引き下げられている。
ストレプトマイシンが発見されるのは戦後なので、このときはまだ結核が死の病。
平均寿命は男性42歳、女性43歳。
それでも45歳まで応召されている。
今なら上は50歳、場合によっては55歳くらいまで引き上げられてもおかしくない。
男女平等だから女子もという話もあり得るかもしれない。
絶対安全なところにいて、なおかつまったく戦争を経験していないのが60代から上の世代だ。
戦前生まれでも、昭和一桁年後半あたり以降に生まれている世代は応召されていない。
それどころか、子供だったので疎開していて空襲すら経験がない人も少なくない。
35年(昭和10年)生まれは今79歳。
応召年齢が引き上げられた43年生まれは73歳。
第一次就職氷河期が到来した95年当時、雇用を守ってもらえた世代そのものだ。
若者の就職難は、中高年社員の雇用維持の反作用であった。
・憲法解釈の変更を閣議決定でできる、と語った安倍首相
筆者の肌感覚では、この60~70代以上の層には、安倍首相と同じ考えを持つ人が他の世代に比べて多い気がする。
この層には「若者を叩き直すためには戦地へ行かせるのがよい」などと発言する人が多いが、自分は戦争を経験しておらず、それがどれだけ人の心に壊滅的なダメージを与えるのか想像がついていないからではないのか。
そしてこの世代こそが、最も選挙に熱心で投票率が高い。
この世代から仕事を奪われた20~50代は、今度は国から「国のために戦争に行ってこい」と言われかねない事態に現在陥っているということを、まったく自覚していない。
実際に戦地で人を殺した経験を持つ人の多くは、終戦70年近くたった今も、心理的ダメージゆえにその悲惨な経験を口にすることができないといわれる。
応召された最年少世代がすでに87歳。経験を口にすることなく鬼籍に入る人はどんどん増えている。
とにかく安倍首相は、憲法解釈の変更という重大な決定を閣議決定でできると言ってのけた人物である。
高齢者はあなたたちを守ってはくれない。
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■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念
Business Journal 2014.12.13
https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html
昨今、子どもたちに人気のオンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」はご存じでしょうか。
小学生や中学生に大人気の「戦争ゲーム」です。
アメリカ企業「Epic Games(エピックゲームズ)」が運営するゲームなのですが、すごいのがその「リアル感」。
まるで本物の「銃」を打っているかのような臨場感です。
火力の大きい「銃」を打つと、その反動や衝撃をも、リアルに映し出されるほどの「完成度」なのです。
相手を倒すために「ヘッドショット」と呼ばれる頭を打ち抜き、一発で仕留めることが最高の技術と評されています。
まるで、日本の子どもたちに「リアル戦争の技術」を学ばせているかのような、完成度の高いゲームです。
ただ、同じチーム内でも殺しあうことができる仕組みや、「キック」と呼ばれる仲間外れの仕組みなどもあり、いじめの原因にもなると言われています。
一部の親からは、非常に評判の悪いゲームでもあります。
ただ。
この戦争ゲームと現実の戦争。
少し懸念点としてあるのが、今の日本の状況です。
欧米諸国と、急激に成長を遂げている中国との「戦争リスク」です。
実際、コロナが世界を席巻してから、世界各国は保守的な思考に移行し、自国国益ファーストを強めてきました。
食の輸入や水道資源の確保、自国での製薬事業の強化、医療体制の補強など、多くの国は様々な面で自国防衛を強化しています。
一方、日本は「無策」を続けています。
ワクチン政策では、欧米ワクチンを最優先し、自国産ワクチンを軽視。
オリンピックは欧米主導のIOCの言いなりで「ノー」と言えない状況。
安倍政権発端の「食」輸入や水道民営化の外圧の言いなりの状況。
このままでは、日本国民の「健康」や「命」をも、欧米の意思決定に委ねてしまうリスクまで現実性を帯びてしまいます。
昨今、米中戦争のリスクは高まっています。
自衛隊と米軍の軍事共同訓練では、自衛隊が米軍の実質指揮の下で動いている、というニュースも各所で見受けられます。
もし、自衛隊が、米軍の実質指揮下で動いているとしたら。
万が一、米中戦争勃発した際には、自衛隊が対中戦争の最前線で戦争する羽目になるという、最悪のケースも考えられる状況ではないでしょうか。
アメリカやイギリス主導で始めた対中戦争に、日本の意思ではない「自衛隊参加」の戦争となる可能性があるのかもしれません。
平和憲法「日本国憲法」は戦争参加を否定しています。
ただ、この憲法改正を進めているのが、安倍元首相だと言われています。
もし、憲法改正で自衛隊による戦争が可能となった場合、最も恐れる事態が起こる可能性があります。
米中戦争に、自衛隊が最前線となるリスクです。
当然、自衛隊が参戦したら、日本国土も、一般日本国民も、戦争に巻き込まれるでしょう。
すべてを他国に依存してしまうことは、他国の国益に巻き込まれることにつながります。
巻き込まれるだけならまだましです。
都合の良い形で使われ、多くの命を他国の指示で失う、という最悪のケースも考えられます。
アメリカは同盟国です。
ただ、盲目的に依存するのでは、大きなリスクを背負ってしまうのではないでしょうか。
同盟国でも、一線を画し、言うべきことは言う、伝えるべきことは伝える。
しっかりと「ノー」と言える関係は重要かもしれません。
なぜか、日本政府も、日本のマスコミも、対中国批判に一生懸命。
一方、対米従属のリスクや危険性を報道するニュースは一切見られません。
まるで政府も、マスコミも「アメリカ一辺倒」のように感じられます。
アメリカは、対中ミサイル配備に、日本の国土が最有力というニュースもありました。
今後、欧米諸国と中国との戦争が現実味を帯びてきた際、地理的な最前線はまさに「日本」です。
麻生元総理も、日米による対中国との有事の可能性について発言しています。
そして、この状況でさらに懸念されるのが「徴兵制」ではないでしょうか。
もし、万が一、憲法改正と、徴兵制が実現されたとしたら・・・。
日本の子どもたちの存亡、そして日本そのものの存亡に直結するでしょう。
今、子どもたちが夢中でやっているゲーム「フォートナイト」。
そのゲーム技術が生かされるという「最悪の未来」も、その可能性は否定できない状況ではないでしょうか。
憲法改正で自衛隊明記を宣言している安倍元総理。
対中有事に言及した麻生元総理。
米国一辺倒の議員は、この事態をどのように考えているのでしょうか。
正しく憂いているのでしょうか。
それとも・・・・。
【参考資料】
■米、対中ミサイル網計画 配備先、日本は「最有力候補」
「米国は配備先として第1列島線の延長線で中国に近接している日本国内を最有力候補地と考えており、実際に配備となれば日本は米中対立の最前線として軍事的緊張を強いられることになる」
朝日新聞 2021年7月8日
https://www.asahi.com/articles/ASP7776F4P50UHBI03L.html
■なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?
・知ってはいけないウラの掟
「日本の空は、すべてアメリカに支配されている」
「自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」
週刊現代(講談社)2017.08.05 矢部宏治
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52466
■日本人が知らない「闇歴史」
~アメリカに支配された70年の真実~
「日本の主体的な意思によって行われたものではない。政治も経済も文化も勝者であるアメリカに操られてきた」
「日本はアメリカの属国のままでよいのだろうか」
日刊大衆(双葉社)2015/9/21
https://taishu.jp/articles/-/45710?page=1